2017年06月16日
米国景気指標「UM消費者信頼感指数速報値」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月16日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月16日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標の特徴を整理しておきます。
という訳で、分析に凝っても意味がありません。
過去のデータは、以下に掲示しておくので、興味のある方はご参照ください。
それでも本指標に注目すべき価値はあります。それは、一般論として消費者景況感が個人消費や小売売上高に直結しがちだという点、期待指数は「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素だという点、の2点です。本指標自体の取引には価値がありません(運に頼ることになります)。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
ミシガン大学(UM)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。調査数が少ないためブレが大きいという特徴があります。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。がしかし、古すぎて当時の景況感がどうだったかを知るひとは少ないと思います。従って、参考にすべき基準は100でなく、直近の最大値・最小値ではないでしょうか。
例えば、2015年1月は、前年の雇用統計で失業率やNFP(非農業部門雇用者数)で良い数字が続いていた頃で、FRBの利上げ時期が議論に挙がっていました。このときの速報値が直近で最も高く98.2です。そして、2015年8月後半には中国人民元切下げと株価不安があり、ダウ工業平均は一営業日で1000ドル強もの値下がりが起きました。その翌月9月は直近で最も速報値が低く85.7です。
前月2017年1月の速報値は98.1ですから、いまや米国が西側オンリーワンだった時代の景況感に近づいている訳です。「何か変だな」と思いますが、あくまで本指標は消費者への電話アンケート結果です。
なお、本指標は現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります(その先行指標ということです)。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結するという意義もあります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
グラフからわかるように、典型的な市場予想後追い型の指標です。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
但し、本指標については、発表結果が市場予想を上抜け・下抜けしたことは、過去29回のうち12回です。だから、本指標の今回結果が市場予想を下抜ける可能性は、過去の確率を当てはめると41%です(今回は市場予想を上回る確率が59%)。
アテにするにはちょっと心もとない確率ですね。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
本指標では取引を行いません。
以下は2017年6月19日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、信頼感指数が前回結果・市場予想を下回りました。内訳の先行き・現状も同様です。
反応は、直後1分足が長い下ヒゲを持った陰線となり、直後11分足は陽線となっています。
取引していません。
市場予想が高めに外れがち、という過去の傾向は、今回もその通りになりました。
また、上の4本足チャートを見る限り、指標結果に対する反応持続時間は1分もたない、と見て取れます。
シナリオはありません。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月16日23:00に米国景気指標「UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数速報値」が発表されます。今回発表は2017年6月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標の特徴を整理しておきます。
- 本指標は典型的な市場予想後追い型の指標です。「市場予想後追い型」の説明は、後述する「2-1. 過去情報」をご参照ください。
がしかし、本指標の現状を見ると、発表結果が市場予想を上抜け・下抜けしたことは、過去29回のうち12回です。だから、本指標の今回結果が市場予想を下抜ける可能性は、過去の確率を当てはめると41%です(今回は市場予想を上回る確率が59%)。50%は切っているものの、上抜けしない・下抜けしないと見込む市場予想後追い型としては、ちょっと心もとない確率です。 - 問題はそれだけじゃありません。
本指標の市場予想には癖があります。
過去29回の調査結果では、市場予想が前回結果を上回っていた確率が80%と、異常な偏りがあります。がしかし、発表結果が前回結果を上回っていた確率は50%です。つまり、過去の傾向から言えば、市場予想が高めに偏って外れる、という特徴があります。
それなら、過去の直後1分足は陰線率が高くて当然です。にも関わらず、実際にはその確率は42%(陽線率が58%)です。
つまり、本指標はどっちに反応するのかが読めない指標だと言えます。 - そして、過去の反応は小さく、直後1分足跳幅の過去平均値は11pipsしかありません。この11pipsを超えて反応したことは38%しかありません。
加えて、直後1分足と直後11分足の方向一致率も54%と、反応方向を確認してから追撃するにも不適切な指標です。 - こんな指標では「取引しない」というのが賢明だと思います。過去の傾向は、取引参加者が本指標発表がなかったような反応です。これではただのトレンドフォローと同じで、そのときのテクニカル指標の方がアテになるでしょう。
という訳で、分析に凝っても意味がありません。
過去のデータは、以下に掲示しておくので、興味のある方はご参照ください。
それでも本指標に注目すべき価値はあります。それは、一般論として消費者景況感が個人消費や小売売上高に直結しがちだという点、期待指数は「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素だという点、の2点です。本指標自体の取引には価値がありません(運に頼ることになります)。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。利確・損切の目安は、過去平均値を最近の反応の大小と見比べて感覚的に微修正している、というのが実情です。
【1. 指標概要】
ミシガン大学(UM)消費者信頼感指数は、同学サーベイ・リサーチセンターが電話アンケートで消費者景況感の調査結果を指数化した景気指標です。速報値は300世帯、確報値は500世帯が対象で、景況感・雇用状況・所得について「楽観」または「悲観」で回答されます。調査数が少ないためブレが大きいという特徴があります。
本指標は1964年の指数を100として算出されています。がしかし、古すぎて当時の景況感がどうだったかを知るひとは少ないと思います。従って、参考にすべき基準は100でなく、直近の最大値・最小値ではないでしょうか。
例えば、2015年1月は、前年の雇用統計で失業率やNFP(非農業部門雇用者数)で良い数字が続いていた頃で、FRBの利上げ時期が議論に挙がっていました。このときの速報値が直近で最も高く98.2です。そして、2015年8月後半には中国人民元切下げと株価不安があり、ダウ工業平均は一営業日で1000ドル強もの値下がりが起きました。その翌月9月は直近で最も速報値が低く85.7です。
前月2017年1月の速報値は98.1ですから、いまや米国が西側オンリーワンだった時代の景況感に近づいている訳です。「何か変だな」と思いますが、あくまで本指標は消費者への電話アンケート結果です。
なお、本指標は現状判断指数(約40%)と先行き期待指数(約60%)で構成され、期待指数については「コンファレンスボード(全米産業審議会)景気先行指数」の構成要素でもあります(その先行指標ということです)。
また、消費者景況感は、個人消費や小売売上高に直結するという意義もあります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの29回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
グラフからわかるように、典型的な市場予想後追い型の指標です。
市場予想後追い型とは、実際には市場予想の方が発表結果よりも先に公表されているにも関わらず、後からそれらをプロットしたグラフを見ると、いかにも市場予想の方が発表結果を追従しているように見える指標です。こうした指標では、直近の指標発表結果が上昇・下降しているとき、市場予想をオーバーシュートした発表結果となることが多いのです。
但し、本指標については、発表結果が市場予想を上抜け・下抜けしたことは、過去29回のうち12回です。だから、本指標の今回結果が市場予想を下抜ける可能性は、過去の確率を当てはめると41%です(今回は市場予想を上回る確率が59%)。
アテにするにはちょっと心もとない確率ですね。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
【4. シナリオ作成】
本指標では取引を行いません。
以上
2017年6月16日23:00発表
以下は2017年6月19日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は、信頼感指数が前回結果・市場予想を下回りました。内訳の先行き・現状も同様です。
反応は、直後1分足が長い下ヒゲを持った陰線となり、直後11分足は陽線となっています。
(5-2. 取引結果)
取引していません。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
市場予想が高めに外れがち、という過去の傾向は、今回もその通りになりました。
また、上の4本足チャートを見る限り、指標結果に対する反応持続時間は1分もたない、と見て取れます。
(6-2. シナリオ検証)
シナリオはありません。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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