2017年07月01日
4-2. 米国経済指標DB(2017年6月最終版)
米国の経済指標発表前後の取引はUSDJPYで行っています。
米国の政治・金融・経済の動向は、どの通貨ペアにも影響を及ぼします。望ましくは、東京時間の取引はUSDJPYで、欧州・米国時間はEURUSDで行いたいものです。
USDJPYについては「4-1. 日本経済指標DB(2017年6月最終版)」に記載済のため、ここではEURUSDについて纏めておきます。
EURUSD月足は、始値1.1243ドル・高値1.1445ドル・安値1.1119ドル・終値1.1422ドルで、値幅179pips・跳幅202pipsの陽線でした。
月足一目均衡表では遅行線が実体線を上抜け、月足でも上昇トレンド転換サインが出ました。但し、2015年8月高値(1.1713)と2016年5月高値(1.1616)とを結んだレンジスタンスラインが、7月には1.1440付近に下がってきています。レジスタンス上抜けに何度か跳ね返されてトライし直す必要があるかも知れません。このレジスタンスを抜ければ、次は2016年5月高値(1.1616)、2015年8月高値(1.1713)、雲下端(1.1951)がレジスタンスになります。
10年債金利の動きに繋がる内容としては、6月FOMCでFRBの資産縮小計画を示された一方、月末間近になってECB総裁が量的緩和縮小に向けた考えを示しました。その結果、独10年債金利が短時間のうちに急上昇をしました。月末金利自体は独債0.46%・米債2.3%となっていますが、6月月初時点がそれぞれ0.31%・2.21%だったことを思えば、6月の落差は独債の方が大きかった訳です。
よって、先述の6月月末付近のEURUSDの急上昇は米独の金利差縮小(金利差比の拡大)に裏付けられています。
ダウは、月初から6月19日まで上昇、その後月末までが停滞となっています。FOMCが保有債券規模縮小を示したり、ロシアゲートが話題になった割に動きがありません。つまり、為替にとって株価は影響しない月(影響が小さい月)でした。
2017年の政策金利利上げは3回が予定されていました。3月・6月を市場予想通り実施し、ここにきてあと1回の利上げを今年行わないのではないか、と言われています。というのも、6月FOMCで現在4.5兆ドル規模(ほぼ日本のGDP並み)のBS(バランスシート)縮小に着手する方針を示し、市場では早ければ9月にも縮小を開始する可能性について話題に挙がっているためです。
もし9月に縮小を始められない市場環境ならば、利上げも難しい状況です。もしBS縮小を12月に行うなら、次回利上げは9月頃と考えられ、6月利上げの影響の検証期間が足りません。だから、利上げが12月だとすれば、9月にBS縮小を開始することになります。がしかし、BS縮小の影響こそ未知な施策ですから、影響を時間をかけて検証する必要があります。それならば12月に利上げは難しく、むしろBS縮小の開始が遅れてあと1回の利上げが今年できないのではないか、という論理です。
何かちょっと面倒くさい理屈です。最初、1回読んでも、話がぐるぐるしていてナニを言っているのかわかりませんでした。7月中にはもっと単純化されていてほしいものです。
(事例1) FOMC政策金利(2017年6月15日発表結果検証済)
(事例2) FOMC議事録(2017年5月25日公表結果検証済)
米国GDPに対し公共投資が与える影響は、日本の場合に比して小さなものです(絶対額でなく比率で考察)。従って、政府予算の配分が変わることは経済的な直接効果よりも、関連法規改正などで予算配分が増えた分野への政府支援が強まる間接効果となります(日本の場合は直接効果が大きい)。にも関わらず、そうした政策変更は、JPYに対してよりもUSDに対して大きく影響が現れがちな点が不思議です。
現在、米政権はオバマケア代案法案・税制改革・2018年度予算案(予算削減先が多い)の検討・承認を議会に求めつつ、ロシアゲート問題・北朝鮮問題(中国問題)・多国間協定離脱の代替施策必要性(FTAやパリ協定)を抱えています。
きっと風呂敷も日本の20倍ぐらいあるのでしょう。
(3-1) 総合・非製造業
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数とCB(カンファレンスボード)消費者信頼感指数とは、統計の目的・内容・時期が同じにも関わらず、実態差異の方向一致率を見る限り関係がありません。
6月発表結果も、UM速報値とCBの結果はそれぞれ前月結果に対し悪化と改善になり、逆の結果が発表されています。CBの現在指数は2001年7月以来の高水準になっていました。
6月分発表結果は、UM確報値・CB・ISMのいずれも改善となりました。物価上昇を下回る賃金伸び率による消費低迷で景気腰折れが懸念されていましたが、とりあえずいずれも改善です。
ISMが示した内容は、雇用指数が低下したものの、事業活動指数・新規受注指数・価格指数のいずれも5月より改善となっていました。
(事例1) UM消費者信頼感指数速報値(2017年6月16日発表結果検証済)
(事例2) CB消費者信頼感(2017年6月27日発表結果検証済)
(事例3) ISM非製造業・総合景況指数(2017年7月6日発表結果検証済)
(3-2) 製造業
最も反応が大きい指標はISMです。ISMへの相関が強いと言われるのがPhil連銀景気指数で、Phil連銀景気指数への相関が強いと言われるのがNY連銀景気指数です。がしかし、その相関は毎回の取引でほぼありません。Phi連銀とISM製造業の発表結果は、前回結果より大きい・小さいすら52%しか一致していません。
6月分発表結果は、前回5月分発表結果に対して、NY連銀が改善、Phil連銀が低下、ISM製造業が改善、となりました。
ISMの内容を見ると、新規受注指数・雇用指数が改善し、物価指数が低下しています。この組み合わせは悪くありません。
(事例1) NY連銀製造業景気指数(2017年5月15日21:30発表結果検証済)
(事例2) Phil連銀製造業景気指数(2017年5月18日発表結果検証済)
(事例3) ISM製造業景況感指数(2017年7月3日23:00発表結果検証済)
FRBが注目しているというPCEコアデフレータが最重要だと思われます。
物価は、材料(輸入物価指数)→生産(PPI)→消費(CPI)へと下流に波及すると言われています。がしかし、少なくとも直近2-3年は、PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)は、同月のPPIとCPIの増減の方向一致率が高くなっています(先行性と言うより同時性があります)。そして、輸入物価指数とPPI・CPIとの方向一致率には、数か月まで遡っても増減の方向一致率に強い相関は見出せません。
6月29日に発表された1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBが既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
(事例1) 四半期PCEコアデフレータ(2017年6月29日発表結果検証済)
(事例2) PCEコアデフレータ(2017年6月30日発表結果検証済)
(事例3) CPI(2017年6月14日発表結果検証済)
(事例4) PPI(2017年6月13日発表結果検証済)
(事例5) 輸入物価指数(2017年5月10日発表結果検証済)
景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。
6月分のISM製造業景況指数の雇用指数は前月より改善しました。ISM非製造業景況指数・ADP雇用統計は前月より低下しました。そして、これらと関連深いとされる雇用統計NFP増減は改善しました。
平均時給と失業率が悪化したものの、いずれも過去の指標トレンドの解釈を変えるほどの悪化ではありません。
(事例1) 雇用統計(2017年7月7日21:30発表結果検証済)
(事例2) ADP民間雇用者数(2017年7月6日発表結果検証済)
財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、素人にも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPなのでしょう。
6月29日に発表された1-3月期GDP確定値は、改定値を上回って1.4%となりました。雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%よりもいずれ盛り返す、というFOMC見解は正しかったのでしょう。
(事例1) 四半期GDP速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
(事例2) 四半期GDP改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
(事例3) 四半期GDP確定値(2017年6月29日21:30発表結果検証済)
「消費」や「住宅」が景気に関わるというのはわかるような気がします。がしかし、米国で「製造」が経済に与える影響は為替を動かすほど大きいのか、どうもピンとこないまま調査や分析を怠っていました。「住宅」は、もともとあまり反応しません。
やはり基本は、米国GDPの70%を占めるというPCEです。
(2-1) 消費
米国GDPの約70%は個人消費が占めています。
(事例1) 四半期PCE速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
(事例2) 四半期PCE改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
(事例3) 四半期PCE確定値(2017年6月29日発表結果検証済)
(事例4) PCE・個人所得(2017年6月30日発表結果検証済)
(事例5) 小売売上高(2017年6月14日発表結果検証済)
(2-2) 住宅
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標もあります。反応は素直な傾向が目立つものの、注目度の割に反応が小さい指標ばかりです。
米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。5月分データ(6月23日発表)は前月比がプラスに転じています。これが、今回の結果が6月利上げによる駆け込み需要があったのか否かという観点での解説記事は、まだ見受けられません。
(事例1) 中古住宅販売件数(2017年6月21日発表結果検証済)
(事例2) 新築住宅販売件数(2017年6月23日23:00発表結果検証済)
(事例3) 建設支出(2017年4月3日発表結果検証済)
(2-3) 製造
製造業(エネルギー分野を含む)は、米国GDPの約12%を占めています。だから、製造業の好不調が米国経済に与える影響は小さい、と捉えています。雇用指標や景気指標に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応は大したことありません。
6月23日に発表された耐久財受注は、全体が前月結果を下回り、コアが前月結果を上回りました。全体・コアともに、指標推移のグラフから好不調を判断できない結果です。
(事例1) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年5月16日発表結果検証済)
(事例2) 耐久財受注(2017年6月26日発表結果検証済)
最近の傾向は毎月400億ドルの貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算並みということですよね。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。本指標は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向に関係なく、そして反応が比較的大きい傾向があること、です。少し変な指標です。
7月6日に発表された5月分貿易収支は、前月比△2.3%減の465億ドルでした。内訳の輸出は2年ぶりの高水準だったことが、赤字を減らした原因と考えられます。輸出の内訳は、石油が過去最高となっていました。棒
(事例1) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)
米国の政治・金融・経済の動向は、どの通貨ペアにも影響を及ぼします。望ましくは、東京時間の取引はUSDJPYで、欧州・米国時間はEURUSDで行いたいものです。
【4-2-1. 6月概観】
USDJPYについては「4-1. 日本経済指標DB(2017年6月最終版)」に記載済のため、ここではEURUSDについて纏めておきます。
EURUSD月足は、始値1.1243ドル・高値1.1445ドル・安値1.1119ドル・終値1.1422ドルで、値幅179pips・跳幅202pipsの陽線でした。
月足一目均衡表では遅行線が実体線を上抜け、月足でも上昇トレンド転換サインが出ました。但し、2015年8月高値(1.1713)と2016年5月高値(1.1616)とを結んだレンジスタンスラインが、7月には1.1440付近に下がってきています。レジスタンス上抜けに何度か跳ね返されてトライし直す必要があるかも知れません。このレジスタンスを抜ければ、次は2016年5月高値(1.1616)、2015年8月高値(1.1713)、雲下端(1.1951)がレジスタンスになります。
10年債金利の動きに繋がる内容としては、6月FOMCでFRBの資産縮小計画を示された一方、月末間近になってECB総裁が量的緩和縮小に向けた考えを示しました。その結果、独10年債金利が短時間のうちに急上昇をしました。月末金利自体は独債0.46%・米債2.3%となっていますが、6月月初時点がそれぞれ0.31%・2.21%だったことを思えば、6月の落差は独債の方が大きかった訳です。
よって、先述の6月月末付近のEURUSDの急上昇は米独の金利差縮小(金利差比の拡大)に裏付けられています。
ダウは、月初から6月19日まで上昇、その後月末までが停滞となっています。FOMCが保有債券規模縮小を示したり、ロシアゲートが話題になった割に動きがありません。つまり、為替にとって株価は影響しない月(影響が小さい月)でした。
【4-2-2. 政策指標】
(1) 金融政策
2017年の政策金利利上げは3回が予定されていました。3月・6月を市場予想通り実施し、ここにきてあと1回の利上げを今年行わないのではないか、と言われています。というのも、6月FOMCで現在4.5兆ドル規模(ほぼ日本のGDP並み)のBS(バランスシート)縮小に着手する方針を示し、市場では早ければ9月にも縮小を開始する可能性について話題に挙がっているためです。
もし9月に縮小を始められない市場環境ならば、利上げも難しい状況です。もしBS縮小を12月に行うなら、次回利上げは9月頃と考えられ、6月利上げの影響の検証期間が足りません。だから、利上げが12月だとすれば、9月にBS縮小を開始することになります。がしかし、BS縮小の影響こそ未知な施策ですから、影響を時間をかけて検証する必要があります。それならば12月に利上げは難しく、むしろBS縮小の開始が遅れてあと1回の利上げが今年できないのではないか、という論理です。
何かちょっと面倒くさい理屈です。最初、1回読んでも、話がぐるぐるしていてナニを言っているのかわかりませんでした。7月中にはもっと単純化されていてほしいものです。
(事例1) FOMC政策金利(2017年6月15日発表結果検証済)
(事例2) FOMC議事録(2017年5月25日公表結果検証済)
(2) 財政政策
米国GDPに対し公共投資が与える影響は、日本の場合に比して小さなものです(絶対額でなく比率で考察)。従って、政府予算の配分が変わることは経済的な直接効果よりも、関連法規改正などで予算配分が増えた分野への政府支援が強まる間接効果となります(日本の場合は直接効果が大きい)。にも関わらず、そうした政策変更は、JPYに対してよりもUSDに対して大きく影響が現れがちな点が不思議です。
現在、米政権はオバマケア代案法案・税制改革・2018年度予算案(予算削減先が多い)の検討・承認を議会に求めつつ、ロシアゲート問題・北朝鮮問題(中国問題)・多国間協定離脱の代替施策必要性(FTAやパリ協定)を抱えています。
きっと風呂敷も日本の20倍ぐらいあるのでしょう。
(3) 景気指標
(3-1) 総合・非製造業
UM(ミシガン大学)消費者信頼感指数とCB(カンファレンスボード)消費者信頼感指数とは、統計の目的・内容・時期が同じにも関わらず、実態差異の方向一致率を見る限り関係がありません。
6月発表結果も、UM速報値とCBの結果はそれぞれ前月結果に対し悪化と改善になり、逆の結果が発表されています。CBの現在指数は2001年7月以来の高水準になっていました。
6月分発表結果は、UM確報値・CB・ISMのいずれも改善となりました。物価上昇を下回る賃金伸び率による消費低迷で景気腰折れが懸念されていましたが、とりあえずいずれも改善です。
ISMが示した内容は、雇用指数が低下したものの、事業活動指数・新規受注指数・価格指数のいずれも5月より改善となっていました。
(事例1) UM消費者信頼感指数速報値(2017年6月16日発表結果検証済)
(事例2) CB消費者信頼感(2017年6月27日発表結果検証済)
(事例3) ISM非製造業・総合景況指数(2017年7月6日発表結果検証済)
(3-2) 製造業
最も反応が大きい指標はISMです。ISMへの相関が強いと言われるのがPhil連銀景気指数で、Phil連銀景気指数への相関が強いと言われるのがNY連銀景気指数です。がしかし、その相関は毎回の取引でほぼありません。Phi連銀とISM製造業の発表結果は、前回結果より大きい・小さいすら52%しか一致していません。
6月分発表結果は、前回5月分発表結果に対して、NY連銀が改善、Phil連銀が低下、ISM製造業が改善、となりました。
ISMの内容を見ると、新規受注指数・雇用指数が改善し、物価指数が低下しています。この組み合わせは悪くありません。
(事例1) NY連銀製造業景気指数(2017年5月15日21:30発表結果検証済)
(事例2) Phil連銀製造業景気指数(2017年5月18日発表結果検証済)
(事例3) ISM製造業景況感指数(2017年7月3日23:00発表結果検証済)
(4) 物価指標
FRBが注目しているというPCEコアデフレータが最重要だと思われます。
物価は、材料(輸入物価指数)→生産(PPI)→消費(CPI)へと下流に波及すると言われています。がしかし、少なくとも直近2-3年は、PPI(生産者物価指数)とCPI(消費者物価指数)は、同月のPPIとCPIの増減の方向一致率が高くなっています(先行性と言うより同時性があります)。そして、輸入物価指数とPPI・CPIとの方向一致率には、数か月まで遡っても増減の方向一致率に強い相関は見出せません。
6月29日に発表された1-3月期PCEコアデフレータは前期比+2.0%となり、2016年1-3月期以来4期ぶりに2%を回復が確定しました。FRBが既定の金融政策を進めやすい状況になったと言えるでしょう。
(事例1) 四半期PCEコアデフレータ(2017年6月29日発表結果検証済)
(事例2) PCEコアデフレータ(2017年6月30日発表結果検証済)
(事例3) CPI(2017年6月14日発表結果検証済)
(事例4) PPI(2017年6月13日発表結果検証済)
(事例5) 輸入物価指数(2017年5月10日発表結果検証済)
(5) 雇用指標
景気を表すのは新規雇用者数と失業率で、これらについては既にFRB幹部も満足しています。だから、最近は景気を後押しする平均時給の伸びが注目されています。インフレ圧力が強まっているのに、賃金が伸びなければいずれ好調な個人消費が減少に転じ、それが経済成長を阻むと考えられているから、です。
6月分のISM製造業景況指数の雇用指数は前月より改善しました。ISM非製造業景況指数・ADP雇用統計は前月より低下しました。そして、これらと関連深いとされる雇用統計NFP増減は改善しました。
平均時給と失業率が悪化したものの、いずれも過去の指標トレンドの解釈を変えるほどの悪化ではありません。
(事例1) 雇用統計(2017年7月7日21:30発表結果検証済)
(事例2) ADP民間雇用者数(2017年7月6日発表結果検証済)
【4-2-3. 経済指標】
(1) 経済成長
財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、素人にも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPなのでしょう。
6月29日に発表された1-3月期GDP確定値は、改定値を上回って1.4%となりました。雇用状況が好調ゆえに、速報値の0.7%・改定値の1.2%よりもいずれ盛り返す、というFOMC見解は正しかったのでしょう。
(事例1) 四半期GDP速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
(事例2) 四半期GDP改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
(事例3) 四半期GDP確定値(2017年6月29日21:30発表結果検証済)
(2) 実態指標
「消費」や「住宅」が景気に関わるというのはわかるような気がします。がしかし、米国で「製造」が経済に与える影響は為替を動かすほど大きいのか、どうもピンとこないまま調査や分析を怠っていました。「住宅」は、もともとあまり反応しません。
やはり基本は、米国GDPの70%を占めるというPCEです。
(2-1) 消費
米国GDPの約70%は個人消費が占めています。
(事例1) 四半期PCE速報値(2017年4月28日発表結果速報済)
(事例2) 四半期PCE改定値(2017年5月26日発表結果検証済)
(事例3) 四半期PCE確定値(2017年6月29日発表結果検証済)
(事例4) PCE・個人所得(2017年6月30日発表結果検証済)
(事例5) 小売売上高(2017年6月14日発表結果検証済)
(2-2) 住宅
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標もあります。反応は素直な傾向が目立つものの、注目度の割に反応が小さい指標ばかりです。
米国住宅市場は在庫不足で、低価格帯住宅の販売が好調です。5月分データ(6月23日発表)は前月比がプラスに転じています。これが、今回の結果が6月利上げによる駆け込み需要があったのか否かという観点での解説記事は、まだ見受けられません。
(事例1) 中古住宅販売件数(2017年6月21日発表結果検証済)
(事例2) 新築住宅販売件数(2017年6月23日23:00発表結果検証済)
(事例3) 建設支出(2017年4月3日発表結果検証済)
(2-3) 製造
製造業(エネルギー分野を含む)は、米国GDPの約12%を占めています。だから、製造業の好不調が米国経済に与える影響は小さい、と捉えています。雇用指標や景気指標に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応は大したことありません。
6月23日に発表された耐久財受注は、全体が前月結果を下回り、コアが前月結果を上回りました。全体・コアともに、指標推移のグラフから好不調を判断できない結果です。
(事例1) 鉱工業生産・製造業生産・設備稼働率(2017年5月16日発表結果検証済)
(事例2) 耐久財受注(2017年6月26日発表結果検証済)
【4-2-4. 対外収支】
最近の傾向は毎月400億ドルの貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算並みということですよね。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。本指標は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向に関係なく、そして反応が比較的大きい傾向があること、です。少し変な指標です。
7月6日に発表された5月分貿易収支は、前月比△2.3%減の465億ドルでした。内訳の輸出は2年ぶりの高水準だったことが、赤字を減らした原因と考えられます。輸出の内訳は、石油が過去最高となっていました。棒
(事例1) 貿易収支(2017年4月4日発表結果検証済)
以上
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