2017年06月01日
米国雇用指標「平均時給・NFP・失業率」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年6月2日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年6月2日21:30に米国雇用指標「平均時給・NFP・失業率」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
同時に、米国国際収支「貿易収支」も発表されますが、こちらへの反応は雇用統計と比べるまでもなく、無視しても差し支えありません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
指標については次の通りです。
シナリオは次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
本指標発表で過去に最も反応したのはNFPですが、最近は平均時給への注目が高まっています。
平均時給への注目が高くなっているのは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は緩やかな成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、平均賃金への関心が高まっているのです。
本指標のNFPは、ADP雇用統計の結果が先行指標としてアテになります。
ADPの発表結果と雇用統計のNFPとの関係を下表に示します。下表は前月まで28回分の両指標発表を遡って調べた結果です。
直前1分足の方向は、両指標発表時の一致率が高いことがわかります。
そして、事後差異の方向が、両指標発表結果の一致率が高いことがわかります。事後差異の方向は、発表結果が市場予想を上回ったか下回ったかで決まります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が86%です。そして方向一致時に、跳値同士で反応が伸びた事例は79%、終値同士で反応が伸びた事例が54%です。追撃すべき指標ですが、短時間に留めるべきです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が82%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
今回から本指標では平均時給の影響を踏まえて、100✕(平均時給の差異)+1✕(NFPの差異)ー10✕(失業率の差異)、で事前差異・事後差異・実態差異を求めています。
事前差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各79%・71%となっています。つまり、本指標の市場予想は、前回結果との大小関係(方向)に関して良く当たっている、と言えます。なお、今回の事前差異はマイナス(陰線)となっています。
事後差異は、直後1分足との方向一致率が82%となっています。発表直後の反応は素直になりがちです。がしかし直後11分足との方向一致率は68%ですから、一致率が低くはないものの、直後の反応方向ほどにはアテにできないことがわかります。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%となっています。意外なことに確率を見る限り、発表結果と市場予想との大小関係よりも、発表結果と前回結果との大小関係の方が、反応方向との一致率が高くなっています。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年6月2日22:20頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標は、平均時給が前回結果を下回り市場予想通り、NFPが前回結果・市場予想を下回り、失業率が前回結果・市場予想よりも改善、でした。
反応は、直前10-1分足が陽線となった他、直前1分足・直後1分足・直後11分足は陰線となりました。
今回の反応は、平均時給が前回結果を下回ったことよりも、NFPが市場予想を大きく下回ったことが原因でしょう。昨日のADP雇用統計の結果が良かっただけに、NFP低下が大きな陰線へと結びついた、と思われます。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は外しました。これは、どーんと一瞬で陽線側に大きく跳ねたので、この期間にポジションを取る以上は損切も仕方ありません。
直後11分足の追撃は、シナリオ通り、短期利確の繰り返しを意識したものの、結果的にはチャートを見ながら小分けポジション取得・解消を繰り返す方法に意味がなかったように思います。反発は小さく、一方向への動きが継続されていました。
本指標への分析には問題ありません。
ADPとの関係から言えば、直後1分足を陽線と見なして買ポジションを取ることも考えたものの、最終的には本指標の指標一致性分析の結果を優先し、売ポジションを採用していました。
この点、今回の選択が当たったことは偶然で、読みや分析の正しさのためではありません。
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年6月2日21:30に米国雇用指標「平均時給・NFP・失業率」が発表されます。今回発表は2017年5月分の集計結果です。
同時に、米国国際収支「貿易収支」も発表されますが、こちらへの反応は雇用統計と比べるまでもなく、無視しても差し支えありません。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本指標で取引する上での注意点です。
- 発表前から大きく反応しがちです。いつ・どちらに跳ぶか読めないので、発表前のポジションは短時間利確が基本です。
- 直近の傾向から言えば、以前のNFP発表結果中心の反応とは言い切れません。平均時給の寄与が大きいようです。
- そして、過去のデータが示す内容は、必ずしも良く見かける経験則に一致していません。
例えば、ADP雇用統計はNFPの先行指標としてアテになります(感覚的に「良く外れる」という解説を見かけます)。但し、直近の傾向から言って、NFPの増減が反応に与える影響は以前ほどではありません。
また例えば、雇用統計こそ市場予想と発表結果との大小関係で反応方向が決まる代表的指標という解説を見かけます。がしかし、データを見る限り、前回結果と発表結果の差の方が、市場予想と発表結果の差よりも、反応方向との一致率が高くなっています。
指標については次の通りです。
- 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が86%です。そして方向一致時に、跳値同士で反応が伸びた事例は79%、終値同士で反応が伸びた事例が54%です。
追撃すべき指標ですが、このブログで対象とする時間範囲では短時間追撃に留めるべき指標です。 - 事前差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各79%・71%となっています。つまり、本指標の市場予想は、前回結果との大小関係(方向)に関して良く当たっている、と言えます。なお、今回の事前差異はマイナス(陰線)となっています。
- 事後差異は、直後1分足との方向一致率が82%となっています。発表直後の反応は素直になりがちです。がしかし直後11分足との方向一致率は68%ですから、一致率が低くはないものの、直後の反応方向ほどにはアテにできないことがわかります。
- 実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%となっています。意外なことに過去確率を見る限り、発表結果と市場予想との大小関係よりも、発表結果と前回結果との大小関係の方が、反応方向との一致率が高いのです。
シナリオは次の通りです。
- 直前1分足は陰線率が82%です。
- 直後1分足は、事前差異との方向一致率が79%と高いことに注目すべきです。今回の事前差異はマイナスとなっています。陰線です。
- 直後11分足は、短時間取引を繰り返す追撃を行います。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
本指標発表で過去に最も反応したのはNFPですが、最近は平均時給への注目が高まっています。
平均時給への注目が高くなっているのは、以前にFRB幹部が注目していると発言したからです。現在、米国経済は緩やかな成長とインフレが持続しています。インフレが進むのに賃金が上昇しなければ、いずれ成長が腰折れしてしまいます。だから、平均賃金への関心が高まっているのです。
本指標のNFPは、ADP雇用統計の結果が先行指標としてアテになります。
ADPの発表結果と雇用統計のNFPとの関係を下表に示します。下表は前月まで28回分の両指標発表を遡って調べた結果です。
直前1分足の方向は、両指標発表時の一致率が高いことがわかります。
そして、事後差異の方向が、両指標発表結果の一致率が高いことがわかります。事後差異の方向は、発表結果が市場予想を上回ったか下回ったかで決まります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの28回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が86%です。そして方向一致時に、跳値同士で反応が伸びた事例は79%、終値同士で反応が伸びた事例が54%です。追撃すべき指標ですが、短時間に留めるべきです。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が82%です。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
今回から本指標では平均時給の影響を踏まえて、100✕(平均時給の差異)+1✕(NFPの差異)ー10✕(失業率の差異)、で事前差異・事後差異・実態差異を求めています。
事前差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各79%・71%となっています。つまり、本指標の市場予想は、前回結果との大小関係(方向)に関して良く当たっている、と言えます。なお、今回の事前差異はマイナス(陰線)となっています。
事後差異は、直後1分足との方向一致率が82%となっています。発表直後の反応は素直になりがちです。がしかし直後11分足との方向一致率は68%ですから、一致率が低くはないものの、直後の反応方向ほどにはアテにできないことがわかります。
実態差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各81%・70%となっています。意外なことに確率を見る限り、発表結果と市場予想との大小関係よりも、発表結果と前回結果との大小関係の方が、反応方向との一致率が高くなっています。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年6月2日21:30発表
以下は2017年6月2日22:20頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
指標は、平均時給が前回結果を下回り市場予想通り、NFPが前回結果・市場予想を下回り、失業率が前回結果・市場予想よりも改善、でした。
反応は、直前10-1分足が陽線となった他、直前1分足・直後1分足・直後11分足は陰線となりました。
今回の反応は、平均時給が前回結果を下回ったことよりも、NFPが市場予想を大きく下回ったことが原因でしょう。昨日のADP雇用統計の結果が良かっただけに、NFP低下が大きな陰線へと結びついた、と思われます。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は外しました。これは、どーんと一瞬で陽線側に大きく跳ねたので、この期間にポジションを取る以上は損切も仕方ありません。
直後11分足の追撃は、シナリオ通り、短期利確の繰り返しを意識したものの、結果的にはチャートを見ながら小分けポジション取得・解消を繰り返す方法に意味がなかったように思います。反発は小さく、一方向への動きが継続されていました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
本指標への分析には問題ありません。
ADPとの関係から言えば、直後1分足を陽線と見なして買ポジションを取ることも考えたものの、最終的には本指標の指標一致性分析の結果を優先し、売ポジションを採用していました。
この点、今回の選択が当たったことは偶然で、読みや分析の正しさのためではありません。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオには問題ありません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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