2017年05月23日
米国実態指標「新築住宅販売件数」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月23日23:00発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月23日23:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
同時刻、米国景気指標「リッチモンド連銀製造業指数」が発表されます。がしかし、反応は「新築住宅販売件数」>「リッチモンド連銀製造業指数」ですから、あまり気にする必要はないでしょう。
本指標の要点を下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
先に、本指標で取引する上での注意点です。
指標については次の通りです。
シナリオは次の通りです。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
米国の住宅販売件数という指標には、以前から不思議な点あります。
まず、米国住宅市場には、新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きい、という特徴があります。それにも関わらず、多くのFX会社HPでは、中古住宅販売件数よりも本指標の方が注目度や重要度が高い、としているところが多いようです。
また、住宅販売件数への注目度・重要度が高い理由は、消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されるため、という説明が一般的です。がしかし、それなら自動車販売台数でも良い訳です。
両者の反応の大きさを比べてみてもほぼ10pipsしかなく、なぜ注目度や重要度が高いのかが不思議です。金利や景気の先行指標として多数の意見がわかりやすいから、かも知れません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。但し、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
注意すべき点は、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースであるのに対して、新築住宅販売件数が契約書署名ベースで集計されています。従って、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
また、以前の発表数値が大きく修正されることがある点も注意が必要です。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、販売件数が前回結果を上回り、前月比が前回結果を下回ると、逆の関係になっています。
過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。後述する指標一致性分析に示す通り、販売件数発表結果が市場予想を上回るか下回るかという方向と、直後1分足は73%の方向一致率があります。前月比との方向一致率は60%程度です(不正確ですみません。過去データを無くしてしまいました)。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足はやや陽線が目立つものの、過去陽線率は65%です。アテにするには少し不安な確率です。
直前1分足は過去陰線率が75%と3勝1敗が期待できます。但し、過去平均跳幅は4pipsしかないので、利確4pips・損切7pipsとしておくと、期待値プラスとなります。ちょっと小さいですね。
上ヒゲが目立つので、利確が小さいのに損切目安を高めにしておかないといけません。
直後1分足は、利上げや最近の住宅市場逼迫もあって過去陽線率が69%まで数値が上昇しました。
直後11分足も陽線が目立ちますが、過去陽線率は62%しかありません。何より、直後1分足終値と直後11分足とが同じ方向に反応し、且つ、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応が伸びていたことは50%しかありません。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が62%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士を比較した反応伸長率は各56%・50%と高くありません。
発表結果を確認してから追撃するのに向かない指標です。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が75%あります。一方、直前10-1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)となっています。よって、もし直前10-1分足が陰線なら取引を見合わせます。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)をそれぞれ求め、そのプラス・マイナスと反応方向とに偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足は事前差異との方向一致率が74%です。本指標での事前差異は、販売件数の(市場予想ー前回結果)で求めています。今回の事前差異はマイナスなので陰線です。但し、市場予想は発表前に改訂されることが多いので、直前にご確認ください。
直後1分足は事後差異(=発表結果ー市場予想)・実態差異(=発表結果ー前回結果)との方向一致率が各73%・77%となっています。比較的素直に反応する指標だと言えるでしょう。
がしかし、直後11分足と事後差異・実態差異との方向一致率は58%・50%しかありません。素直に反応するのは発表後短時間で、その後は指標結果がどうあれどちらに動くかわからない、という指標ですね。
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以下は2017年5月24日に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は56.9万件で、前回結果・市場予想を下回りました。地域別は4地域全てが減少しており、価格中央値は309千ドル(意外と高いのですね)、在庫比率は5.7か月(前月結果4.9か月)でした。
反応は陰線で、発表から1-2分後には反転しました。
取引結果は次の通りでした。
反応が小さすぎます。
特に問題ありません。動きが小さく、手間をかける気がしません。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月23日23:00に米国実態指標「新築住宅販売件数」が発表されます。今回発表は2017年4月分の集計結果です。
同時刻、米国景気指標「リッチモンド連銀製造業指数」が発表されます。がしかし、反応は「新築住宅販売件数」>「リッチモンド連銀製造業指数」ですから、あまり気にする必要はないでしょう。
本指標の要点を下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
先に、本指標で取引する上での注意点です。
- 今回の市場予想は、販売件数が前回結果を上回って、前月比が前回結果を下回って、両者の事前差異が逆の関係になっています。過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。
- 指標一致性分析の結果、販売件数発表結果が市場予想を上回るか下回るかという方向と、直後1分足は73%の方向一致率があります。前月比発表結果との方向一致率は60%程度です(不正確ですみません。過去データを無くしてしまいました)。
指標については次の通りです。
- 直後1分足は事後差異(=発表結果ー市場予想)・実態差異(=発表結果ー前回結果)との方向一致率が各73%・77%となっています。比較的素直に反応する指標だと言えるでしょう。
- がしかし、直後11分足と事後差異・実態差異との方向一致率は58%・50%しかありません。素直に反応するのは発表後短時間で、その後は指標結果がどうあれどちらに動くかわからない、という指標ですね。
- また直後11分足は、直後1分足との方向一致率が62%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士を比較した反応伸長率は各56%・50%と高くありません。
- 以上の結果、指標結果と反応の関係・反応の継続性に関する関係のいずれも、追撃には向かない指標です。
シナリオは次の通りです。
- 直前10-1分足は事前差異との方向一致率が74%です。本指標での事前差異は、販売件数の(市場予想ー前回結果)で求めています。今回の事前差異は本稿作成時点でマイナスとなっているので陰線です。但し、市場予想は発表前に改訂されることが多いので、直前にご確認ください。
- 直前1分足は陰線率が75%あります。一方、直前10-1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)となっています。よって、もし直前10-1分足が陰線なら、分析結果が矛盾することになるため取引を見合わせます。
但し、過去平均跳幅は4pipsしかないので、利確4pips・損切7pipsとしておくと、期待値プラスとなります。ちょっと小さいですね。上ヒゲが目立つので、利確が小さいのに損切目安を高めにしておかないといけません。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
米国の住宅販売件数という指標には、以前から不思議な点あります。
まず、米国住宅市場には、新築住宅よりも中古住宅の流通量が大きい、という特徴があります。それにも関わらず、多くのFX会社HPでは、中古住宅販売件数よりも本指標の方が注目度や重要度が高い、としているところが多いようです。
また、住宅販売件数への注目度・重要度が高い理由は、消費やリフォームなどの関連需要にも繋がるため波及効果も大きい上、消費者個人の収入・金利の見通しが反映されるため、という説明が一般的です。がしかし、それなら自動車販売台数でも良い訳です。
両者の反応の大きさを比べてみてもほぼ10pipsしかなく、なぜ注目度や重要度が高いのかが不思議です。金利や景気の先行指標として多数の意見がわかりやすいから、かも知れません。
本指標の集計は、一戸建に加えて、コンドミニアムと共同住宅を含めた数字も発表されます。但し、この件数には土地付きの新築住宅販売が対象で、既に保有する土地へ住宅を新築したものは含まれません。その理由はわかりません。
注意すべき点は、中古住宅販売件数は所有権移転完了ベースであるのに対して、新築住宅販売件数が契約書署名ベースで集計されています。従って、本指標は中古住宅販売件数に対し1〜2か月先行します。発表日の関係から、その逆と誤解している向きもあるのでご注意を。
また、以前の発表数値が大きく修正されることがある点も注意が必要です。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回の市場予想は、販売件数が前回結果を上回り、前月比が前回結果を下回ると、逆の関係になっています。
過去の傾向から言えば、販売件数>前月比で反応しがちです。後述する指標一致性分析に示す通り、販売件数発表結果が市場予想を上回るか下回るかという方向と、直後1分足は73%の方向一致率があります。前月比との方向一致率は60%程度です(不正確ですみません。過去データを無くしてしまいました)。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前10-1分足はやや陽線が目立つものの、過去陽線率は65%です。アテにするには少し不安な確率です。
直前1分足は過去陰線率が75%と3勝1敗が期待できます。但し、過去平均跳幅は4pipsしかないので、利確4pips・損切7pipsとしておくと、期待値プラスとなります。ちょっと小さいですね。
上ヒゲが目立つので、利確が小さいのに損切目安を高めにしておかないといけません。
直後1分足は、利上げや最近の住宅市場逼迫もあって過去陽線率が69%まで数値が上昇しました。
直後11分足も陽線が目立ちますが、過去陽線率は62%しかありません。何より、直後1分足終値と直後11分足とが同じ方向に反応し、且つ、直後11分足終値が直後1分足終値よりも反応が伸びていたことは50%しかありません。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が62%です。方向一致時に直後1分足と直後11分足の跳値同士・終値同士を比較した反応伸長率は各56%・50%と高くありません。
発表結果を確認してから追撃するのに向かない指標です。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が75%あります。一方、直前10-1分足との方向一致率が30%(不一致率70%)となっています。よって、もし直前10-1分足が陰線なら取引を見合わせます。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)と、発表結果と前回結果の差(実態差異)をそれぞれ求め、そのプラス・マイナスと反応方向とに偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
直前10-1分足は事前差異との方向一致率が74%です。本指標での事前差異は、販売件数の(市場予想ー前回結果)で求めています。今回の事前差異はマイナスなので陰線です。但し、市場予想は発表前に改訂されることが多いので、直前にご確認ください。
直後1分足は事後差異(=発表結果ー市場予想)・実態差異(=発表結果ー前回結果)との方向一致率が各73%・77%となっています。比較的素直に反応する指標だと言えるでしょう。
がしかし、直後11分足と事後差異・実態差異との方向一致率は58%・50%しかありません。素直に反応するのは発表後短時間で、その後は指標結果がどうあれどちらに動くかわからない、という指標ですね。
【4. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項をご参照願います。
以上
2017年5月23日23:00発表
以下は2017年5月24日に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は56.9万件で、前回結果・市場予想を下回りました。地域別は4地域全てが減少しており、価格中央値は309千ドル(意外と高いのですね)、在庫比率は5.7か月(前月結果4.9か月)でした。
反応は陰線で、発表から1-2分後には反転しました。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
反応が小さすぎます。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
特に問題ありません。動きが小さく、手間をかける気がしません。
(6-2. シナリオ検証)
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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