2017年05月12日
米国実態指標「小売売上高」・物価指標「CPI」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年5月12日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査・分析」を事前投稿し、「U.結果・検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。指標発表後に事後投稿し、その日時は「U.結果・検証」のタイトル行付近に記載しています。
2017年5月12日21:30に米国実態指標「小売売上高(前月比・除自動車時前月比)」・物価指標「CPI(前月比・前年比)」「コアCPI(前月比・前年比)」が発表されます。今回発表はいずれも2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点を下表に整理しておきます。
上表において、過去の平均的な反応程度と反応分布は、小売売上高での値を用いています。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高やCPIは重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
反応との関係は、除自動車前月比>前月比、です。
CPI(消費者物価指数)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・PPI(生産者物価指数)・CPI(消費者物価指数)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
物価が下流に波及(輸入物価指数→PPI→CPI)という話において、アテになるのは同月のPPIとCPIが同じ方向になる確率が高い、という点です。2015年1月分(同2月発表)から2017年2月分までで、PPIの上昇/下降がCPIのそれと一致したことは74%です。詳細はこちらをご参照願います。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分の小売売上高発表時のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図は上から順に「小売売上高前月比」「小売売上高除自動車前月比」「CPI」「コアCPI」です。
2015年1月分(同年2月発表)以降、小売売上高とCPIの発表が重なったことは4回あります。
下表に、その4回の反応と指標結果を纏めておきます。反応の単位はpipsです。そして、指標結果は、例えば「Δ小売売上高前月比」が事後差異(=発表結果ー市場予想)を示しています。
表からは、ほぼ全ての項目で増減傾向が似通っていることがわかります。僅かな差を挙げれば、小売売上高の方がCPI・コアCPIよりも反応方向についての相関が強いと言えます。
よって、以下の説明は、特に断らない限り小売売上高発表時のデータを用いて行います。
CPIは同月発表PPIとの相関が強いことがわかっています。そして、当月PPIは前回結果・市場予想を上回りました。よって、今回は市場予想を上回るのではないでしょうか。
次に、小売売上高とCPIとは、なぜか前回結果と発表結果の差の方向が一致する傾向があります(本来、必ずしも売上と物価が連動する必然はないように思いますが)。また、今年の4月はイースター休暇による連休がったことも、今月の小売売上高に有利に働きます。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%、方向一致時に跳値が直後1分足終値を超えて反応が伸びていたことが81%、終値同士を比べて反応を伸びていたことが59%です。追撃は短時間の方が良さそうです。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。但し、過去平均では跳幅が5pips・値幅が3pipsしかないので、タイミングを逃さないように気を付けましょう。
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足との方向一致率が63%となっています。直前10-1分足の方向は、市場予想と前回結果の差にやや影響を受けているように見受けられます。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各83%・75%と高く、素直に反応する指標だと確認できました。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年5月12日23:45頃に追記しています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に市場予想を下回り、反応は陰線でした。
取引結果は次の通りでした。
前回結果に対し市場予想が高すぎる、と分析すべきところを、その市場予想を上回ると予想し、直後1分足での取引が損切となりました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
小売売上高・CPI・コアCPIともに思ったほど改善されず、その結果、ほぼ全ての項目で市場予想を下回りました。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
発表を跨いだ直後1分足での取引が損切となったのは、分析を誤ったことが原因です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年5月12日21:30に米国実態指標「小売売上高(前月比・除自動車時前月比)」・物価指標「CPI(前月比・前年比)」「コアCPI(前月比・前年比)」が発表されます。今回発表はいずれも2017年4月分の集計結果です。
本指標の要点を下表に整理しておきます。
上表において、過去の平均的な反応程度と反応分布は、小売売上高での値を用いています。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- まず、本指標で取引する上での注意点です。
小売売上高の指標一致性分析の結果、事前差異は直前10-1分足との方向一致率が63%となっています。直前10-1分足の方向は、市場予想と前回結果の差にやや影響を受けているように見受けられます。また、事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各83%・75%と高く、素直に反応する指標だと言えます。 - 指標については次の通りです。
CPIは同月発表PPIとの相関が強いことがわかっています。そして、当月PPIは前回結果・市場予想を上回りました。よって、今回は市場予想を上回るのではないでしょうか。
次に、小売売上高とCPIとは、なぜか前回結果と発表結果の差の方向が一致する傾向があります。また、今年の4月はイースター休暇による連休がったことも、今月の小売売上高に有利に働きます。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が92%となっています。但し、過去平均では跳幅が5pips・値幅が3pipsしかないので、タイミングを逃さないように気を付けましょう。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陽線と見込みます。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%、方向一致時に跳値が直後1分足終値を超えて反応が伸びていたことが81%、終値同士を比べて反応を伸びていたことが59%です。追撃は短時間の方が良さそうです。
T.調査・分析
公開情報や既出情報に基づく調査を行い、過去の指標と反応の関係を比較分析しています。方向に関する的中率に比べ、程度に関する的中率は残念ながら低いというのが実情です。
【1. 指標概要】
米国個人消費はGDPの約70%を占めています。米国は世界一の消費大国であり、その米国の景気の良否を把握する上で小売売上高やCPIは重要視されています。
小売売上高は、米国商務省経済分析局(BEA)が、小売・サービス業等約5,000社の月間の売上高を集計して毎月第2週に前月分を発表します。
耐久財と非耐久財とに大別され、特に自動車販売・同部品の比重が大きいという特徴があります。そのため、個人消費の動向を確認する上で自動車販売を除いた指標値も同時発表されます。項目別では、自動車や電気製品、建設資材、ガソリンスタンド、総合小売店などの前月比と実額を発表します。
結果は、米国商務省経済分析局(BEA)によるGDP概算の資料や、米労働省労働統計局による生産者物価指数(PPI)のデータにも利用されています。
反応との関係は、除自動車前月比>前月比、です。
CPI(消費者物価指数)は、消費者が購入するモノやサービスなどの価格を指数化した指標です。対象は、全米87都市に住む一般消費者世帯(全人口の80%)が購入する「商品」と「サービス」となっています。コアCPIというのは、価格変動の大きいエネルギーと食品を除いた指数です。
FRBは「前年比2%」の物価上昇を目標としています。主な物価指標には輸入物価指数・PPI(生産者物価指数)・CPI(消費者物価指数)が挙げられますが、CPIはそれらの中で最重要指標とされています。原則は、CPIが低すぎれば購買意欲を刺激するために利下げを行う可能性があり、高すぎれば利上げを行う可能性があります。
物価が下流に波及(輸入物価指数→PPI→CPI)という話において、アテになるのは同月のPPIとCPIが同じ方向になる確率が高い、という点です。2015年1月分(同2月発表)から2017年2月分までで、PPIの上昇/下降がCPIのそれと一致したことは74%です。詳細はこちらをご参照願います。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの27回分の小売売上高発表時のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図は上から順に「小売売上高前月比」「小売売上高除自動車前月比」「CPI」「コアCPI」です。
2015年1月分(同年2月発表)以降、小売売上高とCPIの発表が重なったことは4回あります。
下表に、その4回の反応と指標結果を纏めておきます。反応の単位はpipsです。そして、指標結果は、例えば「Δ小売売上高前月比」が事後差異(=発表結果ー市場予想)を示しています。
表からは、ほぼ全ての項目で増減傾向が似通っていることがわかります。僅かな差を挙げれば、小売売上高の方がCPI・コアCPIよりも反応方向についての相関が強いと言えます。
よって、以下の説明は、特に断らない限り小売売上高発表時のデータを用いて行います。
CPIは同月発表PPIとの相関が強いことがわかっています。そして、当月PPIは前回結果・市場予想を上回りました。よって、今回は市場予想を上回るのではないでしょうか。
次に、小売売上高とCPIとは、なぜか前回結果と発表結果の差の方向が一致する傾向があります(本来、必ずしも売上と物価が連動する必然はないように思いますが)。また、今年の4月はイースター休暇による連休がったことも、今月の小売売上高に有利に働きます。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
【3. 定型分析】
(3-1. 反応性分析)
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。詳細は「反応性分析」をご参照願います。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%、方向一致時に跳値が直後1分足終値を超えて反応が伸びていたことが81%、終値同士を比べて反応を伸びていたことが59%です。追撃は短時間の方が良さそうです。
(3-2. 反応一致性分析)
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。詳細は「反応一致性分析」をご参照願います。
直前1分足は陰線率が92%となっています。但し、過去平均では跳幅が5pips・値幅が3pipsしかないので、タイミングを逃さないように気を付けましょう。
(3-3. 指標一致性分析)
指標一致性分析は、指標の前回結果と市場予想の差(事前差異)と、発表結果と市場予想の差(事後差異)を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。詳細は「指標一致性分析」をご参照願います。
事前差異は直前10-1分足との方向一致率が63%となっています。直前10-1分足の方向は、市場予想と前回結果の差にやや影響を受けているように見受けられます。
事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各83%・75%と高く、素直に反応する指標だと確認できました。
【4. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年5月12日21:30発表
以下は2017年5月12日23:45頃に追記しています。
U. 結果・検証
【5. 発表結果】
(5-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
結果は全体的に市場予想を下回り、反応は陰線でした。
(5-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
前回結果に対し市場予想が高すぎる、と分析すべきところを、その市場予想を上回ると予想し、直後1分足での取引が損切となりました。
【6. 分析検証】
(6-1. 分析検証)
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 小売売上高の指標一致性分析の結果、事前差異は直前10-1分足との方向一致率が63%となっています。直前10-1分足の方向は、市場予想と前回結果の差にやや影響を受けているように見受けられます。また、事後差異は、直後1分足・直後11分足との方向一致率が各83%・75%と高く、素直に反応する指標だと言えます。
- CPIは同月発表PPIとの相関が強いことがわかっています。そして、当月PPIは前回結果・市場予想を上回りました。よって、今回は市場予想を上回るのではないでしょうか。
次に、小売売上高とCPIとは、なぜか前回結果と発表結果の差の方向が一致する傾向があります。また、今年の4月はイースター休暇による連休がったことも、今月の小売売上高に有利に働きます。
小売売上高・CPI・コアCPIともに思ったほど改善されず、その結果、ほぼ全ての項目で市場予想を下回りました。
(6-2. シナリオ検証)
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が92%となっています。但し、過去平均では跳幅が5pips・値幅が3pipsしかないので、タイミングを逃さないように気を付けましょう。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論に依り、陽線と見込みます。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が81%、方向一致時に跳値が直後1分足終値を超えて反応が伸びていたことが81%、終値同士を比べて反応を伸びていたことが59%です。追撃は短時間の方が良さそうです。
発表を跨いだ直後1分足での取引が損切となったのは、分析を誤ったことが原因です。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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