2017年04月17日
米国実態指標「鉱工業生産・設備稼働率」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年4月18日22:15発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月18日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。但し、設備稼働率が高いときは受注量が多いという点は、先行指標としての意義があります。
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回は、鉱工業生産前月比の市場予想が0.5%(前回結果△0.3%)、設備稼働率の市場予想が76.2%(前回結果75.3%)です。いずれも改善という予想です。
関連指標を見てみましょう。
3月分製造業景気指標は、NY連銀・Phil連銀・ISM製造業のいずれも前月2月分より悪化しています。但し、電子部品・機械/機構部品といった受注から生産までに3-6か月を要します。よって、景気指標も3-6か月前を見てみましょう。すると、上記3指標が全て急上昇をしているときです。
ここで、鉱工業生産前月比のグラフを見てください。景気指標が絶好調にも関わらず、直近で昨年12月を除くと、鉱工業生産前月比はほぼ0かマイナスとなっています。鉱工業生産前月比がプラスにならなければ、製造業景気指標との整合が取れません。
鉱工業生産が上昇すればおのずと設備稼働率は上昇します。
よって、今回は市場予想を上回ると考えています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが65%です。これなら反応方向を確認してから、追撃ポジションを取っても良さそうですね。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が78%です。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後1分足・直後11分足は、事後差異との方向一致率がそれぞれ68%・72%となっています。この数字は、発表結果が市場予想を上回れば(下回れば)、素直に陽線(陰線)で反応することが3回に2回以上ということです。
巻頭箇条書きのシナリオの項を参照願います。
以下は2017年4月19日09:00頃に追記しています。
3月鉱工業生産指数前月比は+0.5%となり、内訳は公益部門が+8.6%上昇していました。この+8.6%という数字は過去最大の伸びです。製造業は△0.4%で、7か月ぶりの大きな低下でした。公益部門の好調は暖房需要の増加、製造業は自動車の落ち込みが原因との解説が行われているようです。
3月米設備稼働率は76.1%でしたが、製造業は75.3%に下がっていました。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
設備稼働率市場予想は、直前に改訂されていたようです。結果、鉱工業生産・設備稼働率ともに市場予想と一致しました。
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は分析を当ててポジショニングが下手で損切、直後1分足は分析が外れて損切です。また、直前1分足のポジション解消がぎりぎりとなって、直後1分足のポジション取得に2度すべって失敗し、指標発表より数秒遅くなってしまいました。
事前調査分析内容を、以下に検証します
まぁいいでしょう。
但し、内訳について製造業が好調だった訳でなく、公益部門(電気・ガス・水道)が好調だったようなので、厳密には外しています。
事前準備していたシナリオは次の通りです。
(2)は、結果が陰線となって外しています。がしかし、発表結果は市場予想と同値、前回結果を上回っており、確率上の問題と捉えています。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月18日22:15に米国実態指標「鉱工業生産・設備稼働率」が発表されます。今回発表は2017年3月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- ポジションを持つ上での注意点は次の通りです。
指標一致性分析の結果、直後1分足・直後11分足は、事後差異との方向一致率がそれぞれ68%・72%となっています。この数字は、発表結果が市場予想を上回れば(下回れば)、素直に陽線(陰線)で反応することが3回に2回以上ということです。
現時点(前日17日23:30頃)において、リスク回避への反動も、先週株安への反動も見受けられません。本指標発表が行われる前後も含め、いつ大きく動き始めるかが読めません。21:00頃からの強いトレンドが発生しているなら、本指標の結果がどうあれ値動きに関係ありません。本指標はもともと反応が小さいのです。 - 指標については次の通りです。
鉱工業生産(設備稼働率)は、製造業景気指標の影響が現れるのが遅れがちです。一般的な電機・機械部材メーカーは、受注後3〜6か月後が納期なので、今回3月分の発表に対し、10-12月の景気指標と対比しています。その頃、景気指標は絶好調と言っても良いほど、右上がりが続いていました。
よって、今回は市場予想を上回ると考えています。
但し、筆者は資源エネルギー関連の受注納期について知識がありません。この点が今回予想における不安要素です。 - シナリオは次の通りです。
(1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が78%です。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陽線と見込みます。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが65%です。これなら反応方向を確認してから、追撃ポジションを取っても良さそうですね。
T.調査
公開情報や既出情報に基づく調査を行っています。
【1. 指標概要】
設備稼働率は、生産能力に対する実際の生産量の比率を表した指標です。基準年の平均稼働率を100として、製造業・鉱業・公共事業(電気・ガス)の生産能力に対する生産実績の比率から算出します。本指標は、設備投資とインフレの先行指標とされていて、80%を超えると投資が活発化する、と言われています。
がしかし、最近では設備稼働率が高くなっても、設備投資を行う経営者は少数派です。
以前ほどではないにせよ、米国では組合や地域のマスコミの力が強く、経営者が思い描くような自動化が設備投資でなかなか図れないのです。そんなところに投資する人は、米国人経営者でなくても少数派です。
だから、米国企業の設備投資判断は、PCやタブレット端末普及時の工程管理・サプライチェーン革新や、シェールガス採掘の技術革新があったときのように、圧倒的生産性向上が図れるときに・ところで行われます。
設備稼働率と設備投資の相関がなくなったとまでは言いませんが、以前よりも両者の相関は弱くなっています。但し、設備稼働率が高いときは受注量が多いという点は、先行指標としての意義があります。
【2. 既出情報】
以下の調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの26回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
今回は、鉱工業生産前月比の市場予想が0.5%(前回結果△0.3%)、設備稼働率の市場予想が76.2%(前回結果75.3%)です。いずれも改善という予想です。
関連指標を見てみましょう。
3月分製造業景気指標は、NY連銀・Phil連銀・ISM製造業のいずれも前月2月分より悪化しています。但し、電子部品・機械/機構部品といった受注から生産までに3-6か月を要します。よって、景気指標も3-6か月前を見てみましょう。すると、上記3指標が全て急上昇をしているときです。
ここで、鉱工業生産前月比のグラフを見てください。景気指標が絶好調にも関わらず、直近で昨年12月を除くと、鉱工業生産前月比はほぼ0かマイナスとなっています。鉱工業生産前月比がプラスにならなければ、製造業景気指標との整合が取れません。
鉱工業生産が上昇すればおのずと設備稼働率は上昇します。
よって、今回は市場予想を上回ると考えています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが65%です。これなら反応方向を確認してから、追撃ポジションを取っても良さそうですね。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が78%です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
直後1分足・直後11分足は、事後差異との方向一致率がそれぞれ68%・72%となっています。この数字は、発表結果が市場予想を上回れば(下回れば)、素直に陽線(陰線)で反応することが3回に2回以上ということです。
【6. シナリオ作成】
巻頭箇条書きのシナリオの項を参照願います。
以上
2017年4月18日22:15発表
以下は2017年4月19日09:00頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
3月鉱工業生産指数前月比は+0.5%となり、内訳は公益部門が+8.6%上昇していました。この+8.6%という数字は過去最大の伸びです。製造業は△0.4%で、7か月ぶりの大きな低下でした。公益部門の好調は暖房需要の増加、製造業は自動車の落ち込みが原因との解説が行われているようです。
3月米設備稼働率は76.1%でしたが、製造業は75.3%に下がっていました。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
設備稼働率市場予想は、直前に改訂されていたようです。結果、鉱工業生産・設備稼働率ともに市場予想と一致しました。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
直前1分足は分析を当ててポジショニングが下手で損切、直後1分足は分析が外れて損切です。また、直前1分足のポジション解消がぎりぎりとなって、直後1分足のポジション取得に2度すべって失敗し、指標発表より数秒遅くなってしまいました。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 鉱工業生産(設備稼働率)は、製造業景気指標の影響が現れるのが遅れがちです。一般的な電機・機械部材メーカーは、受注後3〜6か月後が納期なので、今回3月分の発表に対し、10-12月の景気指標と対比しています。その頃、景気指標は絶好調と言っても良いほど、右上がりが続いていました。
よって、今回は市場予想を上回ると考えています。
但し、筆者は資源エネルギー関連の受注納期について知識がありません。この点が今回予想における不安要素です。
まぁいいでしょう。
但し、内訳について製造業が好調だった訳でなく、公益部門(電気・ガス・水道)が好調だったようなので、厳密には外しています。
【9. シナリオ検証】
事前準備していたシナリオは次の通りです。
- (1) 直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が78%です。
(2) 直後1分足は、上記指標定性分析結論により、陽線と見込みます。
(3) 直後11分足は、直後1分足との方向一致率が80%で、方向一致時に終値が直後1分足終値を超えて伸びていたことが65%です。これなら反応方向を確認してから、追撃ポジションを取っても良さそうですね。
(2)は、結果が陰線となって外しています。がしかし、発表結果は市場予想と同値、前回結果を上回っており、確率上の問題と捉えています。
下表に、本ブログを始めてからの本指標シナリオでの取引成績を纏めておきます。
以上
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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