2017年04月16日
6-4. AUDJPY週次分析(2017年4月15日更新)
先週4月10日週の豪州関係の主要な出来事は、次の通りです。
その前に、先のRBA声明における懸案が3つある話からです。(1) 雇用と賃金抑制下でのインフレ進行と、(2) 投機的な住宅市場過熱が長続きしないことでの景気失速や銀行融資内容の悪化と、(3) 中国債務リスクです。
他にもRBAはAUD高にも懸念を示していますが、RBAはずーとそんなことばかり言っているから気にもなりません。むしろAUDは、先々週来のリスク回避で対円でこそ売られましたが、対ドル・対ユーロで買われています。
(1) 先週発表された豪雇用統計では、失業率こそ前月結果と同値だったものの、新規雇用者数が前回結果・市場予想を大幅に上回りました。新規雇用者数は約1年半ぶりの大幅増でしたが、注目すべき点は別です。パートタイム従業員が減り、フルタイム従業員が増加しています。RBAは、今月の理事会後の声明で「労働市場の弱さが賃金の伸びを抑制し、インフレ率をかなり低い水準に抑える可能性」を指摘していました。がしかし、今回の結果は、賃金の伸びへの抑制が改善されてインフレ率が上向く可能性もあることを示唆しています。
(2) 先月から今月にかけて、NABを始め市中銀行の不動産投資用融資の金利引上げが行われています。先週発表された住宅ローン件数は2月分データのため、まだ融資金利引上げの効果が現れた訳ではありません。結果は、前月比△0.5%で4か月ぶりのマイナスとなりました。今回はたまたまマイナスでしたが、3月・4月のデータが発表されるまで、不動産投資用融資の金利引上げ効果は確認できません。
(3) 中国債務リスクについては、6-4-4項に後述します。
直近のAUDJPYの週足チャートと3通貨値幅を下図に示します。
先週末終値は82.3円付近です。
上図週足チャートでは、3月20日週の高値・安値の幅(約3円)の下降チャネルを赤線で引いたものです。このチャネルは今週末、79.5円〜83円に到達します。一番上の青線は1月16日週から3月20日週まで機能していたレジスタンスで、下に2円毎の平行線を引いています。AUDの場合、動き始めると2円どころじゃすまないので、上図の下に79円の青線を意識しておいた方が良いかも知れません。
直近の移動平均線(SMA)とRSI(14日)を示します。
SMA(1日)は単に週足終値を、SMA(5日)は先週5日間の終値の平均値を表しています。週次分析ですから主役は5日線です。現在、5日線は82.5円付近、21日線は84.3円付近に位置しています。
RSI(14日)は、過去14本の日足における陽線幅の比率を表しています。世界で最も多くの人が参考にしていると思われる14日を採用しています。現在は33%に位置しており、先々週に30%を割り込んでいたものの、先週売られ過ぎゾーンの30%から抜け出しました。
このままのペースだと、21日線が今週末には83円まで下がります。週末に現在値から僅か0.5円上昇すれば、1日線は21日線に接触してしまいます。次週中に5日線が上昇に転じるのはまだ難しいものの、少し意識しておきましょう。
基本的には、SMAが下降トレンド配置となっており、RSIもまだ30%近くなので、上図からは次週も陰線としか読めません。
直近の両国10年債金利と株価の動きを示します。それぞれの動きはご自身でご確認ください。
以下、日豪の金利差の前週との差を「Δ金利差」と表記します。また、日豪の主要株価指標の比の前週との差を「Δ株価比差」と表記します。
通常時の金利と株価の動きは、方向が反対になりがちなことが知られています。通常時には、為替が金利>株価の影響を受けることも知られています。何が原因で何が結果かはよくわかりませんが、これらの関係が成り立たないときは通常時でないことがわかります。
下図は、上から「週足方向とボラティリティ」「Δ金利差」「Δ株価比差」を表しています。
Δ金利差とΔ株価比差は、年明け第1週のデータがありません。取引日数が各国揃わず、日数も少ないため、年明け第1週を除外しています。
Δ金利差は、年明けから14週のうち8週が週足と方向一致しています。Δ株価比差は14週のうち9週が週足と方向不一致となっています。Δ金利差とΔ株価比差は14週のうち9週が方向不一致です。
主要通貨ペアにおいて、週足との関係がΔ金利差よりもΔ株価比差の方が一致率が高いのはAUDだけです。
先週まで4週続けて、週足・Δ金利差・Δ株価比差の方向が自然な向きとなっていました。変化の兆しがない以上、今週も陰線が続く可能性が高いと思われます。
今週は、18日にRBA金融政策会合議事要旨が発表されます。がしかし、過去の反応を見る限り、この発表では20pipsに達しません。
むしろ、今週は豪州経済指標よりも、17日に発表される中国1-3月期GDPと3月実態指標(小売売上高・鉱工業生産)の方が、発表結果によってはAUDJPYを大きく反応させます。
さて、中国GDPの前回発表(10-12月期)は6.8%でした。今回の市場予想は前回同値の6.8%です。がしかし、それだと問題があります。2016年の中国政府の目標成長率は6.5-7%でしたが、2017年は6.5%程度に引き下げられているからです。だからもし、今回発表結果が市場予想通りに1-3月期が6.8%にもなったら、残る3四半期でかなり小さい数字を出さなければいけなくなります。
中国のことは中国さえわからない、という話があります。経済統計がアテにならないという噂は古い話ですが、そうだとしたら今回は市場予想を下回ります。中国GDPが悪いときは、過去の傾向から言えばAUDJPYは陰線となります。
上記に同じです。もともとリスクに弱い通貨なので、USDJPYの動きが上昇に転じない限り、AUDJPYが上昇に転じるのは難しい、と思われます。
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その前に、先のRBA声明における懸案が3つある話からです。(1) 雇用と賃金抑制下でのインフレ進行と、(2) 投機的な住宅市場過熱が長続きしないことでの景気失速や銀行融資内容の悪化と、(3) 中国債務リスクです。
他にもRBAはAUD高にも懸念を示していますが、RBAはずーとそんなことばかり言っているから気にもなりません。むしろAUDは、先々週来のリスク回避で対円でこそ売られましたが、対ドル・対ユーロで買われています。
(1) 先週発表された豪雇用統計では、失業率こそ前月結果と同値だったものの、新規雇用者数が前回結果・市場予想を大幅に上回りました。新規雇用者数は約1年半ぶりの大幅増でしたが、注目すべき点は別です。パートタイム従業員が減り、フルタイム従業員が増加しています。RBAは、今月の理事会後の声明で「労働市場の弱さが賃金の伸びを抑制し、インフレ率をかなり低い水準に抑える可能性」を指摘していました。がしかし、今回の結果は、賃金の伸びへの抑制が改善されてインフレ率が上向く可能性もあることを示唆しています。
(2) 先月から今月にかけて、NABを始め市中銀行の不動産投資用融資の金利引上げが行われています。先週発表された住宅ローン件数は2月分データのため、まだ融資金利引上げの効果が現れた訳ではありません。結果は、前月比△0.5%で4か月ぶりのマイナスとなりました。今回はたまたまマイナスでしたが、3月・4月のデータが発表されるまで、不動産投資用融資の金利引上げ効果は確認できません。
(3) 中国債務リスクについては、6-4-4項に後述します。
【6-4-1. 現状チャート】
直近のAUDJPYの週足チャートと3通貨値幅を下図に示します。
先週末終値は82.3円付近です。
上図週足チャートでは、3月20日週の高値・安値の幅(約3円)の下降チャネルを赤線で引いたものです。このチャネルは今週末、79.5円〜83円に到達します。一番上の青線は1月16日週から3月20日週まで機能していたレジスタンスで、下に2円毎の平行線を引いています。AUDの場合、動き始めると2円どころじゃすまないので、上図の下に79円の青線を意識しておいた方が良いかも知れません。
【6-4-2. 現状テクニカル】
直近の移動平均線(SMA)とRSI(14日)を示します。
SMA(1日)は単に週足終値を、SMA(5日)は先週5日間の終値の平均値を表しています。週次分析ですから主役は5日線です。現在、5日線は82.5円付近、21日線は84.3円付近に位置しています。
RSI(14日)は、過去14本の日足における陽線幅の比率を表しています。世界で最も多くの人が参考にしていると思われる14日を採用しています。現在は33%に位置しており、先々週に30%を割り込んでいたものの、先週売られ過ぎゾーンの30%から抜け出しました。
このままのペースだと、21日線が今週末には83円まで下がります。週末に現在値から僅か0.5円上昇すれば、1日線は21日線に接触してしまいます。次週中に5日線が上昇に転じるのはまだ難しいものの、少し意識しておきましょう。
基本的には、SMAが下降トレンド配置となっており、RSIもまだ30%近くなので、上図からは次週も陰線としか読めません。
【6-4-3. 現状ファンダメンタル】
直近の両国10年債金利と株価の動きを示します。それぞれの動きはご自身でご確認ください。
以下、日豪の金利差の前週との差を「Δ金利差」と表記します。また、日豪の主要株価指標の比の前週との差を「Δ株価比差」と表記します。
通常時の金利と株価の動きは、方向が反対になりがちなことが知られています。通常時には、為替が金利>株価の影響を受けることも知られています。何が原因で何が結果かはよくわかりませんが、これらの関係が成り立たないときは通常時でないことがわかります。
下図は、上から「週足方向とボラティリティ」「Δ金利差」「Δ株価比差」を表しています。
Δ金利差とΔ株価比差は、年明け第1週のデータがありません。取引日数が各国揃わず、日数も少ないため、年明け第1週を除外しています。
Δ金利差は、年明けから14週のうち8週が週足と方向一致しています。Δ株価比差は14週のうち9週が週足と方向不一致となっています。Δ金利差とΔ株価比差は14週のうち9週が方向不一致です。
主要通貨ペアにおいて、週足との関係がΔ金利差よりもΔ株価比差の方が一致率が高いのはAUDだけです。
先週まで4週続けて、週足・Δ金利差・Δ株価比差の方向が自然な向きとなっていました。変化の兆しがない以上、今週も陰線が続く可能性が高いと思われます。
【6-4-4. 今週以降の定性分析】
今週は、18日にRBA金融政策会合議事要旨が発表されます。がしかし、過去の反応を見る限り、この発表では20pipsに達しません。
むしろ、今週は豪州経済指標よりも、17日に発表される中国1-3月期GDPと3月実態指標(小売売上高・鉱工業生産)の方が、発表結果によってはAUDJPYを大きく反応させます。
さて、中国GDPの前回発表(10-12月期)は6.8%でした。今回の市場予想は前回同値の6.8%です。がしかし、それだと問題があります。2016年の中国政府の目標成長率は6.5-7%でしたが、2017年は6.5%程度に引き下げられているからです。だからもし、今回発表結果が市場予想通りに1-3月期が6.8%にもなったら、残る3四半期でかなり小さい数字を出さなければいけなくなります。
中国のことは中国さえわからない、という話があります。経済統計がアテにならないという噂は古い話ですが、そうだとしたら今回は市場予想を下回ります。中国GDPが悪いときは、過去の傾向から言えばAUDJPYは陰線となります。
【6-4-5. まとめ】
上記に同じです。もともとリスクに弱い通貨なので、USDJPYの動きが上昇に転じない限り、AUDJPYが上昇に転じるのは難しい、と思われます。
以上
ところで、FXを始めても暫くは練習期間です。新たな方法論を試す場合にも同じです。練習期間でFXに慣れたり、いろいろなやり方を試してみるためにも、キャッシュバックはとても魅力的です。せっかくのキャッシュバックは、そういうことのために使ってくださいね。
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そして、本記事は筆者個人の見解に基づいています。本記事に含まれる価格・データ・その他情報等は、本記事に添付されたリンク先とは関係ありません。また、取引や売買における意思決定を、本記事の記載通りに行うことは適切ではありません。そして、本記事の内容が資格を持った投資専門家の助言ではないことを明記しておきます。記載内容のオリジナリティや信頼性確保には努めているものの、それでも万全のチェックは行えていない可能性があります。
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