2017年04月04日
米国国際収支「貿易収支」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年4月4日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年4月4日21:30に米国国際収支「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
平均値はかなり大きいものの、分布を見ると印象が異なります。直後1分足跳幅の平均値の0.5倍を超えて反応したことは全体の48%しかありません。本指標は、たまに大きく反応するものの、2回に1回は平均値の半分も反応しない訳です。これが本指標の特徴です。
取引に実害はありませんが、がっかりしないように予め。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
貿易収支は、商務省が毎月10日前後の21:30(冬時間22:30)に発表しています。
貿易収支は経常収支の一部で、経常収支には貿易収支の他にサービス収支・所得収支・経常移転収支があります。一般に他の項目と比べて貿易収支が大きいため、経常収支の中で貿易収支が注目されます。
本指標は不思議なことに、米国貿易赤字が恒常化して数字もほぼ一定な上に、米国景気が貿易収支には関係ないように見受けられるのに、たまに発表前後に比較的大きな反応があります。
米貿易収支の増減は、消費財赤字とエネルギー輸入赤字とが、それぞれどう増減するかです。消費財輸入は景気次第、エネルギー輸入は原油価格次第、です。前者が割と単純に増減するのに比べ、後者は少し複雑です。
貿易赤字の3割弱を占める原油輸入は、シェール革命によって一時期減少に向かい、いずれ黒字化するとさえ言われていました。ところが、世界的な原油価格低迷により、シェール油井は採算割れして採掘中止に追い込まれています。直近の原油価格は50ドルまで戻しましたが、70ドル付近まで戻せばシェール油井操業が復活すると言われています。
現在の米国景気が好調で消費財輸入が増える以上、貿易収支改善には原油価格上昇が必要と考えられます。つまり、貿易赤字縮小は難しそうですね。それでトランプ政権は、二国間協議で輸出と対米投資を増やそうとしています。輸入(日中独から見た輸出)制限とも受け取れる発言は、彼の支持率に絡んだパフォーマンスではないでしょうか。いま以上のペースで物価が上がると、その支持率を失うリスクを考えていないハズないでしょうから。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図から、かなり正確に発表結果を市場予想が捉えていることがわかります。問題は、前回結果に対する方向だけでなく、程度もかなり正確に捉えていることです。
方向の予想は、景気と消費を見てそれらの増減との時間差を調べれば、大きな傾向を捉えることができるかも知れません。がしかし、増減の程度を当てることは、日本で調べることが難しいと思われます。
この指標は、我々アマチュアが日本で調べられるデータで対応するのが不利な指標と言えるでしょう。
今回の市場予想は445億ドルの赤字で、前月結果より40億ドルの赤字改善となっています。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が75%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが63%です。初期反応を見て追いかけるなら気をつけましょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が70%となっています。
直後1分足の陽線率が75%です。直前1分足と直後1分足の方向一致率が30%(不一致率70%)なので、矛盾はありません。
直後11分足の陽線率は72%です。ただ、ちょっと今の状況では?です。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
指標が前回結果や市場予想に対してどう発表されようが、反応方向との関係に偏りがありません。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年4月6日15:30頃に追記しています。
結果は436億ドルの赤字で、市場予想445億ドルよりも改善しました。前回1月分は485億ドルから482億ドルの赤字に修正されました。
輸出が26か月ぶりの金額に回復する一方、輸入が減少したため、赤字額は対前月9.6%減となりました。
それにしても毎月、日本の国家予算並のすごい赤字ですよね。
輸出好調の要因は、自動車・同部品の輸出が2014年7月以来、産業用資材と原料が2015年12月以来の額となっています。輸入は、食品が過去最高で資本財は2015年以来の額となったものの、携帯電話・自動車・原油が減少して合計が減りました。
地域別では、輸出が欧英日に対し増加し中国・メキシコに対し減少、輸入がメキシコに対し増加した欧加日中に対し減少した。何か、対中貿易赤字は一挙に27%も減ったそうです。もうすぐ中国トップ訪米ですから、さすがに極端にすごいもんです。だとすれば、3月分も減るでしょう。
既に、2016年10-12月期GDP確報値が発表されていますが、この期間の貿易縮小がGDPを押し下げたという解説があります。この分では2017年1-3月期にも、貿易は悪い側に影響を与えるのでしょう。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
それにしても、本指標については市場予想がほぼ的中と言っていいほど、良く当たります。不思議です。
ともあれ、結果は市場予想より若干改善、反応は陰線でした。但し、直後1分足の上ヒゲは、指標発表直後10-20秒ぐらいに形成され、その後、陰線側に転じました。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します。
結果は貿易赤字縮小で陰線に反応しました。素直な反応ではありません。
シナリオは次の通りでした。
直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線です。
直後1分足は、指標発表直後に陽線側に反応し、上ヒゲを残して陰線側に転じました。シナリオ2が買いだったものの、手早く利確して助かりました。
本ブログ開始以降の本指標での成績を下表に纏めておきます。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年4月4日21:30に米国国際収支「貿易収支」が発表されます。今回発表は2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
平均値はかなり大きいものの、分布を見ると印象が異なります。直後1分足跳幅の平均値の0.5倍を超えて反応したことは全体の48%しかありません。本指標は、たまに大きく反応するものの、2回に1回は平均値の半分も反応しない訳です。これが本指標の特徴です。
取引に実害はありませんが、がっかりしないように予め。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 先に注意点です。
昨夜のISMの初期反応を見ていると、発表後すぐに金利も株価(ダウ)も下がりました。またUSDJPYも下がっています。僅かに指標が前月より低下しただけで、債券も株も売ってJPYが買われたのです。市場には不安感が高まっています。買ポジションは、本指標に限らず慎重に。 - 指標については、指標一致性分析の結果、発表結果が前回結果や市場予想に対してどう発表されようが、反応方向とは関係ありません。
- そして、シナリオです。
直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が70%となっています。
直後1分足も、反応一致性分析の結果、陽線率が75%です。直前1分足と直後1分足の方向一致率が30%(不一致率70%)なので、矛盾はありません。
直後11分足の陽線率は72%です。但し、反応性分析の結果、直後11分足は直後1分足との方向一致率が75%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが63%です。直後1分足が陰線なら追いかけますが、直後1分足が陽線の場合、追撃するかどうかを迷っています。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査
【1. 指標概要】
貿易収支は、商務省が毎月10日前後の21:30(冬時間22:30)に発表しています。
貿易収支は経常収支の一部で、経常収支には貿易収支の他にサービス収支・所得収支・経常移転収支があります。一般に他の項目と比べて貿易収支が大きいため、経常収支の中で貿易収支が注目されます。
本指標は不思議なことに、米国貿易赤字が恒常化して数字もほぼ一定な上に、米国景気が貿易収支には関係ないように見受けられるのに、たまに発表前後に比較的大きな反応があります。
米貿易収支の増減は、消費財赤字とエネルギー輸入赤字とが、それぞれどう増減するかです。消費財輸入は景気次第、エネルギー輸入は原油価格次第、です。前者が割と単純に増減するのに比べ、後者は少し複雑です。
貿易赤字の3割弱を占める原油輸入は、シェール革命によって一時期減少に向かい、いずれ黒字化するとさえ言われていました。ところが、世界的な原油価格低迷により、シェール油井は採算割れして採掘中止に追い込まれています。直近の原油価格は50ドルまで戻しましたが、70ドル付近まで戻せばシェール油井操業が復活すると言われています。
現在の米国景気が好調で消費財輸入が増える以上、貿易収支改善には原油価格上昇が必要と考えられます。つまり、貿易赤字縮小は難しそうですね。それでトランプ政権は、二国間協議で輸出と対米投資を増やそうとしています。輸入(日中独から見た輸出)制限とも受け取れる発言は、彼の支持率に絡んだパフォーマンスではないでしょうか。いま以上のペースで物価が上がると、その支持率を失うリスクを考えていないハズないでしょうから。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
図から、かなり正確に発表結果を市場予想が捉えていることがわかります。問題は、前回結果に対する方向だけでなく、程度もかなり正確に捉えていることです。
方向の予想は、景気と消費を見てそれらの増減との時間差を調べれば、大きな傾向を捉えることができるかも知れません。がしかし、増減の程度を当てることは、日本で調べることが難しいと思われます。
この指標は、我々アマチュアが日本で調べられるデータで対応するのが不利な指標と言えるでしょう。
今回の市場予想は445億ドルの赤字で、前月結果より40億ドルの赤字改善となっています。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
U. 分析
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が75%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが63%です。初期反応を見て追いかけるなら気をつけましょう。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
直前1分足の陰線率が70%となっています。
直後1分足の陽線率が75%です。直前1分足と直後1分足の方向一致率が30%(不一致率70%)なので、矛盾はありません。
直後11分足の陽線率は72%です。ただ、ちょっと今の状況では?です。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
指標が前回結果や市場予想に対してどう発表されようが、反応方向との関係に偏りがありません。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年4月4日21:30発表
以下は2017年4月6日15:30頃に追記しています。
V. 結果
【7. 発表結果】
結果は436億ドルの赤字で、市場予想445億ドルよりも改善しました。前回1月分は485億ドルから482億ドルの赤字に修正されました。
輸出が26か月ぶりの金額に回復する一方、輸入が減少したため、赤字額は対前月9.6%減となりました。
それにしても毎月、日本の国家予算並のすごい赤字ですよね。
輸出好調の要因は、自動車・同部品の輸出が2014年7月以来、産業用資材と原料が2015年12月以来の額となっています。輸入は、食品が過去最高で資本財は2015年以来の額となったものの、携帯電話・自動車・原油が減少して合計が減りました。
地域別では、輸出が欧英日に対し増加し中国・メキシコに対し減少、輸入がメキシコに対し増加した欧加日中に対し減少した。何か、対中貿易赤字は一挙に27%も減ったそうです。もうすぐ中国トップ訪米ですから、さすがに極端にすごいもんです。だとすれば、3月分も減るでしょう。
既に、2016年10-12月期GDP確報値が発表されていますが、この期間の貿易縮小がGDPを押し下げたという解説があります。この分では2017年1-3月期にも、貿易は悪い側に影響を与えるのでしょう。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
それにしても、本指標については市場予想がほぼ的中と言っていいほど、良く当たります。不思議です。
ともあれ、結果は市場予想より若干改善、反応は陰線でした。但し、直後1分足の上ヒゲは、指標発表直後10-20秒ぐらいに形成され、その後、陰線側に転じました。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します。
- 指標一致性分析の結果、発表結果が前回結果や市場予想に対してどう発表されようが、反応方向とは関係ありません。
結果は貿易赤字縮小で陰線に反応しました。素直な反応ではありません。
【9. シナリオ検証】
シナリオは次の通りでした。
- そして、シナリオです。
直前1分足は、反応一致性分析の結果、陰線率が70%となっています。
直後1分足も、反応一致性分析の結果、陽線率が75%です。直前1分足と直後1分足の方向一致率が30%(不一致率70%)なので、矛盾はありません。
直後11分足の陽線率は72%です。但し、反応性分析の結果、直後11分足は直後1分足との方向一致率が75%で、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも伸びていたことが63%です。直後1分足が陰線なら追いかけますが、直後1分足が陽線の場合、追撃するかどうかを迷っています。
直前1分足・直後1分足・直後11分足のいずれも陰線です。
直後1分足は、指標発表直後に陽線側に反応し、上ヒゲを残して陰線側に転じました。シナリオ2が買いだったものの、手早く利確して助かりました。
本ブログ開始以降の本指標での成績を下表に纏めておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
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ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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