2017年03月30日
米国実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」・物価指標「PCEコアデフレータ」発表前後のUSDJPY反応分析(2017年3月31日21:30発表結果検証済)
以下、「T.調査」「U.分析」を事前投稿し、「V.結果」「W.検証」を事後投稿しています。ブログの日付は事前投稿日となっています。事後投稿の日時は「V.結果」のタイトル行付近に記載しています。
2017年3月31日21:30に米国実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」と物価指標「PCEコアデフレータ」が発表されます。今回発表はいずれも2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
注目度・重要度が高い割には反応が小さい指標です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標ですが、PCEコアデフレータはエネルギー・食料を除いた個人消費で物価動向を算出した物価指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータと言われているためです。
物価指標にはCPIも有名ですが、CPIには上方バイアスが生じるため、PCEコアデフレータが重視されている、という解説があります。また、CPIは消費者が直接支払った費用に基づきますが、PCEは医療保険のように消費者が間接的に支払った費用も含めて算出されています。
PCEコアデフレータは前月比・前年比が発表されますが、反応に結び付きやすいのは前月比です。
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
先に、PCEコアデフレータについてです。
市場予想は、前月比が前回結果より0.1ポイント低下、前年比が前回同値、となっています。この市場予想は、同じ2月のCPIコア前月比の発表結果が0.1ポイント低下していたため、と考えられます。
次に、PCEと個人所得についてです。
市場予想は、ともに前月結果と同値予想となっています。がしかし、個人消費を逆に小売売上高の方から見た場合、2月は前月比が前回結果よりも0.3ポイント低下しています。では、過去12回の小売売上高前月比が前月結果に対し、どうなっていたかを調べてみましょう。
結果、小売売上高前月比が今月と同様に前回結果よりも低下していたことは7回ありました。そして、7回のうち6回は、同じ月のPCE前月比が前月比より低下しています(方向一致率86%)。唯一の例外もPCEはプラスでなく前月と同値でした。
よって、今回のPCEの市場予想は高い(=発表結果は下振れする)と考えられます。
※ 過去12回の小売売上高前月比が前回より低下した月(その月のPCEが前月PCEとの差)
2017年1月△0.3、2016年11月△0.1、2016年8月△0.3、2016年7月△0.1、2016年5月△0.6、2016年3月同値
2016年2月△0.4、2015年6月△0.7。
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前1分足が陽線で5pips動いたときは4回あります。そしてそのとき、全て直後1分足は陽線となっています。また、直前1分足が陰線で5pips動いたときは5回あります。そしてそのとき、5回のうち4回は直後1分足が陰線となっています。つまり、直前1分足値幅が5pipsあるときには、直後1分足との方向一致率が89%(9回のうち8回)にもなっています。
もちろん、値幅は直後1分足が完成してから確定するので、予兆として活用するのは難しいでしょう。ですから、直前1分足の値幅が5pipsに達しそうなら、追撃ポジションを取って指標発表を迎える、が助言の限界です。発表直前にはポンポンとチャートが動きがちなので、ちょっと難しいことを言ってますけど。
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。そして、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも同方向に伸びていたことが74%あります。この数字なら、反応方向を確認してから追撃しても良いでしょう。
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
ポジションを取るに足る偏りは、直後1分足と直後11分足の方向一致率以外に見出せません。
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
ポジションを取るに足る偏りは見出せません。
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以下は2017年4月1日09:30頃に追記しています。
PCEコアデフレータは前月比が0.2%上昇で市場予想通り、前年比が1.8%上昇で市場予想を0.1%上回りました。FRBが物価上昇率の目安として注目しているPCEコアデフレータ前年比は、目標の2%を下回り続けています。
2月PCE前月比は0.1%増と、小幅増加となりました。市場予想0.2%増を下回った原因は、政府が不正対策の一環で税還付を遅らせたことが影響した、とロイター記事が解説していました。ロイターでは、1-3月期のPCEが鈍化した可能性があるものの、消費者信頼感が16年ぶりの高い水準にあることに加えて、労働市場の引き締まりを背景に賃金の上昇率が加速していることから、個人消費の弱含みが一時的で今後数四半期でPCEは持ち直す、と予想しています。
PCEコアデフレータ上昇は物価上昇圧力の高まりと見なせます。これが個人消費を抑える原因と考えると、すっきりします。
あと注目すべき点は、2月個人所得の内訳で、賃金・給与が0.5%増と5カ月ぶりの大幅な伸びとなっています。
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
やはり、PCEよりもPCEコアデフレータの方が強いのですね。
取引結果は次の通りでした。
事前調査分析内容を、以下に検証します
結果は、PCEが分析通り市場予想を下回ったものの、まだ分析ができないPCEコアデフレータが市場予想を上回りました。
反応を見る限り、やはりPCEコアデフレータ>PCEの関係が成り立っています。
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
シナリオ1は、実施前提となる直前1分足が5pipsの値幅を持ちそうもなかったので、指標発表直前のポジション取得を断念しました。
シナリオ2は、直後1分足と直後11分足の方向が一致したものの、直後11分足値幅は直後1分足値幅よりも小さくなりました。分析通りにはならなかったものの、確率的な問題のため、方法論を見直す必要はありません。
本ブログ開始以降の本指標でのシナリオ取引の成績を下表に示しておきます。
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本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
2017年3月31日21:30に米国実態指標「PCE(個人消費)・個人所得」と物価指標「PCEコアデフレータ」が発表されます。今回発表はいずれも2017年2月分の集計結果です。
本指標の要点は下表に整理しておきました。
注目度・重要度が高い割には反応が小さい指標です。
次に、本指標発表前後にポジションを持つときのポイントを整理しておきます。
- 指標は、PCEが市場予想を下回ると予想しています。他はわかりません。
PCE(個人消費)を小売売上高の方から見た場合、2月小売売上高前月比は前回結果よりも0.3ポイント低下しています。小売売上高前月比が今月と同様に前回結果よりも低下していたことは、過去12回の発表で7回ありました。そして、7回のうち6回は、同じ月のPCE前月比が前月よりも低下しています(方向一致率86%)。唯一の例外もPCEはプラスでなく前月と同値でした。よって、同月の小売売上高前月比は、PCEの前回結果との増減を先行示唆している可能性が高いのです。
今回のPCEの市場予想は、前月結果と同値となっていますが、市場予想を下回ると考えています。 - シナリオは以下の通りです。
直後1分足の方向には、予兆が現れることがあります。ローソク足検証の結果、直前1分足値幅が5pipsあるときには、直後1分足と直後1分足の方向一致率が89%(9回のうち8回)になっています。もちろん、値幅は直後1分足が完成してから確定するので、予兆として活用するのは難しいでしょう。ですから、直前1分足の値幅が5pipsに達しそうなら、追撃ポジションを取って指標発表を迎える、が助言の限界です。発表直前にはポンポンとチャートが動きがちなので、ちょっと難しいことを言ってますけど。 - また、直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が79%となっています。そして、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも同方向に伸びていたことが74%あります。
この数字なら、反応方向を確認してから追撃しても良いでしょう。
ーーー注記ーーー
本記事は、同じ指標の発表がある度に更新を繰り返して精度向上を図り、過去の教訓を次の発表時の取引で活かせるように努めています。がしかし、それでも的中率は75%程度に留まり、100%ではありません。詳細は「1. FXは上達するのか」をご参照ください。
ポジションを持つ最終的なご判断は読者ご自身の責任となります。その点を予めご了承の上、本記事がFXを楽しむ一助となれば幸いです。
T.調査:指標の特徴・過去の傾向・関連指標の結果などから、今回の発表値や反応方向・程度を調べています。
【1. 指標概要】
個人消費(PCE)と個人所得は消費者の経済活動を表した実態指標ですが、PCEコアデフレータはエネルギー・食料を除いた個人消費で物価動向を算出した物価指標です。
同時発表される個人消費(PCE)・個人所得・PCEコアデフレータにおいて、PCEコアデフレータが重視されています。これは、FRBが重視する物価指標がCPIでなくPCEコアデフレータと言われているためです。
物価指標にはCPIも有名ですが、CPIには上方バイアスが生じるため、PCEコアデフレータが重視されている、という解説があります。また、CPIは消費者が直接支払った費用に基づきますが、PCEは医療保険のように消費者が間接的に支払った費用も含めて算出されています。
PCEコアデフレータは前月比・前年比が発表されますが、反応に結び付きやすいのは前月比です。
【2. 既出情報】
以下、本議事録について既に公開されている情報を整理します。調査分析範囲は、2015年1月分以降前回までの25回分のデータに基づいています。
(2-1. 過去情報)
下図に過去の市場予想と発表結果を示します。
先に、PCEコアデフレータについてです。
市場予想は、前月比が前回結果より0.1ポイント低下、前年比が前回同値、となっています。この市場予想は、同じ2月のCPIコア前月比の発表結果が0.1ポイント低下していたため、と考えられます。
次に、PCEと個人所得についてです。
市場予想は、ともに前月結果と同値予想となっています。がしかし、個人消費を逆に小売売上高の方から見た場合、2月は前月比が前回結果よりも0.3ポイント低下しています。では、過去12回の小売売上高前月比が前月結果に対し、どうなっていたかを調べてみましょう。
結果、小売売上高前月比が今月と同様に前回結果よりも低下していたことは7回ありました。そして、7回のうち6回は、同じ月のPCE前月比が前月比より低下しています(方向一致率86%)。唯一の例外もPCEはプラスでなく前月と同値でした。
よって、今回のPCEの市場予想は高い(=発表結果は下振れする)と考えられます。
※ 過去12回の小売売上高前月比が前回より低下した月(その月のPCEが前月PCEとの差)
2017年1月△0.3、2016年11月△0.1、2016年8月△0.3、2016年7月△0.1、2016年5月△0.6、2016年3月同値
2016年2月△0.4、2015年6月△0.7。
(2-2. 過去反応)
過去の直前10-1分足・直前1分足・直後1分足・直後11分足の始値基準ローソク足を示しておきます。
直前1分足が陽線で5pips動いたときは4回あります。そしてそのとき、全て直後1分足は陽線となっています。また、直前1分足が陰線で5pips動いたときは5回あります。そしてそのとき、5回のうち4回は直後1分足が陰線となっています。つまり、直前1分足値幅が5pipsあるときには、直後1分足との方向一致率が89%(9回のうち8回)にもなっています。
もちろん、値幅は直後1分足が完成してから確定するので、予兆として活用するのは難しいでしょう。ですから、直前1分足の値幅が5pipsに達しそうなら、追撃ポジションを取って指標発表を迎える、が助言の限界です。発表直前にはポンポンとチャートが動きがちなので、ちょっと難しいことを言ってますけど。
U. 分析:過去の指標発表・市場予想・反応方向・反応程度とそれらの同士の関係に偏りがないかを分析しています。
【3. 反応性分析】
反応性分析では、過去発表直後の1分足と11分足の跳幅と値幅を使います。この分析で十分なpipsが狙えそうな指標か否かが判断できます。
直後11分足は、直後1分足との方向一致率が79%となっています。そして、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも同方向に伸びていたことが74%あります。この数字なら、反応方向を確認してから追撃しても良いでしょう。
【4. 反応一致性分析】
反応一致性分析は、指標発表前後の反応方向に特徴的な偏りがないかを調べています。
ポジションを取るに足る偏りは、直後1分足と直後11分足の方向一致率以外に見出せません。
【5. 指標一致性分析】
指標一致性分析は、指標の前回結果・市場予想・発表結果の差を求め、そのプラス・マイナスと反応方向に偏りがないかを調べています。
ポジションを取るに足る偏りは見出せません。
【6. シナリオ作成】
以上の調査・分析結果に基づき、以下のシナリオで取引に臨みます。
以上
2017年3月31日21:30発表
以下は2017年4月1日09:30頃に追記しています。
V. 結果:指標発表結果とその前後の反応について記録しています。
【7. 発表結果】
PCEコアデフレータは前月比が0.2%上昇で市場予想通り、前年比が1.8%上昇で市場予想を0.1%上回りました。FRBが物価上昇率の目安として注目しているPCEコアデフレータ前年比は、目標の2%を下回り続けています。
2月PCE前月比は0.1%増と、小幅増加となりました。市場予想0.2%増を下回った原因は、政府が不正対策の一環で税還付を遅らせたことが影響した、とロイター記事が解説していました。ロイターでは、1-3月期のPCEが鈍化した可能性があるものの、消費者信頼感が16年ぶりの高い水準にあることに加えて、労働市場の引き締まりを背景に賃金の上昇率が加速していることから、個人消費の弱含みが一時的で今後数四半期でPCEは持ち直す、と予想しています。
PCEコアデフレータ上昇は物価上昇圧力の高まりと見なせます。これが個人消費を抑える原因と考えると、すっきりします。
あと注目すべき点は、2月個人所得の内訳で、賃金・給与が0.5%増と5カ月ぶりの大幅な伸びとなっています。
(7-1. 指標結果)
本指標発表結果及び反応は次の通りでした。
やはり、PCEよりもPCEコアデフレータの方が強いのですね。
(7-2. 取引結果)
取引結果は次の通りでした。
W. 検証:調査・分析と結果を対比し、次回以降の調査・分析に反映すべき点がないかを検証しています。
【8. 調査分析検証】
事前調査分析内容を、以下に検証します
- 指標は、PCEが市場予想を下回ると予想しています。他はわかりません。
PCE(個人消費)を小売売上高の方から見た場合、2月小売売上高前月比は前回結果よりも0.3ポイント低下しています。小売売上高前月比が今月と同様に前回結果よりも低下していたことは、過去12回の発表で7回ありました。そして、7回のうち6回は、同じ月のPCE前月比が前月よりも低下しています(方向一致率86%)。唯一の例外もPCEはプラスでなく前月と同値でした。よって、同月の小売売上高前月比は、PCEの前回結果との増減を先行示唆している可能性が高いのです。
今回のPCEの市場予想は、前月結果と同値となっていますが、市場予想を下回ると考えています。
結果は、PCEが分析通り市場予想を下回ったものの、まだ分析ができないPCEコアデフレータが市場予想を上回りました。
反応を見る限り、やはりPCEコアデフレータ>PCEの関係が成り立っています。
【9. シナリオ検証】
事前に準備していたシナリオは次の通りです。
- シナリオは以下の通りです。
直後1分足の方向には、予兆が現れることがあります。ローソク足検証の結果、直前1分足値幅が5pipsあるときには、直後1分足と直後1分足の方向一致率が89%(9回のうち8回)になっています。もちろん、値幅は直後1分足が完成してから確定するので、予兆として活用するのは難しいでしょう。ですから、直前1分足の値幅が5pipsに達しそうなら、追撃ポジションを取って指標発表を迎える、が助言の限界です。発表直前にはポンポンとチャートが動きがちなので、ちょっと難しいことを言ってますけど。 - また、直後11分足は、反応性分析の結果、直後1分足との方向一致率が79%となっています。そして、方向一致時に終値が直後1分足終値よりも同方向に伸びていたことが74%あります。
この数字なら、反応方向を確認してから追撃しても良いでしょう。
シナリオ1は、実施前提となる直前1分足が5pipsの値幅を持ちそうもなかったので、指標発表直前のポジション取得を断念しました。
シナリオ2は、直後1分足と直後11分足の方向が一致したものの、直後11分足値幅は直後1分足値幅よりも小さくなりました。分析通りにはならなかったものの、確率的な問題のため、方法論を見直す必要はありません。
本ブログ開始以降の本指標でのシナリオ取引の成績を下表に示しておきます。
以上
もしこの記事が何か参考になったなら、どれか広告バナーをクリックして提携先に興味をお持ち頂けると幸いです。提携先はいずれも良心的なところを選んだつもりです。安心してください。
ーーー以下は広告ですーーー
ーーー注記ーーー
本記事における分析シート、一部乃至は一連の体系化された手順を、個人の取引以外の目的で使用・公開・二次利用を行う場合には、著作権者及びFX手法研究会に対し、連絡を取り何らかの合意を行う必要があります。
以上
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