2017年03月04日
4-2. 米国指標DB
2017年3月4日更新
【4-2-1. 米国指標全体の過去傾向と取引方針】
米国指標は21:30と23:00(現地冬時間のときは22:30と00:00)の発表が多く、最も取引しやすい時間帯に集中しています。それだけに分析には力が入ります。
がしかし、こういう「やる気まんまん」のときにこそ自制が必要です。
皮肉にも、事前の予習に力を入れることによって「どちら側に反応するかがわからない(なかには指標発表直後の反応を見てもなおわからない)」という答えに到達することも多いものです。
そんなとき、選択肢は
- 取引しない
- 過去の傾向から反応pipsが小さいと見込める指標ならば、発表直前までのトレンドにこそ最も市場の予想が顕著に反映されるはずだと考えて、それを読み取る練習と割り切って取引する
というふたつがあります。
もし2を選択するのなら、過去の平均的な反応pipsには目を通しておいて、利確・損切のpipsを頭に入れて練習取引に臨んで下さいね。
さて現状は、先週末深夜に「FRB幹部が3月利上げを予告するような発言」という報道がありました。がしかし、USDJPYは深夜から週終値にかけて陰線で反応しています。当面の材料出尽くし、という反応でしょう。
そして、3月6日週は雇用統計があります。がしかし、先月の雇用統計で注目された点は平均賃金が伸びなかった点です。米国指標は全体に数値改善ばかりのように言われていますが、賃金と貿易収支の改善が進んでいません。これらは、政治課題でもあり、政治課題があるときはリスクが意識されるので、金融政策の見通しが良いことの足を引っ張ります。
もともと先週までのUSDJPY上昇は、米大統領の施政方針演説での1兆ドルインフラ投資計画・税制改革表明、FOMC3月利上げ確率の高まり、ダウが21000ドル台に乗せ日経平均株価が年初来高値を更新したこと、が理由とされています。3月6日週にこれらを超える新材料はないだろうという論拠に基づき、以後1・2週で115円を上抜けると主張する解説記事は、現時点で見当たりません。
何か、一方向一色の報道解説となっているように見受けられます。現状では金利上昇による株価(ダウ)の下げがどの程度なのかが見通せないのに、これは変な話です。
次はチャートです。
USDJPYチャートは、年初から波打ち(レンジ)に移り、現在はその波のピーク付近となっています。本来ならUSD買を控えて少し様子を見る位置だと言えるでしょう。但し、EURUSDの下降トレンド(EUR売・USD買)が続く可能性が高い以上、日本時間に多少のUSD売があっても総量としてのUSD買が多くなるような気がします。3月6日・7日は、日本時間よりも欧州時間の動きが気になります。
テクニカル面では、先週水曜に21日移動平均線が90日移動平均線を下抜けようとしたものの、こつんと当たってその後は跳ね返されかけています(まだ離れていない)。一目均衡表で遅行線が上抜けするには、現在の雲から上に抜けるか、あと3日現状レート付近に留まる必要があります。パラボリックは上昇トレンドに転換したばかりです。RSIは65付近に上昇し、MACDは少しずつ上昇中。
USDJPY↑を示唆する情報が多いように見受けられます。
金利と株価は、上昇が続いていることこそが3月6日以降の下落不安を招いている状況なので、参考になりません。
IMM投機筋ポジションはJPY売り持ちが減少しつつあったので、先週が売り持ち増となっていたらUSDJPYの上昇示唆と解釈してもいいでしょう。
【4-2-2. 主要指標】
【A. 政策決定指標】
A1. 金融政策
(1) FOMC政策金利
(2) FOMC議事録 (2017年2月23日公表結果検証済)
A2. 財政政策
米国GDPに対し公共投資が与える影響は、日本の場合に比して小さなものです(絶対額でなく比率で考察)。従って、政府予算の配分が変わることは経済的な直接効果よりも、関連法規改正などで予算配分が増えた分野への政府支援が強まる間接効果となります。にも関わらず、そうした政策変更は、JPYに対してよりもUSDに対して大きく影響が現れがちな点が不思議です。
(1) 月次財政収支
A3. 景気指標
A31. 総合
(1) ISM非製造業・総合景況指数(2017年3月4日発表予定、事前分析済)
(2) CB消費者信頼感
(3) ミシガン大学消費者信頼感指数速報値/確報値(2017年2月11日発表結果検証済)
A33. 製造業
最も反応が大きい指標はISMです。ISMへの相関が強いと言われるのがPhil連銀景気指数で、Phil連銀景気指数への相関が強いと言われるのがNY連銀景気指数です。
(1) ISM製造業景況感指数(2017年3月2日発表結果検証済)
(2) Phil連銀製造業景気指数(2017年2月16日発表結果検証済)
(3) NY連銀製造業景気指数(2017年2月15日発表結果検証済)
(4) リッチモンド連銀製造業景気指数
(5) シカゴ購買部協会景気指数
A4. 物価指標
FRBが注目しているというPCEコアデフレータが最重要だと思われます。物価は、材料→生産→消費へと下流に波及すると考えられるため、(4)→(1)へと影響が進む、と考えられます。
(1) PCEコアデフレータ(2017年3月1日発表結果検証済)
(2) 消費者物価指数(CPI)
(3) 生産者物価指数(PPI)(2017年2月14日発表結果検証済)
(4) 輸入物価指数(2017年2月10日発表結果検証済)
A5. 雇用指標
(1) 雇用統計(2017年3月10日発表予定、事前分析済)
(2) ADP民間雇用者数(2017年3月8日発表結果検証済)
(3) 前週新規失業保険申請件数
【B. 経済情勢指標】
B1. 経済成長
財政収支・国際収支の赤字が続いていても、主要先進国において米国経済は最も好調です。そういう実態を踏まえると、素人にも現状の景気の良し悪しを最もわかりやすく表しているのがGDPなのでしょう。
(1) 四半期GDP速報値(2017年1月27日発表結果検証済)
(2) 四半期GDP改定値(2017年2月28日発表結果検証済)
(3) 四半期GDP確定値
B2. 国際収支
最近の傾向は毎月400億ドルの貿易赤字が続いています。毎月400億ドルという大きさは、年間で日本の国家予算並みということですよね。米国の経済規模というのは本当にすごいのですね。本指標は、貿易赤字が多少増えようが減ろうが、発表直後の反応方向に関係なく、そして反応が比較的大きい傾向があること、です。少し変な指標です。
(1) 貿易収支(2017年3月7日発表結果検証済)
B3. 実態指標
「消費」や「住宅」が景気に関わるというのはわかるような気がします。がしかし、米国で「製造」が経済に与える影響は為替を動かすほど大きいのか、どうもピンとこないまま調査や分析を怠っています。
B31. 消費
(1) 四半期PCE速報値(2017年1月27日発表結果検証済)
(2) 四半期PCE改定値(2017年2月28日発表結果検証済)
(3) 個人支出(PCE)・個人所得(2017年3月1日発表結果検証済)
(4) 小売売上高
B32. 住宅
FX会社HPなどでは注目度や重要度が高く評価されている指標もあります。が、反応は小さな指標ばかりです。但し、素直な反応をしがちです。
(1) 中古住宅販売件数(2017年2月23日発表結果検証済)
(2) 新築住宅販売件数(2017年2月25日発表結果検証済)
(3) 建設支出(2017年3月2日発表予定、事前分析済)
B33. 製造
米国経済に対し製造業の好不調が与える影響は小さい、と捉えています。雇用指標や景気指標に影響すると考えているので記録を取って見ていますが、反応は大したことありません。
(1) 鉱工業生産・設備稼働率
(2) 耐久財受注(2017年2月27日発表予定、事前分析済)
以上
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