2011年10月31日、ドル円相場は1ドル=75円31銭という戦後最高値を記録しました。この歴史的な円高は、いくつかの要因が重なって発生しました。
円高の主な要因:
東日本大震災の影響: 震災復興のための資金が日本に流入し、安全資産とみなされる円への需要が高まりました。
リスクオフムード: 欧州債務危機やアラブの春など、世界的にリスク回避の動きが強まり、投資家が円に資金を逃避させました。
日米間の金利差: 日本の低金利とアメリカとの金利差が大きく、円の買い戻しが進みました。
円キャリートレードの巻き戻し: リーマン・ショック後に活発化していた円キャリートレードが、震災をきっかけに巻き戻されました。
円高がもたらした影響:
輸出産業への打撃: 円高により日本製品の競争力が低下し、自動車や電子部品などの輸出産業に打撃を与えました。
デフレ懸念の深化: 輸入物価の低下がデフレ圧力を強め、企業の価格競争や賃上げ抑制につながりました。
金融機関への影響: 為替差損の発生や企業の業績悪化が、金融機関の収益に悪影響を与えました。
円高対策:
為替介入政策: 日本政府は円売り・ドル買い介入を実施しましたが、効果は短期的にとどまりました。
金融緩和政策: 日本銀行は量的緩和を強化し、円安誘導を試みましたが、完全な効果は得られませんでした。
財政政策: 震災復興予算や企業の海外進出支援を実施しましたが、円高の影響を完全には防げませんでした。