2021年08月06日
stiletto heels with midi dress
今度は、ワタシの番とばかりに。
構えもなしに左の前蹴り。
タイトなワンピースの裾が邪魔する。
それでも、彼女がバッグを持ったまま両手でガードする。
バッグが弾け飛ぶ。
彼女の顔から笑みが消える。
互いに間合いを計る。
小さな公園の空気が張り詰める。
まるで時間が止まったよう。
睨み合う二人。
突然、彼女が気を緩める。
ワタシに背を向けると、バッグに向かって歩く。
無防備に屈んで、バッグを拾い上げると、ワタシに向き直る。
呆気にとられて、彼女から目が離せないでいるワタシ。
いつのまにか、左半身の構えも解いている。
ワタシに近づきながら、彼女が言う。
「彼が見込んだだけのこと、あるわね」
「…」
何も言えずにいるワタシ。
彼女が続ける。
「何故かしら、あなたとは、やりあいたくないわ」
堪らず言うワタシ。
「あなた、あの晩、あの店にいたわね」
言いながら、ミニのドレスから伸びる、彼女のすらりとした白い脚とピンヒールに目をやる。
彼女は、それには応えずワタシに向かってくる。
一瞬、緊張するワタシ。
彼女は、そんなワタシに何処吹く風、すれ違いざま、薄いトレンチコートのワタシのお尻を叩いて言う。
「またねっ」
「ちょっと…」
背中にかけるワタシの言葉を気に留めることなく、彼女は歩き始めている。
ナニ?思いながら、暫し街灯の下に佇むワタシ。
我に返って、慌てて遊歩道に戻る。
彼女は?遊歩道に目を凝らすが、歩いていた方向にはいない。
振り返ると、彼女が、来た道を戻っている。
遊歩道の入口の通りに、先ほどの黒い車が停まる。
今度は、彼女が後部席に乗り込む。
思わず駆け出しているワタシ。
車まで数メートル。
後部席のウィンドウが下がる。
彼女の白い掌、バイバイするように振られる。
車が走り出す。
振られる白い手を見ながら、一瞬、懐かしい想いにとらわれる。
車を見送りながら、一連の動きを振り返る。
ワタシが彼女に疑いを持って、何か仕掛けることに気づいていたのね。
そう考えると、彼と彼女がどこから繋がっているのか、なんとなく推測はつく。
訊いたところで、二人とも答えるはずもない。
釈然としない気分を響かせる紅いピンヒール。
構えもなしに左の前蹴り。
タイトなワンピースの裾が邪魔する。
それでも、彼女がバッグを持ったまま両手でガードする。
バッグが弾け飛ぶ。
彼女の顔から笑みが消える。
互いに間合いを計る。
小さな公園の空気が張り詰める。
まるで時間が止まったよう。
睨み合う二人。
突然、彼女が気を緩める。
ワタシに背を向けると、バッグに向かって歩く。
無防備に屈んで、バッグを拾い上げると、ワタシに向き直る。
呆気にとられて、彼女から目が離せないでいるワタシ。
いつのまにか、左半身の構えも解いている。
ワタシに近づきながら、彼女が言う。
「彼が見込んだだけのこと、あるわね」
「…」
何も言えずにいるワタシ。
彼女が続ける。
「何故かしら、あなたとは、やりあいたくないわ」
堪らず言うワタシ。
「あなた、あの晩、あの店にいたわね」
言いながら、ミニのドレスから伸びる、彼女のすらりとした白い脚とピンヒールに目をやる。
彼女は、それには応えずワタシに向かってくる。
一瞬、緊張するワタシ。
彼女は、そんなワタシに何処吹く風、すれ違いざま、薄いトレンチコートのワタシのお尻を叩いて言う。
「またねっ」
「ちょっと…」
背中にかけるワタシの言葉を気に留めることなく、彼女は歩き始めている。
ナニ?思いながら、暫し街灯の下に佇むワタシ。
我に返って、慌てて遊歩道に戻る。
彼女は?遊歩道に目を凝らすが、歩いていた方向にはいない。
振り返ると、彼女が、来た道を戻っている。
遊歩道の入口の通りに、先ほどの黒い車が停まる。
今度は、彼女が後部席に乗り込む。
思わず駆け出しているワタシ。
車まで数メートル。
後部席のウィンドウが下がる。
彼女の白い掌、バイバイするように振られる。
車が走り出す。
振られる白い手を見ながら、一瞬、懐かしい想いにとらわれる。
車を見送りながら、一連の動きを振り返る。
ワタシが彼女に疑いを持って、何か仕掛けることに気づいていたのね。
そう考えると、彼と彼女がどこから繋がっているのか、なんとなく推測はつく。
訊いたところで、二人とも答えるはずもない。
釈然としない気分を響かせる紅いピンヒール。
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