2008年10月11日
「パラサイトアイランド」part7
お待たせしました。
初めて読む方へ注意事項!
性描写、洗脳、寄生、異形化、悪堕ち、百合といった属性が、
私のSS(小説)にはふくまれております。
今回は、官能シーンはありません。
_____________________________________
澪が船に乗る数分前、理恵は洋館から研究所に続くエレベーターのところまで来ていた。警戒しながらあたりを見回す理恵に、死角はなかった。
エレベーターのボタンを押すと、B3に着いていたエレベーターがゆっくりと1階まで上がってくる。
エレベーターのドアに銃を向けて、いつでも発砲できる体制をとった。
そして1階についたエレベーターのドアが開きだすと……
そこには誰もいなかった。
理恵は一息つくと、すぐさまエレベーターの中の安全を確かめ、B3のボタンを押した。
ゆっくりと閉まるドア。
そして下へ降りていく感覚に身をまかせた理恵は、銃のマガジンの弾を確認すると、その時…
「きゃあ! 」
突然、何かがぶち破れる音ともにエレベーターが大きく揺れると、エレベーターは止まり、上の電灯も消えてしまった。
そして非常灯の赤いランプが上から点灯した。
理恵はエレベーターの非常ボタンを押したが、反応はなかった。
そして理恵をあせらす警告音が聞こえてくる。
「非常事態が発生しました。全員この島から退去してください。今から30分以内に、安全なところまで非難してください。
繰り返します。
非常事態が発生しました。全員この島から退去してください。今から30分以内に、安全なところまで非難してください」
その無機質な声の警告音は、研究所中に広まっていく。
理恵は、あわててエレベーターの扉の隙間にハンドガンの銃口を押し込んだ。
それをコテの原理で、なんとか左右の扉を開くことに成功した。
ちょうどよく、エレベーターはB2階の扉の前で止まっていたのが不幸中の幸いだった。
そして、さっきと同じようにもう1つの扉を、コテの原理で開けた。
エレベーターから降りた理恵は、もちろん警戒心を高めたまま、B2階のフロアを探索していく。
B2階は、居住区でひどい有様だった。
通路には、皮膚が紫色に変色した男の研究員の死体がいくつも転がっていたからだ
その中には、裸の女も何人かいた。
理恵は、それを見たとたん、恐怖心でいっぱいになった。
女の体は、紫色に変色してなく、今にも起きそうな感じで寝ていたのだ。
それだけではなく、その寝ていた女たちは、ものすごく均整のとれた体をしていた。
そう、支配人の部屋で現れた化け物が、人間の女性の姿をしていた時のように。
むせ返る淫らな香りに、意識を持ってかれそうになる理恵だったが、恐怖でなんとか意識を保っていた。
いつ、この女性たちが起きてくるか分からない恐怖の中で、ゆっくりと歩く。
しかし、この大きな警告音でも起きないとなると、何か薬かガス的なもので眠らされたに違いないと、思った理恵は、歩くスピードを小走りにして、非常階段を探した。
ようやく非常階段を見つけた理恵は、非常階段のとってに手を伸ばそうとした、その時!
理恵の目の前の扉が、勢いよく飛んできた。
理恵は、突然の出来事で当然避けることもできずに、扉と一緒に吹っ飛ばされてしまった。
「がはっ! ………………………いた…いたたた… 」
通路で、扉に押し倒されたようになった理恵は、そのまま倒れたまま、非常階段の方へ目をやると…
通路をゆっくりと歩いて、理恵に近ずいてくる化け物がいた。
それは、支配人室でも見た、萌をさらった真理という化け物だった。
扉の厚さは、5cmのある鉄製だった。それを軽々と吹き飛ばす力は、恐ろしいものだ。
「ふ〜ん、監視カメラに移った人影を見て来てみれば、あなた、倉庫で捕まってた子ね。どうやって抜け出たか知らないけど、私に見つかったらからには、覚悟なさい」
理恵は、体に乗っているドアを蹴り飛ばすと、急いで立ち上がった。
腰に装備していたハンドガンを握り、真理に向けて発砲しながら、来た道を走り出した。
「だから効かないってば。 いや、気持ちいいからもっと撃って〜ん」
真理は不適な笑みを浮かべながら、歩いて追いかける。
真理という化け物が見えなくなったあたりで、ある研究員の部屋に入った。
理恵は心を落ち着かせ、非常階段へ行く方法を考えた。
_____________________________________
“うかつだった。確かにこんな研究所に監視カメラがあってもおかしくない。
は〜、疲れた〜。もう諦めて、私もあんな風になろうかな。
なんか気持ちよさそうだし。
ま、冗談だけどね。
さーて、どうやってあいつを押しのけて、非常階段まで行くか…”
理恵が考えながら、部屋の中を見回すと、バイオハザードの模様が壁に小さく描かれて部分を見つけた。
そこにはランプが2つ付いており、1つは赤く光のないランプと、もう1つは緑がかった光のあるランプがついていた。
他にも、赤いスイッチが付いている。
まるで消火器が入っているようなボックスが壁に埋められていたのだ。
バイオハザードの模様の他になにか書いてある。
これは、非常事態(バイオハザード)が起きた時だけ、解除される。
解除は緑のランプが光っていれば、赤いスイッチを押せ。
対生物兵器のための武器が出てくるので、相手に向けて、トリガーを引けと書かれていた。
注意! 周りに人間がいないことを確認する。
他にも何か書かれていたが、それを余裕をもって読む暇はなかった。
もちろん理恵は、躊躇なく赤いスイッチを押すと、自動扉が開くような音とともに、1丁の銃器が現れた。
理恵は、それを手に取り、手早く銃器を調べた。
それは子供たちが夏に使う、両手持ちの水鉄砲みたいな形だった。
でも、色はちゃんとした銃器のような灰色のカラーである。
理恵は、それがどんな武器かすぐに分かった。
“よし! これで正面突破よ”
ペタ、ペタと近づく足音。
それは、まぎれもない真理の足音だ。
理恵はチャンスを待った。
島が爆発するまで、残り20分…
_____________________________________
理恵が、ドア腰の前で真理が通りかかるのを待った。
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ……………
すぐ後ろに真理がいるのが分かる。
そして、理恵のいた部屋の自動扉が開いた。
扉が開くと、真理がそこにいた。
理恵も銃器を構えて、真理の目の前に立っていた。
「これでも、食らいなさい! 」
理恵が、その言葉と同時に引き金を引いた。
銃器の発射口から、勢いよく炎が飛び出る。
真理は、ハッとした顔で、避けることもできずに、炎にまかれた。
「ぎゃあああああああああ! 」
火だるまとかした真理は、そのまま通路に飛び出て、転げまわった。
それをチャンスに、理恵も通路に出て、非常階段の方に駆け出す。
理恵のすぐ後ろで、炎にまかれた真理の悲鳴がする。
理恵の使っていた武器は、火炎放射器だった。
どんな生物でも、炎には弱い。例えそれが生物兵器でも。
理恵は全力疾走で、通路を走っていると、すぐさま破られた非常階段の入口が見えた。
非常階段に着くと、周りに注意を払い、駆け足で階段を下りた。
下りている途中、理恵は下腹部に妙な違和感を感じた。
「う、な、なに? こんなときに生理? 」
しかし、すぐさま治まったので、理恵はその違和感を気にしなかった。
島が爆発するまで、残り10分…
_____________________________________
ようやく、B3階に着いた理恵は、辺りを警戒する。
理恵の顔が強張った。
理恵の目に入ったそこには、変わり果てた飛鳥と、理恵を倉庫で気絶させた怪物(春香)が、
横になってお互いを抱き合っていた。
“いない。澪はどこ? もしかして澪もやつらに捕まって……”
理恵は、へなへなと座り込んでしまった。
近くでは、淫らな音を立てながら、お互いを舐め合っている化け物。
もはや、理恵には絶望しかなかった。
“はーあ、結局誰も救えなかった。また私の大事な友達が消えていく。
昔からいつもこんな感じだった。上手くいっていたのに、なぜか友達が離れていく。
今回は、友達の命も失ってしまった。島を調べるために、渚達と接触するだけだったのに、
みんな良い友達で、すぐに仲良くなった。なのにこの仕打ちはなに? 私に工作員は向いてないんだ!
なのに親の家系で、こんな目に…… ”
理恵が絶望に打ちひしがれていると、
「残り5分以内に出来るだけ遠く離れ、安全なところまで避難してください。
繰り返します。
残り5分以内に出来るだけ遠く離れ、安全なところまで避難してください」
“残り5分だってさ。あはは…もういいや。みんながいる島で、一緒に死ねたら本望よね。
それによく見れば、船なんかどこにもないじゃない。どっちみち逃げれないわけね。”
そう、澪が乗って行った船が、最後の船だったのだ。
ただ、水上バイクが何台かあるだけだった。
理恵が、諦めかけていたその時、1発の銃弾? いや、花火を打ち上げるような音が、トンネルの向こうから聞こえてきた。
「え? 誰かいるの? 外に… 」
“もしかして、澪、澪なの? ”
「爆発まで、残り1分」
理恵は、すぐさま立ち上がり、いろいろな鍵がかけてあるボードから、水上バイクの鍵を手に取った。
しかし、その行動に気付いたのか、近くにいた春香はうっとりとした目で、起きあがろうとした、その時。
ガシっと、飛鳥に体を掴まれ、起き上がることが出来なかった。
「行かせない。あなたは私とここで一緒に死ぬのよ」
『飛鳥… あなた受け入れたんじゃ… 』
「それは体だけ。心は今も人間よ」
『こ、こんのー! 離れろ。お願いだから離れてー! 』
飛鳥は、尻尾で春香を絡めると、完全に動きを封じた。
すると、その場面を見た理恵は、飛鳥の顔に目をやる。
飛鳥も、その視線を感じたのか、理恵の顔にやると、右目でウィンクをした。
「ありがとう。 飛鳥さん。」
理恵は、この事件の発端者が飛鳥であっても、この時の時間稼ぎをしてくれたことには、とても感謝した。
その気持ちを受け止めながら、理恵は、水上バイクに乗り、鍵を回した。
ブルンと勢いよくエンジンがかかると、バイクのウィリー走行のような感じで、水上バイクは発進した。
その時、タイミングよく爆発までのカウント10秒前が始まった。
「爆発まで、10、9、8、……… 」
よりハンドルを握る手に力が入る。
出口までもうすぐだ。
「……3、2、1」
そして1と響いた瞬間、島から1台の水上バイクが飛び出た。
そして同時に、島中で爆発が起きる。
森も、洋館も、研究所もいたるところで爆発が起きた。
すべてが炎と爆風で消え去ったのだ。
もちろん、春香や萌達も。
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初めて読む方へ注意事項!
性描写、洗脳、寄生、異形化、悪堕ち、百合といった属性が、
私のSS(小説)にはふくまれております。
今回は、官能シーンはありません。
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澪が船に乗る数分前、理恵は洋館から研究所に続くエレベーターのところまで来ていた。警戒しながらあたりを見回す理恵に、死角はなかった。
エレベーターのボタンを押すと、B3に着いていたエレベーターがゆっくりと1階まで上がってくる。
エレベーターのドアに銃を向けて、いつでも発砲できる体制をとった。
そして1階についたエレベーターのドアが開きだすと……
そこには誰もいなかった。
理恵は一息つくと、すぐさまエレベーターの中の安全を確かめ、B3のボタンを押した。
ゆっくりと閉まるドア。
そして下へ降りていく感覚に身をまかせた理恵は、銃のマガジンの弾を確認すると、その時…
「きゃあ! 」
突然、何かがぶち破れる音ともにエレベーターが大きく揺れると、エレベーターは止まり、上の電灯も消えてしまった。
そして非常灯の赤いランプが上から点灯した。
理恵はエレベーターの非常ボタンを押したが、反応はなかった。
そして理恵をあせらす警告音が聞こえてくる。
「非常事態が発生しました。全員この島から退去してください。今から30分以内に、安全なところまで非難してください。
繰り返します。
非常事態が発生しました。全員この島から退去してください。今から30分以内に、安全なところまで非難してください」
その無機質な声の警告音は、研究所中に広まっていく。
理恵は、あわててエレベーターの扉の隙間にハンドガンの銃口を押し込んだ。
それをコテの原理で、なんとか左右の扉を開くことに成功した。
ちょうどよく、エレベーターはB2階の扉の前で止まっていたのが不幸中の幸いだった。
そして、さっきと同じようにもう1つの扉を、コテの原理で開けた。
エレベーターから降りた理恵は、もちろん警戒心を高めたまま、B2階のフロアを探索していく。
B2階は、居住区でひどい有様だった。
通路には、皮膚が紫色に変色した男の研究員の死体がいくつも転がっていたからだ
その中には、裸の女も何人かいた。
理恵は、それを見たとたん、恐怖心でいっぱいになった。
女の体は、紫色に変色してなく、今にも起きそうな感じで寝ていたのだ。
それだけではなく、その寝ていた女たちは、ものすごく均整のとれた体をしていた。
そう、支配人の部屋で現れた化け物が、人間の女性の姿をしていた時のように。
むせ返る淫らな香りに、意識を持ってかれそうになる理恵だったが、恐怖でなんとか意識を保っていた。
いつ、この女性たちが起きてくるか分からない恐怖の中で、ゆっくりと歩く。
しかし、この大きな警告音でも起きないとなると、何か薬かガス的なもので眠らされたに違いないと、思った理恵は、歩くスピードを小走りにして、非常階段を探した。
ようやく非常階段を見つけた理恵は、非常階段のとってに手を伸ばそうとした、その時!
理恵の目の前の扉が、勢いよく飛んできた。
理恵は、突然の出来事で当然避けることもできずに、扉と一緒に吹っ飛ばされてしまった。
「がはっ! ………………………いた…いたたた… 」
通路で、扉に押し倒されたようになった理恵は、そのまま倒れたまま、非常階段の方へ目をやると…
通路をゆっくりと歩いて、理恵に近ずいてくる化け物がいた。
それは、支配人室でも見た、萌をさらった真理という化け物だった。
扉の厚さは、5cmのある鉄製だった。それを軽々と吹き飛ばす力は、恐ろしいものだ。
「ふ〜ん、監視カメラに移った人影を見て来てみれば、あなた、倉庫で捕まってた子ね。どうやって抜け出たか知らないけど、私に見つかったらからには、覚悟なさい」
理恵は、体に乗っているドアを蹴り飛ばすと、急いで立ち上がった。
腰に装備していたハンドガンを握り、真理に向けて発砲しながら、来た道を走り出した。
「だから効かないってば。 いや、気持ちいいからもっと撃って〜ん」
真理は不適な笑みを浮かべながら、歩いて追いかける。
真理という化け物が見えなくなったあたりで、ある研究員の部屋に入った。
理恵は心を落ち着かせ、非常階段へ行く方法を考えた。
_____________________________________
“うかつだった。確かにこんな研究所に監視カメラがあってもおかしくない。
は〜、疲れた〜。もう諦めて、私もあんな風になろうかな。
なんか気持ちよさそうだし。
ま、冗談だけどね。
さーて、どうやってあいつを押しのけて、非常階段まで行くか…”
理恵が考えながら、部屋の中を見回すと、バイオハザードの模様が壁に小さく描かれて部分を見つけた。
そこにはランプが2つ付いており、1つは赤く光のないランプと、もう1つは緑がかった光のあるランプがついていた。
他にも、赤いスイッチが付いている。
まるで消火器が入っているようなボックスが壁に埋められていたのだ。
バイオハザードの模様の他になにか書いてある。
これは、非常事態(バイオハザード)が起きた時だけ、解除される。
解除は緑のランプが光っていれば、赤いスイッチを押せ。
対生物兵器のための武器が出てくるので、相手に向けて、トリガーを引けと書かれていた。
注意! 周りに人間がいないことを確認する。
他にも何か書かれていたが、それを余裕をもって読む暇はなかった。
もちろん理恵は、躊躇なく赤いスイッチを押すと、自動扉が開くような音とともに、1丁の銃器が現れた。
理恵は、それを手に取り、手早く銃器を調べた。
それは子供たちが夏に使う、両手持ちの水鉄砲みたいな形だった。
でも、色はちゃんとした銃器のような灰色のカラーである。
理恵は、それがどんな武器かすぐに分かった。
“よし! これで正面突破よ”
ペタ、ペタと近づく足音。
それは、まぎれもない真理の足音だ。
理恵はチャンスを待った。
島が爆発するまで、残り20分…
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理恵が、ドア腰の前で真理が通りかかるのを待った。
ペタ、ペタ、ペタ、ペタ……………
すぐ後ろに真理がいるのが分かる。
そして、理恵のいた部屋の自動扉が開いた。
扉が開くと、真理がそこにいた。
理恵も銃器を構えて、真理の目の前に立っていた。
「これでも、食らいなさい! 」
理恵が、その言葉と同時に引き金を引いた。
銃器の発射口から、勢いよく炎が飛び出る。
真理は、ハッとした顔で、避けることもできずに、炎にまかれた。
「ぎゃあああああああああ! 」
火だるまとかした真理は、そのまま通路に飛び出て、転げまわった。
それをチャンスに、理恵も通路に出て、非常階段の方に駆け出す。
理恵のすぐ後ろで、炎にまかれた真理の悲鳴がする。
理恵の使っていた武器は、火炎放射器だった。
どんな生物でも、炎には弱い。例えそれが生物兵器でも。
理恵は全力疾走で、通路を走っていると、すぐさま破られた非常階段の入口が見えた。
非常階段に着くと、周りに注意を払い、駆け足で階段を下りた。
下りている途中、理恵は下腹部に妙な違和感を感じた。
「う、な、なに? こんなときに生理? 」
しかし、すぐさま治まったので、理恵はその違和感を気にしなかった。
島が爆発するまで、残り10分…
_____________________________________
ようやく、B3階に着いた理恵は、辺りを警戒する。
理恵の顔が強張った。
理恵の目に入ったそこには、変わり果てた飛鳥と、理恵を倉庫で気絶させた怪物(春香)が、
横になってお互いを抱き合っていた。
“いない。澪はどこ? もしかして澪もやつらに捕まって……”
理恵は、へなへなと座り込んでしまった。
近くでは、淫らな音を立てながら、お互いを舐め合っている化け物。
もはや、理恵には絶望しかなかった。
“はーあ、結局誰も救えなかった。また私の大事な友達が消えていく。
昔からいつもこんな感じだった。上手くいっていたのに、なぜか友達が離れていく。
今回は、友達の命も失ってしまった。島を調べるために、渚達と接触するだけだったのに、
みんな良い友達で、すぐに仲良くなった。なのにこの仕打ちはなに? 私に工作員は向いてないんだ!
なのに親の家系で、こんな目に…… ”
理恵が絶望に打ちひしがれていると、
「残り5分以内に出来るだけ遠く離れ、安全なところまで避難してください。
繰り返します。
残り5分以内に出来るだけ遠く離れ、安全なところまで避難してください」
“残り5分だってさ。あはは…もういいや。みんながいる島で、一緒に死ねたら本望よね。
それによく見れば、船なんかどこにもないじゃない。どっちみち逃げれないわけね。”
そう、澪が乗って行った船が、最後の船だったのだ。
ただ、水上バイクが何台かあるだけだった。
理恵が、諦めかけていたその時、1発の銃弾? いや、花火を打ち上げるような音が、トンネルの向こうから聞こえてきた。
「え? 誰かいるの? 外に… 」
“もしかして、澪、澪なの? ”
「爆発まで、残り1分」
理恵は、すぐさま立ち上がり、いろいろな鍵がかけてあるボードから、水上バイクの鍵を手に取った。
しかし、その行動に気付いたのか、近くにいた春香はうっとりとした目で、起きあがろうとした、その時。
ガシっと、飛鳥に体を掴まれ、起き上がることが出来なかった。
「行かせない。あなたは私とここで一緒に死ぬのよ」
『飛鳥… あなた受け入れたんじゃ… 』
「それは体だけ。心は今も人間よ」
『こ、こんのー! 離れろ。お願いだから離れてー! 』
飛鳥は、尻尾で春香を絡めると、完全に動きを封じた。
すると、その場面を見た理恵は、飛鳥の顔に目をやる。
飛鳥も、その視線を感じたのか、理恵の顔にやると、右目でウィンクをした。
「ありがとう。 飛鳥さん。」
理恵は、この事件の発端者が飛鳥であっても、この時の時間稼ぎをしてくれたことには、とても感謝した。
その気持ちを受け止めながら、理恵は、水上バイクに乗り、鍵を回した。
ブルンと勢いよくエンジンがかかると、バイクのウィリー走行のような感じで、水上バイクは発進した。
その時、タイミングよく爆発までのカウント10秒前が始まった。
「爆発まで、10、9、8、……… 」
よりハンドルを握る手に力が入る。
出口までもうすぐだ。
「……3、2、1」
そして1と響いた瞬間、島から1台の水上バイクが飛び出た。
そして同時に、島中で爆発が起きる。
森も、洋館も、研究所もいたるところで爆発が起きた。
すべてが炎と爆風で消え去ったのだ。
もちろん、春香や萌達も。
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