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ν賢狼ホロν
「嫌なことなんて、楽しいことでぶっ飛ばそう♪」がもっとうのホロです。
ザ・タイピング・オブ・ザ・デッド2
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2009年01月26日
『翔儀天使アユミ〜成淫連鎖』 桂川圭編 part2








「ねっ、早く……」
















キィィィィ…

「っ?!」
その時、一瞬のことだが歩美の虹彩がギラリと赤く輝き、その光をまともに瞳に浴びた圭の体が一瞬ビクッと跳ねた。








「あっ……」














圭の瞳はたちまち焦点がぼやけ、光を失っていく。
「ほら…行こう圭ちゃん。私の家にね……」
(…歩美さんの家に行く…?そう、ね。私は、歩美さんの家に行くんでしたわ……)
「え、ええ……。そう、ですね……」
圭の手を引っ張る歩美に、圭はぎこちなく頷きながら歩美について歩き始めた。
(そう、ですわ…。歩美さんは私を頼って相談をもち掛けてきたんですもの……。まず私が聞いてあげないと、いけませんわ……)
ふらふらと歩美の後を付いて行く圭に、さっきまでの違和感や疑問は綺麗に消え失せていた。
「…それでいいんだよぉ、圭ちゃん…。ク、クククク……」
前を歩く歩美の顔には、圭が知っている歩美にはけっして形作れないような酷薄な笑みが浮かび上がっていた。



(私……なんで……)
歩美の部屋でちょこんと座りながら、圭は自分が置かれた状況に頭を捻っていた。
確かにここに来るまでは、歩美に頼られた以上まずは話だけでも聞かないとという思いに駆られたのは事実だ。
しかし、冷静になって考えると明らかに先走りすぎているような感じがしないでもない。
そもそも、歩美が玉王のどういうことで相談をもちかけてきたのか。それすらまだ聞いてはいないのだ。
「………」



さっきまで消え失せていた不安がまたむくむくと膨らんできている。階下に歩美が降りていて自分以外誰も部屋にいないということもあるのだろうが、さっきから薄ら寒いくらいの静寂が圭の全身を包んできている。
気のせいかもしれないが、圭の周りからは生き物の気配がまるで感じられてこない。あまりの違和感に、圭は次第に気分が悪くなってきた。
(今なら……、帰ることが出来るかもしれません……)
歩美には少し悪い気がするが、このままでは下手をすると倒れかねない。圭は鞄を手に取ると立ち上がりノブに手を伸ばそうとした。
その時、ガチャリと目の前の扉が開き









「おまたせー圭ちゃん……。
あれ?どうしたの?」












手にお茶を乗せたお盆を抱えた歩美とばったりと鉢合わせてしまった。
「あ、あの…歩美さん。私、少し気分が優れなくて……。その、話はまた明日ということで……」
圭はぱちくりとしている歩美に、しどろもどろと言い繕って部屋から出て行こうとした。
が、歩美は道を開けるどころかお盆を床に置くとガバッと圭に抱きついてきた。









「キャッ?!ち、ちょっと歩美さ……」













「黙って!じっとして…」
突然のことに慌てる圭をよそに、そのまま歩美はおでこを圭のおでこに重ねてじっと熱を測っていた。
「……あああの、歩美さん……?!」
「うん、熱は…ないみたい。ね、圭ちゃん。具合が悪いんだったら少し落ち着くまで待っていようよ。もしかしたら、持ち直すかもしれないし」
心配するかのように歩美が圭の顔をじっと眺めてくる。その時、また歩美の瞳が光った、ような気がした。









「あっ……」













軽い叫びと同時に、また圭の瞳は焦点を失いどんよりと濁ってくる。
「ね、ほらちゃんと座って……。せっかくお茶も入れたんだしさ」
「そ、そうですわ、ね……」
確かにここまで来た以上何も聞かずに無理に帰ることも無い。どんなことを話すのか興味が無いわけではないし。
何故自分はあんなに帰りたがっていたんだろう。聞かない限り疑問は消えないではないか。
心の中に突然湧いてきた自分の声に、それまで抱いていた危機感は霞に隠れるかのように塗りつぶされ、圭はゆっくりと部屋の中へと戻っていった。

そして、これで圭が歩美の家から逃げ出す機会は永遠に失われてしまった。

「さ、まずは一杯。気分も落ち着くと思うよ」
歩美は持ってきたカップにとぽとぽとお茶を注ぎ、圭の前にカチャリと差し出した。
「え、ええ…。じゃあ、いただきますわ…」
まだ頭の中がはっきりとしない圭は、歩美に言われるままカップを手に取り、中の赤褐色の液体を喉に注ぎ込んだ。
「………?」
圭の鼻腔に今まで嗅いだことのない不思議な香気が立ち込めてくる。ミントのような涼味が鼻を抜けていき、なかなかに心地よい。
「まぁ……、これはいいお茶ですわね…。私、初めて飲みましたわ」
「でしょ?それって特別なお茶なんだよ?」
歩美はニコニコしながら圭のカップを指差し、自分もカップを持つとそのままグーッと一杯あけてしまった。
「うふふ。やっぱおいしいなこのお茶……」
うっとりとしながら口の中に残った味を堪能している歩美を見て、圭は少し顔を赤らめながらも空になったカップをテーブルに置いて話し掛けてきた。
「それで歩美さん、玉王についてなにか……」
が、圭の言葉を遮るかのように歩美はお茶がなみなみと入ったポットを前に突き出してきた。

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