2020年02月02日
インフルエンザは10%–15%
インフルエンザワクチンにもし効果があるとしても、風邪の中に占める割合は10%–15%です。
インフルエンザによる死亡者数が多いのは他の風邪が含まれていて、プロパガンダと思われます。
また、ガンなどの死亡者数と比べたら圧倒的に少ないです。
インフルエンザワクチンによってガンを発症したら何をしているのか理解に苦しみます。
風邪(かぜ、common cold, nasopharyngitis, rhinopharyngitis, acute coryza, a cold)とは、ウイルスによる上気道感染症であり、主な影響は鼻に現れる。 喉、副鼻腔、喉頭も影響を受ける可能性がある。症状はたいてい感染後二日以内に発生する。 症状としては、咳、咽頭痛、くしゃみ、鼻水、鼻閉、頭痛、発熱、嗄声などが現れる[。患者の多くは回復まで大抵7-10日間を要し、一部の症状は3週間まで継続しうる。他に健康に問題がある患者は、肺炎に進行する可能性がある。
多くの場合、単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、それ以外を風邪と呼ぶことは少ない。西洋医学的には「風邪症候群」と呼ぶことが多い。俗称として、消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と上記全身症を来した状態を、「感冒性胃腸炎」「お腹の風邪」(もしくは胃腸かぜ、一部地方では腸感冒)と呼ぶこともある。
成人は平均して年間2-3回の風邪に罹患し、児童ではそれ以上である。風邪に対してワクチンは無い。最も一般的な予防法は、手洗いの実施、洗っていない手で目・鼻・口を触らない、病人と同じ空間に居ない事である。いくつかの根拠はマスクの使用を指示している。
治療法は存在せず、罹患期間を短縮させる方法もないが、症状は緩和可能でありイブプロフェンなどのNSAIDsは助けとなるであろう。根拠によれば、抗生物質は使用すべきではなく、総合感冒薬の使用も支持されない。
病原体
ウイルス
ライノウイルス (30%–80%)。
普通感冒といわれている。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。
コロナウイルス (15%)
冬に感染しやすい。SARSはコロナウイルスの新種と言われる。
インフルエンザウイルス (10%–15%)
英語では "flu" とされる。
アデノウイルス (5%)
夏に流行。プールで感染するプール熱として知られる。
パラインフルエンザウイルス
インフルエンザという名称が入っているが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスである。
喉頭と下気道を起こしやすい。子供がかかる場合が多い。
RSウイルス
小児発症の原因病原体として最多であり、気管支炎や肺炎を起こしやすい。乳幼児は重症になる場合もある。冬の感染が多い。
エコーウイルス
エンテロウイルス
下痢を起こしやすい。夏に流行する。
ウィキペディアより
ライノウイルスが原因と推定された高齢者介護保健施設における呼吸器集団感染事例―茨城県
(IASR Vol. 38 p.129-130: 2017年6月号)
ライノウイルス(HRV)はピコルナウイルス科エンテロウイルス属のウイルスであり, A, BおよびCの3種が知られている。現在, HRVは, 小児から高齢者まで幅広い年齢層に上気道炎のみならず下気道炎(気管支炎や肺炎など)を起こすことが広く認識されている1,2)。また, HRV感染により, 喘息や慢性肺疾患の増悪を引き起こすことも知られている3)。今回, 2016年6月, 茨城県内の高齢者入居施設において, HRVが原因と推定される集団呼吸器感染事例が発生し, 疫学的・分子疫学的解析を行った結果, 若干の知見を得たので以下に報告する。
2016年6月22日, 管内の介護老人保健施設〔入所者93名(男性28名, 女性65名), 職員70名〕から, 発熱および呼吸器症状を主な症状とする集団発生が起きているとの連絡が入った。この一報を受け, 同日現地調査(患者調査など)を行うとともに, 発症者の隔離や面会制限, 飛沫・接触感染予防, 手洗い・うがいの徹底やマスク着用等の標準予防策と環境消毒などに関する助言・指導を行った。疫学的調査の結果, 患者は6月12日〜6月30日にかけて発症し, 最終的に入所者の約30%にあたる28名, 職員1名の計29名に呼吸器症状がみられた(図1)。発症者(入所者)の平均年齢は79.7±9.7歳(平均±標準偏差), 男性15名(男性入所者中54%), 女性13名(女性入所者中20%)であった。発症者(入所者)の主な臨床症状は, 発熱25名(89%, 38.0±0.7℃), 咽頭痛8名(29%), 咳嗽21名(75%), 鼻汁過多17名(61%), 痰6名(21%) であった。そのうちの2名が肺炎, 気管支炎と診断され入院となった。なお, この2名には呼吸器系の基礎疾患はなかった。また, 本事例の原因を探索するため, 6月23日, 症状を呈した入所者6名より鼻腔ぬぐい液を採取し, 衛生研究所にてリアルタイム(RT-)PCR法による呼吸器ウイルスの検索を行った。対象としたウイルスは, インフルエンザウイルス(AおよびB型), RSウイルス, パラインフルエンザウイルス1〜3型, ヒトメタニューモウイルス, アデノウイルス, ヒトボカウイルスおよびライノウイルスとした。結果として, ライノウイルスのみが6例すべてから検出され, 本事例の原因病原体であると推定した(表)。さらに, 検出されたライノウイルス遺伝子のVP4/VP2領域をRT-PCR法で増幅し, ダイレクトシークエンス法により塩基配列を決定 (約450bp) したところ, 配列が決定できた5例の塩基配列は100%一致した。さらに, この5例の配列(390bp, 塩基配列位置:623-1012)について, 既報3)に従い, 最尤法(ML法) による系統樹解析を行った結果, 解析株は系統樹上, HRV-A23型に分類された(図2)。また, HRV遺伝子解析を行った5症例は, それぞれ6月12日, 16日, 18日, 21日あるいは22日に発症しており, 居住階は2階と3階にまたがっていた。これらのことから, 本事例は感染源が同一のHRV集団感染事例であったことが推察された。
当該施設の入所者のほとんどは車いすを使用していたが, 一部独歩やシルバーカーを使用する人もいた。また, 日中は共有スペース(食堂)で過ごす人が多く, 発生の同週には外食レクリエーションが実施され, 数人がまとまって車で移動していたことなどから, これらの機会が感染拡大の場となった可能性も示唆された。
本事例では, 施設から保健所への通報があった時点で発症者は総数20名となっており, 報告の遅延により, 事例終息までの期間の延長や罹患者が増加したことも推測された。今後, より早い段階で, このような呼吸器集団感染事例を探知するとともに, 必要な助言・指導が行えるよう, 各施設に対し周知を徹底していくことも肝要であると考える。また, 今回検出されたライノウイルスを含むエンテロウイルス属のウイルスはエンベロープを持たないウイルスであり, アルコール消毒薬に抵抗性があると言われている4,5)。このため, 呼吸器症状を伴う集団発生事例に対しては, 飛沫感染対策に加え, 環境消毒には次亜塩素酸ナトリウムを用いることも視野に入れる必要性があろう。さらに, 最近の知見によれば, HRVの高齢者施設での集団感染は, 国内外で報告されており, その中にはインフルエンザの施設内流行と同様な疫学的・臨床所見を示すとともに, 患者が重症化する例も報告されている6,7)。本事例においても呼吸器系の基礎疾患のない人が下気道炎により2名入院したことから, 高齢者がHRV感染のハイリスク群であることが再認識されるとともに2), 当該施設のような高齢者の集団生活の場においては, 年間を通じた呼吸器集団感染を防ぐための標準予防策や感染経路別予防策の徹底が必要であると思われる。
特別養護老人ホームにおけるライノウイルスの集団感染事例―富山県
(IASR Vol. 37 p.179-180: 2016年9月号)
ヒトライノウイルス(HRV)は, 小児を中心に幅広い年代層が罹患する上気道炎の主な原因であり, 喘息の増悪に関与することが知られている。年間を通して流行するが, 春と秋に感染者が多い1)。
2016年6月中旬〜7月中旬にかけて, 富山県内の特別養護老人ホームにおいて上気道症状を中心とした呼吸器疾患の集団感染が発生した。発症した入所者からHRVが検出されたので概要を報告する。
2016年6月27日に当該施設(入所者75名, 短期利用15名, 職員57名)から管轄保健所に発熱や咳などの呼吸器症状を呈する入所者が多数いるとの報告があった。保健所は施設内の患者発生状況を調査した。その結果, 2016年6月14日〜7月14日の間に発熱, 咳, 鼻汁を主症状とする入所者が31名(41.3%), 職員が12名(21.1%) 確認された(図)。患者の多くは上気道炎であったが, 3名が肺炎, 4名が気管支炎と診断され, 2名が入院した。インフルエンザウイルス, 尿中肺炎球菌抗原, 尿中レジオネラ抗原の迅速検査を5名について, 喀痰の抗酸菌検査(塗抹および培養検査), 結核菌を対象にした核酸増幅検査(PCR)を4名について実施したが, いずれも検出されなかった。
保健所は, 原因となった病原体を明らかにするために, 呼吸器症状を呈した入所者6名から, 6月30日に鼻腔ぬぐい液を採取し, 当研究所に検査を依頼した。当所では, ヒトパラインフルエンザウイルス, RSウイルス, ヒトメタニューモウイルス, HRV, エンテロウイルス, ヒトボカウイルスおよびアデノウイルスを対象としたPCRを実施した。その結果, 6名中3名からHRV遺伝子が検出された(表)。その他の呼吸器ウイルスは検出されなかった。 HRV遺伝子増幅・検出には, VP4-VP2領域を増幅するプライマーセットEVP2, EVP4, およびOL68-1を用いた2,3)。得られたHRV遺伝子をシークエンス解析したところ, 3名から検出されたHRVはBLAST検索により, すべてHRV-A(HRV species A)と推定され, 解析株間の塩基配列は100%一致した。このことから, 本事例はHRV-Aを原因とする集団感染と推定された。
なお, 当該施設では, 面会および短期入所利用者の制限, 施設内の消毒, 手洗い手拭きの励行, マスク着用, 換気, 発症者の早期発見と居室分離, 風呂食事の順番の遵守などの感染拡大防止対策を実施した。その結果, 7月12日以降, 新たな患者は確認されていない。
集団生活の場において, HRVを含む呼吸器ウイルス感染症は, 飛沫や接触により感染が拡大しやすい4,5)。また, 感染者が高齢かつ基礎疾患(慢性肺疾患や糖尿病など)を有する場合は, 重症化することもある。高齢者施設で本事例のような呼吸器感染症が発生した場合, 早期に感染拡大防止対策を講じることが重要である。また, 各地域での呼吸器感染症の流行状況を知ることも予防対策に役立つと考えられる。しかしながら, 呼吸器感染症の原因病原体のうち, 医療機関で使用可能な迅速検査キットはインフルエンザウイルス, RSウイルス, アデノウイルス, 溶血性連鎖球菌などに限られており, HRVを検出する迅速試薬は市販されていない。また, HRV感染症は感染症発生動向調査病原体検査の対象外であり, 地域の流行状況を把握することは難しいと思われる。したがって, 施設では入所者のみならず職員の健康状態も日常から把握することや, 来所者にも注意を促すこと, 早期の予防対策を実施することが重要である。
HRVは100種類以上の血清型があり, それらはVP1遺伝子やVP2-4領域の遺伝子解析により3種(HRV-A, HRV-BおよびHRV-C)に分類される。また, HRV-Cによる肺炎などによる入院例も多く報告されている6)。今後, 本事例において検出されたHRV-Aも, 高齢者では重症化する可能性を念頭におくことが重要と考えられる。
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インフルエンザによる死亡者数が多いのは他の風邪が含まれていて、プロパガンダと思われます。
また、ガンなどの死亡者数と比べたら圧倒的に少ないです。
インフルエンザワクチンによってガンを発症したら何をしているのか理解に苦しみます。
風邪(かぜ、common cold, nasopharyngitis, rhinopharyngitis, acute coryza, a cold)とは、ウイルスによる上気道感染症であり、主な影響は鼻に現れる。 喉、副鼻腔、喉頭も影響を受ける可能性がある。症状はたいてい感染後二日以内に発生する。 症状としては、咳、咽頭痛、くしゃみ、鼻水、鼻閉、頭痛、発熱、嗄声などが現れる[。患者の多くは回復まで大抵7-10日間を要し、一部の症状は3週間まで継続しうる。他に健康に問題がある患者は、肺炎に進行する可能性がある。
多くの場合、単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、それ以外を風邪と呼ぶことは少ない。西洋医学的には「風邪症候群」と呼ぶことが多い。俗称として、消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と上記全身症を来した状態を、「感冒性胃腸炎」「お腹の風邪」(もしくは胃腸かぜ、一部地方では腸感冒)と呼ぶこともある。
成人は平均して年間2-3回の風邪に罹患し、児童ではそれ以上である。風邪に対してワクチンは無い。最も一般的な予防法は、手洗いの実施、洗っていない手で目・鼻・口を触らない、病人と同じ空間に居ない事である。いくつかの根拠はマスクの使用を指示している。
治療法は存在せず、罹患期間を短縮させる方法もないが、症状は緩和可能でありイブプロフェンなどのNSAIDsは助けとなるであろう。根拠によれば、抗生物質は使用すべきではなく、総合感冒薬の使用も支持されない。
病原体
ウイルス
ライノウイルス (30%–80%)。
普通感冒といわれている。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが主症状で、年齢を選ばない。
コロナウイルス (15%)
冬に感染しやすい。SARSはコロナウイルスの新種と言われる。
インフルエンザウイルス (10%–15%)
英語では "flu" とされる。
アデノウイルス (5%)
夏に流行。プールで感染するプール熱として知られる。
パラインフルエンザウイルス
インフルエンザという名称が入っているが、インフルエンザウイルスとは別のウイルスである。
喉頭と下気道を起こしやすい。子供がかかる場合が多い。
RSウイルス
小児発症の原因病原体として最多であり、気管支炎や肺炎を起こしやすい。乳幼児は重症になる場合もある。冬の感染が多い。
エコーウイルス
エンテロウイルス
下痢を起こしやすい。夏に流行する。
ウィキペディアより
ライノウイルスが原因と推定された高齢者介護保健施設における呼吸器集団感染事例―茨城県
(IASR Vol. 38 p.129-130: 2017年6月号)
ライノウイルス(HRV)はピコルナウイルス科エンテロウイルス属のウイルスであり, A, BおよびCの3種が知られている。現在, HRVは, 小児から高齢者まで幅広い年齢層に上気道炎のみならず下気道炎(気管支炎や肺炎など)を起こすことが広く認識されている1,2)。また, HRV感染により, 喘息や慢性肺疾患の増悪を引き起こすことも知られている3)。今回, 2016年6月, 茨城県内の高齢者入居施設において, HRVが原因と推定される集団呼吸器感染事例が発生し, 疫学的・分子疫学的解析を行った結果, 若干の知見を得たので以下に報告する。
2016年6月22日, 管内の介護老人保健施設〔入所者93名(男性28名, 女性65名), 職員70名〕から, 発熱および呼吸器症状を主な症状とする集団発生が起きているとの連絡が入った。この一報を受け, 同日現地調査(患者調査など)を行うとともに, 発症者の隔離や面会制限, 飛沫・接触感染予防, 手洗い・うがいの徹底やマスク着用等の標準予防策と環境消毒などに関する助言・指導を行った。疫学的調査の結果, 患者は6月12日〜6月30日にかけて発症し, 最終的に入所者の約30%にあたる28名, 職員1名の計29名に呼吸器症状がみられた(図1)。発症者(入所者)の平均年齢は79.7±9.7歳(平均±標準偏差), 男性15名(男性入所者中54%), 女性13名(女性入所者中20%)であった。発症者(入所者)の主な臨床症状は, 発熱25名(89%, 38.0±0.7℃), 咽頭痛8名(29%), 咳嗽21名(75%), 鼻汁過多17名(61%), 痰6名(21%) であった。そのうちの2名が肺炎, 気管支炎と診断され入院となった。なお, この2名には呼吸器系の基礎疾患はなかった。また, 本事例の原因を探索するため, 6月23日, 症状を呈した入所者6名より鼻腔ぬぐい液を採取し, 衛生研究所にてリアルタイム(RT-)PCR法による呼吸器ウイルスの検索を行った。対象としたウイルスは, インフルエンザウイルス(AおよびB型), RSウイルス, パラインフルエンザウイルス1〜3型, ヒトメタニューモウイルス, アデノウイルス, ヒトボカウイルスおよびライノウイルスとした。結果として, ライノウイルスのみが6例すべてから検出され, 本事例の原因病原体であると推定した(表)。さらに, 検出されたライノウイルス遺伝子のVP4/VP2領域をRT-PCR法で増幅し, ダイレクトシークエンス法により塩基配列を決定 (約450bp) したところ, 配列が決定できた5例の塩基配列は100%一致した。さらに, この5例の配列(390bp, 塩基配列位置:623-1012)について, 既報3)に従い, 最尤法(ML法) による系統樹解析を行った結果, 解析株は系統樹上, HRV-A23型に分類された(図2)。また, HRV遺伝子解析を行った5症例は, それぞれ6月12日, 16日, 18日, 21日あるいは22日に発症しており, 居住階は2階と3階にまたがっていた。これらのことから, 本事例は感染源が同一のHRV集団感染事例であったことが推察された。
当該施設の入所者のほとんどは車いすを使用していたが, 一部独歩やシルバーカーを使用する人もいた。また, 日中は共有スペース(食堂)で過ごす人が多く, 発生の同週には外食レクリエーションが実施され, 数人がまとまって車で移動していたことなどから, これらの機会が感染拡大の場となった可能性も示唆された。
本事例では, 施設から保健所への通報があった時点で発症者は総数20名となっており, 報告の遅延により, 事例終息までの期間の延長や罹患者が増加したことも推測された。今後, より早い段階で, このような呼吸器集団感染事例を探知するとともに, 必要な助言・指導が行えるよう, 各施設に対し周知を徹底していくことも肝要であると考える。また, 今回検出されたライノウイルスを含むエンテロウイルス属のウイルスはエンベロープを持たないウイルスであり, アルコール消毒薬に抵抗性があると言われている4,5)。このため, 呼吸器症状を伴う集団発生事例に対しては, 飛沫感染対策に加え, 環境消毒には次亜塩素酸ナトリウムを用いることも視野に入れる必要性があろう。さらに, 最近の知見によれば, HRVの高齢者施設での集団感染は, 国内外で報告されており, その中にはインフルエンザの施設内流行と同様な疫学的・臨床所見を示すとともに, 患者が重症化する例も報告されている6,7)。本事例においても呼吸器系の基礎疾患のない人が下気道炎により2名入院したことから, 高齢者がHRV感染のハイリスク群であることが再認識されるとともに2), 当該施設のような高齢者の集団生活の場においては, 年間を通じた呼吸器集団感染を防ぐための標準予防策や感染経路別予防策の徹底が必要であると思われる。
特別養護老人ホームにおけるライノウイルスの集団感染事例―富山県
(IASR Vol. 37 p.179-180: 2016年9月号)
ヒトライノウイルス(HRV)は, 小児を中心に幅広い年代層が罹患する上気道炎の主な原因であり, 喘息の増悪に関与することが知られている。年間を通して流行するが, 春と秋に感染者が多い1)。
2016年6月中旬〜7月中旬にかけて, 富山県内の特別養護老人ホームにおいて上気道症状を中心とした呼吸器疾患の集団感染が発生した。発症した入所者からHRVが検出されたので概要を報告する。
2016年6月27日に当該施設(入所者75名, 短期利用15名, 職員57名)から管轄保健所に発熱や咳などの呼吸器症状を呈する入所者が多数いるとの報告があった。保健所は施設内の患者発生状況を調査した。その結果, 2016年6月14日〜7月14日の間に発熱, 咳, 鼻汁を主症状とする入所者が31名(41.3%), 職員が12名(21.1%) 確認された(図)。患者の多くは上気道炎であったが, 3名が肺炎, 4名が気管支炎と診断され, 2名が入院した。インフルエンザウイルス, 尿中肺炎球菌抗原, 尿中レジオネラ抗原の迅速検査を5名について, 喀痰の抗酸菌検査(塗抹および培養検査), 結核菌を対象にした核酸増幅検査(PCR)を4名について実施したが, いずれも検出されなかった。
保健所は, 原因となった病原体を明らかにするために, 呼吸器症状を呈した入所者6名から, 6月30日に鼻腔ぬぐい液を採取し, 当研究所に検査を依頼した。当所では, ヒトパラインフルエンザウイルス, RSウイルス, ヒトメタニューモウイルス, HRV, エンテロウイルス, ヒトボカウイルスおよびアデノウイルスを対象としたPCRを実施した。その結果, 6名中3名からHRV遺伝子が検出された(表)。その他の呼吸器ウイルスは検出されなかった。 HRV遺伝子増幅・検出には, VP4-VP2領域を増幅するプライマーセットEVP2, EVP4, およびOL68-1を用いた2,3)。得られたHRV遺伝子をシークエンス解析したところ, 3名から検出されたHRVはBLAST検索により, すべてHRV-A(HRV species A)と推定され, 解析株間の塩基配列は100%一致した。このことから, 本事例はHRV-Aを原因とする集団感染と推定された。
なお, 当該施設では, 面会および短期入所利用者の制限, 施設内の消毒, 手洗い手拭きの励行, マスク着用, 換気, 発症者の早期発見と居室分離, 風呂食事の順番の遵守などの感染拡大防止対策を実施した。その結果, 7月12日以降, 新たな患者は確認されていない。
集団生活の場において, HRVを含む呼吸器ウイルス感染症は, 飛沫や接触により感染が拡大しやすい4,5)。また, 感染者が高齢かつ基礎疾患(慢性肺疾患や糖尿病など)を有する場合は, 重症化することもある。高齢者施設で本事例のような呼吸器感染症が発生した場合, 早期に感染拡大防止対策を講じることが重要である。また, 各地域での呼吸器感染症の流行状況を知ることも予防対策に役立つと考えられる。しかしながら, 呼吸器感染症の原因病原体のうち, 医療機関で使用可能な迅速検査キットはインフルエンザウイルス, RSウイルス, アデノウイルス, 溶血性連鎖球菌などに限られており, HRVを検出する迅速試薬は市販されていない。また, HRV感染症は感染症発生動向調査病原体検査の対象外であり, 地域の流行状況を把握することは難しいと思われる。したがって, 施設では入所者のみならず職員の健康状態も日常から把握することや, 来所者にも注意を促すこと, 早期の予防対策を実施することが重要である。
HRVは100種類以上の血清型があり, それらはVP1遺伝子やVP2-4領域の遺伝子解析により3種(HRV-A, HRV-BおよびHRV-C)に分類される。また, HRV-Cによる肺炎などによる入院例も多く報告されている6)。今後, 本事例において検出されたHRV-Aも, 高齢者では重症化する可能性を念頭におくことが重要と考えられる。
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