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2017年04月13日

[認定考査・択一民訴]民訴法228条4項の二段の推定とは・・・   その2


民訴法228条4項の二段の推定って,・・・・・本当のところ分からないんですけど!
結局,どうなっているんですか? この疑問に,私なりにお答えします。
                   そ の 2



(前回は,一段目の推定についてお話ししましたが,今回は二段目の推定です。前回の「その1」を読まれていない方は,「その1」をお読みになってください。)



 さて,
次に二段目の推定です。

 初めに
「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」(民訴法228条4項)
との規定をあげました。

そして,この民訴法228条4項に判例に使われている文言を入れて読み替えました。

「私文書は,本人又はその代理人の <その意思に基づく> 署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」
と読み替えました。

<その意思に基づく>とは,一段目の推定に関するものであることは,前回申し上げました。

それでは,「私文書は,・・・・真正に成立したものと推定する。」の「私文書は・・・真正に成立した」とは,何のことを言っているのでしょうか?

これは,「文書の成立の真正」のことを言っています。

 ここで,はっきりと「文書の真正」の定義を確認しましょう。
<文書の真正とは,作成者の意思に基づいて文書が作成されたこと>を意味する。

この文書の真正の定義を,判例の一段目の推定に関する文言とともに民訴法228条4項にあてはめて読みやすく書き換えてみます。
そうすると,民訴法228条4項は

「私文書に,本人の <その意思に基づく> 署名又は押印があるときは,当該私文書は<本人の意思に基づいて作成された文書>であると推定する。」(取敢えず代理人考えない)

と,こうなります。
 
以上,二段の推定をまとめると以下のようになります。

1 本人の専用にかかる印章の印影が,文書に顕出されていれば,かかる押印は,本人の意思に基づくものと推定される。(一段目の推定)
2 押印が本人の意思なら,押印されて印影が顕出されているその文書じたいも,本人認識のもと,その意思により作成されたものであろうと推定される(二段目の推定)。

このような論理の流れで,文書の成立の真正を推定していくのが,民訴法228条4項ということになります。

別の言い方をすると,このような論理の流れで,作成者の意思に基づいて文書が作成されたことを推定していくのが,民訴法228条4項ということになります。

これを,二段の推定といっているのです。

それでは,「本人の <その意思に基づく> 署名又は押印があると」なぜ,「当該私文書は<本人の意思に基づいて作成された文書>であると推定する。」ことになったのでしょうか?

それは,文書に人の意思に基づく署名又は押印があれば,その文書は,作成者とされる者の意思に基づいて作成されたと認められることが多いという経験則があるからです。

このように「意思に基づく」が,民訴法228条4項には実質的に2回登場してくることになります。これが,二段の推定の理解を難しくしているようです。

しかし,最初の「意思に基づく」が,二番目の「意思に基づく」を推定する関係に立つと考えれば,理解は難しくありません。
      最初   →  二番目
1 意思に基づく押印が,意思に基づく文書の作成を推定する。

そして,遡ると(遡り思考)
          ↓矢印
2 本人専用の印鑑の印影が,意思に基づく押印を推定する。

要は徹頭徹尾,文書の作成名義人とされる者の「意思責任」を問うているのです。

以上から,一段目の推定に関する判例の文言,文書の真正の定義を民訴法228条4項に落とし込んで,分かり易く大胆に読み替えると次のようになります。

「 作成者の意思に基づいて文書が作成されたか否かを判断するのに,本人の その意思に基づく 署名又は押印が文書にあるときは,当該私文書は,作成者本人の意思に基づいて作成された文書であると推定する。
 ただし,本人の印章の印影があれば,その押印は,本人の意思に基づくことを推定する。また,本人の署名があれば,その署名は,本人の意思に基づくことを推定する。 」

これが,民訴法228条4項の正体と考えられます。


究極のまとめ

1 意思に基づく押印が,意思に基づく文書の作成を推定する。(二段目の推定)
2 本人専用の印鑑の印影は,本人の意思に基づく押印を推定する。(一段目の推定)
3 「意思に基づく」「推定」は(事実上の推定)
4 (事実上の推定)は特段の事情による反証を許容する。

一段目の推定は,判例により明らかにされたもの。
二段目の推定は,民訴法228条4項に書いてあるもの。(押印の前の「意思に基づく」は,判例により意味充填解釈)
そして,
1,2,3は,本人への法的責任の追及
4は,本人の法的責任の回避
以上から「意思に基づく」の乱れ打ちが判明。
それは,なぜか。
「自分のあずかり知らぬところで勝手にやられたことの責任はとれませんよ。」
この一言につきます。

                                      以    上


追記 顕名代理,署名代理の場合の私文書の作成者は,本人か代理人か,一体誰かという議論はありますが,とりあえず置いておきます。
また,民訴法228条4項は,法定証拠法則を規定したものと言われています(法定証拠法則説)。










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2017年04月12日

民訴法228条4項の二段の推定とは・・・。そ の 1(認定考査・択一民訴)

民訴法228条4項の二段の推定って・・・本当のところ分からないんですけど!
       結局どうなっているんですか? この疑問に,私なりに答えさせていただきます。 
                 
                   そ の 1

それでは,お話をはじめさせて頂きます。

「文書は,その成立が真正であることを証明しなければならい(民訴法228条1項)」
ところ,民訴法には

「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」(民訴法228条4項)
と規定されています。

この民訴法228条4項を読み替えます。

「私文書は,本人又はその代理人の <その意思に基づく> 署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」
と読み替えます。

要するに,「その意思に基づく」を条文の中に,読み込みます。

考えてみてください。いくら自分のハンコの印影が,金銭借用書の連帯保証人欄にあったからといって,人に勝手に押されたハンコで,「はい。そうですか。」といって法的責任をとれますか?

やはり,自分が「よっし。これでいこう!」と思って,自分でハンコを押したから,あるいは人に押して貰ったからこそ,ハンコの責任をとれるのです。

だから,裁判所は「その人の意思に基づく」という文言を条文に読み込んだのです。

では,「その人の意思に基づく」って,どうやって証明したらいいんですか?
「その人の意思に基づく」という証明は,人の内心にかかわることだから難しいですよね。

そこで我が国の社会慣習からくる経験則を利用したのです。
人が普段から,自分一人で所有し,使用管理しているハンコが,借用書にバッチリ押されて印影が顕出されたら,ハンコを大切にする我が国の社会慣習からは,「それはもうその人の意思に基づく押印と考えていいでしょ。」こう世間一般は考える。

そこで,「Yのハンコの印影が借用書にあったら,<Yの意思に基づく>押印を推定してあげましょう。」こう裁判所は考えたわけです。
内心という困難な立証を救済したのが,ハンコを大切にするという我が国の社会慣習からくる経験則に基づく,Yの意思の「事実上の推定」です。
これが,一段目の推定です。

大切なので,もう一度繰り返します。
人が普段から自分一人で所有し,使用管理しているハンコが,借用書にバッチリ押されて印影が顕出されていたら,それはもうその人の意思に基づく押印だろうと世間一般の人が考える。ハンコを大切にする我が国の社会慣習があるからです。

ハンコを大切にする我が国の社会慣習というのは,要するにハンコってむやみやたらと人に預けたりはしないということです。
大切なハンコの印影が借用書にあるのだから,Yの了解の基で押印されたのだろうと,世間一般の人は思うわけです。
この経験則を利用することで,Yのハンコの印影があれば,Yの意思に基づく押印があると裁判所は推定したのです。裁判所風に言うと,「事実上の推定」です。

「人の意思に基づく」という人の内心にかかわる困難な立証を救済する方法が,人のハンコの印影が,契約書上に顕出されていることの立証です。

これが「その人の意思に基づく」って,どうやって証明したらいいの?
に対する答えです。

ただ,ここで話は終わりません。

なぜなら,「その人の意思に基づく」って,言いきられちゃうと,またこれはこれで困ったことが起こるのです。

例えば,「うちの放蕩息子が,勝手にハンコを持って行って,無断で借用書にハンコを押してきやがった。」と,Yが親父であれば一言いいたいことだって,起こるわけです。
「そのハンコは,俺の意思で押されたんじゃないよ。」と,言いたいことだって起こるわけです。

そごて,親父Yの反論を聞いてやらないと,かわいそうですよね。それで,やっぱり親父の意思じゃなかった,放蕩息子が勝手にやったことだという反論の余地を残してあげとくのです。勝手にハンコが使われることも現実の生活ではあるわけですから。
その結果,意思に基づくことも決して「確定」ではなく,あくまで「推定」としたのです。
法律的にいうと反証の余地を残さない「擬制」ではなく,反証によって事実の覆る余地を認める「推定」としたのです。

以上の話をまとめるとこうなります。
親父のハンコの印影が借用書にあると,借用書の押印は,親父の了解,その意思に基づく押印だろうと世間一般の人は「思う」。この経験則により,裁判所は,借用書に親父のハンコの印影があると,これは親父の意思に基づくものだと事実上の推定をする。

そして,この世間一般が「思う」というのが大事で,「思う」という言葉からは「推定」が導かれる。事実の確定を意味する「擬制」ではありません。反証の余地を残す「推定」です。
しかも,「最初」の「思います。」という「推定」だから,「一段目の推定」ということになるのです。
すなわち,「その人の意思に基づく」ことが,「事実上推定」されるのです。

これが一段目の推定です。

ただ,以上の話は,印影に対応するハンコが親父のハンコであることが前提です。親父のハンコじゃなかったら,推定もなにもならないです。親父のハンコって認められたからこそ,話がはじまったのです。

民訴法228条4項の適用をしようかっていう話がはじまったのです。親父のハンコじゃなかったら,民訴法228条4項の適用の前提のところで話がもめることになる。

「私文書は,本人又はその代理人の署名又は押印があるときは,真正に成立したものと推定する。」(民訴法228条4項)の「本人又はその代理人の署名又は押印」とは,親父のハンコの印影があるという意味です。

被告に親父のハンコの印影じゃないと否認されたら,まず,親父のハンコの印影であることを,原告で立証しなければならない。でないと,一段目の推定の話に行きつかない。一段目の推定は,印影と親父のハンコが一致していることが前提ですから。

この民訴法228条4項の適用の前提問題でのせめぎ合いが,まさに印影や筆跡の同一性の立証なわけです。

 以上が,一段目の推定です。
                                     以    上    

次回は,二段目の推定をお話しさせて頂きます。最後までお読みいただきまして,ありがとうございました。














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2017年04月10日

(簡裁訴訟代理等能力認定考査)筆跡や印影の同一性立証とは・・・

             筆跡や印影の同一性立証 (認定考査)

 訴訟当事者の「署名の同一性の立証」は,

(1)裁判所の訴訟記録に綴り込まれている訴訟委任状の署名
(2)当事者尋問の際の出頭カードの署名
(3)当事者尋問の際の宣誓書の署名
(4)他の契約書,陳述書等書証の署名

 によって行うことができます。

出頭カード,宣誓書の署名は,第三者の署名の同一性の立証にも用いることができます。

もちろん,当事者尋問,証人尋問の「人証調べ」によっても,署名の同一性を立証できます。


 対象をするのに適当な相手方の筆跡がないときは,裁判所は,対象の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができます(民訴法229条3項)(*注)。そこで,訴訟当事者は,裁判所に対して相手方に筆記を命じるよう申立てを行います。裁判所は申立てに理由があると認めれば,相手方に筆記を命じる決定をします。

 これにより,例えば当事者尋問において,対照をするのに適当な筆跡のない訴訟当事者の筆記も命ぜられます。

 また,私的鑑定書によっても,署名の同一性を立証できます。かかる私的鑑定書を書証として裁判所に提出します。


 また,訴訟当事者が裁判所に鑑定の申し立てを行い,裁判所の指定した鑑定人による筆跡鑑定をもって署名の同一性を立証することもできます(民訴法213条)。

 私的鑑定は,訴訟当事者がその判断で鑑定人を選定した上依頼できます。他方,裁判所の筆跡鑑定は,私的鑑定と異なり,当事者が指定しても,それに拘束されることなく裁判所の裁量により鑑定人を指定します(民訴法213条)。


 「印章と印影の同一性」については,印鑑証明書により立証します。他の契約書等の書証によっても立証します。もちろん,当事者尋問,証人尋問の人証調べによっても,印章と印影の同一性を立証できます。筆跡同様,私的鑑定や裁判所の鑑定によることもできます。


(*注)その他,筆跡・印影の対照文書にかかる文書の提出命令や,文書送付嘱託の申立ても検討します(民訴法229条2項)。


[筆跡・印影の同一性立証   認定考査向け 論述キーワード,条文]
・訴訟委任状 署名
・当事者尋問の際の出頭カード 署名
・宣誓書 署名
・他の契約書,陳述書等書証の署名
・私的鑑定書
・裁判所の筆跡鑑定
・人証調べ → 当事者尋問 証人尋問
・筆跡等の対象による証明
・対象をするのに適当な相手方の筆跡がないときは,裁判所は,対象の用に供すべき文字の筆記を相手方に命ずることができる(民訴法229条3項)。
・その他,筆跡・印影の対照文書にかかる文書の提出命令や,文書送付嘱託の申立てを行う(民訴法229条2項)。


 キーワードを使って,頭の中で論述を展開してみてください。
 特に司法書士倫理は,このような練習をしないと,いざとなっても筆が進まないので過去問の倫理事例を中心に練習された方がよろしいでしょう。

 司法書士権限事例も過去問中心に練習された方がよろしいでしょう。 
 これらの補強に,「司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引 平成29年版 日本加除出版」を十分に使いこなします。
 
 それから,全ての年度の認定考査の過去問を実際に時間を計って「書いて」解く。このことを特に強調させていただきたいと思います。

                             
                                   以   上







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2017年04月08日

処分証書の文書の成立の真正立証における当事者尋問

売買契約書は,処分証書です。

 
処分証書は,極めて重要な証拠価値を有します。
 

なぜなら,意思表示その他の法律行為が記載された処分証書は,その文書の成立の真正が認められると,特段の事情がない限り,当該処分証書記載の法律行為が認定されるからです。
 

 処分証書は,訴訟の勝敗を決する上で,極めて重要な証拠なのです。

ですから,代理人は,処分証書の署名,押印が否認されると,一生懸命になって文書の成立の真正の立証に努めます。
 

例えば,売買代金請求訴訟において,複数の売買契約書の文書の成立の真正が争われたとしましょう。どこが争われているかが問題です。



そもそも,自分は署名していない,第三者による偽造だといった場合,二段の推定の一段目の推定が働かないので,一段目の推定を働かせるため,売買契約書における署名が,被告自身の署名であることを立証しなければなりません。

 署名の同一性が立証されなければ,民訴法228条4項の適用以前の問題となります。


ただ,署名が被告によるものではなくても,押印された印影が被告の印章と同一であることを被告が認めれば,特段の事情なき限り,一段目の推定が働き,そして二段目の推定が働く結果,売買契約書の文書の成立の真正が推定されます。



 ところが,印章と印影の同一性まで被告に否認された場合はどうでしょう

しかも,売買契約書の印影から推察される印章が,文房具店で売られている三文判で印鑑登録もしない印章であって,さらに,売買契約書の印影の全てが契約書ごとに異なっている場合です。

 

この場合,被告の印章と売買契約書の印影の同一性を立証するよりも,売買契約書にある署名が被告による署名であることに重点を置いて,立証活動を行う原告代理人がいてもおかしくありません。

 

原告代理人は,被告の印章と印影の同一性を立証するよりも,署名が被告によるものであることに重点を置いて立証活動し,民訴法228条4項の適用により売買契約書の文書の成立の真正の推定を獲得しようとするのです。
 

 そこで,改めて次のような事例を検討してみましょう。


例えば,複数ある売買契約書のうち一部は自分が署名押印したものだが,その他の売買契約書は,誰かほかの第三者が,自分の名前を勝手に使って署名押印したもの,つまり,偽造文書である旨証言するのです。本当は,全部の契約書に署名押印したのに,全部の偽造を主張すると,嘘に聞こえるので,一部だけ本当の署名押印だと認め,残りは偽造だと否認するのです。(ただし,すべての売買契約書の印影が各々微妙に異なるものとする。)
 
 

 真実の中に嘘を織り交ぜるわけです。

 真実の中に紛れた嘘は,発見しにくい。

 虚実相まみれると,嘘も真実に聞こえてくる,ということです。



一部の売買契約書の文書の成立の真正を認めても,全部の売買契約書の成立の文書の成立の真正を認めるよりも,原告から請求される売買代金の請求金額は,全部を認めるよりも安くて済みます。ですから,このようなことを行うのです。

 真実の中に嘘を織り交ぜるわけです。

しかしながら,複数の事実の中に嘘を織り交ぜると,どれが本当で,どれが嘘なのか,当の被告本人自身が,わからなくなります。


つまり,被告は,複数の売買契約書のどれに署名していないと虚構の事実設定をし,どれに署名したままの,つまり真実の事実を維持しようとしたのか,わからなくなるのです。(すべての売買契約書の印影が各々微妙に異なるため,印影を手掛かりとしても自己に有利な正確な供述証言ができない。)


ここで,被告が,署名の真正につきバラバラな証言をしてしまうと,証言の一貫性を失い,被告の証言の信用性に一気に疑いが生じます。


こんなとき,被告側の代理人が,複数の売買契約書の書証にそれぞれ自分の尋問のための手控えとして,大きく○とか,×とか書証に書いておいたことが,被告に有利に作用することがあります。


 

○は,確かに被告が署名した。×は,被告が署名していない。第三者による偽造だ。このようにして,被告代理人が尋問で真正な文書と不真正な文書とを,取り違えて尋問しないように,書証に自ら○×を鉛筆書きしていることがよくあるのです。


その鉛筆書きの書証を被告代理人が,悪意なく,善意でそのまま被告に示して,尋問してしまうことがあるのです。

 

被告代理人が「甲第○号証の平成○年○月○日付け売買契約書を示します。」といって,その○,×の書いてある売買契約書を次々に,被告に示して,「この売買契約書,あなたが署名したものですか?これは,・・・,それではこれは・・・」といって矢継ぎ早に次々に質問してしまうことがあるのです。
 
 
 答えが,書証たる売買契約書に書いてあるわけですから,被告だって間違えようがありません。
 

しかも,矢継ぎ早に質問されて,それに間をおかずに躊躇なく,被告は淀みなく答えるわけですから,いかにも証言の信用性が増すわけです。


 代理人の中には,うっかりこんなことをしてしまう者もありえるのです。


だから,原告代理人は,相手方被告代理人が書証を被告に示す時には,事案によっては証言台まで歩いて行って,一緒にその提示されている書証の内容を確認しなければなりません。


 もし,被告代理人の提示する書証に○×が書いてあったら,裁判所に異議を述べることになります。


そして,被告代理人が提示する甲号証の売買契約書の原本は,そもそも原告代理人がもっているのですから,被告代理人にかわって,原告代理人が証言台まで歩いて行って,被告にそれらを示せばよいのです。


特別研修受講生に,ここまで教示してくださった講師弁護士の先生がいらっしゃったとしたら,とても親切です。


 それでは,この被告代理人は,偽証教唆,幇助になるのでしょうか?


 なりません。


 当事者尋問には,宣誓を行っても偽証罪が適用されないからです。


 それでは,訴訟当事者以外の第三者の証人にこれと同じことを行ったらどうなるでしょうか?


被告と内通している第三者を悪意でなく,善意で証人申請し裁判所に採用されて,証人尋問した場合の話です。複数の売買契約書のうち,被告が文書の成立の真正を認めた売買契約書の契約締結の現場に立ち会ったとされる第三者などを証人尋問した場合の話です。


 一見すると,偽証罪の教唆,幇助になると思えるかもしれません。


 宣誓した証人には偽証罪が適用されるからです。


 しかし,ここからが問題です。
 じっくり考えてみてください。


 被告訴訟代理人も,一生懸命,訴訟の準備をしてくるわけです。

訴訟代理人が自分の手持ちの書証に,○や×をつけるなんて日常茶飯事です。
それをいちいち咎められていたら,仕事ができません。


 安易に構成要件該当性を認めて処罰していては,緊張の連続で訴訟代理人の身がもちません。


 ここで,思い出してください。


 教唆,幇助は,故意犯ですか? 過失犯ですか?


 そう教唆,幇助は,故意犯です。(通説)

 故意犯処罰の原則を思い出してください。

 罪刑法定主義を思い出してください。



 過失による教唆,幇助は,罪刑法定主義上処罰されません。(通説)



そうです,上記の代理人は,手持ち証拠の○,×の鉛筆書きを消しゴムで消し忘れて,
被告に提示しただけなのです。


○×の書証を見た証人が偽証しても,過失による教唆,幇助として被告代理人は罪刑法定主義上処罰されません。


被告代理人が書証を示して質問するときは,事案によっては原告代理人が,一挙手一投足の労を惜しむことなく,証言台まで歩いて行って,書証の内容をその目で確認すべきでしょう。


もし,被告代理人の提示する書証に○×が書いてあったら,裁判所に異議を述べ,
被告代理人にかわって,原告代理人が甲号証の売買契約書の原本を被告に示してあげればよいのです。

                                        以  上













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2017年04月06日

認定考査と評価根拠事実

 権限外行為の表見代理(民法第110条)の「正当な理由」について,私の作成した下記事例で検討します。


        (Xの言い分,Yの言い分という陳述書形式を採らずに作成しました。)



[事例]

平成28年4月1日,絵描きであるZが,大学時代からの友人であるXから,返済期限を翌年3月31日,利息年5%とする約定で,120万円の金銭を借り受けるにあたり,父Yの実印を無断で借用し,当該金銭消費貸借契約にかかる連帯借用証書の連帯保証人欄に,父Yの名を勝手に署名した上,押印を行いました。



このとき,Zは無断で取得した父Yの印鑑登録証明書をXに交付し,同人から120万円を受け取りました。



Zは,かかる金銭授受の際のファミリーレストラン席上で,今回の借金については,父Yから承諾を得ていると嘘を言った上,Xの面前で,連帯保証人欄に直接,父Yの名を署名し,押印を行ったのでした。



Zは,その際,ギャンブルで作った消費者金融からの借金を返済するため,金を借りるのだと,Xにその理由を説明していました。



Xから借金をする前の平成28年3月10日,Zは,自分のアトリエとして使用するマンションの一室をFから賃借するため,父Yから連帯保証人になってもらう約束を取り付け,連帯保証契約締結の代理権限を,同人から与えられていました。



そして実際,Zは,平成28年4月5日に,Fとの間で,賃貸期間同日から2年間,賃料月額12万6000円の約定で,Fのマンションの一室を賃借り,同日,引き渡しを受けました。また同日,Zは,Yの代理人として,Fとの間で当該賃貸借契約により生じる一切の債務につきYが連帯保証する旨の契約を締結しました。



こうした経緯で,Zは,父Yからその実印を預かっていたのでしたが,ところがマンション賃貸借契約締結前に,ZはX・Z間の金銭消費貸借にかかるYの連帯保証契約につき,父Yの実印をYに断りなく使用したのでした。



ところで,Xは,Zが借金をするたびに父Yにお金の無心を行い,ついには勘当されてしまったと嘆いていたことを,XZ共通の友人であるMから,平成28年2月上旬頃聞かされていました。



また,平成28年1月1日,XがZ宅に遊びに行った折,Zから,「俺の家族は,オープンな関係で,彼女のことだって,何だって悩み事を,親父やおふくろに相談できる。親父やおふくろも俺に何だって話してくれる。」と自慢気に話しをするのを聞き,加えて「俺の父親は,医者で金持ちだから,何だって俺に買ってくれるぜ。」と話していたことを覚えていました。



さらには同日,Zが酒に酔った勢いで,「俺は親父の実印のあるところだって知っているし,金庫の暗証番号だって知っているさ。」と言っていたこともXは覚えていました。



他方,Xは,平成28年3月中旬ころ,Zとその彼女が,父Yと母Nと銀座のフランス料理店で会食するため訪れているところに偶然出くわしたことがありました。



その際,Xは,父Yから,「Zとは和解したよ。Zは自分の一人息子でかわいくて仕方がないから,また,一緒に暮らすことにした。X君には息子のことを,くれぐれも頼むよ。こう見えても寂しがり屋だから,仲良くしてやってくれ。何かあったら助けてやってくれ。」と言われたことを覚えていました。



続けて,Xは,父Yから,「Zとの和解のしるしに,Zが絵を集中して描けるようZの借りるアトリエの連帯保証人になってやることにしたよ。家賃の援助もしようと思っている。アトリエには,X君も遊びにいってやってよ。そうそう,私も,忙しいからZには,私の代理人として不動産屋にいってもらって,保証人の契約もしてもらうんだけど,Z一人じゃ不安だから,M君に一緒についていってもらうことになっている。何とも,情けない話だよ。」と言われたことも覚えていました。



ところで,Zは,本件以前にも,XとZ共通の友人であるMから,平成27年2月上旬頃,本件と同様に120万円を借り受け,その際にも父Yの実印を無断で使用し,当該金銭消費貸借にかかる連帯借用証書の連帯保証人欄に,父Yの名で署名,押印をYに断りなく行っていたことがありました。



そのときにも,Zは父Yの印鑑登録証明書を無断で取得しYに断りなくMにこれを交付し,Mから120万円を受け取っていました。



その後結局,Mは,借金を返せなくなったZの代わりに,父Yから貸金の全額返済を受けていました。



このときには,別段父YとZの間にトラブルはなく,また,Mと父Yとの間にも,保証否認のトラブルはありませんでした。



このことをXは,友人Mから,平成27年12月の忘年会の席上で聞かされていました。
ところがそのとき,Zによる父Yの印鑑の無断借用,冒用の事実ついては別段話に上がらず,その結果,Mからは,Yの連帯保証にかかるZの無権代理の件については,これを一切聞かされていませんでした。



こういった経緯もあり,Xは,Zに120万円のお金を融通することを決意したのでした。



ところがその後,平成29年4月10日を過ぎても,Zから,貸金の返済が一向にないので,業を煮やしたXが,父Yに対し保証債務の履行を求めたところ,父Yが保証した覚えはないと保証を否認するに至りました。

そのため,Xは同年5月1日,Yに対して保証債務履行請求訴訟を裁判所に提起するに至りました。
                                  
                                    以   上 






まず,権限外の行為の表見代理(民法第110条)の要件事実を挙げられたでしょうか?


@ 代理人と相手方との代理権の範囲を超えた事項についての法律行為(権限外の法律行為)

A 当該法律行為の際,本人のためにすることを示したこと(顕名)

B 当該法律行為の際,相手方が代理人に代理権がることを信じたこと(善意)

C 当該法律行為の際,相手方が代理人にBのように信じることについて正当な理由があること(無過失)

D 基本代理権の発生原因事実(基本代理権の存在)

です。


 
 ここで,とくに問題となるのが,「正当な理由」です。
即ち,Cの当該法律行為の際,相手方が代理人にBのように信じることについて正当理由があること(無過失)です。


 
 「正当な理由」(規範的要件)については,無過失を基礎づける評価根拠事実につき主張しなければなりません。
以下,評価根拠事実を列挙します。




1 Zが,Yの実印を所持てしいる。


2 Zが,Yの印鑑登録証明書を所持している。


3 本件以前にも,Zは,本件と同様な形で,借金をしたが,父Yが息子Zの代わりに借金を返済し,別段トラブルはなかった。



 すなわち,Zは,父Yの実印を使用し,金銭消費貸借にかかる連帯借用証書の連帯保証人欄に,父Yの名で,署名,押印を行い,また,父Yの印鑑登録証明書を交付し,120万円をMから借り受けていた。



 そして,借金を返せなくなったZの代わりに,Mは父Yから,貸金の全額返済を受けていた。これについては,保証否認のトラブルがなかった。



4 忘年会の時に,Zによる父Yの印鑑の無断借用,冒用の事実について,Xは特にこれを認める事実を確認することができなかった。
 


5 Xは,平成28年3月中旬ころ,父Yから,Zとは和解した,Zは自分の一人息子でかわいくて仕方がないから,また,一緒に暮らすことにした,X君には息子のことは,くれぐれも頼むよ,こう見えても寂しがり屋だから,仲良くしてやってくれ,何かあったら助けてやってくれ,と言われたことを覚えていた。
 そのため,父Yが,一人息子のZのために,保証人になることもあると考えた。


( → これだけ子煩悩な親なら,確かに気は進まないかもしれないが,特にZは一人息子なので致し方なく,勘当した後でも保証人になることもあると考えた。「事実に対する評価を行うとこうなる。」)





6 アトリエの賃貸借契約にかかる連帯保証契約締結の代理権限を,父YはZに対して授与していたので,本件金銭消費貸借契約にかかる連帯保証契約締結の代理権限もまた,父YはZに対して授与したものと,Xは信じた。



 
これらに対する被告Yの抗弁としての「正当な理由」の評価障害事実について,以下の事実があります。評価障害事実を列挙します。




1 Xは,Zが借金をするたびに,父Yにお金の無心を行い,ついには勘当されてしまったと嘆いていたということを,XとZ共通の友人であるMから,平成28年2月上旬頃聞いていた。



2 Zが酒に酔った時に,父親の実印のあるところだって知っているし,金庫の暗証番号だって知っている,といっていたことをXは覚えていた。すなわち,印鑑の保管状況から判断して,Zが,父Yの実印を盗取,冒用できることをXは知悉していた。

( → そもそも,主債務者と保証人が赤の他人ならぬ,同居の親族,しかも親子であるという人的属性から,息子が親の印鑑を容易に持ち出せる一般的可能性,危険性もありうる,この点についての考慮も忘れてはならない。)




3 Zは,ギャンブルで作った消費者金融からの借金を返済するため,金を借りるのだと,Xにその理由を説明していた。



4 マンション賃貸借契約にかかる連帯保証契約につき,ZがYの代理人になることを,Xは平成28年3月中旬ころYから聞かされていた。




(→ 不動産会社における連帯保証契約締結については,当該保証契約締結のためだけに目的を限定した,YからZへの実印預託がありうることは,Xにおいて,当然,予想できたことである。そして,勘当されたZのこれまでの借金にかかわる経緯を平成28年2月上旬ころ既に知悉していたXにとっては,Zの預託目的に反する実印使用のありうることも,当然,予想できたことである。「事実に対する評価を行うとこうなる。」)






[注意すべき点:保証意思の直接確認]


(Y本人に対する直接の意思確認の懈怠)
5 父Yに借金の返済の件で勘当されたことのある息子の主債務者Zが,保証人となるべき父Yを代理して,120万円もの金銭消費貸借に係る保証契約締結の代理行為を行った。それにもかかわらず,Xは,Yに対してその保証意思の直接確認を何ら行っていない。



( → 主債務者であり,利益帰属主体たるZ自身が, 120万円もの保証債務を負い不利益を被ることとなる保証人Yの代理人になるということは,利害が対立しているものの間における代理行為であり,当該代理権授権行為の存在そのものにつき,疑いを差し挟むべき事情があったと言える。特に借金で勘当した親子間では,そうである。「事実に対する評価を行うとこうなる。」)

( → 主債務者・保証人間の潜在的な利害対立が,求償権行使の局面で,顕在化する危険も考慮しなければならい。)





注意点→本件においては元来,保証意思の確認を行ったことが,原告における正当理由の評価根拠事実となるはずです。

本人に対する意思確認の方法としては、実印と印鑑登録証明書の所持、及び印鑑登録証明書による印影照合を挙げることができます。
しかし、それだけで足りる事案であったのか!?


それだけでは不十分であった。

つまり、本設例は
借主、保証人間の潜在的利害対立があるなか不利益を受ける保証人本人を、利益を享受する借主である主債務者が代理して、連帯保証契約を締結する状況、
同居の親子という実印、印鑑登録証明書の無断入手の行われ易い状況、
その他諸々の経緯からして、
Y本人に対する直接の保証意思確認までもが是非とも求められる事案であった。


しかるに,原告Xは被告Yに対して保障意思の直接確認を行っておりません。これは原告にとって、「正当な理由」を基礎づける評価根拠事実の中の重要な一つが欠落していることを意味します。

そこで,かかる保証意思確認の懈怠事実を以て,今度は被告側から逆手にとってこれを評価障害事実として記載することが考えられます。

現実の訴訟の場においては,被告側から,保証意思確認の懈怠事実を答弁書、準備書面に記載するのはごく普通のことであり,寧ろ記載すべきでしょうし,しかも,評価障害事実の一つとして懈怠事実を指摘することと思われます(「評価障害事実」という用語を明示せずとも、最低限、本人に対する直接の意思確認の懈怠事実については、これをしっかりと摘示することでしょう。)。

裁判所にしてみれば、保証意思の直接確認の有無は重要な争点となり得るものであるのに,これにかかる確認の懈怠事実の主張を行わなければ,何故にかかる事実主張を被告は行わないの・・?何か特別な事情(特段の事情)でもあるの・・?,となるでしょう。重要な争点であるのに、漫然とこれを見過ごし、争点提示を行わないとなると、場合によっては依頼者とのトラブルにも発展しかねません。これが実務というべきものなのではないでしょうか。



話をもどしますと、先ず本件における「保証意思の確認」については,確認を行ったことが正当理由の評価根拠事実となります。

そうすると,本件では,原告Xは,被告Yに対して直接意思確認を行っていないので,評価根拠事実としては,保証意思の直接確認を記載することはできません。

そこで、直接の意思確認を行っていないことを評価障害事実として記載します。

この点、本設例とは事案を異にしますが、以下の法律書においても、本人に対する意思確認の懈怠事実を、評価障害事実と位置づけて記載しています。ご参照ください。
「要件事実論30講 第4版」村田渉、山野目章夫 編著 弘文堂 (第18講)317ページ、320ページ
「事案分析  要件事実ー主張整理の基礎」高須順一、木納敏和、大中有信 編著 弘文堂
(第4問)78ページ





(注∗)今回の設例は,原告Xにおいて保証意思の直接確認を行ったとは記載されておらず,逆に保証意思の直接確認が行われていなかったとされる事案でした。つまり、評価障害事実として保証意思の直接確認が行われていなかった事実を解答する問題でした。
しかし、試験問題の原告Xの言い分に,原告が被告に対して保証意思の直接確認を行ったと同時に記載されていれば,正当理由の評価根拠事実としても、保障意思の直接確認を行ったとする事実併せて記載すべきです。



(なお,私のサイトの記事に誤りがありうることは,既に記載させていただいたとおりです。自己責任でお願いいたします。ご了承ください。)















 以上,検討してみました。




 上記は,認定考査用に純粋な要件事実として,一先ず,概ね事実のみを事案から抽出してみましたが,事実に対する評価も併せて起案することになるのが,実務での訴状,答弁書,準備書面ということになるでしょう。




 しかし,認定考査は,認定考査用の要件事実の書き方があるので,予備校テキスト,市販のテキスト,過去問集等で事案類型ごとの規範的要件の事実の書きっぷりを是非確認された方が,よろしいでしょう。 
 事案類型によっては,事実と評価が,混然一体となりこれを切り離せない,あるいは,切り離さない方がよいものもあります。

 

 
 なお,認定考査においては,限られた時間,かつ,限られた答案用紙のスペースを考えれば,すべての規範的要件の事実を書くことは困難です。重要なところを取捨選択して書かざるを得ないでしょう。














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2017年04月03日

簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の仕方 その2

 侮ることなかれ,司法書士倫理。司法書士倫理は,縁下の力持ち。
 40点台ボーダーをキープする上での力持ち。

 簡裁訴訟代理等能力認定考査を受験される方は,是非とも,今のうちから,司法書士倫理について,手ぬかりなく勉強された方が,よいでしょう。

 特別研修で使用したテキストに掲載されている司法書士倫理の事例問題は,満点を取るくらいの基礎中の基礎として,当然の準備対象です。当該事例問題を解答するためには,司法書士簡裁訴訟代理等関係業務の手引を読まなければなりません。「司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引」平成29年版は,必読書といえましょう。

 同書とは,親友と呼べるくらい,ページを開いてお付き合いした方がよいでしょう。
また,特別研修で使用したテキストに掲載されている司法書士倫理の事例問題中の訴額算定の部分については,しっかり理解,記憶された方がよいでしょう。これも危ないです。

 司法書士倫理の論述問題では,キーワードを記憶して,答案の中で,そのキーワードを展開するのが,よいでしょう。

 キーワード中心の採点基準だと思われますし,論理展開はキーワード中心の方が分かり易いです。

 例えば,主債務者Aと,連帯保証人Bを共同被告とした貸金返還請求訴訟における被告AB両名から訴訟代理の依頼を受けた場合に,認定司法書士は,これを受任できるか?
という事例の場合に,以下のようなキーワードを使って論理を展開します。

 A,Bの訴訟協力が見込め,有利に紛争解決が望める段階では,利害対立は潜在的であるから,依頼を受任できる。
 しかし,依頼を受任する際には,将来的に,AB両名の利害対立が顕在化したときには,両名の代理人を辞任する旨,あらかじめ伝え,その同意を両名から得ておく必要がある。

 この場合の,AB両名の利害対立とは,連帯保証人Bからの主債務者Aに対する求償権の行使を意味します。

 以上は,司法書士倫理61条4号に該当するか否かに関する問題です。
キーワードを以下に羅列します。

訴訟協力
「潜在的」利害対立
利害対立の「顕在化」
代理人を辞任
説明 同意
求償権の行使

これらキーワードを使用して論理を展開します。

そのほか,有名どころキーワードとして,
司法書士倫理23条の「職務の公正を保ち得ない事由」
の「職務の公正」などがあります。



[認定考査のための必読書]

「司法書士 簡裁訴訟代理等関係業務の手引」
平成29年版
日本司法書士会連合会 編
日本加除出版












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(司法書士試験) 択一問題の解答に迷った時にとる方法


 司法書士試験の択一問題を解いているときに,どうしても,肢を絞れずに迷うことは誰しも避けて通れない話です。迷って時間をくえば,午後記述式の2時間分の時間配分の計画はくるうし,そうかといって,択一の基準点もあるし,上乗せ点もあるしと,いよいよ切羽詰まって,なおさら,頭が働かなくなるということは,誰しも経験のあることでしょう。

 この場合,私は,直感も大事にします。直感は,実は,今まで勉強したことの理解・知識を総動員して,レイコンマ何秒で,脳の中から答えを導き出してきてくれるものです。最初の一瞬でひらめいたその答えを,なんだかんだ,ああだこうだと考えて,修正した答えは,大体,間違っています。瞬時にひらめいた,その答えが正しかったという経験は,誰にでもあるのではないでしょうか。
 
 瞬間的ひらめきは,あてずっぽではなく,リーガルマインドに照らして,法律的にすじの通る答えであることが多いです。脳は,瞬間的にリーガルマインドを働かして答えを出しているのです。

 瞬間的ひらめきを,鉛筆を転がして出した答えと同列に考えるのは,私は,誤っていると思います。瞬間的ひらめきは,実は,相当な習練を積んできた試験勉強の結果,賜物であると考えられます。科学的な話は分かりませんが,科学的に証明されうる脳の働きではないかと思っています。

 そうはいっても,瞬間的ひらめきによって解答する恐怖心は,なかなか捨て去ることは出来ません。そこで,答えが決められないときには,問題に大きく丸をつけて,絶対に解き忘れをしないようにした上で,つぎの問題に瞬時に移行するということもよくします。こうして,後に問題を解きなおした時に正解を導き出せることが多いです。

 数問解いて,また,さっき迷ってどうしても答えの出なかった問題に戻ると,その時には,すんなりとその問題の答えが出てくるという現象を経験しています。さっきまで,自信がなかったのに,時間を置いて解きなおすと,自信をもって解答できるまでになっているのです。この問題解析度は,かなり鮮明で,他の最初から自信をもって解答できた問題と遜色ない程度までに自信をもって解答できます。この時には,この問題に関連する知識が,脳から呼び出されている状態です。

 他の問題を解いている間に,どうやら,潜在意識が同時並行的に答えの出なかった問題に関する知識を呼び覚ましていてくれたからこそ,自信をもって解けたのではないかと思えます。

ところで,法務省サイドとしては,鉛筆を転がして答えられて正解されては困るので,あなたが,今まで勉強してきた知識とその理解を類推して,この問題を解いてください,といった出題形式をとることがあります。

 この問題は末出だけど,あの知識,あの利益状況,あの考え方と似ていると思えれば,既に持っているその知識,その理解を前提として,末出の問題を解くことが出来ます。そうした問題の解き方で正解に達することも現実にできます。

 ですから,末出の問題は,既出の知識,理解を類推して解く。その結果を信頼して,マーク―シートを塗る。これを励行する。そうすると点は上がると思います。

 恐怖心が一番少ない問題の解き方順でいうと,答えの出ない問題は取りあえず飛ばして,数問他の問題を解いてから,元の解けなかった問題に戻る。それでも,他の問題と同様に自信をもって知識を思い出して解けなかった時には,今まで習得した似た他の知識,理解を援用し類推判断し,問題を解く。それでもダメなら,初見時のインスピレーション通りに解答する。私は,こうした解法パターンをとることが多いです。

 なお,以上の話は,死なない程度にまでに,それこそ試験勉強を必死にやり通して,試験会場に臨んだ場合の話ですので,中途半端な勉強量では,効果的でない話です。また,一肢,一肢しっかり過去問を検討して勉強した人の頭を前提とするお話です。もちろん,テキストの読み込みもみっちり繰り返した人を前提とするお話です。

















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2017年03月31日

公示送達と証拠調べ

 公示送達においては,証拠調べを実施します。何故なら,擬制自白が成立しないからです。
したがって,口頭弁論期日には書証の原本を裁判所に持参することを忘れないようにしなればなりません。

 また,請求原因の記載漏れがあると,即日の調書判決もできなくなってしまうことにも留意しなければなりません。公示送達前,裁判所書記官から補正連絡があれば事無く済むのですが,注意が必要でしょう。

 さらに,証拠調べが実施できるということは,原告の当事者尋問も,被告欠席のもとで実施できるということです。証拠調べは,訴訟当事者が期日に出頭せず口頭弁論期日に在廷しなくとも,実施できるという民事訴訟法の条文を思い出してください。

 即ち,「証拠調べは,当事者が期日に出頭しない場合においても,することがてきる。」という民事訴訟法第183条の条文です。

 訴状の公示送達の場合の証拠調べは,通常,書証だけですが,事案によっては,原告当事者本人の当事者尋問を,被告欠席のまま,原告代理人が行うということもありえるのです。     以 上                                                     















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2017年03月30日

予備的 相殺の抗弁について(訴訟上の相殺)

            予備的 相殺の抗弁(訴訟上の相殺)

 
 相殺の抗弁については,特別研修受講生の中でも誤解が多いのではないでしょうか。
 例えば,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁を主張したとします。
 
 この場合,裁判所がいずれの抗弁を先に判断するか,その順序は,裁判所の自由裁量です。

 
 消滅時効の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,弁済の抗弁を先に判断して,請求を棄却しようが,裁判所の判断は,自由裁量です。そして,弁済の抗弁を先に判断し,弁済が立証されておれば,消滅時効の抗弁については,裁判所はこれを判断せずに,弁済の抗弁のみを認めて原告の請求を棄却します。逆に,消滅時効の抗弁を先に判断し,消滅時効が立証されておれば,弁済の抗弁については,裁判所はこれを一切判断せずに,消滅時効の抗弁のみを認めて,原告の請求を棄却します。
 

 この場合,仮に被告が,弁済の抗弁から先に判断してくれ,弁済の抗弁が認められなかったら,次に消滅時効の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張したとしても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,消滅時効の抗弁を先に判断して,消滅時効の抗弁が認められれば,そのまま,弁済の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。
 

 逆に被告が,消滅時効の抗弁から先に判断してくれ,消滅時効の抗弁が認められなかったら,次に弁済の抗弁を判断してくれと,抗弁の判断順序を裁判所に対して主張しても,裁判所は,この被告の主張に拘束されません。裁判所は,被告の主張にも拘わらず,弁済の抗弁を先に判断して,弁済の抗弁が認められれば,そのまま,消滅時効の抗弁は一切判断せずに,原告の請求を棄却してもいいのです。


 それは,なぜでしょう?

 被告としてみれば,いずれの抗弁によっても,請求が棄却されさえすれば,判決理由中の判断には既判力もなく、それで目的は達成され支障はないのですし,また,裁判所としても,審理の判断に柔軟性をもたせ,審理の錯綜,審理の硬直化を避け,審理の迅速化によって有限な司法資源の有効活用を図ることができるからです。


 それでは,今度は,貸金返還請求訴訟の原告の請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合はどうでしょうか?


(*これは訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする相殺の抗弁についてのお話です。⇒ あくまで「訴訟の相殺」のことです。上記は口頭弁論期日において初めて訴訟上,相殺の意思表示を行う事例です。
訴訟外において,内容証明郵便をもって,相手方に相殺の意思表示を予め行っておいて,それを後日裁判になってから,同内容証明郵便などを書証として提出して,訴訟外において相殺の意思表示を行っていたことを主張,立証するところの「訴訟の相殺」のことではありません。念のため。 )




 この場合,裁判所は,いずれの抗弁でも先に判断することが,可能でしょうか?


 答えは,相殺の抗弁を,一番最後に判断しなければならい,となります。

 その理由は,なんだとお考えになりますか?


 答えは,相殺の抗弁が認められると,被告の自働債権の失権効が実質上生じるからです。相殺の抗弁は,被告が自己の債権を失うという意味において,実質,敗訴に等しいからです。


 それでは,裁判所に相殺の抗弁が認められた場合には,これに既判力が生じるでしょうか?

 答えは,既判力が生じます。
 既判力が認められた結果,被告は,後訴において自働債権の請求主張を裁判所に認めてもらえなくなります。まさに,これは,被告の自働債権が相殺の抗弁として認められたことにより,被告が自働債権を失ったことを意味します。
 
 消滅時効や弁済の抗弁により,裁判所が請求棄却の判決をしてくれれば,被告は,自働債権を失わずに済んだものを,相殺の抗弁を先に判断されたがために,失わなくて済んだ自己の自働債権を失ったということになります。

 そのため,このようなことにならないために,貸金返還請求訴訟の原告の貸金返還請求に対して,被告が抗弁として,弁済の抗弁と消滅時効の抗弁,さらには相殺の抗弁まで主張した場合,裁判所は,消滅時効の抗弁,弁済の抗弁のいずれも排斥した場合に初めて,被告の相殺の抗弁の主張を最後に判断するのです。[注1]



 
  訴訟上の相殺の抗弁は,裁判所に判断されない限り,被告の答弁書,準備書面において,その主張をしただけで,被告は自働債権を失うことにはなりませんので,ご注意を! この点を,誤解されている方がいらっしゃるのではないでしょうか。

 そして,被告は,相殺の抗弁を主張する場合,わざわざ「予備的」にと断った上で相殺の抗弁を主張しなくとも,ただ単に「相殺の抗弁」を主張するだけでよいのです。裁判所は,弁済の抗弁,消滅時効の抗弁を立証なしとしてこれらを排斥した場合,最後に被告の相殺の抗弁の成否を判断してくれるのです。[注2]

 この点,「予備的」に主張しなければ,裁判所は,相殺の抗弁を最後に判断してくれないものと誤解している方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんなことはなく,当然に,裁判所は,相殺の抗弁の成否を最後に判断してくれるのです。
この点は,誤解の多いところかもしれません。




 また,消滅時効の抗弁と,弁済の抗弁とでは,証拠関係,訴訟の経緯にもよりますが,裁判所は,通常,判断の容易な消滅時効の抗弁を先に判断し,これが認められれば,直ちに,請求棄却の判決を行うということが多いでしょう。弁済の抗弁まで,判断するに至らず,訴訟に決着がつくということです。

 なお,上記の相殺の抗弁は,講学上,予備的相殺の抗弁と言われています。特別研修受講生の中には,「予備的相殺の抗弁」という言葉は思いつくものの,それ以上に上記のような相殺の抗弁の実質的判断については,これを理解していなかったという人も案外多く見受けられたのではないでしょうか。

 また,講師弁護士の先生の中には,講義中,予備的相殺の抗弁について触れない先生も,案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。危険負担に関する債権者主義,債務者主義の概念説明についても,これを行わない講師弁護士の先生も案外結構多くいらっしゃったのではないでしょうか。民法534条は,強行規定ではなく,任意規定なのでありますから,是非とも,特約により契約当事者間で,債権者主義から債務主主義に変更したとも解釈できる契約条項については,「債務者主義」のコメントも行ってほしいとお考えになった特別研修受講生もいらっしゃったのではないでしょうか。

 相殺の抗弁については,裁判所職員総合研修所監修,「民事訴訟法講義案」(三訂版)に掲載されています。ご参考までに。                               以 上
                                            





[注 1、2]

訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする相殺の抗弁においては,裁判所は,当事者の付した順位に拘束され,又は当事者が順位を付さない場合であっても,まず,原告の請求権の成立を確定し,相殺以外の抗弁(例えば,当事者の主張した弁済の抗弁,消滅時効の抗弁)が成立しない場合に,初めてその判断に入ることが許されると解されています。[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p110 参照]



繰り返しますが,このように言えるのは,あくまで訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする場合です(訴訟の相殺)



訴訟外において相殺の意思表示をし,その結果,原告の請求権が実体的に消滅していると主張する場合とでは異なるとされています。
[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p110(注2)参照][民事訴訟法講義案(三訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会 p235参照]



「訴訟の相殺」と「訴訟の相殺」とでは,概念上区別しなければなりません。





要件事実の記載例(あくまで参考例です。念のため。自己責任でお願いします。)



訴訟の相殺(訴訟において攻撃防御方法として相殺の意思表示をする場合)としての相殺の抗弁



1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。

2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp110では記載がない。]

3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をする。



[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p110参照]


[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp110では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
試験と実務ではこれを分けて考えるべき,といえる場面の一つです。]



[上記3の「平成 年 月 日の本件口頭弁論期日において」については,民事実務講義案Tp110では記載されていない。しかし,認定考査対策上は,訴訟上の相殺,即ち,期日において意思表示を行ったことを明確にするため記載しておくべきでしょう。]

[認定司法書士への道 要件事実攻略法 第3版 蛭町 浩 著 p184~185参照]






訴訟において相殺の意思表示をし,その結果,原告の請求権が実体的に消滅していると主張する場合の抗弁 → 訴訟外でなされた相殺の意思表示



1 被告は,原告に対し,平成 年 月 日,100万円を,返済期平成 年 月 日との約定で貸し付けた。

2 平成 年 月 日は到来した。[←民事実務講義案Tp111では記載がない。]

3 被告は,原告に対し,平成 年 月 日到達の書面で,1の貸金債権と本訴請求債権とを対当額で相殺する旨の意思表示をした。



[民事実務講義案T(五訂版)裁判所職員総合研修所 監修 司法協会p111参照]


[上記2の「平成 年 月 日は到来した。」については,民事実務講義案Tp111では記載がない。実務の答弁書・準備書面においては,当然のこととして記載しないことが事実上多いだけであって,しかし,要件事実としては必要なものです。
勿論,認定考査においても,記載する必要があります。
試験と実務ではこれを分けて考えるべき,といえる場面の一つです。]









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簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の仕方 その1

 簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格する上で絶対に避けて通れないことは,何だと思いますか?
 それは,要件事実を実際にペンをとって書くことです。
 
要件事実を頭の中で,いくら反芻してみても,実際,解答用紙に要件事実を落とし込もうとする段になると,皆さんは全く筆が進まないということを実感されることでしょう。司法書士試験の記述式試験を思い出してみてください。

記述式の解答をする段になると,本当に,筆が進まないという経験をして,初めて,これではいけないと思い直し,実際にペンをとって申請書を書く練習を開始されたという方が,合格者の大半なのではないでしょうか。

 このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査にも全く当て嵌まる事実です。記述式の受験勉強でのこの書式を実際にペンをとって自分の手で書かなかったという,この失敗を,もし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の試験勉強においても,繰り返すならば,認定考査の当日,顔が真っ青になる事態を経験されることになるでしょう。

それでは,何を素材にして,実際に要件事実を書く練習をすればよいのでしょうか?
現在市販されている要件事実本の中で,基礎的な練習をするのに最も適した書籍は,伊藤塾講師の坂本先生の執筆された「要件事実ドリル」と言えましょう。

「要件事実ドリル」は,売買,賃貸借,消費貸借のいわゆる売・賃・消の要件事実だけでなく,債権譲渡,請負契約,不法行為,不当利得,登記請求,その他債務不存在確認訴訟まで網羅した要件事実の練習本であります。言い分形式に従って,訴訟物,請求の趣旨,請求原因を実際に書かせる基本問題で構成されています。

この問題を繰り返し解いていくことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格の基礎を固めるうえで,とても有効といえましょう。

問題が複雑ではなく,単純であることが重要なのです。基本の要件事実の型を習得するには,問題が複雑だとかえって効果が半減します。基本型をしっかり習得することが何よりも大切です。

実際の簡裁訴訟代理等能力認定考査は,この基本問題の複数組み合わせで構成された問題であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査の問題は,多くの場合,この「要件事実ドリル」の一つ一つの問題に分解還元できるものでありまして,そういった問題が同試験には実際に出題されているのが現実なのです。

ところで,もしかしたら,この「要件事実ドリル」を手に取って,ページを開くと,無味乾燥な問題が掲載されていると思われる方がおられるかも知れません。

しかし,要件事実それ自体が,一見して無味乾燥に見えるものでありますから,これは致し方ないことなのです。要件事実は,私たちの法現象的日常生活の局面局面を,法律要件的事実群に分解・収斂し,これを法律の文言,証拠との距離,立正の難易,その他訴訟当事者の公平性等を考慮して,原・被告訴訟当事者間にその立証責任を分配して,事実の存否不明の場合においてもなお,国民の裁判を受ける権利保障の観点から,裁判を可能とすべく,形成されたものであり,要件事実それ自体が,そもそも,無味乾燥な生活事実群から生成形成されたものだからです。

したがって,要件事実を勉強をしたからといって,別段,人の教養を高めたという実感が湧かないのが現実です。ありふれた事実群を法律的観点,理由づけから分類したその結果を記憶する作業と言っても過言ではないでしょう。勿論,記憶するためには,法論理的な理由づけも理解する必要があります。

ただ,単調作業的な勉強であることは否めないでしょう。これが,要件事実を学術的に探究するのではなく簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験勉強」をするという場合の実態なのです。どうしても,「試験勉強」という割り切り,覚悟が必要となります。

ですから,まずは,基本的な問題で要件事実の型を学び,これを正確に記述できるようになることが,簡裁訴訟代理等能力認定考査の最も効果的な試験勉強ということになります。

結論としては,要件事実をともかく書く。書いて書いて書きまくる。これを怠らないようにすることをお勧めします。

また,特別研修で使用したテキストは,とてもよく練られた良質のテキストです。

簡裁訴訟代理等能力認定考査の範囲には,当然,特別研修で使用したテキスト等がその範囲に含まれるので,当該テキスト等の範囲については,定評ある参考書や,予備校利用者であれば,その予備校で使用したテキストとも照らし合わせて,復習しておく必要があるでしょう。 
 法務省も確認していると思われます。
                  以  上
                                           
 参考書籍   「要件事実ドリル」  
         [監修] 伊藤塾  
         [著者] 伊藤塾講師 坂本龍治先生 
         [出版社] 弘文堂









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簡裁訴訟代理等能力認定考査 絶対合格!!


簡裁訴訟代理等能力認定考査について,1回で絶対合格するには,どうすればよいか。
 答えは,予備校を利用するのがベストです。

 司法書士試験は,本当に難しい。世間一般の方々には,司法書士試験が超難関でることは余り知られていないのが現実です。出願者数に対する実際の受験者数の受験率ベースで見ると,100人受験して,約4人しか合格しない試験であります。200人の受験生が一つの教室で試験を受けたとしましょう。その中で,たったの8人くらいしか合格できないのです。

しかも,1年たったの1回しか行われない試験であります。その教室の残り192名の受験生は,また来年に受験しなければ,合格を手にできません。その来年もまた,合格率約4%の試験に挑まなければならないのです。出願者ベースで合格率を見ると,約3%となる,厳しい試験であります。それどころか3%未満の年度もあります。

 それでは,かかる超難関試験を見事合格した者が,何故に,簡裁訴訟代理等能力認定考査に不合格となってしまうのか。

 それは,超難関試験に合格したことからくる慢心が,第一の最大要因であります。簡裁訴訟代理等能力認定考査を極めて甘くみているのです。簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は高い時で7,8割,低い時で6割りくらい。これだったら,あの超難関司法書士試験に合格した自分が,落ちるわけがない,決してない,と勝手な思い込みをしてしまうことが,この不合格の最大要因なのです。

 第二の要因は,前年不合格となった者が,次年度,再度,簡裁訴訟代理等能力認定考査に挑戦してくる現実を知らないことです。あるいは,前々年度,不合格となった者が受験してくる現実を知らないことです。自分の合格年度の同期しか受験していないと,勝手に思い込むことがまた更に,不合格の危険性を高めていくのです。

 実際,ある年度の簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者の顔ぶれを見ると,その約半数近くが,前年,前々年度の,あるいは数年前の不合格者がリベンジして合格しているのです。また,そもそも,司法書士試験合格後,数年して初めて簡裁訴訟代理等能力認定考査を受ける者も少なからずあります。このような受験状況が,司法書士試験直近合格者の約5割前後が,この試験に落ちることを裏付けているのです(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)。

 このような受験状況においては,予備校を利用してしっかりと試験対策を立てて勉強しなければ,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格は,かなり危ういものとなってしまうでしょう。

 簡裁訴訟代理等認定考査なんて,独学で合格して当たり前という空気は,特別研修受講生の中にも結構あります。独学で合格すれば,自慢になると思っている人も中にはいるかも知れません。つい数年前まで巷で簡単簡単と言われていた試験であるから,そう信じてしまうのも無理がないかもしれません。


しかし,直近司法書士試験合格者の約5割前後(注意:年度によって異なるので、直近の合格率を確認してください。)が落ちる試験であること,前年,前々数あるいは数年前の司法書士試験合格者が,直近合格者に交じって簡裁訴訟代理等能力認定考査を受験してくる現実は,しっかりと見据えなければ大変な事になるでしょう。

 そこで,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率を法務省サイドで上げればいいではないかと言われるかもしれません。

 しかし,正直申し上げます。特別研修の受講生のレベルを見ると,それは,危険です。合格率を上げれば,国民が弁護過誤によって被害を受けるかもしれません。
宣誓した証人が自己の記憶に反する事実を陳述することが,偽証罪の構成要件の「虚偽の陳述をした」に該当することを知らないで,模擬裁判の打ち合わせに臨み,分けのわからない質問をする特別研修受講生もいたようです。偽証罪の主観説,客観説は,司法書士試験の択一の過去問で穴埋め問題として問われているのに,これを全く理解していないらしいのです。

実際の事案の中で,判例・主観説を当てはめて事実を理解することができていないらしいのです。偽証罪の構成要件を理解できていない結果,本来ならば偽証罪の構成要件に該当しない,証人の訴訟の勝敗を決する重要証言ですら,これを差し控えさせ,これにより自己側申出証人から重要な証言を人証調べで顕出することを怠ることがあれば,それは重大な過ちをおかしたことになります。

また,相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのに,原告の主張に対する被告による認否を行なっていない準備書面を起案してくる特別研修受講生もいたようです。さらに,被告の認否をしなければいけないと指摘されれば,今度は,原告主張に対する被告の認否は不要で,被告の主張をただ述べれば,それだけで十分だなどと言って胸を張る特別研修受講生もいたようです。相手方原告の準備書面が5,6ページにも渡っているのにもかかわらずです。主張に対する認否が,争点整理に直結する,このことに思いが至らないらしいのです。
簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが,正直な感想です。

 ともかく,簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格して当たり前の試験,不合格は不名誉なことと,認定司法書士,特別研修受講生の間での共通の認識となっているのではないでしょうか。しかしそれでも,実際のところ,簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格しただけでは,実力者とは言えません。そのまま実務に船出するようなことがあれば,手厳しい現実に遭遇することになるでしょう。

 このことは,簡裁訴訟代理等能力認定考査合格者が,己の胸に聞けば,自ずと答えは明らかです。

ですから,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格率は,6割でも多いほうかもしれないというのが正直な感想です。

 しかし,簡裁訴訟代理等能力認定考査の合格者を見ると,およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生が合格し,この人こそ,実務にでたら相当な実力者になると思われる特別研修受講生が落ちていることもあります。なんとも皮肉な結果であります。受かって当たり前の簡裁訴訟代理等能力認定考査,落ちることは,不名誉なことと思われている現状があります。実力者でありながら不合格となった特別研修受講生の気持ちを察すると,気の毒でしようがありません。

しかし,現実を見れば,全く不名誉なことではないと強く感じます。少しでも気持ちが落ち込むことがあれば,それは,まったく無駄でしょう。不合格となった特別研修受講生の中には,書面作成能力においても,事案の法律構成力においても,対人能力においても,そのほかあらゆる点において,合格者よりも格段に優れ,且つ頭の回転の素晴らしかった人はたくさんいたと思われます。

ただ,簡裁訴訟代理等能力認定考査の「試験対策」を怠ってしまった。ただ,それだけで不合格になった特別研修受講生は結構な数いると思われます。

およそ実務に出たら恐ろしい結末を招来するであろうと思われる特別研修受講生は合格しても,その書面作成力,事案分析能力,法律構成能力において,その実力は,合格後も依然向上していないと思われます。ただ,認定考査に合格しただけです。
しっかりとした指導者の下,相当数の実務経験を積まなければ,危ういでしょう。

一方,先の実務能力に優れた不合格者は,不合格後においても,その実務能力は維持しているでしょう。あとは,今度こそ,試験対策をしっかりと行い合格を果たし,合格後は適切な指導者の下,飛躍的にその実務能力をさらに高めていくことでしょう。このような方こそ,実はかえって司法書士の実力,社会的地位を向上させていかれる方ではないかと思われます。

 確かに,超難関な司法書士試験を合格したことは,本当に素晴らしいことです。誰にでも簡単にできることではありません。針の穴に糸を通すようにして合格した,その努力,試験におけるその実力は最高度の称賛に値します。この事実は,疑いようがありません。

 しかし,司法書士試験に合格したことと,裁判実務を行うこととは,全くの別次元であります。裁判実務においては,殊に法律事務所の選りすぐりのパラリーガルしかり,訴訟案件を扱う会社の法務部しかり,司法書士試験合格者が足元にも及ばない実力者が,実務に出ればたくさんいるのです。
 簡裁訴訟代理等能力認定考査は,合格してなんぼのものであります。合格は,実務家としての最低限の「けじめ」であって,それ以上のものでもなく,それ以下でもありません。

 簡裁訴訟代理等能力認定考査に合格するのには,気持ちを割り切って,司法書士試験の受験時代のように試験対策を入念に積み上げ,気持ちを引き締めて,しっかりと勉強することをお勧めします。予備校を利用するのもしないのもご自分の結果に対する責任です。ただ,予備校を利用するのが一番安全で,しかも,効率がよいことは,これもまた事実でしょう。

 簡裁訴訟代理等能力認定考査を甘くみずに,司法書士試験の受験生時代のように本気で試験対策を練られることをお勧めします。そして,独学でも,予備校でも,必死に勉強されることをお勧めします。


                                   
                                    以   上




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