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2017年10月29日
【中之島公会堂】こと【大阪市中央公会堂】
中之島公会堂こと大阪市中央公会堂
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絵になる建物・・・数多くありますが、大阪のシンボル的な存在も兼ねている【中之島公会堂】に前回の美術館からも近いので、久しぶりに足を延ばしてみました。
(中之島公会堂の姿は絵心をくすぐるようで、沢山の作家の方が公会堂を描いています。)
(対岸から見た大阪市中央公会堂)
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(北浜2の交差点から見た大阪市中央公会堂)
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(公会堂入り口辺り)
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私たちは中之島公会堂とよく言うのですが(もちろん、友人・知人間でも中之島公会堂なのです。)、正式名称は【大阪市中央公会堂】です。
美しいフォルムを持つ大阪市中央公会堂(中之島公会堂)は、1918年(大正7年)11月17日に開館しました。
国の重要文化財です。
国指定重要文化財ながら、貸室利用(コンサート、展示会、講演会、各種パーティーからサークル活動まで使用可能)やレストランもあり、文化・芸術・学術が集う場として大阪のシンボル的な存在です。
大阪に大正時代から存在している建造物。
街にすっかり溶け込んだその風景で、市民からも親しまれています。
歴史と文化と芸術と知とを兼ね備えて、大阪市内の一画に美しく、今も建っています。
約一世紀に渡り、国際的な一流アーティストによるオペラやコンサート、各界著名人の講演会などもありました。
大阪市中央公会堂(中之島公会堂)に集う華麗で著名なる人達・・・。
また沢山の創作者(クリエイター)を引きつけて来ました。
私個人は、国際的に有名な建築家・安藤忠雄氏が自ら発案・設計された中之島プロジェクトU〔アーバン・エッグ〕案が印象深いです。
中央公会堂の内部に長径32m、短径21mのアーバン・エッグを内包させる計画案。
名前の通り、巨大な卵(型)を埋め込む案でした。
内部は約400人の収容ホールであり、卵(型)周辺部分をギャラリーとして考案されていました。
単純にいうと、フォルムは中之島公会堂が巨大卵を飲み込んだ形。
初めて拝見した時、あの中之島公会堂をこう考えるんだ・・・と安藤氏の設計案に驚いたことを覚えています。
(自宅本箱から取り出した(SD89 09創刊300号記念特大・安藤忠雄特集)より。著作権があるので一部掲載のみ・・・雰囲気が伝わるといいのですが。
図面などの詳細や興味のある方は、建築家・安藤忠雄氏関連書籍などで確認して下さい。)
安藤氏らしい随分と切り込んだ案でもあり、中之島公会堂の歴史と現代を交差させるような案でもありました。
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元々、大阪市中央公会堂(中之島公会堂)は、岩本栄之助が公会堂の寄付を明治44年(1911年)に決めたことから始まります。
すぐに公会堂建設のための財団法人が設立。
その建築顧問に日本建築界の第一人者である辰野金吾が選ばれました。
その元で、当時としてはまだ珍しかった設計競技を行います。
今で言う建築設計コンペです。
日本を代表する13名の建築家が設計競技に参加しました。
実施設計担当の片岡安もその一人でした。
一等入選は弱冠29歳の岡田信一郎。
その岡田信一郎の案を元に手を加えたのは、実施設計を担当した辰野金吾でした。
岡田案のネオ・バロック調の外観から、辰野流・赤レンガと花崗岩を組み合わせた古典的様式をもって、ネオ・ルネッサンス風意匠に変えてしまいました。
今、大阪市中央公会堂(中之島公会堂)を彩っている赤レンガなどの外観は、東京駅を手掛けたことで有名な辰野金吾の作と言っても過言ではないかと思います。
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中之島公会堂=【大阪市中央公会堂】の設計は、原案:岡田信一郎、実施設計:辰野金吾・片岡安です。
(ちなみに辰野金吾氏は東京駅を設計した有名な建築家です。)
鉄骨煉瓦造(屋根鉄骨造)、基礎免震、鉄筋コンクリート造の構造を持つ地下2階、地上3階の建物。
1918年(大正7年)開館。
1999年3月〜保存・再生工事開始、2002年9月完成。
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個人的なことですが、今から数十年前、二十代の頃、よく大阪市中央公会堂(中之島公会堂)に行きました。
図書館の近所でもあり、私が従事していた仕事場の近所でもあったので、その行き帰りに。
その頃、中之島公会堂には当時としても随分とレトロな、時間が止まったようなレストランがあり、そこで定番のハヤシライスをよく食べたことを覚えています。
仕事の合間のランチなのですが、独特のレストランの雰囲気に癒され、元祖?ハヤシライス?!とも言えそうなシンプルなケチャップライスと上に乗ったグリンピースがとても懐かしいです。
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今はレストランは改修され、本格的なレストランに生まれ変わっているようです。
●レストラン「中之島ソーシャルイートアウェイク」
料理監修は、ミシュランスターシェフ。
和の素材を用いたフレンチ・イタリアン料理。
重要文化財である大阪市中央公会堂(中之島公会堂)の美しさを活かしたインテリア。
(ロンドン拠点のインターナショナルデザイン集団Tom Dixonやバルニバービデザインスタジオとのコラボレーションだそうです。)
クラシックとモダンが融合した感じのようです。
バルとダイニングのふたつのエリアに分かれていて、バルの方は仕事帰りにカジュアルにワインやビールも楽しめるようです。
もちろん、ダイニングの方でしっかりとした食事を味わうことも。
ウエデイングパーティーや同窓会、歓迎会、女子会にも利用されているようです。
またアウェイク名物の牛肉煮込みオムライスも楽しむことが出来ます。
食べログ等にもよく出ているので、参考にのぞいてみて下さい。
〜〜〜レトロな時が止まったかのようなレストランとハヤシライスも懐かしいのですが、また新しく生まれ変わったレストランで飲食するのも楽しそうです。〜〜〜
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話はレストランに行ってしまいましたが、中之島公会堂の周辺をのんびり散策も自転車で回るのも、お勧めです。
中には周辺をランニングされている方も。
ここ界隈を見ていると、大阪もパリの街並みのように素敵だなぁと感じます。
実は阪神高速から見るライトアップされた中之島公会堂も綺麗です。
私はこの公会堂が昔から好きで、目的地から外れるのにわざわざこの公会堂見たさに阪神高速をぐるりと回っていたりしました。
中之島公会堂のライトアップは独特です。
春(3月・4月)・・・・・・・・・・・全点灯(19:00〜22:40)
夏(5月・6月・7月・8月)・・・・・全点灯(19:30〜22:40)
秋(9月・10月)・・・・・・・・・・全点灯(18:30〜22:40)
冬(11月・12月・1月・2月)・・・全点灯(18:00〜22:40)
*各層消灯時間(春夏秋冬同じ)・・・・下層(22:40)・中層(22:50)・上層(23:00)
つまり春夏秋冬の日が暮れ始める頃からライトアップされ、ラストは10分おきに下層部→中層部→上層部と順番に消灯となり、最後の23:00に全消灯となります。
ライトアップされた大阪市中央公会堂(中之島公会堂)もとても素敵です。
大阪市の中心地に浮かび上がった公会堂の姿。
赤い煉瓦がよく映る日中も素敵ですが、ライトアップすると青銅色の屋根がとても映えて見えます。
また街中にいる時の時計代わりにもなりますね。(消灯時間はそれぞれの終電時間に近いと思います。)
昔からある大阪市中央公会堂(中之島公会堂)は国の重要文化財ながらも今も活躍している現役の建物。
歴史の流れも文化も知も美も身にまとい、大阪市内の中央に佇んでいます。
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【大阪市中央公会堂】(一般市民は中之島公会堂ともいう)
●国指定重要文化財
開館時間:9:30〜21:30(予約受付も同時間帯)
休館日:毎月第4火曜日(祝日の場合は、直後の平日振替)
12月28日〜翌年1月4日
住所:大阪市北区中之島1丁目1番27号
TEL:06−6208−2002
URL:osaka-chuokokaido.jp
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(次号に続く)
2017年10月08日
中之島にある【国立国際美術館】
中之島にある【国立国際美術館】
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現在、ブリューゲル「バベルの塔」展(2017年7月18日〜10月15日)を開催している国立国際美術館に行って来ました。
平日ながらも、人気のある作品ゆえか?かなり込み合っていました。
この国立国際美術館の建物は、竹の生命力と現代美術の発展・成長をイメージした外観デザインです。
地面にも(バベルの塔)が描かれています。
館内は人と美術との交流が生み出すパブリックゾーンが設けてありました。
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●ボイマンス美術館所蔵・ブリューゲル「バベルの塔」展と16世紀ネーデルラントの至宝〜ボスを超えて〜
まず館内は、ブリューゲルに影響を与えた不思議な世界を展開する奇才・ヒエロニムス・ボスの展示。
私は何故か・・・水木茂氏の世界に通ずるものを感じました。
ルネサンス期当時(生没1450年〜1516年8月9日)としては、不思議過ぎるくらい不思議な世界をキャンパスに描いています。
後のマザーグースなどの不気味で不思議な挿絵なども、このボスに影響を受けているのではないかと思うほど・・・。
初期フランドル派だということですが、彼の描く絵はどこか別世界・・・あの世か?宇宙のどこか?にでも行って見てきた?のでは?と思うほど、不思議な独特の物語。
聖書題材の聖アントニウス、快楽の園、七つの大罪などの絵が並びます。
しかし不思議な不思議な絵でした。
創造力?
ルネサンス期当時にはSFの世界はありませんでした。
真面目に聖書を題材に書いてきた絵が不思議なもの以外の何物でもないような絵に。
幻想・・・怪奇・・・怪異・・・不思議・・・と言った言葉が並びます。
シュールなのです。
ダリのシュールレアリスムのような・・・。
しかし時代はルネサンス期、真面目なキリスト教徒の聖書題材の絵。
正直なところ、このかい離がまたまた不思議でした・・・。
そしてブリューゲルの作品の数々。
人でいっぱいでした。
ブリューゲルらしい風景画や人物画が並びます。
彼独特ののどかな農民などの婚礼や生活を描いた作品には見受けられない寓意的な作品もありました。
どうも前出のボスに影響された作品のようです。
圧巻はやはり皆のお目当てであり、この展覧会の目玉作品である(バベルの塔)
この(バベルの塔)の作品を目の前で見たい人達が長蛇の列を作り、並んでいました。
そして遠巻きに眺める人達。
(バベルの塔)の絵の周辺は人で溢れかえっていました。
私はもちろん、目の前で見たい人の列に並びました。
約30分ほどでやっと順番が回って来ました。(平日だったので、待ち時間は短めだったかもしれません。)
思ったよりも小さなその絵は、とても精巧に描かれていました。そして艶やかに。
後ろにも長蛇の列。
約3分とたたないうちに絵の前から移動しました。
長蛇の列、(バベルの塔)の絵。
東京芸術大学の人達も交えて作ったという大判の複製。
そして出口付近にビデオ上映で絵の解説がされていました。
CGも使い、実際のバベルの塔に描かれている建造中のレンガやレンガを引き上げる際に出来た赤い粉に着色された棟の一部、セメント?の白い粉を被った作業する人達、(バベルの塔)にある教会とおぼしき入り口、塔の外にあるそのレンガを焼いている場所まで。
なかなか興味深く、面白かったです。
自分の目でほんの数分見ただけでは分かりづらい箇所も良く分かると同時に、あのブリューゲルの(バベルの塔)が、こんなにも細部にまで魂を入れていたのかと初めて知ることが出来ました。
改めて、絵の方に戻ると、なるほど・・・とより深いところまで分かる気がしました。
*ちなみに(バベルの塔)とは旧約聖書(創世記)に出てくるお話です。
大洪水の後、ノアの子孫は民族の分散を免れるために(共通の言語を持った人類が)天にも届く塔を建てようと計画しました。
しかし、同一言語を有する民の結束と能力を危惧した神の逆鱗に触れました。
天罰として、まず言葉がお互い通じないよう混乱させました。(バーラル)
そしてその企てをはばみ、民は町と塔の建設を投げ出して各地に散り散りになりました。
この(バーラル)という発音から似た(バベル)と街は呼ばれたそうです。
この逸話は、民族と言語の多様性を表し、また神と等しくなろうとする人間の傲慢な罪を描いていると言われています。
画家ブリューゲルはこの旧約聖書の逸話を彼の住んでいた街や時代に置き替えて、描き、表現したと言われています。
因みに(バベルの塔)に描かれている窓の様式が、それぞれ異なるそうです。
これは時間を掛けて建てられたことを表現しているとの事。
ブリューゲルはこの(バベルの塔)に渾身の力を降り注いでいたことがよく分かりました。
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(バベルの塔)展のお土産。
(バベルの塔)のクリアファイルと(バベルの塔)型したキャラメルの箱。
幼い頃、自宅にあった百科事典・美術のところに載っていたブリューゲルの(バベルの塔)を直接、見ることが出来て良かったです。
漠然とした記憶の底にあったブリューゲルの(バベルの塔)
よくよく知れば、(細部に至るまで)深い深い作品でした。
また国立国際美術館の建物もひとつのオブジェのように素敵でした。
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【国立国際美術館】
所在地:〒530−0005 大阪府大阪市北区中之島4−2−55
TEL:06−6447−4680(代)
アクセス等の詳細は、www.nmao.go.jp(国立国際美術館公式サイト)参照のこと。
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(次号に続く)