瓶底は未明の空の色だった

理想を持て
良い事をしろ
そう言われ僕は育った


何が『そう』なのか
考える必要もなく
提示されていた
メニュー


教科書にテレビに
ハリウッド映画
純粋という
愚かさの中で


光に憧れ
闇を侮蔑するのなら
漆黒でしか
呼吸できない魂は
傷つくだろう


理想を追いながら
否定していた何か
善の意味も考えず
排除していた
ゲームの中の怪物


純粋であること
醜悪であること
昼と夜があるように
切り離す事などできはしない


手を伸ばして天を望んだ
そうして
切り離した心は
誰の涙を生むだろう


秩序を護る為の道具を
正義と信じた幸福は
もうないけれど


雪のように散る翼
惜しむように抱きしめた
自由の亡骸は
そっと
息を吹き返した


混沌とした
光と闇の狭間の中で