別に生活に不満があるわけじゃない。
でも、何か物足りない。
「何が不満なんだろう」
ふと考えた。
「優しい言葉が欲しい」
結婚した頃、子供が生まれた時、いっぱい夫の拓巳から
優しい言葉をもらった。
「ありがとう」
「幸せだね」
そんな言葉をいっぱいくれた。
でも、そんな言葉、ほとんど聞いてない。
優しい言葉がないと、家事も手を抜きたくなる。
来年のおせちは、自分で作るの辞めよう。
でも、素材は気になる。
素材などを調べて発注。
手を抜いた瞬間、何か楽しくなった。
ちょっとだけ、罪悪感が出たら、自分の心が優しくなった。
「ただいま」
拓巳が帰ってきた。
「おかえり」
「来年のおせち、買うことにした」
笑顔で言ってみた。
「良かったね」
「怒らないの?そこそこ高いよ」
「そんなことで怒るわけないだろ」
そういえば、拓巳に怒られたことなんてほとんどない。
「たまには、外食したいな」
「いいんじゃない」
「じゃあ、予約するよ」
「お母さん、ご機嫌いいね」
5歳の健人が言った。
「お父さんが、優しいから」
横から拓巳が言った。
「いつもだろ」
「でも優しい言葉言ってくれないじゃん」
「いつも、感謝しているよ」
照れくさそうに拓巳が言った。
そう言われると、ちょっと、照れた。
どの店に行こうか。
何を食べようか。
家族で行くのもいいけど、たまには、2人もいいかな。
「子供をお母さんに預けて2人でもいい?」
「ああ、いいよ」
「ずるい」
と、言いつつも健人もニコニコしている。
「やっぱり、家族で出掛けるのもいいかなあ」
楽しみができた。
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