美沙は、どうしても納得行かなかった。
それまで付き合っていた隆史から、別れを切り出された。
しかも、自分の職場の後輩の美香と付き合っているという。
何もかも嫌になった。
ひとりでふらっと、どこかに行きたくなった。
それで、北海道に行くことにした。
札幌には、大学の同級生の健二が転勤でいた。
「札幌に行くんだ」
と、メールした美沙に、
「会おうよ」
と、言ってくれた。
なぜ、健二にメールをしたのか。
たぶん、会いたかったから。
2人で、ジンギスカンを食べた。
学生時代の思いで話に花が咲いた。
2人でお肉をつついていると暖かい気分になった。
「夜景がステキな場所があるんだ」
健二が連れてくれたのは、「N43」という高台の店。
夜景を見ながら、並んで座った。
2人でワインを飲んでいるうちに、美沙の目から涙が
こぼれた。
「わたし、失恋したんだ」
健二は、黙って、美沙の話を聞いてくれた。
タクシーを呼んでもらって、店を出た。
店の階段を降りている時だった。
健二が美沙の腕を持った。
そして、キス。
「これから、僕にチャンスある?」
美沙は、うなづいた。
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