2011年11月02日
DISSIDIA 012 report その1
World:A(FF1)
Place:鷹の翼と呼ばれる街
継承された記憶 01
あなたの記憶は、大きな意味を持っている。
あなた自身が気づいているように
その物語は、今回の災厄と
大きく関連している可能性が高い
本当でしょうか……。
今から私が語るのは、一人の研究者と
そして、一介の母子の物語にすぎません。
この物語を語ることで
ただでさえ絶望の淵に沈んでいる世の人々に
さらなる混乱を与えてしまうかもしれません。
あなたの語る物語を記した書類は
決して外に出ないよう、深く封印するつもりです。
いつか心ある人によって発掘され
それが読まれる時…
物語はすでに、神話となっていることでしょう。
我々にはそれらを保持する義務があります。
物語こそ、人の生きた証なのですから。
さあ、語ってください。
あなたの記憶に刻まれた物語を……。
継承された記憶 02
それは、膨大な力を秘めて生まれたとは思えない
小さな子供でした。
その力が育つまで、国が面倒を見るはずでしたが
私たちは、その子を引き取り
自分の子供のように育てることを決めました
あの無垢な瞳を前に
他の選択肢が取りえたでしょうか。
私たちの子ではなく、国の持ち物だということは
痛いほどよくわかっていました。
いつか奪われてしまうことも、その意味も。
夫は与えられた仕事に疑問を抱いているようでした。
今まで彼が発明した、浮遊石や飛空艇……
それらは人々の生活を豊かにするものでしたが
あの子は違います。戦争の道具なのです
しかし、災いはすぐそこまで迫っていました。
隣国による、召喚獣やオメガと呼ばれる兵器に
対抗する手段は他になかったのです。
彼は、私たちの平和を守るため
研究を続けなければならなかったのです。
承継された記憶 03
言葉を覚え始めていたあの子は、
私たちと意思を交わそうと
懸命に言葉を繋いでくれました。
私をママ、彼をパパと呼び
愛することに少しの疑問も抱いてなかった。
あの子は、私たちに笑顔を与えてくれました。
戦争に怯えていた私たちに
つかの間の幸せを与えてくれたのです。
ですが、それはすぐに終わりを迎えます。
戦争が……ついに始まってしまったのです。
あの子は私たちの元から隔離されました。
軍は、早々と決着をつけるため
あの子の投入を決定したのです。
あの子は大きく成長を遂げ
兵器として申し分もない力を備えていたようです。
でも、軍の命令どおりには動かなかった。
国からやってきた使者に、私は拘束されました。
「育ての親である私の命令ならば……」
そう思った軍は、私に頼ることを決めたようです。
結果、あの子は隣国を滅ぼすことになります。
業火が家々を焼き尽くし
召喚獣やオメガは、あの子の力で封印され……。
それはまるで、地獄のようでした。
……そうするより他になかったのです。
もし兵器として約に立たなければ、処分する。
そう聞かされた私は、あの子を救うため
軍の命令を、受け入れました
たとえどんなに多くの人を不幸へおとしいれようとも
私は、あの子を救いたかったのです。
継承された記憶 04
二度目の出撃を、私たちは拒否し続けました。
結局、私と夫は反逆者の汚名を着せられ
地下深くに幽閉されました。
罪なき多くの人の命を奪ってしまったことで
悲観に暮れていた私は
軍が始めていたもうひとつの研究の話を
聞きつけました。
それは、似姿を作り出す研究……。
あの子を意のままに操るため、私のコピーを生みだし
国は再び惨劇を繰り返すつもりだったのです。
あの子の力が、そこまでして得る価値のあるほど
強大なものだった、ということなのでしょう。
でも、納得がいきませんでした。
創られた命とはいえ、命に変わりはありません。
あの子だけが、なぜ不幸にならねばならないのか
なぜ破壊を繰り返さなければならないのか……。
研究の完成まで、時間がありませんでした。
私は、ひとつの行動を起こすことを決心したのです。
継承された記憶 05
私たちが幽閉されている牢獄は
多くの魔物が徘徊する洞窟でした。
私は魔物の習性を研究し、利用することで
夫と共に、脱獄に成功しました。
そして逃亡を続けながら
あの子がいるはずの研究所へと駆け付けたのです。
そこにいたのは、私によく似た研究途中の素材と
変わり果てたあの子の姿でした。
あの子は、見違えるほど痩せこけていました。
虚ろな瞳の奥深くにうっすらと
憎しみの色が浮かんでいました。
多くを説明することは出来ませんでした。
私は状況を簡単に説明し
共に逃げるよう促しました。
あの子を連れ、夫と共に逃げ出そうとした
その時でした。
私は兵に見つかり、銃弾を受けてしまったのです。
その時、あの子の悲しい叫びを
遠くで聞いた気がしました。
それと同時に、私の心に
ひとつの悪い予感が膨れ上がってきました。
あの瞳の奥底に浮かんだ、憎しみの色……。
予感は的中しました。
あの子の前に、小さな時空の歪みが生まれると
やがて歪みは、すべてを飲み込み始めました。
闇は異様なほどの大きさに膨れ上がり……。
そこで私は意識を失いました。
次に目が覚めた時、そこにあったのは
壊れ果てた研究所の姿だけ。
あの子と夫の姿は、どこにもありませんでした。
承継された記憶 06
もともと我々は儀式によって
記憶を引き継いでいく一族の生まれでした。
夫の高い知識と技術力も、
その特性によるものだったのです。
私は、逃走の際に利用するはずだった転送装置を使い
一族の元へ戻ることを決意しました。
このまま私が死んだとしても
この記憶は、引き継がれるべきだと思ったからです。
たどり着いた森の中、鷹の翼と呼ばれる街で
一族は、いまだ平穏を保っていました。
突如、この世界に現れた闇から逃れるべく
一族は彼の残した浮遊石を使い
街そのものを、天高く浮かべようとしていたのです。
私が事情を話すと、彼らはすぐに
すべてを理解してくれました。
そしてそのまま、記憶継承の儀式が始まりました……。
承継された記憶 07
それが、あなたが受け継いできた記憶のすべてですね?
はい。
記憶を伝える術は失われつつあります。
これ以上、永きにわたって
この記憶を保存するためには
書物として残すより他に
方法はないと思ったのです。
今、世界を混乱に陥れようとしている
四体のカオスと、あなたが語ったこの物語に
関連性はあるとお思いですか?
それは私にもわかりません。
しかし、物語の鍵となる場所が
いくつか重なっているのが気になります。
記憶の中にある、時空に亀裂が走った場所。
そして、四体のカオスが住まう場所……。
それぞれが、記憶の中の情景と
一致しているのですから。
なるほど、ありがとうございました。
あなたのお話は記録として
必ずや我々が受け継いでいきましょう。
……ルカーン、最後は逆に
私からひとつ質問をしてもよろしいでしょうか。
あなたの予言した、光の戦士……
世界をこの災厄から救う
クリスタルを手にした戦士は
本当に現れるのでしょうか。
自分は預言者と呼ばれてはいますが
本来は歴史学者です。
歴史は収束する。
その兆しを、彼方の世界からほのかに感じるのです。
光の戦士は、必ず現れます。
そして、この世界を……
いや、世界の人々を負の輪廻から
解放してくれることでしょう。
World:A−B(FF1とディシディア)
Place:オンラク地方の野営地
探査記録
報告書 003
「次元の扉」より至る異世界は
荒れ果てていて、生命が存在しなかった
異世界にて得た「クリスタル鉱石」については
研究所で、謎の実験に用いられている模様
実験内容は機密事項のため、情報は下りてこないが
国は、かなり重要視しているという噂だ
報告書019
異世界にて、謎の竜を発見
軍の派遣を命じられたため、接触を図るが
仲間の半数以上が死亡した
知性を持っていると思われるが
意思の疎通は困難である
報告書 025
研究所から送られる廃棄物の量が増えてきた
一度、密閉された箱の中を覗いてみたが
見るもおぞましい物体だった
人なのか、人でないのか分からないモノが
奇妙にうごめいている
今日もいつもどおり「次元の扉」から廃棄した
報告書 034
事件により「次元の扉」が失われた
強い魔法力によるものらしいが、詳細は不明
これにより、研究は終了した模様
事件の事実を隠蔽するため
国が、オンラク地方を物理的に封鎖するという噂もある
我々の生死も危うい
報告書 038
「次元の扉」が復帰すれば実験が再開され
我々の存在価値が、見直されるかもしれない
しかし、手がかりはまったくつかめない
あれを再び開くには、よほどの力が必要だ
それこそ、世界を滅ぼすほどの強い力が
World:A(FF1)
Place:カルディア諸島の研究所
研究員の手記より 1
記録 005
調査員の持ち帰った「クリスタル鉱石」の
分析を進めている
成分を培養すると、恐るべき速さで成長した
生命に近い存在であることは確かだが
何ら意思の表面が見られない
軍事に有益であると判断し、研究を続行する
記録 008
「クリスタル鉱石」を基盤とする
擬似生命の量産に成功
イミテーションと命名する
しかし、未だ意思を持たない状態である
ルフェインの優秀な科学者を起用し
記憶の複製移植実験に着手する予定
記録 016
10余名の被験者から、記憶を移植することで
愛らしい、未知のモンスターが生成された
この方法は軍用の擬似生命としては非効率だが
研究の重要な一途であることに間違いはない
記憶元被験者たちについては
機密保持のため、焼却処分
記録 020
モンスターが、異様なほどの身体能力と
魔法力を持ち合わせていることが判明した
軍はその兵器としての実用性に
興味を示している模様
現在は科学者の自宅で経過観察中
子供か何かと勘違いしていなければいいが
研究員の手記より 2
記録 024
鉱石の培養槽は、何時見てもおぞましい
私が近づくと、私自身の顔が無数に現れ
こちらへと迫ってくるのだ
おそらく、近くにある生命に反応し
姿かたちを変えているのだろう
そのまま軍用とする案は、実用性が薄いと却下された
記録 026
はじめて、完全な形で記憶を取り出し
擬似生命へ移植することに成功した
秩序を意味する、コスモスと名づける
被験者はルフェイン人の女性
当然、研究内容は伏せている
科学者は、澄んでいる意思がカギだと主張するが
その判定方法は不明
記録 027
今日、軍は被験者の解剖を望んだが
科学者は、彼女と懇意にしているらしく
その申し出を、拒んだようだ
モンスターを生みだしたことで
一定の功績を認めているため
軍も彼に対して強くは出られないのだろう
結果、軍からの資金が途絶えることになった
研究員の手記より 3
記録 030
あれから、資金不足で研究が停滞し
正直やることがない
一方、戦争は激化しつづけている
成長した擬似生命のモンスターが
隣国を殲滅したにも関わらす
なぜか平和が訪れる気配はない
記録 032
記憶定着の成功例、コスモスが
軍に回収されてしまった
彼女にモンスターを制御させるようだ
そういえば、被験者の女性や科学者とも
あの日、別れてから会っていない
俺にも、あんな美人の奥さんがいたらなあ
記録 035
メルモンド地方にて事件が発生し
科学者とモンスター、コスモスの3件をロスト
機密保持と捜索のため
軍命による虐殺が繰り返されていると聞く
オンクラ地方の次元の扉も消失
両事件の関連性は不明のままだ
記録 037
軍は実験内容を知る者を
すべからく消滅するつもりらしい
研究所は今、火の海に包まれている
だがこの書類は、絶対に手放せない
これが、俺の、最後のささやかな抵抗だ
死にたくねぇなぁ
Place:鷹の翼と呼ばれる街
継承された記憶 01
あなたの記憶は、大きな意味を持っている。
あなた自身が気づいているように
その物語は、今回の災厄と
大きく関連している可能性が高い
本当でしょうか……。
今から私が語るのは、一人の研究者と
そして、一介の母子の物語にすぎません。
この物語を語ることで
ただでさえ絶望の淵に沈んでいる世の人々に
さらなる混乱を与えてしまうかもしれません。
あなたの語る物語を記した書類は
決して外に出ないよう、深く封印するつもりです。
いつか心ある人によって発掘され
それが読まれる時…
物語はすでに、神話となっていることでしょう。
我々にはそれらを保持する義務があります。
物語こそ、人の生きた証なのですから。
さあ、語ってください。
あなたの記憶に刻まれた物語を……。
継承された記憶 02
それは、膨大な力を秘めて生まれたとは思えない
小さな子供でした。
その力が育つまで、国が面倒を見るはずでしたが
私たちは、その子を引き取り
自分の子供のように育てることを決めました
あの無垢な瞳を前に
他の選択肢が取りえたでしょうか。
私たちの子ではなく、国の持ち物だということは
痛いほどよくわかっていました。
いつか奪われてしまうことも、その意味も。
夫は与えられた仕事に疑問を抱いているようでした。
今まで彼が発明した、浮遊石や飛空艇……
それらは人々の生活を豊かにするものでしたが
あの子は違います。戦争の道具なのです
しかし、災いはすぐそこまで迫っていました。
隣国による、召喚獣やオメガと呼ばれる兵器に
対抗する手段は他になかったのです。
彼は、私たちの平和を守るため
研究を続けなければならなかったのです。
承継された記憶 03
言葉を覚え始めていたあの子は、
私たちと意思を交わそうと
懸命に言葉を繋いでくれました。
私をママ、彼をパパと呼び
愛することに少しの疑問も抱いてなかった。
あの子は、私たちに笑顔を与えてくれました。
戦争に怯えていた私たちに
つかの間の幸せを与えてくれたのです。
ですが、それはすぐに終わりを迎えます。
戦争が……ついに始まってしまったのです。
あの子は私たちの元から隔離されました。
軍は、早々と決着をつけるため
あの子の投入を決定したのです。
あの子は大きく成長を遂げ
兵器として申し分もない力を備えていたようです。
でも、軍の命令どおりには動かなかった。
国からやってきた使者に、私は拘束されました。
「育ての親である私の命令ならば……」
そう思った軍は、私に頼ることを決めたようです。
結果、あの子は隣国を滅ぼすことになります。
業火が家々を焼き尽くし
召喚獣やオメガは、あの子の力で封印され……。
それはまるで、地獄のようでした。
……そうするより他になかったのです。
もし兵器として約に立たなければ、処分する。
そう聞かされた私は、あの子を救うため
軍の命令を、受け入れました
たとえどんなに多くの人を不幸へおとしいれようとも
私は、あの子を救いたかったのです。
継承された記憶 04
二度目の出撃を、私たちは拒否し続けました。
結局、私と夫は反逆者の汚名を着せられ
地下深くに幽閉されました。
罪なき多くの人の命を奪ってしまったことで
悲観に暮れていた私は
軍が始めていたもうひとつの研究の話を
聞きつけました。
それは、似姿を作り出す研究……。
あの子を意のままに操るため、私のコピーを生みだし
国は再び惨劇を繰り返すつもりだったのです。
あの子の力が、そこまでして得る価値のあるほど
強大なものだった、ということなのでしょう。
でも、納得がいきませんでした。
創られた命とはいえ、命に変わりはありません。
あの子だけが、なぜ不幸にならねばならないのか
なぜ破壊を繰り返さなければならないのか……。
研究の完成まで、時間がありませんでした。
私は、ひとつの行動を起こすことを決心したのです。
継承された記憶 05
私たちが幽閉されている牢獄は
多くの魔物が徘徊する洞窟でした。
私は魔物の習性を研究し、利用することで
夫と共に、脱獄に成功しました。
そして逃亡を続けながら
あの子がいるはずの研究所へと駆け付けたのです。
そこにいたのは、私によく似た研究途中の素材と
変わり果てたあの子の姿でした。
あの子は、見違えるほど痩せこけていました。
虚ろな瞳の奥深くにうっすらと
憎しみの色が浮かんでいました。
多くを説明することは出来ませんでした。
私は状況を簡単に説明し
共に逃げるよう促しました。
あの子を連れ、夫と共に逃げ出そうとした
その時でした。
私は兵に見つかり、銃弾を受けてしまったのです。
その時、あの子の悲しい叫びを
遠くで聞いた気がしました。
それと同時に、私の心に
ひとつの悪い予感が膨れ上がってきました。
あの瞳の奥底に浮かんだ、憎しみの色……。
予感は的中しました。
あの子の前に、小さな時空の歪みが生まれると
やがて歪みは、すべてを飲み込み始めました。
闇は異様なほどの大きさに膨れ上がり……。
そこで私は意識を失いました。
次に目が覚めた時、そこにあったのは
壊れ果てた研究所の姿だけ。
あの子と夫の姿は、どこにもありませんでした。
承継された記憶 06
もともと我々は儀式によって
記憶を引き継いでいく一族の生まれでした。
夫の高い知識と技術力も、
その特性によるものだったのです。
私は、逃走の際に利用するはずだった転送装置を使い
一族の元へ戻ることを決意しました。
このまま私が死んだとしても
この記憶は、引き継がれるべきだと思ったからです。
たどり着いた森の中、鷹の翼と呼ばれる街で
一族は、いまだ平穏を保っていました。
突如、この世界に現れた闇から逃れるべく
一族は彼の残した浮遊石を使い
街そのものを、天高く浮かべようとしていたのです。
私が事情を話すと、彼らはすぐに
すべてを理解してくれました。
そしてそのまま、記憶継承の儀式が始まりました……。
承継された記憶 07
それが、あなたが受け継いできた記憶のすべてですね?
はい。
記憶を伝える術は失われつつあります。
これ以上、永きにわたって
この記憶を保存するためには
書物として残すより他に
方法はないと思ったのです。
今、世界を混乱に陥れようとしている
四体のカオスと、あなたが語ったこの物語に
関連性はあるとお思いですか?
それは私にもわかりません。
しかし、物語の鍵となる場所が
いくつか重なっているのが気になります。
記憶の中にある、時空に亀裂が走った場所。
そして、四体のカオスが住まう場所……。
それぞれが、記憶の中の情景と
一致しているのですから。
なるほど、ありがとうございました。
あなたのお話は記録として
必ずや我々が受け継いでいきましょう。
……ルカーン、最後は逆に
私からひとつ質問をしてもよろしいでしょうか。
あなたの予言した、光の戦士……
世界をこの災厄から救う
クリスタルを手にした戦士は
本当に現れるのでしょうか。
自分は預言者と呼ばれてはいますが
本来は歴史学者です。
歴史は収束する。
その兆しを、彼方の世界からほのかに感じるのです。
光の戦士は、必ず現れます。
そして、この世界を……
いや、世界の人々を負の輪廻から
解放してくれることでしょう。
World:A−B(FF1とディシディア)
Place:オンラク地方の野営地
探査記録
報告書 003
「次元の扉」より至る異世界は
荒れ果てていて、生命が存在しなかった
異世界にて得た「クリスタル鉱石」については
研究所で、謎の実験に用いられている模様
実験内容は機密事項のため、情報は下りてこないが
国は、かなり重要視しているという噂だ
報告書019
異世界にて、謎の竜を発見
軍の派遣を命じられたため、接触を図るが
仲間の半数以上が死亡した
知性を持っていると思われるが
意思の疎通は困難である
報告書 025
研究所から送られる廃棄物の量が増えてきた
一度、密閉された箱の中を覗いてみたが
見るもおぞましい物体だった
人なのか、人でないのか分からないモノが
奇妙にうごめいている
今日もいつもどおり「次元の扉」から廃棄した
報告書 034
事件により「次元の扉」が失われた
強い魔法力によるものらしいが、詳細は不明
これにより、研究は終了した模様
事件の事実を隠蔽するため
国が、オンラク地方を物理的に封鎖するという噂もある
我々の生死も危うい
報告書 038
「次元の扉」が復帰すれば実験が再開され
我々の存在価値が、見直されるかもしれない
しかし、手がかりはまったくつかめない
あれを再び開くには、よほどの力が必要だ
それこそ、世界を滅ぼすほどの強い力が
World:A(FF1)
Place:カルディア諸島の研究所
研究員の手記より 1
記録 005
調査員の持ち帰った「クリスタル鉱石」の
分析を進めている
成分を培養すると、恐るべき速さで成長した
生命に近い存在であることは確かだが
何ら意思の表面が見られない
軍事に有益であると判断し、研究を続行する
記録 008
「クリスタル鉱石」を基盤とする
擬似生命の量産に成功
イミテーションと命名する
しかし、未だ意思を持たない状態である
ルフェインの優秀な科学者を起用し
記憶の複製移植実験に着手する予定
記録 016
10余名の被験者から、記憶を移植することで
愛らしい、未知のモンスターが生成された
この方法は軍用の擬似生命としては非効率だが
研究の重要な一途であることに間違いはない
記憶元被験者たちについては
機密保持のため、焼却処分
記録 020
モンスターが、異様なほどの身体能力と
魔法力を持ち合わせていることが判明した
軍はその兵器としての実用性に
興味を示している模様
現在は科学者の自宅で経過観察中
子供か何かと勘違いしていなければいいが
研究員の手記より 2
記録 024
鉱石の培養槽は、何時見てもおぞましい
私が近づくと、私自身の顔が無数に現れ
こちらへと迫ってくるのだ
おそらく、近くにある生命に反応し
姿かたちを変えているのだろう
そのまま軍用とする案は、実用性が薄いと却下された
記録 026
はじめて、完全な形で記憶を取り出し
擬似生命へ移植することに成功した
秩序を意味する、コスモスと名づける
被験者はルフェイン人の女性
当然、研究内容は伏せている
科学者は、澄んでいる意思がカギだと主張するが
その判定方法は不明
記録 027
今日、軍は被験者の解剖を望んだが
科学者は、彼女と懇意にしているらしく
その申し出を、拒んだようだ
モンスターを生みだしたことで
一定の功績を認めているため
軍も彼に対して強くは出られないのだろう
結果、軍からの資金が途絶えることになった
研究員の手記より 3
記録 030
あれから、資金不足で研究が停滞し
正直やることがない
一方、戦争は激化しつづけている
成長した擬似生命のモンスターが
隣国を殲滅したにも関わらす
なぜか平和が訪れる気配はない
記録 032
記憶定着の成功例、コスモスが
軍に回収されてしまった
彼女にモンスターを制御させるようだ
そういえば、被験者の女性や科学者とも
あの日、別れてから会っていない
俺にも、あんな美人の奥さんがいたらなあ
記録 035
メルモンド地方にて事件が発生し
科学者とモンスター、コスモスの3件をロスト
機密保持と捜索のため
軍命による虐殺が繰り返されていると聞く
オンクラ地方の次元の扉も消失
両事件の関連性は不明のままだ
記録 037
軍は実験内容を知る者を
すべからく消滅するつもりらしい
研究所は今、火の海に包まれている
だがこの書類は、絶対に手放せない
これが、俺の、最後のささやかな抵抗だ
死にたくねぇなぁ
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