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2021年04月01日
映画『まともじゃないのは君も一緒』(2020/前田弘二監督)@ 渋谷HUMAXシネマ
漫才のようなセリフの応酬はおかしくもほんとにこれやったら喧嘩になりそうなつらい気分が、後半、弛緩してほっとする。言葉はとても便利なものだけれど「どんな感情?」と聞かれたらおそらく窮する。数学より難しいかもしれない恋愛感情なのだから。青年実業家(小泉孝太郎)の悪そうな存在感がいいスパイス。
勉強はせんのかい?と突っ込みたくもなるラブコメ。
勉強はせんのかい?と突っ込みたくもなるラブコメ。
2021年03月24日
映画『いとみち』(2021/横浜聡子監督)@ 映画美学校
自分を中心に見る人生世界は広過ぎて不確かでとても不安になる。孤独にもなる。山の頂上から里を見て、その不安がまたちっぽけに見える。主人公の日常を通してそんなことを感じた。小さな島国にはまだまだ多様な文化・伝統が残っている。心地良い青春映画だった。
メイドカフェ店長役の中島歩も良かったが、主人公の同級生役を演じたりんご娘のジョナゴールドがとても良かった。
メイドカフェ店長役の中島歩も良かったが、主人公の同級生役を演じたりんご娘のジョナゴールドがとても良かった。
2021年03月09日
映画『サンドラの小さな家』(2020/アイルランド・英/フィリダ・ロイド監督)@ 松竹試写室
原題はherself。母たちの物語。支援や法律のあり方にもさりげなく触れながら、元DV夫との関係、働き詰めの平日、家作りの週末がバランス良く丁寧に描写されている(シナリオには主演のクレア・ダンが参加しておりVariety誌の「2020年に注目すべき脚本家トップ10」に選ばれたようだ)。
かわいい姉妹を演じたルビー・ローズ・オハラ&モリー・マッカンこれからどんな俳優になってしまうのだろう。
かわいい姉妹を演じたルビー・ローズ・オハラ&モリー・マッカンこれからどんな俳優になってしまうのだろう。
2021年03月06日
映画『すばらしき世界』(2021/西川美和監督)@ TOHOシネマズ日比谷
自業とは何だろかと考えても答えは出ない。人と人が話すだけで泣けてくる。撮影(笠松則通)の疾走感が光る。殺風景なアパートの一室に様々な人たちが上がり込み温度が上がる様がとてもいい。人は弱くて優しい。それを特に感じたのは背中を流すカットだった。その時、主人公・三上の顔は映らなかった。
竜二は元の世界に戻ったなあ、とふと思った。
そして、橋口亮輔監督『恋人たち』で感じた重い痛みも思い出す。
夕飯は久々に三州屋。二階は初め。いい感じ。
刺し盛が旨い。特にマグロ。もちろん肉豆腐も。
竜二は元の世界に戻ったなあ、とふと思った。
そして、橋口亮輔監督『恋人たち』で感じた重い痛みも思い出す。
夕飯は久々に三州屋。二階は初め。いい感じ。
刺し盛が旨い。特にマグロ。もちろん肉豆腐も。
2021年02月11日
映画『雪の断章―情熱―』(1985/相米慎二監督)@ ユーロスペース
物語の謎が消えてしまいそうなくらいの実験的立体絵本のよう。
『ションベン・ライダー』(1983)も凄いがそれ以上と思われる長回し、そして階段、雨、桜吹雪、BARBEE BOYS「負けるもんか」を聴きながらのダンス…相米映画の魅力がいっぱい詰まっている。
そして笠置シヅ子「買物ブギー」が流れる空撮は完全に振り切れている。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」の中原中也「サーカス」も印象的。
つまりは人のさすらう心がスクリーンに映されていたのだった。
昼食は久しぶりに渋谷の博多食堂で博多ラーメン。
二子玉川の博多濃麻呂同様旨いので替え玉。
『ションベン・ライダー』(1983)も凄いがそれ以上と思われる長回し、そして階段、雨、桜吹雪、BARBEE BOYS「負けるもんか」を聴きながらのダンス…相米映画の魅力がいっぱい詰まっている。
そして笠置シヅ子「買物ブギー」が流れる空撮は完全に振り切れている。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」の中原中也「サーカス」も印象的。
つまりは人のさすらう心がスクリーンに映されていたのだった。
昼食は久しぶりに渋谷の博多食堂で博多ラーメン。
二子玉川の博多濃麻呂同様旨いので替え玉。
2021年01月27日
映画『野球少女』(2019/韓/チェ・ユンテ監督)@松竹試写室
野球狂少女の夢追い物語であり、母娘の物語。爽やかな感動が残った。娘につらく当たる母親を演じたヨム・ヘランがとても良い。
ただ、ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」の撮影部の方が野球をしっかり捉えていたと思う。
ただ、ドラマ「ルーズヴェルト・ゲーム」の撮影部の方が野球をしっかり捉えていたと思う。
2020年12月04日
映画『王国(あるいはその家について)』(2018/草野なつか監督)@アテネ・フランセ文化センター
そのほとんどが劇映画ではなく本読みやリハーサルで構成されている異色作。俳優たちにじんわりとセリフが滲みていき、棘のようなワードで緊張感が徐々に生まれる。ありもしない家族が徐々に見えてくる不思議。まだシーンを見ていないのに見えて来る怖さ。何だこれ。隙間にいい感じで吹く風。嵐が来るのをみんな(観客含め)知っている。王国かあ。少しわかった気になる。曖昧な記憶の共有、それぞれの暗号。手紙を読んで手を洗って出かけるシーンからの本読み風景。これ、ドキュメントじゃないでしょ。
夕飯は千歳船橋のすがや。
白子の天ぷら、鶏塩ラーメン、安定の旨さ。
夕飯は千歳船橋のすがや。
白子の天ぷら、鶏塩ラーメン、安定の旨さ。
2020年12月01日
映画『アイヌモシリ』(2020/日・米・中/福永壮志監督)@ ユーロスペース
以前、イタリア文化会館で見たラウラ・リヴェラーニの美しい写真を思い出す。
セリフにもあるように時代とは何だろうかと思う。
海から渡ってきた政治や経済のシステムに合わせることだけが正解なのだろうか。
アイヌだけでなく、いくつもの神々が存在している。
全国の村々の儀式がすべて消えた時、何が残るのか。
少年と子熊の純粋なまなざしが強く刺さる。
セリフにもあるように時代とは何だろうかと思う。
海から渡ってきた政治や経済のシステムに合わせることだけが正解なのだろうか。
アイヌだけでなく、いくつもの神々が存在している。
全国の村々の儀式がすべて消えた時、何が残るのか。
少年と子熊の純粋なまなざしが強く刺さる。
2020年11月17日
映画『越年 Lovers』(2019/台・日/グオ・チェンディ監督)@ 映画美学校
見つかるものなのか気づくものなのか。本心はどこにあるのか。揺れ動く心の繊細な表現と大胆な展開がいい。恋愛実験のようでもある。
街や自然が魅力的だったが特に台湾の彰化という港町がいい。そこではいろいろな物が風で飛んでいく。そして飛んでいかない物や記憶や心がそこに感じられるのだった。
街や自然が魅力的だったが特に台湾の彰化という港町がいい。そこではいろいろな物が風で飛んでいく。そして飛んでいかない物や記憶や心がそこに感じられるのだった。
2020年11月05日
映画『VIDEOPHOBIA』(2019/宮崎大祐監督)@ 新宿K's cinema
平成最後の夏。キレイなモノクロ(撮影は黒川幸則監督『VILLAGE ON THE VILLAGE』も担当している渡邉寿岳氏)。
演劇ワークショップのシーンが面白い。不確かな自分を語る自己紹介は特に。
だからこそ、得体の知れない自分やパラレルな世界も感じつつ、虚ろな瞳に映る幻影だとも思った。
『女のみづうみ』(吉田喜重監督)を思い出したが主人公の恐怖への向き合い方が違う。
被害者の会からの帰り道の橋の上が歪んでいるかのようで気味が悪かった。結局は不安の溝を埋めてくれるのは温みを感じる日常なのだろうか。
しかし、不安は続く。それが怖い。
演劇ワークショップのシーンが面白い。不確かな自分を語る自己紹介は特に。
だからこそ、得体の知れない自分やパラレルな世界も感じつつ、虚ろな瞳に映る幻影だとも思った。
『女のみづうみ』(吉田喜重監督)を思い出したが主人公の恐怖への向き合い方が違う。
被害者の会からの帰り道の橋の上が歪んでいるかのようで気味が悪かった。結局は不安の溝を埋めてくれるのは温みを感じる日常なのだろうか。
しかし、不安は続く。それが怖い。