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2020年10月01日
映画『鵞鳥湖の夜』(2019/中・仏/ディアオ・イーナン監督)@新宿武蔵野館
再開発から取り残された中国の真空地帯。『花様年華』も担当したという照明技師(ウォン・チーミン)の明かり。武満徹「怪談」を彷彿とさせる音楽が響く。瞬時に決まるアクション。魅惑のシーン、カットの連続。男が逃げ、女をつかまえ、何故部屋にいなかったのかを問詰め、さらには麺を注文しガツガツ喰らう。心ここにあらずで恐ろしい。
人間の群れはさすがに夜の湖面までは及ばない。
人間の群れはさすがに夜の湖面までは及ばない。
2020年09月01日
映画『れいこいるか』(2019/いまおかしんじ監督)@新宿K's cinema
戦後、震災後、いろいろなその後、がある。その後、ドラマチックなことが起きないと思っていても、やはりその時時はドラマチックである。
いいことはあまりなく、むしろ嫌なことが起きてしまう。今年のその後はどんなだろうか。映画は人生悲喜こもごもの最中を描いていた。彼らの住む町がとても良かった。
いいことはあまりなく、むしろ嫌なことが起きてしまう。今年のその後はどんなだろうか。映画は人生悲喜こもごもの最中を描いていた。彼らの住む町がとても良かった。
2020年08月12日
映画『劇場』(2020/行定勲監督)@ユーロスペース
気が重くなる話だと思う。よくある話なんだと思う。殊にシモキタでは。
二人の役者が物語を引っ張っていく。松岡茉優の芝居がかった芝居が怖いくらいに不安定な空気を醸し出す。
あれだけのモノローグは必要だったのだろうか。その方が物語を俯瞰できて良かったのだろうか。
それにしてもあの緑道の桜は特別な感情を引き出すし、あの二人の近所に住んでいたのだなあと、今、しみじみと想うわけである。
二人の役者が物語を引っ張っていく。松岡茉優の芝居がかった芝居が怖いくらいに不安定な空気を醸し出す。
あれだけのモノローグは必要だったのだろうか。その方が物語を俯瞰できて良かったのだろうか。
それにしてもあの緑道の桜は特別な感情を引き出すし、あの二人の近所に住んでいたのだなあと、今、しみじみと想うわけである。
2020年07月29日
映画『破壊の日』(2020/豊田利晃監督)@ユーロスペース
想いが弾けた映画だった。叫びやノイズから静寂へ、切れ味鋭いサウンドが響く。
落ちている指、降り続ける雪、坑道の奥の怪物…。
背の高い男含めすべてが不穏で気味が悪い。
ロックな映画なのだがオカルト映画でもあるような気がする。
その空気感はスクリーンの中ではない現実の世界にも漂っているのである。
畏れなくなると禍に遭うような気がしてならない。畏れるように何かが体内に刷り込まれているのだと思う。
赤い液体は古と深く繋がっているように映る。それは『蘇りの血』(2009)でも感じた。
俗世間から離れる事はとても難しい。真如海上人の修業は70年に及んだという。
恐ろしや。
落ちている指、降り続ける雪、坑道の奥の怪物…。
背の高い男含めすべてが不穏で気味が悪い。
ロックな映画なのだがオカルト映画でもあるような気がする。
その空気感はスクリーンの中ではない現実の世界にも漂っているのである。
畏れなくなると禍に遭うような気がしてならない。畏れるように何かが体内に刷り込まれているのだと思う。
赤い液体は古と深く繋がっているように映る。それは『蘇りの血』(2009)でも感じた。
俗世間から離れる事はとても難しい。真如海上人の修業は70年に及んだという。
恐ろしや。
2020年07月02日
映画『いけいけ!バカオンナ』(2020/永田琴監督)@ショウゲート試写室
もちろん女同士の友情に関して何にも知らないが、ぐでんぐでんでいいもんだなあと思う。
卓球バー、酒を呑みながらのキングコング、芝居の舞台(下手な方が面白そうだった)などセットも面白い。恋を基軸に前半のドタバタ感から後半のしっとり感への流れはさすが監督の職人技なのだろう。
石田ニコルがいい。池田エライザもそうだが最近のモデルは役者としても面白い。
卓球バー、酒を呑みながらのキングコング、芝居の舞台(下手な方が面白そうだった)などセットも面白い。恋を基軸に前半のドタバタ感から後半のしっとり感への流れはさすが監督の職人技なのだろう。
石田ニコルがいい。池田エライザもそうだが最近のモデルは役者としても面白い。
2020年06月30日
映画『赤い闇 スターリンの冷たい台地で』(2019/ポーランド・ウクライナ・英/アグニェシュカ・ホランド監督)@松竹試写室
人は看板に弱い。無名な一記者より大きなメディアの方が一見正しく感じられることがある。その陰で悲劇が埋もれ、消える命もあるだろう。
ロケーションにより映像の温度が変わる(照明の当てる向きやレンズを変えたりして工夫したそうだ)。特にウクライナのシーンはモノクロに近くなっていき、生気が失せた子供たちの描写が恐怖の形で心に残る。
「私たちの隣人は もう正気を失ってしまった」
恐ろしい言葉である。
ロケーションにより映像の温度が変わる(照明の当てる向きやレンズを変えたりして工夫したそうだ)。特にウクライナのシーンはモノクロに近くなっていき、生気が失せた子供たちの描写が恐怖の形で心に残る。
「私たちの隣人は もう正気を失ってしまった」
恐ろしい言葉である。
2020年05月11日
ハウス映画大会はクセがスゴい作品群
ハウス映画大会を観る。クセがスゴい。
制限された中での表現はそれぞれ純化されている。
中でも新コロナが怖いのはもちろんだが、付き合い始めと思われる彼女の圧も少々怖い『会えないふたり。』(小林でび監督)、
死を前にして落ち着かない男がテントの外の音でさらに落ち着かず、あっと言う間のクライマックスまでハードボイルドに描写される『山で死ぬ』(賀々ッ三監督)、
映画撮影をしようとするが嫌な思いをする男の新コロナ関係ない哀しみを描く『誘う』(小川修平監督)はとても良かった。
ハウス映画大会はこちらです。
https://youtu.be/svGsqAWn_3w
制限された中での表現はそれぞれ純化されている。
中でも新コロナが怖いのはもちろんだが、付き合い始めと思われる彼女の圧も少々怖い『会えないふたり。』(小林でび監督)、
死を前にして落ち着かない男がテントの外の音でさらに落ち着かず、あっと言う間のクライマックスまでハードボイルドに描写される『山で死ぬ』(賀々ッ三監督)、
映画撮影をしようとするが嫌な思いをする男の新コロナ関係ない哀しみを描く『誘う』(小川修平監督)はとても良かった。
ハウス映画大会はこちらです。
https://youtu.be/svGsqAWn_3w
2020年04月12日
SAVE the CINEMA
何の力にもなれないが…。
「ミニシアターを救え!」プロジェクト
SAVE the CINEMA
SAVE the CINEMA 公式サイト
新型コロナウイルスに映画館が負けませんように。
また映画館に行ける日を楽しみにしながら…。
「ミニシアターを救え!」プロジェクト
SAVE the CINEMA
SAVE the CINEMA 公式サイト
新型コロナウイルスに映画館が負けませんように。
また映画館に行ける日を楽しみにしながら…。
2020年04月02日
映画『カゾクデッサン』(2019/今井文寛監督)@ 新宿K's cinema
ゴツゴツとした懐かしい匂いのある映画である。
ここ数年でそういった匂いを感じたのは『愛の小さな歴史』(2014/中川龍太郎監督)、『ケンとカズ』(2016/小路紘史監督)か…。
無骨でありながら人間の交差を柔らかく描いている。
声を印象的に使った回想シーン、登場人物の感情のスイッチをしっかり感じさせる演出、照明技師でもある今井文寛監督ならではの明かりの当て方や鏡の映りも効果的。
当たり前にあるわけではない家族の形を感じた。
各々が誰と一緒ならば幸せか、感じるしかない。
ここ数年でそういった匂いを感じたのは『愛の小さな歴史』(2014/中川龍太郎監督)、『ケンとカズ』(2016/小路紘史監督)か…。
無骨でありながら人間の交差を柔らかく描いている。
声を印象的に使った回想シーン、登場人物の感情のスイッチをしっかり感じさせる演出、照明技師でもある今井文寛監督ならではの明かりの当て方や鏡の映りも効果的。
当たり前にあるわけではない家族の形を感じた。
各々が誰と一緒ならば幸せか、感じるしかない。
2020年03月20日
映画『カセットテープ・ダイアリーズ』(2019/英/グリンダ・チャーダ監督)@アスミック・エース試写室
1987年のイギリス。
うまくいかない経済、なくならない人種差別問題が色濃く描写されている。30年以上前のどんよりとした空気が今に続いているように感じる。
しかし、リズミカルで力強い青春映画になっているには主人公の濁りない爽やかさゆえだろう。ブルース・スプリングスティーンの詩も勿論良いのだが、自分ならではの言葉は人の心を揺らすと思う。
うまくいかない経済、なくならない人種差別問題が色濃く描写されている。30年以上前のどんよりとした空気が今に続いているように感じる。
しかし、リズミカルで力強い青春映画になっているには主人公の濁りない爽やかさゆえだろう。ブルース・スプリングスティーンの詩も勿論良いのだが、自分ならではの言葉は人の心を揺らすと思う。