2016年02月27日
φ('-'*)メモメモ 原発事故賠償制度の抜け道 の記事
詐欺関与のNPO法人のトップは元大物政治家だった! 原発事故賠償制度の「抜け道」とは…
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東京電力福島第1原発事故の被害者救済制度を悪用した詐欺事件に、久間章生元防衛相(73)がトップを務めるNPO法人が関与していた。
この制度で東電から賠償金約1200万円を詐取したとして、NPO法人「東日本大震災原子力災害等被災者支援協会」(東京都中野区)の自称元理事の進藤一聡(42)=練馬区=と、会員で人材派遣会社役員の根本重子(52)=福島県郡山市=の両容疑者ら4人が8月2日、警視庁に詐欺容疑で逮捕された。元大物政治家の威光を借りたグループが、東電の審査の「抜け道」を突いた手口とは…。(太田明広、五十嵐一)
「被災地のために」…会合で詐欺を持ちかけ 税務署の印鑑も偽造
「日本にとって、今は大変な時期だ。みんなで力を合わせ、被災地のために頑張っていこう」
東日本大震災が起きた平成23年も年の瀬を迎えた12月。中野区内の中華料理店で開かれたNPO法人の会合で、理事長の久間氏がこうげきを飛ばすと、他の理事や福島県から参加した会員ら約30人が一斉に拍手で応えた。
捜査関係者によると、進藤容疑者はこの場で、根本容疑者に賠償金の詐取を持ちかけたという。
NPO法人関係者や捜査関係者の話から、当時の状況を再現すると、こうだ。
「賠償金をだまし取らないか」。根本容疑者は宴たけなわの頃合いを見計らい、5年来の知人という根本容疑者にささやいた。
意味を理解できていない根本容疑者に、陪席していたNPO法人元社員の村田博志容疑者(55)=詐欺容疑で逮捕=が「原子力災害賠償金支払い推進委員会評議員」という架空の肩書が書かれた真新しい名刺を差し出してたたみかけた。
「東電の賠償制度には抜け道があるんですよ」
進藤容疑者らは、根本容疑者の人材派遣会社が福島県内のホテルなどにコンパニオンを派遣しているように装い、「原発事故の放射能漏れの影響でキャンセルが相次ぎ、経営が悪化した」という筋書きを提案。根本容疑者が東電への賠償請求手続きをNPO法人に委任する形を取った。
村田容疑者の知人だった浅野博由容疑者(44)=同=が税務署の印鑑を偽造するなどし、請求書類を作成。24年4月初旬に東電に提出したところ、5月下旬には進藤容疑者らが管理する銀行口座に約1200万円が振り込まれた。根本容疑者に4割を渡し、残りは報酬として進藤容疑者らが受け取ったという。
NPO法人は他にも十数社の請求手続きを代行し、東電から総額1億数千万円が支払われており、警視庁組織犯罪対策3課は進藤容疑者らが不正請求を繰り返していた可能性もあるとみて全容解明を進める。
仮設住宅の提供、原発事故地域の復旧支援…「活動実体なし」
そもそも、このNPO法人はどんな活動をしているのか。登記簿によると、震災から5カ月後の23年8月に復興支援を目的に設立。仮設住宅の提供や原発事故の被災地域の復旧支援活動などを行うとしている。設立当初から久間氏が理事長に就いている。
東京メトロ中野坂上駅(中野区)近くにある法人の事務所は、別の会社の20平方メートルほどの一室を間借りしており、電話やファクスが置かれたほか、被災地の地図が1枚張られただけの簡素なものだった。
捜査関係者によると、法人の口座には約200万円が残されていたが、都に提出された23、24年度の事業報告書では経常収益や費用はいずれもゼロ。会員数も不明で、「活動実体はほぼなかったようだ」(捜査関係者)という。
「理事になっていることも知らなかった」。登記簿に名前が記載された9人の理事の一人の男性は、産経新聞の取材に対して困惑の表情を浮かべた。
別の関係者が約2年前に福島県内で、法人の名前で「賠償手続きを代行します」というビラが電柱に張られているのを見つけ、進藤容疑者らを問いただしたところ、関与を否定。その直後から事務所に顔を出さなくなったという。
理事長の久間氏はどんな役割を果たしたのか。
久間氏は昭和55年に衆院長崎1区から出馬して初当選。9期務め、平成19年には初代防衛相に就いた。21年の衆院選で落選し、25年に政界を引退した。
法人の内情に詳しい関係者は「設立時に政治家がトップにいた方がいいという話になり、旧知の間柄だった理事の一人が久間さんにお願いして快諾してもらったようだ」と理事長就任の経緯を打ち明ける。
別の関係者は「東電は昔から政治家の名前に弱い。そこに目をつけた進藤容疑者らが久間氏の名前を最大限使って暗躍していたようだ」と指摘する。
進藤容疑者らが逮捕された2日夕方、産経新聞の電話取材に応じた久間氏はNPO法人の会合に出たことを認めた上で、「知人に頼まれて理事長を引き受けたが、活動実体がなかったので1年以上前に辞意を伝えていた。報酬は一度も受け取ったことはない」と事件への関与を否定した。
組対3課は今後、久間氏から任意で事情を聴くことも検討している。
200万件で4兆円を賠償、同種被害も…再発防止策は「非公表」
原発事故の被害者救済制度を悪用した同種の詐欺事件は後を絶たない。
福島県警は昨年9月、飲食店の来客が減り、売り上げが落ちたなどとする虚偽の請求で計約4300万円を詐取したとして、会社役員ら7人を逮捕。今年2月には、大阪府警が避難生活で失業したと偽り約430万円を詐取したとして政治団体幹部らを逮捕した。
村田、浅野両容疑者も、NPO法人とは別に人材派遣会社に賠償請求を指南する形で、東電から計約2200万円を詐取したとして逮捕されている。
賠償制度は電力各社などが設立し、国から国債などを交付された「原子力損害賠償支援機構」が資金援助し、東電の福島原子力補償相談室が審査などを実施しており、8月1日時点で208万7千件、総額約4兆40億円が支払われている。
今回の審査過程に問題はなかったのか。
東電によると、請求は原則として本人が行うが、高齢や障害などを理由に委任状を添付した代理申請も認めているといい、「見直すべき点は随時見直している。具体的な再発防止策は新たな不正を誘発する可能性があるため公表できない」としている。
外部の専門家からはチェック体制の不備や説明責任不足を指摘する声も少なくない。
危機管理コンサルタントの田中辰巳さんは「国の支援を受けている以上、再び被害を出さないようにするための対策について一定の説明責任を果たすべきだ」と批判。その上で、
「日本人は被害者を疑いにくい国民性。東電は原発事故の対応の遅れを非難された経緯から、早期に賠償を行おうとし、結果的にチェック機能が低下しているのではないか」と指摘している。
(๑◔‿ ◔๑) にょほ〜
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東京電力福島第1原発事故の被害者救済制度を悪用した詐欺事件に、久間章生元防衛相(73)がトップを務めるNPO法人が関与していた。
この制度で東電から賠償金約1200万円を詐取したとして、NPO法人「東日本大震災原子力災害等被災者支援協会」(東京都中野区)の自称元理事の進藤一聡(42)=練馬区=と、会員で人材派遣会社役員の根本重子(52)=福島県郡山市=の両容疑者ら4人が8月2日、警視庁に詐欺容疑で逮捕された。元大物政治家の威光を借りたグループが、東電の審査の「抜け道」を突いた手口とは…。(太田明広、五十嵐一)
「被災地のために」…会合で詐欺を持ちかけ 税務署の印鑑も偽造
「日本にとって、今は大変な時期だ。みんなで力を合わせ、被災地のために頑張っていこう」
東日本大震災が起きた平成23年も年の瀬を迎えた12月。中野区内の中華料理店で開かれたNPO法人の会合で、理事長の久間氏がこうげきを飛ばすと、他の理事や福島県から参加した会員ら約30人が一斉に拍手で応えた。
捜査関係者によると、進藤容疑者はこの場で、根本容疑者に賠償金の詐取を持ちかけたという。
NPO法人関係者や捜査関係者の話から、当時の状況を再現すると、こうだ。
「賠償金をだまし取らないか」。根本容疑者は宴たけなわの頃合いを見計らい、5年来の知人という根本容疑者にささやいた。
意味を理解できていない根本容疑者に、陪席していたNPO法人元社員の村田博志容疑者(55)=詐欺容疑で逮捕=が「原子力災害賠償金支払い推進委員会評議員」という架空の肩書が書かれた真新しい名刺を差し出してたたみかけた。
「東電の賠償制度には抜け道があるんですよ」
進藤容疑者らは、根本容疑者の人材派遣会社が福島県内のホテルなどにコンパニオンを派遣しているように装い、「原発事故の放射能漏れの影響でキャンセルが相次ぎ、経営が悪化した」という筋書きを提案。根本容疑者が東電への賠償請求手続きをNPO法人に委任する形を取った。
村田容疑者の知人だった浅野博由容疑者(44)=同=が税務署の印鑑を偽造するなどし、請求書類を作成。24年4月初旬に東電に提出したところ、5月下旬には進藤容疑者らが管理する銀行口座に約1200万円が振り込まれた。根本容疑者に4割を渡し、残りは報酬として進藤容疑者らが受け取ったという。
NPO法人は他にも十数社の請求手続きを代行し、東電から総額1億数千万円が支払われており、警視庁組織犯罪対策3課は進藤容疑者らが不正請求を繰り返していた可能性もあるとみて全容解明を進める。
仮設住宅の提供、原発事故地域の復旧支援…「活動実体なし」
そもそも、このNPO法人はどんな活動をしているのか。登記簿によると、震災から5カ月後の23年8月に復興支援を目的に設立。仮設住宅の提供や原発事故の被災地域の復旧支援活動などを行うとしている。設立当初から久間氏が理事長に就いている。
東京メトロ中野坂上駅(中野区)近くにある法人の事務所は、別の会社の20平方メートルほどの一室を間借りしており、電話やファクスが置かれたほか、被災地の地図が1枚張られただけの簡素なものだった。
捜査関係者によると、法人の口座には約200万円が残されていたが、都に提出された23、24年度の事業報告書では経常収益や費用はいずれもゼロ。会員数も不明で、「活動実体はほぼなかったようだ」(捜査関係者)という。
「理事になっていることも知らなかった」。登記簿に名前が記載された9人の理事の一人の男性は、産経新聞の取材に対して困惑の表情を浮かべた。
別の関係者が約2年前に福島県内で、法人の名前で「賠償手続きを代行します」というビラが電柱に張られているのを見つけ、進藤容疑者らを問いただしたところ、関与を否定。その直後から事務所に顔を出さなくなったという。
理事長の久間氏はどんな役割を果たしたのか。
久間氏は昭和55年に衆院長崎1区から出馬して初当選。9期務め、平成19年には初代防衛相に就いた。21年の衆院選で落選し、25年に政界を引退した。
法人の内情に詳しい関係者は「設立時に政治家がトップにいた方がいいという話になり、旧知の間柄だった理事の一人が久間さんにお願いして快諾してもらったようだ」と理事長就任の経緯を打ち明ける。
別の関係者は「東電は昔から政治家の名前に弱い。そこに目をつけた進藤容疑者らが久間氏の名前を最大限使って暗躍していたようだ」と指摘する。
進藤容疑者らが逮捕された2日夕方、産経新聞の電話取材に応じた久間氏はNPO法人の会合に出たことを認めた上で、「知人に頼まれて理事長を引き受けたが、活動実体がなかったので1年以上前に辞意を伝えていた。報酬は一度も受け取ったことはない」と事件への関与を否定した。
組対3課は今後、久間氏から任意で事情を聴くことも検討している。
200万件で4兆円を賠償、同種被害も…再発防止策は「非公表」
原発事故の被害者救済制度を悪用した同種の詐欺事件は後を絶たない。
福島県警は昨年9月、飲食店の来客が減り、売り上げが落ちたなどとする虚偽の請求で計約4300万円を詐取したとして、会社役員ら7人を逮捕。今年2月には、大阪府警が避難生活で失業したと偽り約430万円を詐取したとして政治団体幹部らを逮捕した。
村田、浅野両容疑者も、NPO法人とは別に人材派遣会社に賠償請求を指南する形で、東電から計約2200万円を詐取したとして逮捕されている。
賠償制度は電力各社などが設立し、国から国債などを交付された「原子力損害賠償支援機構」が資金援助し、東電の福島原子力補償相談室が審査などを実施しており、8月1日時点で208万7千件、総額約4兆40億円が支払われている。
今回の審査過程に問題はなかったのか。
東電によると、請求は原則として本人が行うが、高齢や障害などを理由に委任状を添付した代理申請も認めているといい、「見直すべき点は随時見直している。具体的な再発防止策は新たな不正を誘発する可能性があるため公表できない」としている。
外部の専門家からはチェック体制の不備や説明責任不足を指摘する声も少なくない。
危機管理コンサルタントの田中辰巳さんは「国の支援を受けている以上、再び被害を出さないようにするための対策について一定の説明責任を果たすべきだ」と批判。その上で、
「日本人は被害者を疑いにくい国民性。東電は原発事故の対応の遅れを非難された経緯から、早期に賠償を行おうとし、結果的にチェック機能が低下しているのではないか」と指摘している。
(๑◔‿ ◔๑) にょほ〜
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