最近、腸内環境を改善するためのさまざまな本や健康食品が販売されています。
これは、多くの方に腸が大切な臓器であることが認知されてきたからでしょう。
腸の働きがわかると、食事による改善ができるようになります。
まずは、腸のメカニズムを見てみましょう。
腸は小腸と大腸に分かれています。 小腸は長さが6~7メートルもあり、腸壁が絨毛に覆われているのに対して、大腸は1.5メートルくらいで,絨毛がないのが特徴です。
腸内細菌は約300種類、100兆個くらい存在し、重さは1.5kgにもなるといわれています。
その細菌は小腸に5%、大腸に95%存在します。したがって、腸内環境の改善には、大腸の働きをいかによくするか、ということが決め手になります。
消化と吸収は小腸が主
小腸では食物の消化と吸収が行われ、吸収できなかった残りの水分や栄養素は大腸で吸収されます。
人間の活動エネルギーとして書くことができないブドウ糖(糖質)は、主に小腸で吸収されますが、精白した糖質である白米や精白小麦粉、白砂糖は、ブトウ糖が急激に吸収されて血液中に取り込まれるため、高血糖状態を招き、糖尿病になりやすくなります。
また、食物中のたんぱく質はアミノ酸まで分解されて小腸で吸収された後、門脈を通じて肝臓に運ばれて、ホウ素やホルモンといった人体に必要な物質に合成され、過剰なブドウ糖やアミノ酸は尿として捨てられます。
ブドウ糖不足になると大腸の炎症から肌荒れ
甘酒を作るときに麹菌のエサとしてご飯の糖質を用いたり、酵素飲料を製造するときに、酵母菌などのエサとして砂糖が用いられるように、人にはエサが必要です。腸内細菌が一番喜ぶエサはブトウ糖です。
ところが、栄養学者がすすめる消化に良い食べ物は、ブトウ糖のほとんどが小腸で吸収されてしまい、大腸までとどきません。そうなると、腸内細菌は生きるために少量のブトウ糖が含まれる粘液を食べ始めます。
粘液は腸壁を覆っている大切な保護成分で、異物が体内に侵入しないためのバリアを形成しています。
また、水分を吸収した後の食べ物の粕やバクテリアの死骸といった不要なものを粘膜でコーテイングして、
排泄する役目を担っています。
したがって、大腸に腸内細菌が必要とする糖質が来ないと、粘液がただれてしまい、炎症を弾き起こしてしまいます。 大腸の壁面がただれてくるとまずは肌荒れが引き起こされます。
なぜなら肌が外側の皮膚は腸壁であり、両者は裏表の関係にあるといえるからです。
さらに、粘膜の不足は多くの女性の悩みである便秘をもたらします。 これらのことからも肌荒れや便秘の原因の一つは、腸内細菌のエサ不足にあることが分かります。
腸荒れは病気の原因にも
そして、腸荒れがひどくなると、腸粘膜に穴が開き、本来通さないたんぱく質やバクテリア、ウイルス、毒性物質などが腸壁の傷から体内に入り込み、リーキーガット(液体が漏れるという意味)という症状を引き起こします。
他にはアトピー皮膚炎といったアレルギー疾患,潰瘍性大腸炎、クローン病などの自己免疫疾患も、腸荒れが原因となって生じる症状といえます。
「情報をリークする」という言葉があるが、リークとは漏れることを指します。
テニスラケットのボールを跳ね返す部分をガットといいますが、腸をそのガットに例えると、ガットの目が大きなボール状のたんぱく質の塊がもれだすわけです。
菌が好む食物繊維で腸内環境を改善
腸の炎症を改善するためには、大腸にいる腸内細菌にエサを与えてあげることです。其れには、小腸で吸収されないブドウ糖を提供してあげる必要があり、それが食物繊維なのです。
食物繊維には不溶性と水溶性があり、不溶性食物繊維であるセルロースはブトウ糖が長い鎖状にくっついたもので、小腸を素通りして大腸に届き、腸内細菌のエサになります。
皮付きの玄米や雑穀が体にいいといわれるのは、小腸でゆっくりと吸収されるため、血糖値が急激に上がらず、糖尿病になりにくい体質を作るがけで得なく、大腸の腸内環境をよくしてくれるからです。
一方、海藻類やキノコ類こんにゃく、ゴボウといったカロリーが低い物や海藻やきのこ、サトイモなどの
ヌメヌメ成分に含まれる水溶性食物繊維は腸内細菌の好むエサになります。
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