自分含め同学年はパッとしなかったのだが、先輩たちは各学科上位の頭の良い人が集まっていた。
その中に主席がいた。というか部長が主席だった。
主席ともう一人は軽い調子で東大に行くと言っていた。卒業して本当に進学した。
あの人たち部活ほとんど休んでいなかったのにな。
やっぱすごい人ってすごいわ。
部長は羽生選手似のイケメンで、色白で細身で、文武両道を体現したハイスペック人間だった。
学科の男女比は前者が馬鹿多かったので騒ぎにならなかったが、半々だったらアニメみたいなファンクラブ出来るレベルのモテ方しただろうなと思う。
学年も学科も部活内の班も違っていたため、部長とあまり話したことはない。
何人かで雑談している時に、部長が息抜きに会話に混じってきたのが数えられるくらい。
昔こんな勘違いをしていたという話で盛り上がった。六人で話していて各自一つずつは出した。
自分たちは何を話したのだったか。あまり思い出せない。
思い出せるのは「足掻く」を最近まで「あしかく」と読んでいたという同級生の話と、ポケモンの「ひんし」を中学生まで「ひんし=死亡」と思っていたという部長の話だ。
そのままポケモンの話に流れて、部長が「俺はカイリキーになりたい」と言ったものだからざわついた。
もろもろ犠牲にしてまで筋肉を……? とカイリキーに失礼なことを考えていたら一言。
「だって腕四本あったら便利そうじゃん」
確かに〜。