「ヘルプマーク」普及へ長野県が本腰
県は、外見では分からない病気や障害を持つ人たちを対象に、「ヘルプマーク」をバッグなどに付けてもらい、周囲が配慮できる環境の整備に本格着手している。77市町村で既に配布されており、県健康福祉部は「普及には県民への周知が鍵となる」と、PR活動を積極的に進める考えだ。
「日常生活で手足がおもりを付けたようで、とても疲れやすい。体調が優れないときに電車で席を譲ってもらうには、こちらからお願いしなくてはならない」
先天性心疾患がある松本市の会社員、猪又竜さんは、ヘルプマーク普及の取り組みが県内で始まったことを歓迎する。
猪又さんによると、糖尿病で人工透析を受けていたり、補助心臓を使用していたり、極端に視野が狭かったりする人らは、周囲が外見では判断できないため、困っている人が多いという。
ヘルプマークのデザインは、赤地に「+」と「●」を組み合わせたデザイン。タグ(本体は縦8・5センチ、横5・3センチ)はシリコン製で、つり下げ用のバンドが付いており、カバンや胸元などに装着できる。
配布を希望する人は、市町村の福祉担当窓口や県保健福祉事務所に出向き、口頭で申請する。人工関節でリハビリを終えた人や腎臓移植を受けた人、妊婦らは障害者手帳を持っていないため、手帳の有無は問わない。
県健康福祉部によると、5月末現在で大阪府や神奈川県など24都道府県でヘルプマークを導入済みで、県内では、障害者ら約15万人の潜在的な需要があるという。
7月から配布を始めており、同部では、9月までの3カ月間を重点広報期間と設定。チラシ2万枚とポスター4千部を作製し、JRと私鉄の主要駅に掲示するなど、PRに取り組んでいる。
問い合わせは同部障がい者支援課(電)026・235・7108。
【用語解説】ヘルプマーク
平成24年に東京都が普及に向けた事業を開始したのが最初。利用者は、援助や配慮を必要としていることが外見では判断がつかない人たち。ヘルプマークを胸元やバッグなど見えやすいところに提示することで、周囲の思いやりを届きやすくする環境を整備する狙いがある。
2018.8.28 産経ニュース
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