「お手伝いしましょうか」
目の不自由な人が困っている場面に出くわしたら、あなたはどうしていますか。遠巻きに見ているだけでしょうか。
とはいえ、何と声を掛ければいいのか。大阪府摂津市の主婦、出原(いではら)恵美子さん(62)も悩んだことがありました。「私が声を掛けなくても、誰かがするだろう」。そんな気持ちが勝りました。
視覚障害者に歩き方などを指導する歩行訓練士の話を聞く機会があり、アドバイスを求めました。全盲や弱視の人と一緒に歩く時は、盲導犬のハーネス(胴輪)や白杖(はくじょう)を持っていない側で自分が半歩前に立ち、腕や肩につかまってもらう。段差があれば、声で伝える。介助の仕方が分からない時は、直接聞いて覚えるといいと、分かりました。
声を掛けるタイミングを見極めるコツもあります。明るさが分かる程度の視力の海老澤弥生さんは「同じ場所を何度も行き来していたり、エスカレーターの手前など通常立ち止まらないような場所に立っていたりする時など、『困っているかも』と思ったら、迷わず声を掛けて」と話します。
視覚障害当事者も工夫をしています。外出にガイドヘルパーを利用している全盲男性は、ヘルパーに、一人で歩いている視覚障害者を見かけたら、声を掛けることを頼んでいます。自分と同じ方向に行くなら「一緒に行きませんか」と尋ねます。こんな気遣い、見習いたいものです。「全日本盲導犬使用者の会」は、手助けしてくれた人に感謝の言葉が書かれた点字付きのシールを手渡し、関心を持ってくれる人を増やそうとしています。他に、頭上に白杖を掲げて助けを求めるサインなどもあります。全国的な普及には至っていませんが、見かけたら「お手伝いしましょうか?」と尋ねてみてください。
毎日新聞 2018年7月27日
【このカテゴリーの最新記事】
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image
-
no image