性的少数者(LGBT)への差別を条例で禁止している東京都文京区は今月から、区発注工事などで事業者と交わす契約書類に、性的少数者への差別禁止を明記した。罰則や取引停止などの処分規定はないが、条例の趣旨を契約相手に周知し適切な対応を求めるのが狙い。当事者団体の全国組織、LGBT法連合会によると、こうした例は聞いたことがなく「行政の契約関係で明記されたことは画期的」としている。
この書類は、区が事業者と交わす契約書に添える仕様書。工事や物品購入、指定管理者への事業委託など、契約内容の詳細が記される。末尾「その他」には、事業者が契約履行にあたり順守・注意すべきこととして、都のディーゼル車規制や個人情報保護条例、障害者差別解消法などを列記。ここに「性別(性自認及び性的指向を含む)に起因する差別的な取扱いを行わないこと」と書き加えた。
衆院選の掲示板、投票所設営も含まれ、昨年度の区の契約件数は二万四千件余に上る。
区は、二〇一三年施行の「男女平等参画推進条例」で、性的少数者を含むあらゆる人への、性別を理由にした差別的な言動などを禁止。今年三月には、職員や教員向けに、窓口や学校での性的少数者への配慮点をまとめた対応指針を作った。契約管財課の高鳥康広課長(47)は、仕様書に性的少数者への差別禁止を書き加えたことについて「区の考えを事業者に説明し、理解してもらうため」と話している。
性的少数者を巡っては、都内では渋谷区と世田谷区が、同性カップルに結婚に相当する関係を証明する「同性パートナーシップ制度」を導入しているが、両区とも、契約書類には同様の記載はない。
LGBT法連合会の神谷悠一事務局長は「公的な文書に位置付けられ、基準として認められたことの意味は大きい。条例を具体化していくことが大事。他の自治体も続いてほしい」と期待した。
2017年10月2日 東京新聞
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