必ずお読みください!
先日ヒラタケの画像を掲載したが、そのときに「だいたい3kgくらい?」と書いたと思う。株は全部で5株だったので、それで3kgというのは、ふつうはあり得ない。ヒラタケ1枚は大人の手のひら1枚分前後である。大きくなると子供の顔よりも大きくなることもあるが、まだ出始めだったので、まあノーマルサイズではあった。
スーパーのレジ袋中型サイズ一杯に満たない程度だったが、重量は相当あった。本格的な収穫期を迎えると、私はゴミ袋の中サイズ(小学生1人がすっぽり入るくらい?)を携えて収穫する。それで概ね7kgくらいだから、中型レジ袋で3kgはねえよなぁと、内心いぶかっていた。
量ったわけではないから明確なことはいえないが、持った感じはおそらく3kg前後はあったのだと思う。もし中型ゴミ袋で今回のと同じヒラタケを収穫期と同量収穫していたら、きっと20kgくらいになっていたんじゃないかと推測する。理由はもちろん、したたか降った雨の影響である。水分を大量に含んだヒラタケだったのだ。
なぜそんな素っ頓狂な推察をしているのかというと、私はヒラタケを収穫したらいつも塩水で虫だしをして天日干しして保存するのだが、いつもと同じ要領で天日に干したら、ヒラタケは見るも無残な「きのこのカス」のようになってしまったからだ。いちおうヒラタケの体はなしているが、収穫した当時の面影はなかった。なんつーか、スーパーで売ってるヒラタケのサイズで著しく水分を損なった不思議なきのこといった風情だ。
水分を含んだヒラタケは、おそらく水風船のように膨らんで私を待っていたのだろう。そういえば、あのサイズにしては例年よりもだいぶ早い収穫であった。なぜそんな発想に至ったのか・・・ちょっと話しておこう。
実は今回収穫した付近には「ゴムタケ」と呼ばれる珍しいきのこが例年発生するのだが、このゴムタケというやつは、見た目と違ってずっしりと重量感あるきのこなのだ。以前は珍しさからコイツを収穫してきたのだが、今は食う前の下処理が面倒すぎてもう収穫はやめている。
↑きもちわるいでしょー?これはゴムタケ幼菌。こいつが成長すると・・・
↑ゴムタケ成菌。幼菌時の穴みたいなとこが徐々に広がって、平らな面ができるんです。幼菌よりは多少マシでもまだきもちわりい。おえー。
↓ゴムタケ全体像。なんかネットで探すゴムタケよりもデカイので、もしかしたら「オオゴムタケ」ってやつかもしれない。こいつが見た目のサイズよりもずっしり重いのだ。
で、当時皿に入れて冷蔵庫に放りっぱなしにしていたところ、ゴムタケが風呂に入っているくらいの水分が発生していたのだ。それでいながらゴムタケ自身は、多少弾力を欠いてひと回り小さくなってはいたものの、放出した水の量とゴムタケ自身の縮み具合がどうにも対応していないのではないか・・・の疑念を抱いた。アルキメデスもきっとびっくりするくらいの違和感である。
まあそんなおかしな話はどんな物理法則に当てはめてみたってありえないことなのだが、持った感じの重さや出現した水の量(多少黄色っぽく濁っている)の不当な多さから、「ありえない想像」をしそうになってしまうのだ。
話をヒラタケに戻そう。ヒラタケってやつはとにかく「なんでも吸い込むきのこ」である。水分はもちろんだが、重金属系(要はヤバい系)物質や放射性系(もっとヤバい系)物質をも積極的に取り込む性質があるらしいのだ。
私が採取する近くにはどう考えても重金属系の何かがあるようには思われないのだが、もっとヤバいほうはおそらくほぼ確実に飛んできていると思うので、そういう怖さが実はある。実際最近どうものどのあたりが不調で、もしかしたら甲状腺関連が破綻をきたしたのではないか・・・の懸念も生じた。そう考えると、なんとなくヒラタケを食ったあとにのどの違和感を覚える傾向が強い気もする。
あまりに気になったので甲状腺の検査をしてもらったものの、検査結果を見た医者は「正常ですね」とつまらなそうに言い放ったので、まあとりあえずは安心した。のどの検査をしてもらっても異常はなかった。やっぱり医者はなんとなく残念そうであった。
まあそれはいいんだけど、考えてみりゃ重金属とか放射性なんちゃらとかヤバそうなもんをズルズルと吸い込むんだから、水だったらバリバリ吸い込むのは自然と言えば自然のことなのかもしれない。私は山に入ったときは毎日のように「キクラゲ(多くはアラゲキクラゲ)」を採取してくるのだが、そのときはちょことだけだったので乾燥保存させずに水を入れた容器に入れて冷蔵庫でほっぽっておいたことがあった。
1週間後、キクラゲのことなんて忘れていたところ、冷蔵庫の中でやたらと黒っぽいエリアがあったので何事かと思ってそっちを見ると、水分を吸収してきもちわりいくらいに膨張したキクラゲに邂逅したのであった・・・という具合に、ヒラタケに限らず、あんまり積極的に水を吸い込みそうもないキクラゲをはじめ、きのこってやつはなんでも吸い込んじまう「吸引体質」があるのだと思う。
で、きのこって、食えるものは基本的に「身体に良い」とされるじゃないですか?中には「ガンに効く」とか「ガンを治す!」なんていうとんでもねぇパワーを持ったきのこもあるらしいじゃないですか?(実はヒラタケやタモギタケ、タマゴタケなんかもガンへの有効性の検証対象になっているらしい)
やっぱり人間がいくらがんばって「医薬品」をつくっても、地べたから頭の良い人間にさえ理解できないいろんな物質や成分を吸収して毒も抗がん物質も生成しちゃうきのこにはかなわないのかなーという気がしないでもない。オプジーボなんていう立派な薬が日の目を見たこのタイミングでこんなこと言っちゃうのもはばかられるが・・・
放射性物質を取り込むことで、ガン(特に免疫系)の発症リスクが高まるという話をきいたことがある。ということは、多少なりともそういうリスキーな物質を吸い込んでいると思われるヒラタケを1年中食っている私は、もしかしたらほかの人よりもガンの罹患リスクが高いのかもしれないという気がする。
しかし逆に、発ガンしたとしてもヒラタケの未知なるパワーで立ちどころにガン細胞をやっつけてくれるかもしれない望みもあるのだ・・・もしかしたら私の身体の中ではヒラタケの吸引物をめぐり、なんとも複雑なせめぎ合いが日夜行われいるのかもしれない。
ところで、ヒラタケをはじめなんでも吸い込んじまうきのこが抗ガン作用などの医学的メリットを生むとするなら、同じく高い抗ガン作用が期待されるタマゴタケも、いろんな物質を吸い込んでいることに理屈上はなる。放射性物質についてはいくら考えてもしょーがねぇかなぁ・・・というところなのだが、もっと身近な問題があるのだ。というのも・・・
タマゴタケはテングタケのファミリーである。代表格といってもいいだろう。食えるほうの代表だ。そして食えない――というか、食ったらシャレじゃすまないレベルの猛毒きのこも同じファミリーには多い。たとえばこいつだ。
↑「猛毒御三家」の次男ドクツルタケ。長男タマゴテングタケに次いで食った人の高い致死率を誇るとされる
こんなやつもいる。
↑こちらも死亡例がある猛毒ウスキテングタケ。毒性に関する詳細は知られていないが、見た感じ、ボツボツがある以外は超猛毒タマゴテングタケに似ている。猛毒御三家には条線がないが、ウスキテングタケには成菌になるとはっきりする条線がある。
こんな具合に・・・
↑タマゴタケとウスキテングタケが仲良く並んでいる。ドクツルやタマゴテングともっと親密にぴったりと重なるように生えるタマゴタケもある。
これ、どうなんですかねぇ・・・なんでも吸い込むかもしれないタマゴタケがドクツルやタマゴテング、ウスキテングなんかとぴったりくっついていたりすると、その毒成分が吸収されちまうなんてことはないんだろうか?アマトキシン系の毒は強力だし、「遅効性」といういやらしい効き方なので、なんとしても避けなければならない。
まあ私はできるだけ「タマゴタケのみの群衆」の中から1つ2つつまんで食っているので、そういう危険は最小限にとどまると思っているのだが・・・あ、最後にこいつを披露しておこう。
「ゴムタケを食ってみた!」てやつですね。なんでもこのゴムタケもすこぶる身体には良いという話なので食ってみたが・・・できの悪いこんにゃくゼリーという感じで、まずくはないがうまくもなかった。それに何より、調理してもやっぱりきもちわりいなこいつは・・・
ゴムタケの名誉のためにも言っておくが、ゴムタケは水分バランスの状態が良好な山にしか生えないきのこなので、林業者にとっては重要なきのこらしい。そして私が入る山の水分バランスは間違いなく絶好調であることも、このゴムタケたちによって見事証明されたのである。