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2021年07月26日

雪の少女チャイルドファインダー(子供探し屋)、そのまま映画化できそう 

久しぶりに初めておめにかかる作家のミステリーを読んだ。

人物描写が丁寧なのにスピード感のある展開で
あっというまに引き込まれて夢中になり、
ほんの数時間で読み終わってしまった。

読み終わったあと、興奮状態で火照ってにもかかわらず、
作品の中の雪深い山奥の空気がまとわりついて、
自分の吐く息が白くなっているんじゃないかと
錯覚するほど。
身体が凍えると火傷したように感じて、服を脱いでしまうという話が
ずっと頭に残っていたからかも。

簡素でわかりやすい翻訳がとても良かった。

訳者の登場人物と作品への愛が伝わってくる感じ。

誘拐された2人の主人公。
1人は三年前に雪山で行方不明になり、ろうあ者の誘拐犯と共に新しい生活をはじめているスノーガールことマディソン。
もう1人は、9歳の時に何者かから逃げ出したところを救出され、自分の過去を思い出せないまま、行方不明の子供たちの捜索を専門にしている私立探偵のナオミ。

彼女たちが語る言葉のひとつひとつに希望があって、
つらい体験を送る彼女たちを支える人々の優しさがとても深くて、
重いテーマなのに、最後はスッと気持ちが軽くなる。

親にとって、子供の安否がわからないほどの恐怖はない。
物語の間に挟まれた悲惨な場面はかなりつらい…。

物語は、2人の過去と現在を行き来。この行き来する感じが心地よい。
この作品をそのまま映画化できるんじゃないかと。
登場人物のバランスも人数も良い、
主人公ナオミを巡るロマンスや、家族愛。スパイスになる個性的な容疑者たち。
ナオミの過去とスノーガールとの共通点。暴力や犯罪も…。

映画「ルーム」は小説を十分に映像化できていなかった。いえ、映画は素敵でした。
でも、醜い部分を排除しすぎて、原作よりも物足りないものに…。
とにかく「ルーム」は子供単一の視点だけだったし、小説の表現が濃かったから。
でも、この本は語り手がたくさんいるし、心理描写より、行動重視だし、
子供の強さと賢さ全部、演技で表現できそう。
どんな役者さんがいいかなと想像中。


チャイルド・ファインダー雪の少女 / 原タイトル:THE CHILD FINDER[本/雑誌] (創元推理文庫) / レネ・デンフェルド/著 細美遙子/訳


posted by sora at 19:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅と本
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