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2014年12月17日

再生エネ受け入れの限界露呈 電力5社、順次再開も「計画の半分」

再生エネ受け入れの限界露呈 電力5社、順次再開も「計画の半分」

SankeiBiz 12月17日(水)8時15分配信

再生エネ受け入れの限界露呈 電力5社、順次再開も「計画の半分」


 送電線の容量不足などを理由に、九州電力など大手電力5社が停止してきた再生可能エネルギーで発電した電力の新規買い取りが16日、年明けにも順次再開する見通しとなった。再生エネの5社の受け入れ可能量は国が認定した計画を大幅に下回ることから、経済産業省は太陽光の発電量を機動的に抑える仕組みを固定価格買い取り制度に導入する方針だ。これを受け、電力各社は買い取り手続きの再開に向けて検討に入った。ただ、早期に受け入れ量を大幅に増やすのは困難なため、事業者の新規参入は厳しくなる可能性が高く、買い取りをめぐる混乱が収まるかは不透明さが残る。

 経済産業省は16日に開いた有識者による作業部会で、電力大手5社が受け入れ可能な太陽光発電の電力量は計約1745万キロワットになると発表した。これは発電事業者の設備認定量のほぼ半分にとどまる。

 九電の受け入れ可能量は約820万キロワット(認定量約1790万キロワット)、東北電力も約550万キロワット(同約1150万キロワット)と容量不足が突出しており、2社の管内では事業者が計画通り発電しても送電網に接続できないケースが避けられない計算になる。このほか北海道電力は約120万キロワット(同約330万キロワット)、四国電力は約220万キロワット(同約250万キロワット)、沖縄電力は約35万キロワット(同約60万キロワット)と、いずれも容量が不足した。

 新規買い取りを停止していない北陸電力、中国電力の2社も調査対象に含まれ、7社合計では認定量の約4050万キロワットに対し、受け入れ可能量は58%の約2370万キロワットだった。

 5社は9月下旬に買い取り手続きを保留した。設備認定された電力を受け入れると送電網が不安定になり、停電の恐れがあるとの理由からだ。ただ天候に左右される太陽光の発電量を想定して受け入れ可能量を算出するのは難しく、経産省と電力会社で計算ルールを決め、同部会で割り出す作業を進めていた。

 経産省は今後、算出したデータを基に買い取り制度の見直しを検討するが、受け入れ可能量の不足をカバーするため、電力会社が発電事業者に無補償で送電中断を要請できる「出力抑制」を強化する方向だ。30日を限度とする無補償期間の延長などが柱となる見通し。制度を柔軟に活用することで受け入れ可能量を拡大できるとみている。

 しかし、九電の場合、受け入れ可能な容量のほとんどは既に接続して発電しているか、契約手続きが進んでいるため、新たな買い取り余力は2万キロワット。現行制度では新規の申し込みをほとんど受け入れられないため、九電は政府が新たな買い取り条件を示し次第、年内をめどに対応を公表する方針だ。

 固定価格買い取り制度は、再生可能エネルギーの事業者が発電した電気を国が決めた価格で一定期間、大手電力会社が購入する制度で、2012年に始まった。電力会社は買い取り費用を電気料金に上乗せしている。太陽光は設備の設置が比較的容易で買い取り価格が優遇されていたため、参入する事業者が急増し今回の事態につながった。

 経産省が算出した受け入れ可能量のデータは、政府が掲げる再生可能エネルギーの導入拡大に向けた基礎資料にもなる。政府内で今後本格的に検討されるエネルギーミックス(電源構成比)の策定にあたり、現実的な再エネの導入割合をどの程度と見込むかについても今回のデータが活用される可能性がある。(
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