2009年12月19日
【ボクシング】長谷川、バンタム級超えた破壊力
4回2分38秒。挑戦者のペレスが前のめりにキャンバスに崩れ落ちた。「自然に出たパンチ。だから、効いたと思う」と長谷川。左ストレートで顔面をとらえ、右のフェイントをはさんで再度の左。狙わずして倒せる破壊力は、すでにバンタム級のそれではない。
序盤、王者の振りがいつになく大きい。過去2戦続けて1回KO。3戦連続を期待する実況が耳に入ったからだ。「いかなアカンかな、と。ちょっとは意識した」。山下会長の指示でわれに返り、その後はボディーを当てて主導権を握った。
これで5戦連続のKO防衛。直近の4戦は2、2、1、1と早いラウンドでの決着だっただけに「久々に疲れた」。12回まで戦ったのは、昨年1月が最後。スタミナ強化を怠ってはいないが、長谷川自身、半信半疑な面はある。「あと8回動けるかというと、まったく未知。おれのボクシングができるかどうか」。
そう語るほど、10キロを超える減量はパフォーマンスに影を落とす。完璧(かんぺき)な勝利に見えるこの日さえ、「反省点ばかり」。らしくない大振りもそうだが、終盤までもつれ込む展開を考え、持ち味であるフットワークを封印したあたりが「反省」の理由だ。
国内史上2人目の2ケタ防衛を成し遂げた長谷川には、2つの選択肢がある。王座を返上して階級を上げるのか、具志堅用高氏が持つ最多13回の防衛記録に挑むのか。
「楽な減量で動いたとき、どれだけのボクシングができるのかなという楽しみはある」
それは、ボクシングファンにとっての楽しみでもある。
【15秒バージョン】