2018年10月13日
ベランダのお客さま
我が家はマンション。高すぎず低すぎず中途半端な階に部屋があるせいか、ベランダに実にさまざまなお客様がやってくる。ほぼ100%招かれざる客と言っていい。
春はカラス。早朝、どこからともなくベランダに姿を現し、物干し竿をゴトゴト揺らして去ってゆく。おそらく巣作り用に手ごろなハンガーがないか物色しにくるのだろう。カラスは間近で見ると思っていたよりデカいし、重量感もあって怖い。いたずらに刺激して仕返しされるのもイヤなので、そっとカーテンを閉めやりすごす。まあでも物干し竿を揺らすぐらいならまだいい。今年は初めてバードストライクを経験した。ベランダの窓にカラスがぶつかったのだ。かなりの衝撃音だったので心臓が縮みあがるほどびっくりしたし、窓にベっちょりフンと体液のようなものまでつけられ掃除するのが大変だったのだが、ガラス戸の外側にある網戸のサッシがクッションがわりになってくれたらしく、ガラスもカラスも無傷だったのがせめてもの救いだった。おそらくまともに窓にぶつかっていたら、ガラスはなんらかの損傷を受けていた可能性があるし、カラスは我が家のベランダで非業の激突死を遂げていたかもしれない。ガラスの修理、カラスの屍の処理・・・、考えただけでもストレスフルだ。
夏はセミ(清少納言みたくなってきた)。セミでは一度えらい目にあっている。ある夏の夜、私は自らの不注意でベランダの窓から家の中へセミの侵入を許してしまった。さあそれからが大変。ハエや蚊を退治するのとはわけが違う。私もさすがにいきなりの殺生は気がひけ、最初は生け捕りの方向で考えていたのだが、セミのすさまじい羽音につい足がすくんでしまい容易に近づくことができない。なにしろやつらはなかなかの知能犯で、ブビブビと狂ったように飛び回っていたかと思えば、どこへいるのか全く見当もつかなくなるぐらいにその気配を殺す。シーンと静まりかえった部屋の中を息を呑みながら捜索して回ると、キッチンカウンターの上の紅茶の缶の隣にさりげなく置物風になって並んでいたりする。もうほとんど忍者なのだ。そんなセミの恐るべき生態を思いがけなく目の当たりにさせられ心底震えあがった私は、申し訳ないがこれはもう掃除機で吸ってしまうしかないと作戦を「生け捕り」から「駆除」に変更。まずは顔面に攻撃を受けた時に備えてバスタオルで顔をぐるぐる巻きに保護すると、スイッチを入れた掃除機を手に、迫りくる死を予感したのか狂ったように逃げまどうセミを容赦なく追い回し、怒り狂ったセミに何度か頭部への急降下攻撃を受けたけれども怯まず攻め続け、疲弊からか動きが格段に鈍くなったところを首尾よく狙いようやくセミを仕留めた。死闘約1時間。着ていた服はびっしょりかいた汗で色が変わっていた。セミを吸い取った掃除機は怖くてとても家の中には置いておけずとりあえずベランダに一昼夜放置。もう掃除機ごと処分してしまいたいぐらいの衝動にかられたが、後日、おそるおそるゴミパックだけ取り出して小さな袋に密閉。次のゴミ収集日を待って処分した。自分のミスとはいえ、もう二度とあんな経験はご免である。
そういうわけでカラスもセミも困り者なのだが、やはり一番厄介なのはハトかもしれない。うちのマンションは数年前からハトが住み着くようになり、目下マンションあげての問題になっている。管理会社もいろいろ対策を講じてくれているようなのだが、あっちで追われたハトがこっちにきてといたちごっこが続きなかなか解決をみない。そうこうしているうちにとうとう我が家にも昨夏ハトがやってきた。ベランダの手すりで羽を休め始めたのである。これはまずいと思い夢中で追い払ったが、翌日も飛来。さすがにやばいと思い、ネットでハトよけのテグスを注文。しかし物が届いたとたんハトは来なくなった。なんで?それからしばらく姿を見せなくなったので、ハトのことなどすっかり忘れていたのだが、今年になってある日、「ボウボウ」とベランダの方から耳慣れない不気味な音がするので恐る恐る様子を見に行ってみると、なんとベランダにハトが!ボウボウはハトの鳴き声だったのだ。しかも手すりを乗り越えいきなり中に入ってきていやがる!これは一大事だ。ネット上の情報によると「手すりに止まっているうちに対策を。ベランダの中まで入ってこられるようになるとやっかいです」とある。まずい。またもや必死に手で追い払ったが、懲りずに翌朝もハト様来訪。あせった私はとりあえず無用の長物になっていたテグスを引っ張り出してきて、もう手遅れかもしれないと思ったが藁をもつかむ思いでベランダの手すりに張りめぐらし、他にも有効な手立てはないか血まなこになって対策を調べた。すると「ハトは漂白剤の臭いを嫌う」という情報が見つかった。とにかくやってみよう。私はまずベランダを確認。幸いフンなどが落ちている形跡はなかったが、念のためハトが居座っていたと思しきエリアを洗剤をかけて念入りに洗い、その後漂白剤を薄めた水で消毒。さらに漂白剤を含ませた雑巾を皿にのせて置いておくという作業を3日ほど続けてみた。効果があったのかどうかは正直わからない。単にハトが私を警戒して寄りつかなくなっただけかもしれないが、でもそれきりハトはやってこなくなり今に至っている。ひとまずほっとしているが、およびでないお客様との攻防はこれからも続きそうである。
カナリアなんかが来てくれたらうれしいのにね。
春はカラス。早朝、どこからともなくベランダに姿を現し、物干し竿をゴトゴト揺らして去ってゆく。おそらく巣作り用に手ごろなハンガーがないか物色しにくるのだろう。カラスは間近で見ると思っていたよりデカいし、重量感もあって怖い。いたずらに刺激して仕返しされるのもイヤなので、そっとカーテンを閉めやりすごす。まあでも物干し竿を揺らすぐらいならまだいい。今年は初めてバードストライクを経験した。ベランダの窓にカラスがぶつかったのだ。かなりの衝撃音だったので心臓が縮みあがるほどびっくりしたし、窓にベっちょりフンと体液のようなものまでつけられ掃除するのが大変だったのだが、ガラス戸の外側にある網戸のサッシがクッションがわりになってくれたらしく、ガラスもカラスも無傷だったのがせめてもの救いだった。おそらくまともに窓にぶつかっていたら、ガラスはなんらかの損傷を受けていた可能性があるし、カラスは我が家のベランダで非業の激突死を遂げていたかもしれない。ガラスの修理、カラスの屍の処理・・・、考えただけでもストレスフルだ。
夏はセミ(清少納言みたくなってきた)。セミでは一度えらい目にあっている。ある夏の夜、私は自らの不注意でベランダの窓から家の中へセミの侵入を許してしまった。さあそれからが大変。ハエや蚊を退治するのとはわけが違う。私もさすがにいきなりの殺生は気がひけ、最初は生け捕りの方向で考えていたのだが、セミのすさまじい羽音につい足がすくんでしまい容易に近づくことができない。なにしろやつらはなかなかの知能犯で、ブビブビと狂ったように飛び回っていたかと思えば、どこへいるのか全く見当もつかなくなるぐらいにその気配を殺す。シーンと静まりかえった部屋の中を息を呑みながら捜索して回ると、キッチンカウンターの上の紅茶の缶の隣にさりげなく置物風になって並んでいたりする。もうほとんど忍者なのだ。そんなセミの恐るべき生態を思いがけなく目の当たりにさせられ心底震えあがった私は、申し訳ないがこれはもう掃除機で吸ってしまうしかないと作戦を「生け捕り」から「駆除」に変更。まずは顔面に攻撃を受けた時に備えてバスタオルで顔をぐるぐる巻きに保護すると、スイッチを入れた掃除機を手に、迫りくる死を予感したのか狂ったように逃げまどうセミを容赦なく追い回し、怒り狂ったセミに何度か頭部への急降下攻撃を受けたけれども怯まず攻め続け、疲弊からか動きが格段に鈍くなったところを首尾よく狙いようやくセミを仕留めた。死闘約1時間。着ていた服はびっしょりかいた汗で色が変わっていた。セミを吸い取った掃除機は怖くてとても家の中には置いておけずとりあえずベランダに一昼夜放置。もう掃除機ごと処分してしまいたいぐらいの衝動にかられたが、後日、おそるおそるゴミパックだけ取り出して小さな袋に密閉。次のゴミ収集日を待って処分した。自分のミスとはいえ、もう二度とあんな経験はご免である。
そういうわけでカラスもセミも困り者なのだが、やはり一番厄介なのはハトかもしれない。うちのマンションは数年前からハトが住み着くようになり、目下マンションあげての問題になっている。管理会社もいろいろ対策を講じてくれているようなのだが、あっちで追われたハトがこっちにきてといたちごっこが続きなかなか解決をみない。そうこうしているうちにとうとう我が家にも昨夏ハトがやってきた。ベランダの手すりで羽を休め始めたのである。これはまずいと思い夢中で追い払ったが、翌日も飛来。さすがにやばいと思い、ネットでハトよけのテグスを注文。しかし物が届いたとたんハトは来なくなった。なんで?それからしばらく姿を見せなくなったので、ハトのことなどすっかり忘れていたのだが、今年になってある日、「ボウボウ」とベランダの方から耳慣れない不気味な音がするので恐る恐る様子を見に行ってみると、なんとベランダにハトが!ボウボウはハトの鳴き声だったのだ。しかも手すりを乗り越えいきなり中に入ってきていやがる!これは一大事だ。ネット上の情報によると「手すりに止まっているうちに対策を。ベランダの中まで入ってこられるようになるとやっかいです」とある。まずい。またもや必死に手で追い払ったが、懲りずに翌朝もハト様来訪。あせった私はとりあえず無用の長物になっていたテグスを引っ張り出してきて、もう手遅れかもしれないと思ったが藁をもつかむ思いでベランダの手すりに張りめぐらし、他にも有効な手立てはないか血まなこになって対策を調べた。すると「ハトは漂白剤の臭いを嫌う」という情報が見つかった。とにかくやってみよう。私はまずベランダを確認。幸いフンなどが落ちている形跡はなかったが、念のためハトが居座っていたと思しきエリアを洗剤をかけて念入りに洗い、その後漂白剤を薄めた水で消毒。さらに漂白剤を含ませた雑巾を皿にのせて置いておくという作業を3日ほど続けてみた。効果があったのかどうかは正直わからない。単にハトが私を警戒して寄りつかなくなっただけかもしれないが、でもそれきりハトはやってこなくなり今に至っている。ひとまずほっとしているが、およびでないお客様との攻防はこれからも続きそうである。
カナリアなんかが来てくれたらうれしいのにね。
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