2019年03月18日
生け贄
話の出所はちょっとぼかしてしかかけない。
信じる信じないは自由です。
某県にすんでいるのだが、自称やんごとなき血族の友人がいた。
すでに鬼籍にはいってしまったのだが、実に信じがたい話なのだが聞いてほしい。
自称やんごとき血族の友人Aとは幼稚園のころからの付き合いだった。
地元でも名士でかなりの土地とかなりの資産をもっている。
友人Aは長男でゆくゆくはその家を継ぐだろうと思っていた。
高校2年の夏に進学のことや将来のことで色々と話す機会があった。
友人Aはにこにこ笑いながら
「俺の将来はきまってるから・・」
あまり裕福でない私はまぁ正直家が金持ちでいいなぁと思っていた。
今から思えば地元の名士であるはずの長男が普通の中学、高校に通って自由に遊んでいたのも友人Aの末路がわかっていたので親や親族が自由にさせていたのだろうと思う・・・。
高校3年の夏すぎから友人Aの様子があらか様におかしくなっていった。
自暴自棄というか何もかもどうでもいいような発言と行動が目に見えて多くなっていた。
受験のノイローゼか年齢的におこる不安定だと思っていたが実はそうではなかった。
卒業して見事に私は浪人になり、ぶらぶらろくでもない生活を送っていた。
友人Aとは何ヶ月か連絡を取っていなかったがクリスマス前に突然友人Aから連絡がありひさしぶりに会うことになった。
何ヶ月ぶりあったの友人Aの姿は異様というか異常というか髪は白髪まじりで、頬骨がういて見えるくらいげっそりとやせていた。
たった数ヶ月で人間の容姿がここまで変わるものかとひどく驚いたのをいまでも覚えている。
近所の公園で寒い風の吹く中暖かいコーヒーをすすりながら私
「おーひさしぶり卒業式以来なにかあったの?」
友人A
「ちょっと話を聞いてほしくてななにも聞かないで俺の話をきいてくれ」
私
「・・・病気かなにかか?」
友人Aのあまりに変わり果ててやせ細った姿を異様におもった私は自然ときいていた。
友人A
「・・・いや、ちがう・・が関係はあるこの話はお前にしかいわない」
そういと友人Aは左手でコートをちらっとめくった。
友人Aの右肩から先にあるはずの右腕が見当たらなかった。
あまりの衝撃と予想もしなかった状況に言葉を失っていたら友人Aがぽつりぽつりとある物語を話だした。
とある公家の当主が、大きく変わる世の中と自らの家系が耐えてしまうのを恐れある神社の神主に相談をした。
その神社の神主は当主の相談に3つの条件を承諾すれば未来永劫家系と田畑がまもれるといった。
その条件とは。
1神主の娘を娶り神主の血筋も絶やさない。
2代替わりごとに贄を差し出すこと。
3ある箱を守り続けその代の当主がその度作り直すこと。
そういうとその神社の神主は、その当主に娘をわたし、ある箱をわたすと。
自らの命を絶った。
ほんとはもっと細かく長かったが要約しました。
そういう物語だったクリスマスの時期のくそ寒い公園で聞かされて気持ちのいい話ではなかった。
私
「・・その話はなにか意味があるのか?」
友人A
「・・・代わり事の贄は長男つまり俺・・・・」
私
「何だそれ・・お前の腕とかいきなり変な話とか・・」
友人A
「・・まぁきいてくれ俺は来年の夏までに死ぬ・・」
友人A
「・・ただ誰かに話を聞いてもらいたかったんだ」
私
「その腕とはどうした?そのやせ方は異常だぞ病院にいけ」
友人A
「腕は・・腐って落ちた食っても食ってもどんどんやせていくんだよ」
言葉につまっていると友人Aは死にたくないつらい助けてくれと2時間以上泣き喚いた。
そうこうしているうちに友人Aが
「ありがとう」
といって深く頭をさげて帰っていた。
今月あのまま連絡がなくこちらから連絡がつかないまま友人Aの訃報を受けた。
葬儀にあつまってきた学校の友人たちから事故死と聞いた。
いまだに心に整理がついてないのだが、友人Aの父親と母親がよくやったと泣いていたがいまだに耳からはなれない。
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