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2019年11月14日

「英語民間試験」の問題、大前研一氏も

週刊ポスト2019年11月22日号に、経営コンサルタントの大前研一氏が、大学入試「英語民間試験」の問題を指摘されていました。
私がこれまで申し上げてきたことをまとめていただいたというか、改めて指摘されていたので、まさに心強く思った次第です。
その彼の指摘とともにもう一度「共通テストをぶっ壊す!」について述べてみたいと思います。



■大学が個々に試験問題を作るべき
 大前氏が指摘するのは、まず、その『試験によって何を測りたいのかが不明なこと』です。

すでに2年前に私が指摘したように、より本質的な問題はその試験によって何を測りたいのかが不明なことである。つまり、重視するのが英語の読解力なのか、要約能力なのか、ヒアリング能力なのか、会話能力なのか、筆記能力なのか、あるいは海外に派遣された時の実戦対応能力なのか、さっぱりわからないのだ。


確かに文部科学省が言うように「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能が大切なのは理解できます。英語は語学である以上、読み書きが出来てもコミュニケーションが出来ないというのは致命的です。
ただ、大学ではそれぞれの大学ごと学部ごとに違うはずですし、大学側が学生に求める能力はそれぞれ異なるはずです。
大前氏はこうも述べております。
 
学生に必要とされる英語の能力は大学ごと、学部・学科ごとに違うはずだからである。本来、その違いに沿って大学側が個々に試験問題を作るべきなのに、それを目的も採点基準も全く違う複数の民間試験に丸投げするという発想自体、文部科学省が英語教育を全く理解していないことの証左にほかならない。


 すなわち、民間企業にやらせるのではなくて大学側が個別に試験問題を作るべきという私が前から主張していることを強調してくれております。



■学生に必要な英語能力は大学ごと学部ごとに違うはず
 大前氏は、こうも述べています。

たとえば、理系では外国の文献を調べて自分の論文をまとめるための読解力や筆記能力が求められるだろうし、文系ではヒアリング能力や会話能力を重視すべき学部や学科があるはずだ。英語は語学である以上、コミュニケーションのツールである。そのコミュニケーションが主として論文や学会の発表なのか、会話なのか、メールなのか、それとも会社のプレゼンテーションなのかなどによって、求められる能力は大きく異なるのだ。


ですから、大学側が個別に試験問題を作るべきという結論になるわけです。



■そもそも民間試験は学習指導要領とは無関係なもの
 また、大前氏はこうも述べています。
 
そもそも民間試験は高校までの学習指導要領と無関係なのだから、文科省は従来の学習指導要領至上主義を放棄したに等しい。文科省は民間試験と高校学習指導要領の整合性を
確認したとしているが、もし文科省が学習指導要領や教育プログラムに自信があるなら、その延長線上で進捗度を測る共通試験を自分たちで作るべきである。




■「英語民間試験」は、延期ではなく白紙撤回すべき
 大前氏は、こう力強く述べています。
受験生のためではなく、文科省の省益と業者の利権のためのものであり、汚職や天下りの温床になりかねないのだ。あまりにも杜撰で不可解な英語民間試験は、延期ではなく即刻「白紙撤回」すべきである。


確かに民間に任せるのではなく新たな試験を作るとすれば、かなりの困難が予想されます。しかし、民間に丸投げして起こるいろいろな問題に比べたらそれは困難のうちには入らないのではないでしょうか。
毎年50万人の受験生が受けるものです。
これまで共通一次・センター試験・そしてこれからやろうとしている共通テスト
そこには膨大なデータがあるはずです。
そこから様々な問題点が指摘され改良に改良を重ねてきたはずです。
それを活かした新たな方法を文部科学省が出来ないとしたら、
残された道はただ一つ、
共通試験をなくして大学それぞれの個別試験にする
これしかないでしょう。

確かに各大学の教官たちは大変でしょう。
でも、各大学が学生に求めている能力を確実に測るとしたら、これしか道は無いはず。

大前氏が学長を務めているビジネス・ブレークスルー(BBT)大学での試験のことを紹介しておりました。

やってやれないことはないはずです。

各大学からも声をあげてほしいものです。
posted by seminar1 at 07:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事問題
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