上海で日本人が経営しているBARに着く。ジメジメしている日本と同じ夏の日、雑居ビルの地下にBARはあった。なぜ、そこを知っているかと言うと、以前に同じ安宿の人が前に連れて行ってくれた場所でもあった。中に入ると空調が効いていて涼しく、そしてアメリカのヒップホップが流れていた。薄暗くブラックライトがメインの照明となっていた。一緒に来たのは、大阪港から仲間になった2人ときた。いい感じに酔ってくると、若い上海人が話掛けてきた。彼は日本語が少し、英語が堪能で、かなり教育されたお金持ちの子供ってイメージだった。上海のシャングリラホテルの日本食レストランで修行していると話していた。夜も深まり、お互いみんなで飲んでいたら、他の店に行こうと上海人が言い出した。俺たちは、優しそうな彼に付いて行った。
タクシーに乗り込み、上海語で行き先をドライバーに告げているが、どこへ行くのかさっぱり分からない。車で10分も掛からない場所で降りた。そこは、巨大クラブの入口であった。若者ばかりで、上海人の彼に中へ入ろうと言われ入口に向かった。瞬間的に手が反応して財布を盗まれないようにポケットに手を入れた。気が付いたら、両手に女性の手が何本もあり、行く手を遮られていた。その事に分かった上海人の彼が、まくし立てるように女達に話していた。俺たちは何が起きているのかさっぱり分からずに入場ゲートに進んだ。ボディーチェックを受けている時に、女欲しいか?あいつらは田舎から出てきた女達で日本人を騙して金をせびるけど、それでも欲しいか?
もしオッケーなら、可愛いの探して2、3人連れてくるぞ。俺がいるから騙される事はないと思うが、いるか?と聞かれ、友達2人は女がいないと面白くないな!と言い出して、じゃあ2人!と頼んだ。そして中へ入った。
中は日本と変わらない、当時で言うディスコ。しかも、中央で踊っている人達は携帯電話を持って、携帯を上に掲げて踊っていた。実はこの頃、携帯電話を持っている人は金持ちのステータスがあった。今では普通の事だが、当時では金持ちの称号であった。その姿を見ていると、周りにある1階席と2階席のどちらがいい?と言われ、日本の友達にどうする?と聞いたら、俺たちは女達と飲むから、その辺に座ってるよ。と言われた。上海人の彼と2階席に上がり、その彼の男友達も合流して3人で飲み始めた。色んな事を話したが、君の友達は女を選んで別々になったけど、別にいいのかい?と言われ、友達だけど別にホテルが一緒くらいで日本では友達じゃないから大丈夫。と答えたら、じゃあ言うけど、彼らはお金を騙されるよ。俺と離れてしまった事で、あの田舎の女どもは稼ぎに入るよ。君の名前は?デッシュ、よろしく!君は?俺はレオ、こいつが、ガンナン。よろしく!レオは、なぜ俺をディスコに連れてきたんだい?それは。歯切れが悪くなった。まぁ、俺はオープンだから隠す事ないよ。女達はレオの仲間?だから来たって事かな?違うよ。あの女達は良く見るけど、ここには毎週来ている。君を呼んだのは、日本人と友達と言うのが上海人のステータスになっている。他のテーブルからも確かにチラチラ見られてるのに気付いた。こんな事を言いたくなかったが、日本人といると羨ましいと思われて、自分達が更に上にランクになった気分になる。つまり、俺はここの王様みたいな物かな?いてくれるだけで俺たちは格好がつく。それを言わなくて申し訳なかった。と謝りだした。レオとは友達だから気にしないよ。(笑)
それより飲もうぜ!そうか分かってくれるか!帰っちゃうかと思ったよ。帰らないから安心しな。ガンナンがビールを注文した。3人で飲みながら、日本で流行っている物など、とにかく日本の事を知りたがっていた。俺もアメリカから帰ってきて、日本には10ヶ月しかいなく、バイトで100万貯めて辞めてきたんだ。だから、日本で流行ってるもののすべては分からない。分かる限りは話すけど、と言い彼らには何もかもが新鮮だったんだろう。何せ日本人は悪としか教育されてきていないのに、どこかの情報でアジアでは日本が1番と聞いたのだろう。まだ、24才くらいの同じ年の彼らだが悪い奴らではなさそうだな。と思っていると、1階席から女が2階にきた。これは騙す女といいかけた時に、レオはこの子は俺の友達。田舎の女達と違う。安心して!と言われ、またビールを注文。中国人はビール好きだなー!と思いながら小さい瓶ビールが机に満タンになってきた。このディスコで知り合った女性らしくて、スタイルもよく顔も小さい、ストレートヘアーがまた綺麗だった。結局、このディスコは金持ちと外国人用とあとから知った。俺が携帯見せてくれ!と言ったら、全員見せてくれた。しかも全員同じ携帯。携帯の画面の色が設定でイエロー、オレンジ、ブルーに変える事しかない機能で、日本のピッチだった。やはり、家電は遅れているのか。と思っていたら、ガンナンが、日本の携帯はもっといっぱいあるんだろ?と聞かれ、今は二つ折りだよ。と答えると、え?折れるの?
とビックリしていた。その当時の話はこんな事でも日本の技術は凄いと羨ましがるほどであった。どうやら3人は自分を気に入ったらしく、次の店に行かないか?と誘ってきたので、行こうぜ!と酔っ払いながら外へ出た。相変わらず、若い子達のポン引きみたいのが多かった。グリーンのネオンのクラブをあとにした。タクシーで次はどこ?と聞くと、レオが俺の友達がたくさんいる所だ!と言い電話していた。タクシーは20分くらい乗った感じがしたが、まだ上海中心部に近い。心の中では、まだ彼らへの不信感が奥底にあった。大きい雑居ビルの2階に上がった。エレベーターが開くと、そこには公安が!上海語で5分くらい揉めていた。なんの話か分からないが、公安は俺の顔を見て嫌な顔をしながら、顔で行け!と仕草をした。
中へ入ってる時に、なぜ公安がいるんだ?危険な所か?と聞いたら、外人は入れないんだが、俺の親父の名前を使って入れるようにした。なるほどね、それで揉めていたのか!こいつら国の権力に逆らって俺を入れてもらえるように説得してくれた。
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