刀剣男士のゆかりの地の写真を撮って短歌を詠んでいます。
刀剣男士の詠んだ三十一文字の恋のうたです。
いわゆる、カップリング要素・夢要素を含みます。
刀剣男士が誰かを想って詠んだうた、というコンセプトで詠みました。
織田(薬研藤四郎・へし切長谷部・宗三左文字・不動行光)のつめあわせです。
※写真を同人誌即売会にて頒布させていただいてました
※中の人は織田で活動させていただいていたので、他の刀剣男士より多いです
計24首。
【へし切長谷部】
遠く過ぐ 下げ渡したる しらぬいの
尽くし日々にも 想い陰らん
私を下げ渡したことも遠い昔になってしまいもう貴方の意図は量りかねますが、貴方に尽くした日々も、こうして筑紫で過ごす今も、想う気持ちが陰ることはないのですよ。
撮影 福岡城 平成二十七年八月二日
発行 平成二十七年八月二十三日
【薬研藤四郎】
久方の 雨枯るる日に 蛙鳴き
燃えゆく花は 色を忘れじ
久しく雨が降っていないのに蛙の声がして、燃えてしまった世界に咲いた花は、色付くことを忘れてしまったようだなぁ。
撮影 本能寺跡地 平成二十七年五月二十八日
発行 平成二十七年八月二十三日
【薬研藤四郎】
花咲けど 重なる石の 仄暗き
誰ぞ想いて 独り微睡む
花が咲いて季節は廻っているのだろうが辺りは暗くて何も判らない。
独り微睡みの中で想っているのは誰だったのだろうか、なぁ。
撮影 本能寺 平成二十七年六月二日
発行 平成二十七年八月二十三日
【宗三左文字】
壁越しに 近き遠きも 色付きて
手繰る腕の 今は届かず
このように壁の中から近く遠くに咲く花が色づいてゆくことを想う度、貴方たちをこの腕に抱きたいと手繰り寄せようとしても、もう、届くことはないのですね。
撮影 建勲神社 平成二十七年五月二十一日
発行 平成二十七年八月二十三日
【宗三左文字】
独りきり 過ぎ行く時を 訪ぬれど
君居ぬ跡の 色は愛しき
こうして貴方と過ごした時を独りきり訪ねて来ましたが、貴方がいなくなってしまった後では、愛しく感じていたこの紫陽花の色さえも、悲しく見えるのですね。
撮影 安土城跡 平成二十七年七月二日
発行 平成二十七年八月二十三日
【宗三左文字】
雲は立ち 飛び交う蝉と 時雨降る
逢瀬も巡り 堂々還らん
雲は立ち蝉の時雨を聞いていると雨降るあの日を思い出しますが、貴方達に会えたことを想うと、あの場で朽ちてしまうべきだったのか、こうして生きていてよかったのか、もう、よく分からないのです。
撮影 桶狭間古戦場跡 平成二十七年八月九日
発行 平成二十七年八月二十三日
【宗三左文字】
燃える日の 宵に沈みし 水鏡
近くも届かぬ 時の玉響
燃えるような暑い日の宵、水面に映る世界の揺らめきが、こんなに近くにあるのに、想いの向こうに居る筈の貴方に手が届かないのです。
撮影 徳川園 平成二十七年八月九日
発行 平成二十七年八月二十三日
【へし切長谷部→宗三左文字】
立つ鳥の 導く嘆き 幾重にも
況や逢瀬に 価値勝るらん
飛び立つ鳥の導きで出会ったのがお前の嘆きであったとしても、どうして出会えたという価値にまさることがあるだろうか。いや、それ以上のことなど、あるはすがない。
撮影 熱田神宮 平成二十七年六月七日
発行 平成二十七年八月二十三日
【へし切長谷部←宗三左文字】(返歌)
籠越しの 雫を拭う 腕さえ
重ね重ねの 嘆きを抱けず
囚われた籠越しに流れる雫を貴方の腕は拭ってくれますが、重なり続けた僕の嘆きを抱くことだけは、できないでしょうね。
撮影 熱田神宮 平成二十七年九月三日
発行 平成二十七年十月四日
【宗三左文字】
残り火が じりりと焦がす 心の臓
遠き光に 縋る術なし
夏の残り火がじりじりと肌と胸を焦がして、焼けた胸は苦しくて堪らないのに、魔王の威光の元に貴方達と集った遠い昔、その日々に縋りたいと思っても、もう、僕は縋る術も持たないんですよ。
撮影 建勲神社 平成二十七年九月二十二日
発行 平成二十七年十月四日
【へし切長谷部←宗三左文字】
日暮して 小巻の雲は 濃々と
くすぐる息に 茜空見ゆ
変わり映えのしない毎日に小さく渦巻く雲が濃く立ち込めていたけれど、くすぐるような貴方の息がその雲を払って、僕の目にも茜空が見えました。
撮影 小牧山城(小牧城) 平成二十七年十月二十五日
発行 平成二十八年一月十七日
【へし切長谷部→宗三左文字】(返歌)
世は陰り 季節忘れし 花の色
吐く息くゆり 黄昏を知る
目に映る全ての世界が陰ってしまったように感じ、お前は季節さえも忘れて枯れることもなく色をたたえている。その吐く息が曇るから、俺は今日も黄昏に気付いてしまうんだ。
撮影 小牧市郷社神明社 平成二十七年十月二十五日
発行 平成二十八年一月十七日
【宗三左文字】
木枯らしに 雫伝いし 左頬
光撫でるも 君は知らずに
木枯らしが身を震わせその寒さに雫が伝った左の頬を撫でてくれるのは、もう、貴方の手ではなくて空から注ぐ光だけなのですね。
撮影 安土城跡 平成二十七年十二月五日
発行 平成二十八年一月十七日
【江雪左文字→宗三左文字】
遠き日に 手繰る腕の 空を裂き
花は笑えど 愛し雨音
遠き陽だまりのような日々に手を伸ばしても、その腕は唯空を裂くだけで、美しい花は咲き誇り笑みを湛えていますが、雨の雫は悲しく聞こえるものです。
撮影 福山城 平成二十七年十二月十日
発行 平成二十八年三月二十七日
【へし切長谷部←宗三左文字】
茜さす 藤紫に 恋焦がる
流るる雫 誰が手ぞ拭う
藤が紫に色付く様に恋焦がれる僕の、頬を流れる雫を誰の手が拭ってくれるのでしょうね。
貴方以外、ありえないのに。
撮影 船岡山公園 平成二十八年四月三十日
発行 平成二十八年六月五日
【へし切長谷部→宗三左文字】
唐衣 袖振る腕を 手繰れども
遠く想いは ただ空を切る
お前が袖を振る姿に手を伸ばして手繰り寄せようとするのに、今は遠く、想えば想うだけ、この手はただ、空を切るだけだ。
撮影 建勲神社 平成二十八年四月五日
発行 平成二十八年六月五日
【薬研藤四郎→宗三左文字】
蛍火の 想いはらはら 熔け残る
熱に浮かれて 色付く花よ
舞う火の粉は蛍火のようで、想いがはらはら舞っているようだ。そうして熔け残った想いの熱に浮かされて、お前はまた、色付いているのだろうか、なぁ。
撮影 本能寺跡地 平成二十八年六月二日
発行 平成二十八年六月五日
【薬研藤四郎←宗三左文字】(返歌)
陽に焦がれ 待てども咲かぬ 黒鉄の
熔けて残るは 花か想いか
あの陽光に焦がされながらずっと待っているけれど、黒く焼けた鉄は咲くことを忘れ、果たして、あの場所で溶けて残ったのは、花なのか、それとも、想いだけ、なのでしょうか。
撮影 建勲神社 平成二十八年六月二日
発行 平成二十八年六月五日
【薬研藤四郎←へし切長谷部】
陰る陽の 白装束に 相対と
菖蒲の咲ける 先も知らずに
陽が陰った時に城に相対するその色を見ていると、お前はもう菖蒲が咲き誇ることを見ることもないのだと思い知らされるな。
叶うなら、もう一度手合わせてみたかった。
撮影 福岡城 平成二十八年六月五日
発行 平成二十八年十一月二十日
【へし切長谷部→宗三左文字】
萌え尽きて 僅かに残る 花の色
雫を拭う 指も持たずに
季節は移ろい咲き誇った花ももう僅かしか残っていない。その花が雫に濡れているのに、どうして俺は、それを拭ってやることができないんだ。
撮影 福岡城 平成二十八年六月五日
発行 平成二十八年十一月二十日
【薬研藤四郎→不動行光】
雪解けの 雫掬いし 我が指も
燃ゆる椿の 落つる刻まで
雪解けの雫がその頬を流れたとしても、この指で拭ってやれる今という時は、花の巡りと同じように終わってしまうものなのだな。
撮影 本能寺 平成二十九年二月九日
発行 平成二十九年五月四日
【へし切長谷部→宗三左文字】
小雨舞い 交わす彩 紅白の
すずぶかんばせ 何をか偲ぶ
小雨が舞う中に紅白混じって咲く花を見ながら、何を偲んでその表情を曇らせているんだ。
あぁ、その曇る表情さえ、美しいのだが。
撮影 真清田神社 平成二十九年四月九日
発行 平成二十九年五月四日
【薬研藤四郎→不動行光】
留まりて 雪の気配を 見送れば
春綻びて 朱にも染まらず
同じ場所に留まってはいても、雪の気配を見送れば春が来て花が咲く、その何者にも染まらぬ色を見ていると、いつの年も、お前のことを思い出してしまうんだ。
撮影 本能寺 平成二十九年四月四日
発行 平成二十九年五月四日
【薬研藤四郎←不動行光】(返歌)
ふわふわと 胡蝶揺蕩う 薄紅に
思い募りし 微睡みの春
ふわふわと蝶々が薄紅の中を揺蕩っているのを見ると、遠い昔に想いが募ってしまうけれど、もう、春の微睡みの中にしか、想いは残っていないんだな。
撮影 本能寺 平成二十九年四月十二日
発行 平成二十九年五月四日
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