2016年02月29日
鱚(キス)は海のデリケートな女王様
般的に鱚(キス)といえば、大体はシロギスのことです。シロギスは北海道から九州地方まで広く分布しています。シロギスはその見た目の美しさから「海の女王」や「海の白雪姫」などと上品な別名で呼ばれ親しまれています。昔は高級食材として扱われていたようですが、現在では外国からの輸入ができるようになり、一般の人でも気軽に買うことができるものになりました。
美味しい鱚を気軽に食べられるようになったのは、とても嬉しいことです。しかしその裏には、環境汚染によって鱚の漁獲量が減少しているという暗い背景があります。鱚は水質の変化に敏感な魚なので、水質汚染のダメージに耐え切れないのです。
鱚は養殖が難しいため、数が少ないです。にもかかわらず、一年中釣られてしまうため、その数の減少が危惧(きぐ)されています。キスの中でも、「アオギス」は環境汚染が原因で、すでに多くの生息地を失っています。昔は東京湾、伊勢湾などにも生息していましたが、現在では九州や台湾にしか生息していません。
シロギスだけでなく、アオギスも海のデリケートな女王様なのです。美味しくて素敵な鱚を守っていく環境作りが今求められているといえます。
幻の江戸の風物詩「鱚の脚立釣り」
320px-Sunday_fishing_in_Tokyo_bay
江戸時代より、鱚は釣り人に人気がある魚でした。有名な鱚釣りの方法のひとつに、浅瀬に脚立を立てて釣り人が鱚がかかるのを待つ、という独特な手法がありました。鱚はかなり臆病で音などに敏感な魚だったため、舟などで音を出してしまうとなかなかエサに近づきません。ですから、脚立に釣り人が乗って、音を出さずにじっと待ち続けるスタイルが確立されたのでしょう。
現在では鱚と言えばシロギスのことを指します。しかし江戸時代では、鱚はシロギスよりも大きなアオギスのことを表していました。アオギスは大きいですが、小さなシロギスよりも用心深い魚でした。この脚立釣りも、そんな臆病なアオギスを狙う為に考えられた釣り方であると考えられています。
しかし残念なことに現在では、東京湾のアオギスは絶滅してしまいました。昭和初期まで親しまれてきたこの脚立釣りも、今ではアオギスと共にその姿を消してしまいました。
疫病神除けに寿司屋は鱚を握らない?
鱚は料理に万能で、刺身や焼き魚、お吸い物、天ぷら、骨まで食べる「骨せんべい」など様々な用途があります。
しかし、江戸前の寿司屋の大半が、万能な鱚をお寿司にはしていません。鱚は万能ですから、寿司ネタとして優秀な魚なはずです。
ではどうして江戸前のお寿司屋さんでは鱚の握りを出していないのでしょうか?これは、鱚に関係するある逸話が原因といわれています。
昔、江戸の八丁堀に清次という男が居ました。この男は釣舟の商売をしていて、寛政2年5月24日に、釣り上げた鱚を築地へと運んでいました。その最中、疫病神と名乗る大男が現れ、「あなたが釣った鱚を一匹くれないか?」 と声をかけられました。清次は驚きながらも、自分が釣った鱚を大男に渡すと、「お前はとても良い奴だ。お前の名前を書いて門口に貼っておけ。それが貼ってある家には俺は入らないようにする」と言って姿を消したといわれています。この噂は江戸中に広まり、清次に名前を書いてもらえば疫病神除けになると評判になりました。この噂は江戸のお上にも伝わって、その時の調書が残っています。
実はこの話は実話として現代に伝えられていて、この疫病神の正体も記録が残っています。実はこの大男は世間を騒がせていた大泥棒で、この噂が広まった翌年に逮捕されました。
この話から、江戸前のお寿司屋さんでは「鱚を断って疫病神除けの願をかける」という意味で、鱚を握らない店が多いといわれています。
美味しい鱚を気軽に食べられるようになったのは、とても嬉しいことです。しかしその裏には、環境汚染によって鱚の漁獲量が減少しているという暗い背景があります。鱚は水質の変化に敏感な魚なので、水質汚染のダメージに耐え切れないのです。
鱚は養殖が難しいため、数が少ないです。にもかかわらず、一年中釣られてしまうため、その数の減少が危惧(きぐ)されています。キスの中でも、「アオギス」は環境汚染が原因で、すでに多くの生息地を失っています。昔は東京湾、伊勢湾などにも生息していましたが、現在では九州や台湾にしか生息していません。
シロギスだけでなく、アオギスも海のデリケートな女王様なのです。美味しくて素敵な鱚を守っていく環境作りが今求められているといえます。
幻の江戸の風物詩「鱚の脚立釣り」
320px-Sunday_fishing_in_Tokyo_bay
江戸時代より、鱚は釣り人に人気がある魚でした。有名な鱚釣りの方法のひとつに、浅瀬に脚立を立てて釣り人が鱚がかかるのを待つ、という独特な手法がありました。鱚はかなり臆病で音などに敏感な魚だったため、舟などで音を出してしまうとなかなかエサに近づきません。ですから、脚立に釣り人が乗って、音を出さずにじっと待ち続けるスタイルが確立されたのでしょう。
現在では鱚と言えばシロギスのことを指します。しかし江戸時代では、鱚はシロギスよりも大きなアオギスのことを表していました。アオギスは大きいですが、小さなシロギスよりも用心深い魚でした。この脚立釣りも、そんな臆病なアオギスを狙う為に考えられた釣り方であると考えられています。
しかし残念なことに現在では、東京湾のアオギスは絶滅してしまいました。昭和初期まで親しまれてきたこの脚立釣りも、今ではアオギスと共にその姿を消してしまいました。
疫病神除けに寿司屋は鱚を握らない?
鱚は料理に万能で、刺身や焼き魚、お吸い物、天ぷら、骨まで食べる「骨せんべい」など様々な用途があります。
しかし、江戸前の寿司屋の大半が、万能な鱚をお寿司にはしていません。鱚は万能ですから、寿司ネタとして優秀な魚なはずです。
ではどうして江戸前のお寿司屋さんでは鱚の握りを出していないのでしょうか?これは、鱚に関係するある逸話が原因といわれています。
昔、江戸の八丁堀に清次という男が居ました。この男は釣舟の商売をしていて、寛政2年5月24日に、釣り上げた鱚を築地へと運んでいました。その最中、疫病神と名乗る大男が現れ、「あなたが釣った鱚を一匹くれないか?」 と声をかけられました。清次は驚きながらも、自分が釣った鱚を大男に渡すと、「お前はとても良い奴だ。お前の名前を書いて門口に貼っておけ。それが貼ってある家には俺は入らないようにする」と言って姿を消したといわれています。この噂は江戸中に広まり、清次に名前を書いてもらえば疫病神除けになると評判になりました。この噂は江戸のお上にも伝わって、その時の調書が残っています。
実はこの話は実話として現代に伝えられていて、この疫病神の正体も記録が残っています。実はこの大男は世間を騒がせていた大泥棒で、この噂が広まった翌年に逮捕されました。
この話から、江戸前のお寿司屋さんでは「鱚を断って疫病神除けの願をかける」という意味で、鱚を握らない店が多いといわれています。
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