2016年02月29日
海老(えび)の身体が赤い秘密
私たちが想像する海老は大体オレンジ色からピンク色など、赤みの刺した色合いだと思います。特に加熱したあとの海老は鮮やかなほどに赤くなります。みなさんはどうしてこのような色合いをしているのか考えたことはありますか?実は海老が赤い理由には秘密があります。
海老の身を覆う殻の部分にはアスタキサンチンという成分が大量に含まれています。他にもカニやサケにも多く含まれていることから「サーモンピンク」のような色はアスタキサンチンの色素だと思ってもらえれば良いでしょう。
アスタキサンチンは抗酸化作用があるとして近年、美容効果が注目されている成分です。美容効果が出るほどの量のアスタキサンチンを海老から直接食べ物として摂取することは難しいのですが、今後注目されることもあるかもしれません。
アスタキサンチンはタンパク質と分離することで色味が鮮やかになります。たとえば、海老を茹でたり焼いたりした時にタンパク質から剥がれます。普段は、少し青みがかった茶色をしているアスタキサンチンが、加熱すると本来の赤色として浮かび上がってくるという原理なのです。
釣り人は『海老で鯛を釣れる』のか?
少ない力で大きな結果を得ることを『海老で鯛を釣る』と言います。ことわざとしても有名な言葉ですね。
今でこそ比較的海老の価格も高くなっています。しかし、かつての日本では海老の価格は低いものでした。一方で鯛は縁起物としても知られているように、非常に価値の高い魚です。したがって、安い海老で高級な鯛を釣ることが出来たという点にことわざのルーツが存在しています。
では現実に、海老で鯛を釣ることはできるのでしょうか?結論から言うとできます。
真鯛を釣るために必要な海老は『アカエビ』や『サルエビ(ブトエビ)』です。基本的には生きた状態でエサにして鯛を釣ることになります。特にオススメなのがサルエビです。アカエビよりも大柄でエサとして使用しても生存力が高く、鯛がかかるチャンスが広がります。
というわけで、ことわざではなく現実にも海老で鯛を釣ることができます。最近では『海老で鯛を釣るための海老』なるエサも登場しているので、こちらを使用するのも面白そうです。
4年目の甘海老(甘エビ)は全てオス
魚介類の中には不思議な性区分があります。例えば、性行為の時だけ性転換する魚も存在するなど、生物の神秘を感じる部分ですね。
実は海老の中でも、タラバエビ科に属する甘海老は性転換を行います。生まれたとき、全ての甘海老は性別が存在しませんが、4年目になると全ての甘海老がオスになります。そして、オスの甘海老としてメスと交尾を行ったあと、5年目からはメスとして生きることになります。甘海老の寿命は約10年です。その間に3回ほど産卵します。
甘海老に関してですが、基本的に身体の大きいものは全てメスです。しかし、やや小柄な甘海老は4〜5年目のオスという確率も高いです。実は、この時期の甘海老は非常に美味で、食通からたいへん好まれています。
海老は海を泳いでいない
エビには『海老』という表記と『蝦』という表記があります。現在では特別に区分されていないようですが、もともと2つの漢字の使い分けには明確な区分があります。
伊勢海老などに代表される大柄なエビはあまり泳ぎません。実は彼らは海中を泳ぐよりも、海の中を歩くことの方が得意なのです。こういう大型なエビについては『海老』という漢字を当てていました。実際、注意してみると大柄なエビはカタカナよりも漢字で『海老』と書いてある比率の多いことが分かると思います。
一方でサクラエビ、クルマエビ、ブラックタイガーのように小柄なエビも存在しています。想像してもらうと分かるように、彼らは海の中を歩くことはしません。ひたすら泳ぎ続けています。したがって、泳ぎの得意なエビのことを『蝦』と表記します。しかし、多くの場合はカタカナで表記されたり、あるいは『海老』と漢字で表記されています。
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