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2016年03月05日

アメリカで釣りをした人の日記

アウトドアーは、ほどんど海釣りである。釣りのことを語り始めると開高健のシリ−ズを見るまでもなくendlessとなる。が、ここではアメリカの海釣り(の一端)を紹介したい。ワシントンDCから殆んどまっすぐ東に車で約3時間。チェサピックベイ(と言っても大きな川であるが)の大橋をこえて、デラウエアー州に入り、東海岸に出ると、このかいわいは絶好の釣り場である。むかしオランダ人まず入植したという港町(ルイーズ)があり、新婚旅行にも使われるとも言うちょっと見かけの良いホテルなど、どこかヨーロッパ風のたたずまいがある。大体は、ワシントンを出て夕方には、この街のAnglers Inn に入り、翌日朝7時に船が出て夕方戻る一日コース。その日のうちに、夕闇の中を釣果を積み込んで車を飛ばせ、まっすぐワシントンに帰り、なんとか遅い夕食に間に合わせる。

アメリカの釣りには規制がある。つまり、釣りあげることができる魚ーーこれを「キーパー」というーーの大きさは制限されている。それ以外はリリースしなければならない。この界隈の最大の大物は、ストライパーと言われる大型のスズキである。これについては、ほぼ90センチ以下はリリースしなければならない。90センチと言えばかなり大きく、釣りあげた当人はかなり興奮しているが、船の大型クーラーにはメモリがついており(ただしインチ)同乗している船員(これをメイト=お手伝いと言う)がおもむろに長さを図り、僅かでも足りないとなると、こちらの奮闘むなしく海に戻される。魚によっては一日の数に制限がある場合もあり、例えばシーバスは最近資源が減っているとかで一人2匹までである。ヒラメも相当な大型が釣れるが、これにも規制があり、ほぼ70センチ以下はキーパーにはならない。さらに、一人当たり5匹までの制限があるが、これはあまり気にはならない。(二人で7匹の経験はあるが)。

上記の大型ストライパーは大きいものは1.5メートルにはなり、大変人気がある(なお、餌は20センチくらいの生きたウナギを使う)。結果、一時乱獲されたようで、ちょうど筆者がアメリカにいた1990年頃までの10年間はチェサピック川の水域では捕獲が全面的に禁止されていたらしい(この魚はスズキ系なので汽水領域にも入ってくる)。ということで解禁後も監視が厳しい。川ので釣る時は、いわば川釣りのためライセンスを買わなければならない(どういうわけか船で海に出るときは必要がない)。近くの釣り道具屋で買えるが、一日券、一週間券などがあり、釣っている時は帽子に挟んで見えるようにする。川で釣るときの釣桟橋には定期的に監視員(レンジャー)が来るからである。釣りに夢中になっているとひょっと後ろから声がかかる。罰金はかなりきついらしく規定に外れた魚、一匹につきなんと300ドルくらいと聞いていた。現につかまってもめているところを望見したことがあるし、危ない思いをしたこともある。上記の魚は、その名の通り成魚となると横に見事な筋が何本か入り実に美しい。入漁券を買う釣り道具屋には、この魚の見事なはく製が展示されているので、いつも、これには注意!とその姿を目で確認していたのだが、大体20−30センチくらいの幼魚(というには大きいが)では、この筋がはっきりしせず、つい別の魚と思ってしまうという危険があり、実際危ない思いをした。一方、規制のない魚もあり、メバルのようなブラックシーバスや、小さい鯛のようなものは自由にキープできる。日本ではイシモチといわれるクローカーも同様。しかし、大体外人連中は20センチくらいのものは(こちらは塩焼きにでもと思っていると)ノーミートとかいって関心を示さない。細くとがった箸で魚をつつく、眼の裏を食べるという文化を持たないから仕方がない。なお、大型で規制がないのは、シマアジににたブルーフイッシュで、これは激しくファイトしてくるので楽しめる。(といえば、前記の人気のストライパーはものすごい引きを示すが、浮上してくると急に静かになり妙に往生際がよい)。しかし、だいたい釣り場や船の中には Don’t be a fish hog. の表示があり、あまり夢中になって釣りあげ過ぎるなという雰囲気がある。

港に帰ってくると魚の下処理のサービスがある。一匹75セントくらいであるが、これは極めて助かる。しかし、3枚おろし(フィレと言う)を頼むとちょっと驚かされる。まるでなたのような包丁であっという間に頭とひれ(つまりカマのおいしいところ)を捨ててしまう。結局1メートルを超えるストライパーも僅か30センチほどのわずかなな身になってしまう。ということで、こちらはあとの塩焼き、お刺身などを考えてスケーリング(うろことり)しか頼まないことにしていた。

アメリカの釣りは、こんな感じであるが、一般に船はかなり大型で冷暖房のキャビンもある。上記のメイトと言われるお手伝いも、実に親切で糸のもつれやトラブルはすすんで助けてくれる(ただしチップをはずむ要あり)。さらに乗船の際、各人5−10ドルを払ってロッタリー(懸賞)に参加する。一日が終わった時に最も大物を釣った人がこの賞金をいただく。ということで、大物が釣れるととなり近所ワイワイと大騒ぎをする。

日本の東京湾にも釣り宿は多い。しかし、雰囲気はかなり異なる。船は比較的小さいがエンジンは強烈。軍艦のような勢いで釣り場に向かう。ほぼ1時間弱で釣り場に到着するというような船宿同士の競争原理が働いているらしい。また、釣りの雰囲気は厳しい道場である。釣りものによって解禁というか時期の規制はあるようだが、大きさの規制はない。あるとき、カワハギ釣りでほとんど切手サイズと思われる小さなものが釣れたのでついリリースしたら、船上のマイクを通じで「小さくてもカワハギはカワハギだ。何のために釣りに来ているのだ!」と船長から怒鳴られてびっくりした。いらい小物のリリースは見えないようにこっそりやることとしている。ということはあるが、この世界は要するに腕の世界、厳しい職人の世界である。船長も職人ーとにかく釣れるところへ連れて行かなければならないー釣り人も職人。したがって一般に船の中は静かである。黙々と腕を競う。大物が釣れても奇声を上げるのは(筆者を除いて)まずいない。そして船長はキャビンからじっと見ている。釣れないと判断すると移動である。そして次の釣り場にくるとピッと笛が鳴り釣り開始となる。

釣り人各自まさに腕を競うわけであるから、基本的に上記のメイトはいない。さまざまなトラブル(糸の絡みなど)は自力で解決しなければならない。そういう腕のない釣り人は下級である。結果としてどうしても数を競う(船長も数が出ないのでは腕を疑われる)。釣りの言葉に「一束」というのがある。百匹という意味である。つり新聞などでは、「一束」も夢ではないと宣伝する。初対面の釣り人同士では、「先日はキスで95匹出しましたよ」というような具合になる。なにしろ日本では数ーーこれは船長の努力(当然その腕)と釣り人の業とが一体となった独特の、つまり厳しいけれども腕に応じて数が出るという公平な適者生存の世界である。釣り人が意地悪ということは全くないが、下手に仕掛けを隣の人に絡ませるようでは、要するに一格下であり、「おとといこい」というわけで(年齢ではないが)長幼の序をわきまえないといけない。

ついでながら、日本の場合、釣りものの下処理のサービスはまずない。ちょっとした処理をしてくれる時もあるが、これは当然ながらという感じで無料。つまり、あまりサービスにお金を払うという習慣がないようだ。しかし、最近では釣りに若い女性の参加もあり、魚の処理も含めて(指導やお手伝いなども含めて)サービスを提供し、一方、これにはきちんと料金をとるというようにしたほうが合理的であり望ましい。そうなれば、釣りももっと多くの人たちに親しみやすいものになるだろう。これからの釣りを展望した釣り業界に対する筆者の提言である。

釣りというのはきりがない。先日、長年つきあいのある東京湾の釣り船の船長と並んで釣っていた時、どういうわけかおにカサゴが釣れた。船長はそれは、取扱注意ですよとアドバイスしてくれたが、その時、件の老練な船長いわく「明日の乗り合い船の休暇の日は、外房にそれを釣りに行くんですよ」と言う。これには本当に驚いた。船頭の休暇の趣味が釣りとは!!「6人仲間がそろいましたので、普通の料金で船を出せるんですよ」となにやら楽しげである。

アメリカの釣り船でもやはり時間と暇の関係でお年寄りが多い。あるとき、(勿論よくはわからないが)80過ぎとも見えるお年寄りの一団がいた。そのうちの一人が、竿を海に垂らしたまま、寄り集まった仲間達と談笑している。その時突然、竿が激しく動く。Fish on! というわけで、そのお年寄りはあわてて取り込みにはいる(このときの魚は岩場に住むトウトグ。大型カワハギに似た魚。餌は手頃な川ガニをぶちぎりにしてそのままつける。身は恐るべき美味。ひとり2匹までの制限あり)。あとで、自分の年甲斐もないあわてぶり、熱狂ぶりが照れくさくなったらしく、「全く釣りは一体いつになったら満足するのか、きりがないーendless」 とつぶやいたことが耳に残る。この話ーーようするにきりがないので、この辺で。
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