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【保存版】発達障害の歯磨き|しっかりできない理由と改善方法
2017年07月06日
【保存版】発達障害の歯磨き|しっかりできない理由と改善方法
【保存版】発達障害の歯磨き|しっかりできない理由と改善方法
【この記事を3行で要約】
歯磨きをしっかりやらない…。
その「行動」には
「理由」が存在する!
目 次
1. 発達障害の歯磨き
2. 発達障害による困り感は改善できる
3. 日常生活で困り感を抱く人は多い
4. キーワード(その1)は感覚過敏
5. キーワード(その2)は落ち着いた環境
6. 歯磨きがうまくできない例と対応策
発達障害の歯磨き
発達障害がある人は、
歯磨きを煩わしく、
苦痛に思っていませんか。
支援者や家族は、
しっかりやらない様子を見て、
「怠けている」
「手を抜いている」
「素直じゃない」
「言うことを聞かない」など
と思っていませんか。
毎日の歯磨きのたびに
このような思いを抱いていたら
お互いに悲しいですね。
しっかりできない行動には、
ある理由が隠れているからです。
その理由を理解して、
正しく対応することが大切です。
発達障害による困り感は改善できる
『発達障害の改善と予防: 家庭ですべきこと、してはいけないこと (実用単行本)』
著者である脳科学者の澤口俊之氏は、この本の中で次のように述べています。
発達障害は脳機能障害であり、低下ないし障害されている脳機能を適切な方法で向上させれば、発達障害は改善できます。
適切な方法を日常的に行なえば、改善のみならず予防もできます。
発達障害は、改善も予防もできると提言したのです。
日常生活で困り感を抱く人は多い
2017年5月からスタートした、NHKの「発達障害プロジェクト」。
公式サイトには「みんなで作る発達障害の“トリセツ”」というコーナーがあります。
このコーナーは、
発達障害がある人が投稿した日常生活で困った体験談が、
多数掲載されています。
困っている内容は、それぞれ違うけど、
どれも正直な気持ちを綴ったリアルな言葉です。
発達障害者やその家族は、
日常生活で
困り感を抱いているケースが意外と多いです。
そして、
共通する点があることに気づきます。
それは、うまくできないのには理由があるという点です。
キーワード(その1)は感覚過敏
では、そのうまくできない理由は、どこに起因するのでしょうか。
“発達障害の人特有の「感覚過敏」などの感じ方がある”
子どもの“偏食” 実態明らかに ー2017年4月5日(水)NHK 放送
“発達障害の脳は情報処理の方法が多くの人と違っている…”
「発達障害 〜解明される未知の世界〜」 ー2017年5月21日(日)NHK 放送
発達障害がある人は
他の多くの人と違う感じ方をしているケースがあります。
この感覚の過敏性または鈍感性がキーワードです。
歯磨きにおいては、
しっかりできない行動の理由になりえます。
感覚とは視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚などのことです。
全てということではなく、どれかであることが多い。
また、個人差があり、必ずしも過敏性や鈍感性が見られるとは
限りません。
客観的に判断しましょう。
感覚過敏だった場合は、
『多くの人は苦もなく我慢できることだから、あなたも我慢しなさい』という理屈の押し付けは、
ときに大きな混乱を招きます。
脳の情報処理の仕方に起因して、感覚の違いが表れます。
脳が関係すると聞くと、
生まれつきの先天的原因=改善できないと思って、
諦めていた人もいるかもしれません。
しかし、
発達障害については、障害としてはまだ新しい研究分野です。
医療や学問の専門家が新しい発表を今後もしていくことでしょう。
学校などの教育の専門家たちも、
発達障害があるお子さんへの対応の仕方について、
日々、新しい常識が追加されているのが現状です。
感覚の過敏性または鈍感性は、
好きな活動ではあまり気にならず、
嫌いな活動や苦手なシチュエーション、緊張場面、不安定な気分などのときに
より顕著に現れる傾向があります。
正しい対応により、感覚過敏による困り感は改善できます。
キーワード(その2)は落ち着いた環境
行動の修正や変更は、一般的に発達障害の人が苦手な印象があります。
落ち着いた環境が2つ目のキーワードです。
一つのことを最後まで、落ち着いて取り組むことはとても重要です。
活動する場所や物を整理整頓します。物の配置は誰が見ても分かりやすく、使いやすく、片付けやすくを心がけましょう。引き出しにしまう場合、その引き出しに何が入っているか分かるように、文字やイラストで示すなどの工夫が考えられます。
また、周りの「人」も、ここでの環境の要素に含まれます。
周りの人が知っておいてほしいことは、「安心感」を与える関わり方がいかに大切かということです。
A,H.マズロー著『人間性の心理学―モチベーションとパーソナリティ』より
欲求5段解説
人間の欲求は5段階ある。
ポイント1:下位の欲求ほど幼い時期から現れる。
ポイント2:下位が満足しないと上位欲求は現れない。
関わり方に悩みをもつ支援者や家族から耳にする言葉です。
「人間関係が根本的に」
「コミュニケーションが」
「仲間意識が薄く」
人間関係、コミュニケーション、仲間意識、相手への愛情などは
よく話題になることです。
マズローの欲求5段解説によると
下から3段階目の『社会的欲求(愛・仲間など)』に問題を感じる。
そういった問題行動のために、支援がうまくいかないそうです。
見逃されやすいのですが、次のことは覚えておきましょう。
欲求5段解説では、
下位が満足しないと、上位欲求は現れない!
つまり、それらの問題行動が見られたら、下から2段階目の
『安全欲求(安心・安全・怖くないなど)』が満足しているかに着目します。
幼少期に十分満たされていない過去があったり、
周りは愛情を注いでいるのに実感できなかった過去があったりする人がいます。
その場合、とくにこの点を見逃されると、他の支援が空回る結果になりかねません。
「安全欲求」が満足していないと、次のことへの耐性が弱い脳になります。
・イライラ
・落ち着きがない
・細かいことが気になる
・疲れやすい
・強迫神経症
・パニック障害
・PTSD など
このことは障害のあるなし、頭の善し悪し、年齢、性格、性別などと関係なく
どの人にも当てはまることです。
歯磨きをするときに、感覚の過敏性などが明確だったならば、
合理的な配慮や支援を工夫しましょう。
それが支援者の心構えです。
配慮や支援の例については後で述べます。
これがスムーズにいけば
「修正や変更ができた」
「新しい方法を受け入れられた」
成功体験になります!
歯磨きは毎日3回、取り組むこと。
しかも、1回あたり10分前後で完了します。
日常的に行うので、結果に繋がりやすい活動と言えます。
正しい歯磨きの仕方を覚えることは
本人にとって将来的にも大切なことです。
さらに、成功体験を積み重ねることは、
周囲に対する適応能力の向上に繋がります。
逆に、トラウマのような体験を積み重ねることは、
適応能力の低下になりかねません。
ぜひ本人が落ち着いた状態で取り組みたいですね。
行動の修正で使えるノウハウ
@ 行動と性格等を切り離して分析する
A 改善できるポイントを推測する
B 試してみる
C @に戻る
「ABA 応用行動分析」を参考にしました。
行動を修正するときに使えます。
学校や施設、職場、家庭などで歯磨き以外の場面でも活用できるノウハウです。
大切なのは「@ 行動と性格等を切り離して分析する」です。
行動のみに着目して、それ以外のことと混ぜて考えないようにしましょう。
それ以外のことの例
・ めんどくさがりだから
・ 素直じゃないから
・ 迷惑をかける人だから
・ 気が利かないから
性格等をうまくいかない原因として、取り上げる癖がある人は多いです。
そこばかりに着目して感情的にエスカレートさせるのはやめてください。
ただの悪口だったり、個人攻撃、人格否定になったりしますから。
発達障害者、本人も自分のことを考えるときに
うまくいかない原因を性格と捉える人が多いです。
そのため、自己肯定感が低くなり、
防衛本能として他者を攻撃したり、逃避をしたりして悪循環に陥るケースがあります。
『イラストでわかる ABA実践マニュアル: 発達障害の子のやる気を引き出す行動療法』
歯磨きがうまくできない例と対応策
感覚の過敏性または、鈍感性があった場合、歯磨きではどんな妨げになりえるのか例をあげます。
味覚、嗅覚に過敏性がある
食べ物で好き嫌いが多い人は、
もしかしらたら味覚や嗅覚に過敏性があるかもしれません。
歯磨き粉の味や匂いを
「からい」「にがい」「まずい」「薬くさい」「気持ち悪い」などと
感じていたら、すぐにやめたくなりますよね。
歯磨き粉を変えるだけで解決するかもしれません。
口の中に広がる泡が嫌だというときは、
一般的なペースト状をやめて、
泡の出にくいジェル状歯磨き粉を試してみます。
触覚に過敏性がある
歯ブラシが歯茎(はぐき)に当たる感触がどれだけの刺激なのか。
それは他人と比較することはできません。
電動歯ブラシを力いっぱい押し当てたような、
痛みや不快感を感じているかもしれません。
歯ブラシはヘッドの大きさ、毛のやわらかさなどいろいろ出ています。
例えば
「360度歯ブラシ」なんかもあります。
歯ブラシを変えてみるのも一つの方法です。
しかし、刺激が大きかったとしても、
すぐにやめてよいわけではありません。
しっかりと歯垢がとれるように、きれいにブラッシングできることが目標なのです。
その際、役に立つのが、どこまでやれば終わりになるのか目で見てわかりやすくすることです。
「何分間、歯磨きをするとルールを決めてタイマーをかける」
「歯磨きの手順表を見ならが取り組む」などの
方法が考えられます。
注意力が散漫で持続しない
歯磨きという活動は細かい作業です。
退屈で、集中力が続かない人もいます。
歯磨きをするときの環境を整えます。
環境とは場所だけでなく、物や周りの人も含みます。
歯磨きをする洗面所はどのような環境でしょうか。
たくさんの物が置いてあったら整理整頓したり、
不要なものはしまったりして、
集中しやすいようにしましょう。
施設や学校などでは
歯磨きをするときに他の人と一緒に歯磨きをすることが普通です。
気になりやすい相手がいましたら、
グループや時間を分けるとよいです。
「何分間、歯磨きをするとルールを決めてタイマーをかける」
「歯磨きの手順表を見ならが取り組む」など、
いつ終わりなのか、目で見て分かりやすくすることも有効です。
症状そのものを本気で改善するためのマニュアル
アスペルガー・ADHD・発達障害 改善マニュアル
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