2017年11月09日
死神(しにがみ)
お金は出来たのかい?
黙ったってわからないよ
出来ないのかい?!
・
・
あきれたねぇ
それで帰って来たのか
どうするんだよ?
出来ないものはしょうがないだろ
僅かばかりのお金も用意できないのかい
お前みたいな意気地なしは豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまいなさい
いやぁお前ね
いくらなんでも豆腐の角に頭をぶつけて
死ねるよお前みたいな意気地なしなら
お金を用意できないなら家に入れないからな
出ていけ!!!
気の強い嬶(かかあ)だな
それにしても豆腐の角に頭をぶつけて死ねって言うのはいいけど
お前なら死ねるよって言い方は無いよな
銭が出来ないのってこんなにも辛いんだな
嬶にもうるさく言われるし、、、もう疲れたし死のうかな
どうやって死のう
川に身を投げようかな
いや、七つの時の井戸に落ちて、がばがば水を飲んで苦しかったな
なんか苦しまずにする方法は無いかな
・
立派な木だな
そうだ首をくくろう
しかし首ってどうやってくくるんだろう
教えてやろうか
え?!
誰だい?
俺だよ
木の陰から出て来たのを見ると、歳はもう八十以上にもなろうか
頭の毛がうっすらと生えていて、鼠色の着物をから前がはだけていて
あばら骨が一本一本数えるように痩せっこけている
藁草履をはいて竹の杖をついた貧相なおじいさん
教えてやろう
なんだ
死神だよ
え?死に・・
ここに来たら急に死にたくなったんだ
お前の仕業だな
そっちに行け
まぁまぁそう嫌うなよ
俺は行くよ
まぁ待ちなよ
お前が足で逃げても俺は風に乗って飛んでいけるんだ
こっちに寄るなよ
そう、邪険にするなよ
俺とお前とは昔に縁が在ったんだ
お前大分困っているようだな
助けてやるけどどうだ
いいよ、大丈夫だから
人間って言うのは死にたくっても寿命があればどうしても生きてしまう
逆にどんなに行きたくっても寿命が無ければ死んでしまう
お前はこれからまだまだ十分な寿命が在るから安心しろ
お前に良い事を教えてやるから医者になれ
儲かるぞ
医者って言われても脈の取り方を知らない
脈なんてどうでもいい
お前が命を救えば立派な医者になれる
他の者には分からないけど、お前には見えるようにしてやった
長の患いをしている患者には枕元か足元に必ず死神がいる
足元に座っている病人はまだ助かる見込みが在る
しかし枕元に座っている場合は寿命が尽きているから手を付けたらいけない
足元に座っていたら、お前が死神をはがす呪文を唱えるんだ
呪文ってな、なんです・・・
お前に教えてやるが人に教えてはいけないぞ
いいか
「アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ」
と唱えて手を二回叩くと死神が帰らないと行けないんだよ
それで病人を治せばお前は立派な医者だ
もう一回教えてください
・アジャラカ、え?モクレンコウエイヘイ、、、ヘケレッツノパ
で手を叩くのか
パンパンっとこれで良いのか?
おい?どこ行った?
死神さん?
・
そうか呪文を唱えたら帰ったのか
これは良い事を教わった
家に帰って来てかまぼこ板の裏にカナで「イシャ」っと表に出しました
こんなことで患者が来るのかと思っていた矢先に
ごめん下さいまし
へぃ!
米屋さんですか、今月は勘定は無理なんですよ
来月まで待ってくださいよ
いえ米屋では御座いません
あぁ酒屋さん
来月には必ず払いますので
酒屋ではありません
八百屋さん?ちがうの
乾物屋さん、そば屋さん?
方々に借りが在るんだな
こちらはお医者様では?
あ!そうだった医者だよ
なんですか
手前は越前屋白兵衛の手代で御座いますが
主人が長病で御座いましていろいろな先生に見て貰いましたが一向に良くなりません
大変当たる易者がおると言うので見て貰いましたところ
辰巳方角で一番最初の看板に目が付く先生に診て貰えば助かると言う易でして
えぇそうなんだ
じゃ行きましょうか
先生は?
私ですが行きましょう
頼んでみたものの風体が良くない人物で不安になる
店に行って話をして薬さえ飲ませなければ間違いはなかろう
診せるだけにしなさい
病人の部屋に案内されましたが、死神が足元におりました
ぉ足元だ、しめた!
え?何か仰いましたか?
いえいえ何でも御座いません
それでは、治せばお礼の所は貰えるのでしょうね
それは如何様にでも
私はね、術を使うんですよ
アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ
パンパン
死神をすっと離れると、今まで唸っていた病人が
おい、お茶を一杯くれ
喉がカラカラだ
・
お腹すいたなぁ
主人がお腹を空いたって申しておりますが
やはり病人なのでお粥など
何でもいいですよ
うな丼でも牛丼でも
え?
それではお薬を
あああぁ薬ね
じゃ家にいらっしゃい
家に帰りますと大根の葉っぱを細かく刻んで
お待ちどうさま
これは煎じるのでしょうか
煎じても茹でても
どういう風に
まぁ二杯を三杯にすればいい
この薬は増えるのでしょうか?
三杯でもまぁいいよ
これを飲ませるとケロッと治ってしまう
あの人は名医だと噂が流れまして
それでは私の所に、手前のところにっと引っ張りたこ
大抵は足元に死神が居る
・
たまたま枕元に座っていたらあぁこれは寿命です諦めてください
と敷居をまたいだ途端に病人が息を引き取る
生き神様ではないかと偉い評判になりました。
今までは裏でくすぶっていた奴が表に出て邸宅を構え
着たい物を着て、食べたいものを食べる贅沢な毎日
そうなりますと小じわが寄った女将さんなんか面白くない
乙な妾を置きまして、女将さんが口うるさく言う者だから
子供を付けて金をやるから別れよう
ねぇ先生。
上方見物に行きたいと思っているのよ
上方見物いいねぇ
世帯をしまっていこう
すっかり金に換えて上方見物
あっち、こっちへ金に飽かして贅沢三昧しました。
金は使えば無くなりますもので、惚れた相手じゃない
向こうの方からどっかへ消えてしまいました。
ぼんやりとして帰ってきました
また看板を掲げて医者を再開しましたが、どうしたことか患者が全く来ない
たまたま、頼まれていくと死神は枕元に座っております。
そのうち、麹町の伊勢屋善右衛門という金持ちで御座いまして
勢い込んでやってくると枕元に死神が座っている
折角ですが、この病人は寿命が無いのであきらめてください。
先生、そこを何とかお骨折りを
お骨折りと言っても寿命が無いものは
ですけれども、先生のお力で・・・
誠に失礼でございますが三千両までご用意いたしますので何とか
三千両貰ってもねぇ
寿命が無い物は仕方がないんだよ
では如何で御座いましょう
二〜三か月で構いませんので寿命を延ばして頂けましたら
五千両までお礼を致すのですが
金は欲しいのですが・・・・
どうにもならないのですよ
諦めてください
・・え?へい、そうかい
如何でしょうか
ひと月で構わないのですが一万両は如何でしょうか?
一万両ね!
何とかしたいんだよね
少し待っておくれ・・・
ここの家に力が在って息の合う人が四人ほど居るかい?
何人でも
いやいや、四人で大丈夫なんだ
病人が寝ている布団の四隅に一人ずつ座らして
私が合図をする、膝を叩こう
そうしたら、布団を持ち上げてぐるっと回してくれ
分かる?
頭の方が足になって、足の方が頭になるんだよ
これは一回しくじったらもう出来ないからね
万事支度をして死神の様子を見ている
夜が更けるにしたがって死神が目が異様に輝いてくる
病人が偉く苦しみ始めている
そうするうちに夜が明けてきて昼近くになりますと
死神だってそうそう張り切ってはばかりではいられない
疲れと見えまして居眠りを始める
病人も落ち着いてすやすや寝ている様子
ここだなっと思うと目配せをして膝をパッと叩く
寝ている布団がぐるっと回り間髪を入れず
アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ!!
パンパン!!
死神が驚いたのなんの
飛び上がって消えてしまいました
病人は今までと様子が変わって快方に向かいました
先生、有難う御座います
御礼金はご用意いたしますので
早速礼金が届きましたので、表に出かけて一杯ひっかけて
ありがたいなぁ
人間って言うのは苦しくなってくると知恵が出てくるな
死神の顔ってなかったね
・・・・バカやろう
なんであんなことをした?
え??
あっどうも暫くで
なんで俺にあんな真似をするんだ?
あなただったんですか?
死神さんは皆さん顔が似ているからな
分からなかったんですよ
まぁまぁしてしまったものはしょうがない
俺と一緒に来い
え?
勘弁して下しいよ
死神仲間たちにつるし上げにされるんでしょ
なんでもいいから来い
・
ここへ降りな
なんですか石段が在る
勘弁してくれよ
早く来い
危ないよ
落っこちてしまうよ
大丈夫だ
ここを見ろ
あっ!なんですか
随分ロウソクがついてますね
これはみんな人の寿命だ
そうですか
人の寿命はロウソクの火のようだって言いますが
大したものですね
長い物から短いものまで
・
ここにロウがたまって暗くなっている物が在りますね
そういうのは患っているんだ
ロウを払って火がスゥっと立つようになると元の通り体が良くなる
病人ですか
ここに恐ろしく長く威勢のいいのが在りますね
それはお前の倅だ
へぇそうですか
奴は丈夫なんですね
ここに半分くらいで威勢のいいのは?
・
あぁあの嬶ですか
ここに今にも消えそうなのは?
それはお前だよ
嘘だよ、冗談は
お前だよ
だって消えそうになってるよ
消えれば死ぬ
だ、だって前に会った時はまだ寿命が在るって言ったじゃん
教えてやるよ
こっちに半分より長く威勢のいいロウソクが本当のお前の寿命だったんだ
金に目がくらんでお前は寿命を取り換えたんだ
もうじき死ぬよ
そんなこと知らないから
お金は返しますので寿命を取り換えてください
いったん取り換えた寿命は駄目だ
そんな事を言わないで
お願いしますよ
・
後生だからお願いしますよ
しょうがねぇ野郎だな
ここに灯しかけがある
それと繋いでみな
上手くいくと寿命が延びる
こ、これに・・つなげば
早くしないと消えるよ
震えるなよ
黙っててください
早くしないと消えるよ
消えるよ
消える・・
黙ったってわからないよ
出来ないのかい?!
・
・
あきれたねぇ
それで帰って来たのか
どうするんだよ?
出来ないものはしょうがないだろ
僅かばかりのお金も用意できないのかい
お前みたいな意気地なしは豆腐の角に頭をぶつけて死んでしまいなさい
いやぁお前ね
いくらなんでも豆腐の角に頭をぶつけて
死ねるよお前みたいな意気地なしなら
お金を用意できないなら家に入れないからな
出ていけ!!!
気の強い嬶(かかあ)だな
それにしても豆腐の角に頭をぶつけて死ねって言うのはいいけど
お前なら死ねるよって言い方は無いよな
銭が出来ないのってこんなにも辛いんだな
嬶にもうるさく言われるし、、、もう疲れたし死のうかな
どうやって死のう
川に身を投げようかな
いや、七つの時の井戸に落ちて、がばがば水を飲んで苦しかったな
なんか苦しまずにする方法は無いかな
・
立派な木だな
そうだ首をくくろう
しかし首ってどうやってくくるんだろう
教えてやろうか
え?!
誰だい?
俺だよ
木の陰から出て来たのを見ると、歳はもう八十以上にもなろうか
頭の毛がうっすらと生えていて、鼠色の着物をから前がはだけていて
あばら骨が一本一本数えるように痩せっこけている
藁草履をはいて竹の杖をついた貧相なおじいさん
教えてやろう
なんだ
死神だよ
え?死に・・
ここに来たら急に死にたくなったんだ
お前の仕業だな
そっちに行け
まぁまぁそう嫌うなよ
俺は行くよ
まぁ待ちなよ
お前が足で逃げても俺は風に乗って飛んでいけるんだ
こっちに寄るなよ
そう、邪険にするなよ
俺とお前とは昔に縁が在ったんだ
お前大分困っているようだな
助けてやるけどどうだ
いいよ、大丈夫だから
人間って言うのは死にたくっても寿命があればどうしても生きてしまう
逆にどんなに行きたくっても寿命が無ければ死んでしまう
お前はこれからまだまだ十分な寿命が在るから安心しろ
お前に良い事を教えてやるから医者になれ
儲かるぞ
医者って言われても脈の取り方を知らない
脈なんてどうでもいい
お前が命を救えば立派な医者になれる
他の者には分からないけど、お前には見えるようにしてやった
長の患いをしている患者には枕元か足元に必ず死神がいる
足元に座っている病人はまだ助かる見込みが在る
しかし枕元に座っている場合は寿命が尽きているから手を付けたらいけない
足元に座っていたら、お前が死神をはがす呪文を唱えるんだ
呪文ってな、なんです・・・
お前に教えてやるが人に教えてはいけないぞ
いいか
「アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ」
と唱えて手を二回叩くと死神が帰らないと行けないんだよ
それで病人を治せばお前は立派な医者だ
もう一回教えてください
・アジャラカ、え?モクレンコウエイヘイ、、、ヘケレッツノパ
で手を叩くのか
パンパンっとこれで良いのか?
おい?どこ行った?
死神さん?
・
そうか呪文を唱えたら帰ったのか
これは良い事を教わった
家に帰って来てかまぼこ板の裏にカナで「イシャ」っと表に出しました
こんなことで患者が来るのかと思っていた矢先に
ごめん下さいまし
へぃ!
米屋さんですか、今月は勘定は無理なんですよ
来月まで待ってくださいよ
いえ米屋では御座いません
あぁ酒屋さん
来月には必ず払いますので
酒屋ではありません
八百屋さん?ちがうの
乾物屋さん、そば屋さん?
方々に借りが在るんだな
こちらはお医者様では?
あ!そうだった医者だよ
なんですか
手前は越前屋白兵衛の手代で御座いますが
主人が長病で御座いましていろいろな先生に見て貰いましたが一向に良くなりません
大変当たる易者がおると言うので見て貰いましたところ
辰巳方角で一番最初の看板に目が付く先生に診て貰えば助かると言う易でして
えぇそうなんだ
じゃ行きましょうか
先生は?
私ですが行きましょう
頼んでみたものの風体が良くない人物で不安になる
店に行って話をして薬さえ飲ませなければ間違いはなかろう
診せるだけにしなさい
病人の部屋に案内されましたが、死神が足元におりました
ぉ足元だ、しめた!
え?何か仰いましたか?
いえいえ何でも御座いません
それでは、治せばお礼の所は貰えるのでしょうね
それは如何様にでも
私はね、術を使うんですよ
アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ
パンパン
死神をすっと離れると、今まで唸っていた病人が
おい、お茶を一杯くれ
喉がカラカラだ
・
お腹すいたなぁ
主人がお腹を空いたって申しておりますが
やはり病人なのでお粥など
何でもいいですよ
うな丼でも牛丼でも
え?
それではお薬を
あああぁ薬ね
じゃ家にいらっしゃい
家に帰りますと大根の葉っぱを細かく刻んで
お待ちどうさま
これは煎じるのでしょうか
煎じても茹でても
どういう風に
まぁ二杯を三杯にすればいい
この薬は増えるのでしょうか?
三杯でもまぁいいよ
これを飲ませるとケロッと治ってしまう
あの人は名医だと噂が流れまして
それでは私の所に、手前のところにっと引っ張りたこ
大抵は足元に死神が居る
・
たまたま枕元に座っていたらあぁこれは寿命です諦めてください
と敷居をまたいだ途端に病人が息を引き取る
生き神様ではないかと偉い評判になりました。
今までは裏でくすぶっていた奴が表に出て邸宅を構え
着たい物を着て、食べたいものを食べる贅沢な毎日
そうなりますと小じわが寄った女将さんなんか面白くない
乙な妾を置きまして、女将さんが口うるさく言う者だから
子供を付けて金をやるから別れよう
ねぇ先生。
上方見物に行きたいと思っているのよ
上方見物いいねぇ
世帯をしまっていこう
すっかり金に換えて上方見物
あっち、こっちへ金に飽かして贅沢三昧しました。
金は使えば無くなりますもので、惚れた相手じゃない
向こうの方からどっかへ消えてしまいました。
ぼんやりとして帰ってきました
また看板を掲げて医者を再開しましたが、どうしたことか患者が全く来ない
たまたま、頼まれていくと死神は枕元に座っております。
そのうち、麹町の伊勢屋善右衛門という金持ちで御座いまして
勢い込んでやってくると枕元に死神が座っている
折角ですが、この病人は寿命が無いのであきらめてください。
先生、そこを何とかお骨折りを
お骨折りと言っても寿命が無いものは
ですけれども、先生のお力で・・・
誠に失礼でございますが三千両までご用意いたしますので何とか
三千両貰ってもねぇ
寿命が無い物は仕方がないんだよ
では如何で御座いましょう
二〜三か月で構いませんので寿命を延ばして頂けましたら
五千両までお礼を致すのですが
金は欲しいのですが・・・・
どうにもならないのですよ
諦めてください
・・え?へい、そうかい
如何でしょうか
ひと月で構わないのですが一万両は如何でしょうか?
一万両ね!
何とかしたいんだよね
少し待っておくれ・・・
ここの家に力が在って息の合う人が四人ほど居るかい?
何人でも
いやいや、四人で大丈夫なんだ
病人が寝ている布団の四隅に一人ずつ座らして
私が合図をする、膝を叩こう
そうしたら、布団を持ち上げてぐるっと回してくれ
分かる?
頭の方が足になって、足の方が頭になるんだよ
これは一回しくじったらもう出来ないからね
万事支度をして死神の様子を見ている
夜が更けるにしたがって死神が目が異様に輝いてくる
病人が偉く苦しみ始めている
そうするうちに夜が明けてきて昼近くになりますと
死神だってそうそう張り切ってはばかりではいられない
疲れと見えまして居眠りを始める
病人も落ち着いてすやすや寝ている様子
ここだなっと思うと目配せをして膝をパッと叩く
寝ている布団がぐるっと回り間髪を入れず
アジャラカモクレンコウエイヘイヘケレッツノパ!!
パンパン!!
死神が驚いたのなんの
飛び上がって消えてしまいました
病人は今までと様子が変わって快方に向かいました
先生、有難う御座います
御礼金はご用意いたしますので
早速礼金が届きましたので、表に出かけて一杯ひっかけて
ありがたいなぁ
人間って言うのは苦しくなってくると知恵が出てくるな
死神の顔ってなかったね
・・・・バカやろう
なんであんなことをした?
え??
あっどうも暫くで
なんで俺にあんな真似をするんだ?
あなただったんですか?
死神さんは皆さん顔が似ているからな
分からなかったんですよ
まぁまぁしてしまったものはしょうがない
俺と一緒に来い
え?
勘弁して下しいよ
死神仲間たちにつるし上げにされるんでしょ
なんでもいいから来い
・
ここへ降りな
なんですか石段が在る
勘弁してくれよ
早く来い
危ないよ
落っこちてしまうよ
大丈夫だ
ここを見ろ
あっ!なんですか
随分ロウソクがついてますね
これはみんな人の寿命だ
そうですか
人の寿命はロウソクの火のようだって言いますが
大したものですね
長い物から短いものまで
・
ここにロウがたまって暗くなっている物が在りますね
そういうのは患っているんだ
ロウを払って火がスゥっと立つようになると元の通り体が良くなる
病人ですか
ここに恐ろしく長く威勢のいいのが在りますね
それはお前の倅だ
へぇそうですか
奴は丈夫なんですね
ここに半分くらいで威勢のいいのは?
・
あぁあの嬶ですか
ここに今にも消えそうなのは?
それはお前だよ
嘘だよ、冗談は
お前だよ
だって消えそうになってるよ
消えれば死ぬ
だ、だって前に会った時はまだ寿命が在るって言ったじゃん
教えてやるよ
こっちに半分より長く威勢のいいロウソクが本当のお前の寿命だったんだ
金に目がくらんでお前は寿命を取り換えたんだ
もうじき死ぬよ
そんなこと知らないから
お金は返しますので寿命を取り換えてください
いったん取り換えた寿命は駄目だ
そんな事を言わないで
お願いしますよ
・
後生だからお願いしますよ
しょうがねぇ野郎だな
ここに灯しかけがある
それと繋いでみな
上手くいくと寿命が延びる
こ、これに・・つなげば
早くしないと消えるよ
震えるなよ
黙っててください
早くしないと消えるよ
消えるよ
消える・・
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