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2010年01月31日
東京地検特捜部の大物OB弁護士らに“特需”
東京地検特捜部の大物OB弁護士らに“特需”が起きている。民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、テレビや新聞などの解説・分析に引っ張りだこなのだ。「最強の捜査機関」で鍛えた経験と人脈を背景に、一躍、人気コメンテーターになったOBも。気になる、センセイ方の素性と本音に迫った。

 「いまはヤメ検(=検事出身)弁護士自体が多く、『特捜部OB』というだけで食べていけるほど甘くはない。テレビや新聞に露出すれば、いい宣伝になる。現役検事にとっても、大物OBに検察の立場を正確に広報してもらえれば、世間を見方に付けることができますから」

 こう話すのは、都内で事務所を開業するヤメ検弁護士。

 一連の「小沢事件」で、なじみ深いコメンテーターといえば、河上和雄(76)、宗像紀夫(68)、熊崎勝彦(67)の3氏だろう。いずれも東京地検特捜部長を経験した大物だ。

 最年長の河上氏は東大法学部卒。1958年の検事任官後、法務省勤務を経たエリート検事の代名詞「赤レンガ組」として、75年、特捜部検事に抜擢された。在籍中、あのロッキード事件を担当して名をはせた。83−84年には、第16代の特捜部長として新薬産業スパイ事件などを陣頭指揮。89年、最高検公判部長を最後に退官している。

 日本テレビの客員解説員として活躍する一方、2007年に歌手の千葉紘子さんと再婚して話題となった。

 大多数のOBは、元同僚や後輩の捜査手法を批判することを嫌う。「鬼の特捜部長」の異名をとった河上氏も、常に「特捜が着手した事件であるから確実に有罪」という立場だ。

 これに対し、宗像氏は06年、収賄罪に問われた福島県の佐藤栄佐久前知事の主任弁護士となり、後輩たちの捜査を公然と批判。真っ向対決を挑んで注目された。

 宗像氏は、中大法学部卒業後の68年に任官。特捜検事時代は、総理府汚職やダグラス・グラマン事件を手がけ、ロッキード事件では公判検事を担当した。87年の副部長時代は、リクルート事件の主任検事。第22代特捜部長としてはゼネコン汚職、自民党の金丸信元副総理の脱税を指揮した。

 「いまの宗像氏は好々爺然としているが、現職部長時代は厳しい捜査指揮で恐れられた」(司法ジャーナリスト)

 第24代特捜部長で「落としの熊崎」と呼ばれた熊崎氏は、明大法学部出身。72年に任官し、83年の特捜部着任後は、検事、副部長、部長と、通算約12年余りにわたり在籍した。リクルート事件やゼネコン汚職、大蔵省接待汚職など、王道を行く大事件を担当した。

 退官後は日本プロ野球調査委員会委員長や、関西テレビの「発掘!あるある大辞典2」のデータ捏造検証委員長などの要職にも就いた。

 今回の事件では、河上、宗像、熊崎3氏とも「特捜部は証拠に基づいた適正な捜査を行っている」「聞こえてくる情報では、特捜部は立件に向けて自信を持っている」といった立場。

 特に、宗像氏はテレビ朝日系「サンデープロジェクト」に2週連続で出演。特捜部の捜査手法に疑問を唱えた元長崎地検次席検事の郷原信郎弁護士(54)と激しいバトルを繰り広げた。郷原氏には特捜部経験はない。

 このほか、かつて特捜検事として、ロッキード事件を担当した堀田力弁護士(75)や、やはり元特捜検事で東京地検公安部長で退官した若狹勝弁護士(53)も、今回の事件でメディアへの露出が増えている。

 若狭氏はヒゲがトレードマーク。酒井法子事件あたりからテレビ出演が増え始め、最近では最も若い特捜OBとして各局をハシゴしている。

 “特捜OB特需”は、まだまだ続きそうな気配だ。(夕刊フジより)


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