2020年07月13日
頂・研究所 第2話「好奇心、気づき」
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「どうも」
「おぅ。ごきげんようじゃ」
「ごきげんようです。何かお変わりありました?」
「うぉ?変わらんよ。いつも通りじゃ。我が頂もたぶん変化しとらんな」
「ハハ。まだ1回ですからね、マッサージしたの」
「顔を洗うとき鏡を一応チラッと、見てみたんじゃがの。ほっほ」
「のんびりです。のんびり」
「そうじゃな」
「船長、お先にどうぞ」
「あー、わかった」
「緑茶、飲むか?魔法瓶にお湯入れてきたんじゃ」
「あっ、後でいいです。早速はじめましょう」
「おぅ、わかった。じゃ、横にならせてもらうぞ。オイショっと」
「船長、大事なものを忘れてます」
「うぉ?何か忘れたか?」
「ハット忘れてますよ」
「ほほ、そうじゃった。被るんじゃった。オイっと」
「いい感じです」
「うむ」
「それじゃあ、失礼します」
「ほいほい、頼んます」
「どうですか?」
「気持ちええよ」
「よかったです。そうそう、イメトレしてきました。前回よりマッサージの質、アップしてるかもしれませんよ」
「イメトレ?」
「ウチの犬を撫でてきました」
「ほっほ。じゃあ期待じゃな」
「はい」
「ほっほ」
「そういえば大事なことを聞くのを忘れてたんですけど、いまの頂の状態、船長はどんな感じに思ってます?」
「どういうことじゃ?増えて欲しいとかそういうことか?」
「 はい、そうです。もしかしたら気に入っておられる場合もあるかなって、ふと思ったんですよ。安心マッサージは増える方向にむかう感じなので」
「ほぅ」
「もし気に入っておられるのなら、増えてしまったら迷惑というか、申し訳ないというか、他の誰かに頼んだ方がいいかなと思って」
「ほほ、大丈夫。万が一フサフサになったら剃りゃぁええだけのことじゃて」
「なるほど、その手がありますか。天然ものではなくなってしまいますけど」
「ほほほ、ウソじゃぞ。増えたとしたならそんな嬉しいことはないわい。剃るなんてもったいない、大事にするわいな」
「何だそうですか。船長の気持ちを考えず、気づいたときには声をかけちゃってたんで、、そうしたらちょうどよかったわけですね」
「まぁ、そうじゃな。なりたての頃の焦りやさびしい感じはないけども、やっぱりあるに越したことはないのぅ」
「また降ってきましたね」
「ありゃぁ」
「最近よく降りますね 」
「ほんまじゃのぅ。もうかれこれ一週間は青い空みとらんのぅ」
「そうですね」
「まぁ、そのぶん涼しいのは助かるけどのぅ。で、あれじゃ、一つ聞きたいこと、ワシもあるんじゃが聞いてもええか?」
「はい、どうぞどうぞ」
「そのなんちゅうか、、なんでするいうか、したいんかな?と思っての、マッサージ。犬にするのは分かるんじゃ、『元気になれよ』って。ワシに元気になれよって感じかのぅ?そんな感じでもないのぅと思っての」
「あれ?そうですね。何でしょうか、、『元気になぁれ』って、元気ですもんね、船長。いや、もちろん、船長に元気であってほしいですよ。でもたしかに考えてみたら、船長であれ船長の頂であれ『元気になぁれ』って感覚なかったです。大事なことでしたね、すいません」
「いやいや、ワシはええんじゃよ。ただなんで安心マッサージしたいんかな?って素朴な疑問じゃ」
「たぶん、興味です。薄毛が、、その、永久歯的なものかどうか、、単語、、その、、使ってもいいですか?」
「んん?ようわからんけど使ってみていいと思うぞ」
「すいません、明瞭な単語を使います。その、、薄毛、すなわちハゲってものは、そもそも永久歯的、声変わりのような一方向のものなのかどうか?好奇心と言うか、、」
「ほほ、その単語か」
「あっ、そうです。永久歯が抜けてしまったとしたら、そのあと新しい歯は生えてこないじゃないですか」
「ふむ」
「あきらめたハゲですよね、なくなったフサフサが抜けてしまった永久歯だとして、新しいフサフサがうまれるといった逆方向はないものなのか?安心できると、もしかすると逆方向にむかうことがあるんじゃないか、、ハゲが前にすすむか後ろにすすむかを安心が担っているパターンがあるんじゃないか、、 好奇心というか興味というか、そこを知りたいんです」
「ほほ、 ワシで言うたら可愛い女子みたいなもんかの?」
「ハハ、それです。自分の意思でどうにかなるものじゃない、コントロールできないもの。これだと思います。でも、いま言われて気づきました」
「うぉ?」
「船長もあるに越したことはないとおっしゃってますし、増える方向を目指すのであれば安心とともに『元気になぁれ』って思いは大事ですね。『元気になぁれ』って思いがあるから安心できるわけで」
「ほぅ」
「大事なことを忘れてました」
「ほぅほぅ」
「ワシが可愛い女子に抱く興味をハゲた頭部にのぅ、、」
「ハハ。ハゲ頭に興味があるわけじゃないですよ。 安心がハゲと関係があるのか、そこに興味があるんです」
「ほほ、そうじゃった。『安心できたけど増えなかった』 って結果でもええんじゃった」
「あれ?ちょっと待ってください。少し前までたしかにそういったスタンスでしたけど、『元気になぁれ』って思い、『増えた』ゴールもイメージしてマッサージするって、、」
「ほぅ」
「そうすると、『思い』もハゲのすすむ方向を担っているパターンがあるということになりますよね」
「ふむ、、」
「そうか、、ハゲのすすむ方向にかかわる多種多様な要素のなかに、安心だけじゃなく思いも入る可能性がある、、たしかに、犬に元気になってほしいって思いあったもんな、、」
「オランくん、そろそろ30分たったぞ。お茶飲むか?」
「あっ、そうですね。そうしましょう」
海辺。カモメの鳴き声。潮の香り。
「どうも」
「おぅ。ごきげんようじゃ」
「ごきげんようです。何かお変わりありました?」
「うぉ?変わらんよ。いつも通りじゃ。我が頂もたぶん変化しとらんな」
「ハハ。まだ1回ですからね、マッサージしたの」
「顔を洗うとき鏡を一応チラッと、見てみたんじゃがの。ほっほ」
「のんびりです。のんびり」
「そうじゃな」
「船長、お先にどうぞ」
「あー、わかった」
キャップを開け室内へ船長が入り、オランラウトも続く。
「緑茶、飲むか?魔法瓶にお湯入れてきたんじゃ」
「あっ、後でいいです。早速はじめましょう」
「おぅ、わかった。じゃ、横にならせてもらうぞ。オイショっと」
「船長、大事なものを忘れてます」
「うぉ?何か忘れたか?」
「ハット忘れてますよ」
「ほほ、そうじゃった。被るんじゃった。オイっと」
「いい感じです」
「うむ」
「それじゃあ、失礼します」
「ほいほい、頼んます」
「どうですか?」
「気持ちええよ」
「よかったです。そうそう、イメトレしてきました。前回よりマッサージの質、アップしてるかもしれませんよ」
「イメトレ?」
「ウチの犬を撫でてきました」
「ほっほ。じゃあ期待じゃな」
「はい」
「ほっほ」
「そういえば大事なことを聞くのを忘れてたんですけど、いまの頂の状態、船長はどんな感じに思ってます?」
「どういうことじゃ?増えて欲しいとかそういうことか?」
「 はい、そうです。もしかしたら気に入っておられる場合もあるかなって、ふと思ったんですよ。安心マッサージは増える方向にむかう感じなので」
「ほぅ」
「もし気に入っておられるのなら、増えてしまったら迷惑というか、申し訳ないというか、他の誰かに頼んだ方がいいかなと思って」
「ほほ、大丈夫。万が一フサフサになったら剃りゃぁええだけのことじゃて」
「なるほど、その手がありますか。天然ものではなくなってしまいますけど」
「ほほほ、ウソじゃぞ。増えたとしたならそんな嬉しいことはないわい。剃るなんてもったいない、大事にするわいな」
「何だそうですか。船長の気持ちを考えず、気づいたときには声をかけちゃってたんで、、そうしたらちょうどよかったわけですね」
「まぁ、そうじゃな。なりたての頃の焦りやさびしい感じはないけども、やっぱりあるに越したことはないのぅ」
雨が波に当たる音。湿気った風。
「また降ってきましたね」
「ありゃぁ」
「最近よく降りますね 」
「ほんまじゃのぅ。もうかれこれ一週間は青い空みとらんのぅ」
「そうですね」
「まぁ、そのぶん涼しいのは助かるけどのぅ。で、あれじゃ、一つ聞きたいこと、ワシもあるんじゃが聞いてもええか?」
「はい、どうぞどうぞ」
「そのなんちゅうか、、なんでするいうか、したいんかな?と思っての、マッサージ。犬にするのは分かるんじゃ、『元気になれよ』って。ワシに元気になれよって感じかのぅ?そんな感じでもないのぅと思っての」
「あれ?そうですね。何でしょうか、、『元気になぁれ』って、元気ですもんね、船長。いや、もちろん、船長に元気であってほしいですよ。でもたしかに考えてみたら、船長であれ船長の頂であれ『元気になぁれ』って感覚なかったです。大事なことでしたね、すいません」
「いやいや、ワシはええんじゃよ。ただなんで安心マッサージしたいんかな?って素朴な疑問じゃ」
「たぶん、興味です。薄毛が、、その、永久歯的なものかどうか、、単語、、その、、使ってもいいですか?」
「んん?ようわからんけど使ってみていいと思うぞ」
「すいません、明瞭な単語を使います。その、、薄毛、すなわちハゲってものは、そもそも永久歯的、声変わりのような一方向のものなのかどうか?好奇心と言うか、、」
「ほほ、その単語か」
「あっ、そうです。永久歯が抜けてしまったとしたら、そのあと新しい歯は生えてこないじゃないですか」
「ふむ」
「あきらめたハゲですよね、なくなったフサフサが抜けてしまった永久歯だとして、新しいフサフサがうまれるといった逆方向はないものなのか?安心できると、もしかすると逆方向にむかうことがあるんじゃないか、、ハゲが前にすすむか後ろにすすむかを安心が担っているパターンがあるんじゃないか、、 好奇心というか興味というか、そこを知りたいんです」
「ほほ、 ワシで言うたら可愛い女子みたいなもんかの?」
「ハハ、それです。自分の意思でどうにかなるものじゃない、コントロールできないもの。これだと思います。でも、いま言われて気づきました」
「うぉ?」
「船長もあるに越したことはないとおっしゃってますし、増える方向を目指すのであれば安心とともに『元気になぁれ』って思いは大事ですね。『元気になぁれ』って思いがあるから安心できるわけで」
「ほぅ」
「大事なことを忘れてました」
「ほぅほぅ」
「ワシが可愛い女子に抱く興味をハゲた頭部にのぅ、、」
「ハハ。ハゲ頭に興味があるわけじゃないですよ。 安心がハゲと関係があるのか、そこに興味があるんです」
「ほほ、そうじゃった。『安心できたけど増えなかった』 って結果でもええんじゃった」
「あれ?ちょっと待ってください。少し前までたしかにそういったスタンスでしたけど、『元気になぁれ』って思い、『増えた』ゴールもイメージしてマッサージするって、、」
「ほぅ」
「そうすると、『思い』もハゲのすすむ方向を担っているパターンがあるということになりますよね」
「ふむ、、」
「そうか、、ハゲのすすむ方向にかかわる多種多様な要素のなかに、安心だけじゃなく思いも入る可能性がある、、たしかに、犬に元気になってほしいって思いあったもんな、、」
「オランくん、そろそろ30分たったぞ。お茶飲むか?」
「あっ、そうですね。そうしましょう」
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