【ワシントン=田中宏幸】米国のトランプ次期大統領は11月30日、ロシア、インド、中国などで構成する新興国グループ「BRICS」の加盟国が貿易取引で米ドルの利用を減らす行動に出れば、「100%の関税に直面し、素晴らしい米国市場から手を引いてもらうことになる」と自身のSNSに投稿した。存在感を増すBRICSによるドル依存からの脱却の動きを、けん制した形だ。
トランプ氏は、「BRICSが国際貿易においてドルに取って代わる可能性はゼロだ」とも投稿した。
BRICSは露印中とブラジル、南アフリカの5か国だったが、今年1月にエジプト、エチオピア、イラン、アラブ首長国連邦(UAE)の4か国が加盟した。欧米諸国に対抗するため米ドルを基軸通貨とする国際通貨制度を見直し、自国通貨による貿易取引の決済システムの構築などを目指して協議している。
露国営メディアによると、プーチン露大統領は今年9月、「BRICS加盟国の貿易取引で、自国通貨の使用割合は65%に達している」と述べたという。
トランプ氏は「タリフマン(関税男)」を自称し、他国との交渉では、関税の引き上げを武器に譲歩を迫る戦略だ。11月25日には、不法移民や違法薬物の流入への対抗措置として、メキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課し、中国からの輸入品には10%関税を上乗せすると表明した。
関税措置を巡り、トランプ氏は29日、フロリダ州にある邸宅でカナダのトルドー首相と会談した。トランプ氏は、米国への違法薬物の流入や米国が抱える巨額の貿易赤字といった課題について協議し、トルドー氏が解決に向けた協力を約束したと明かした。