2018年03月10日
人工衛星は地球に落ちてこないのか?
今更ではあるが、人口衛星とは惑星の周りを回る人口天体の事である。
今の我々にとって日々の天気予報やルート検索等必要不可欠なものだが、疑問に思ったことはないだろうか?
何故、落ちて来ないのか?
もし、落ちてきたらどうなるのか?
今回はその辺りのカラクリについてご紹介しよう。
人口衛星の歴史
世界発の人工衛星はソ連が1957年10月4日に打ち上げた、スプートニク1号である。
直径は僅か60p足らずで、宇宙空間で電波に関する科学実験にするのに使われた。
日本初の人工衛星は宇宙科学研究所の前進である東京大学宇宙航空研究所が1970年2月11日にL-4S 5号機によって打ち上げた「おおすみ」である。
当時はまだ宇宙空間で安定して動く電子機器を作るのが難しく地球を6度回ったところで信号が届かなくなってしまった。
その後、衛星の改良が進み性能は飛躍的に上がってきており例えば1989年に打ち上げられた磁気圏観測衛星の「あけぼの」は2015年までの26年間ずっと観測を続けた。
なぜ、落ちて来ないのか?
簡単に言えば、人工衛星はかなりの速度で地球の周りを飛んでいるから落ちて来ない。
という事になる。
外に飛び出そうとする遠心力と地球に向かう引力が丁度釣り合う事でずっと地球の周りにいるのだ。
人工衛星をボールと考えて投げた場合普通に投げるとすぐ地面に落ちるがもっと速くボールを投げると落ちる場所が遠くになる。
更に速く投げるとずっと遠くまで落ちずに行く。
少しは落ちたとしても地球は丸いからどこまでも地面につかず地球を一周する。
この時の速さは秒速7.9qで新幹線の約100倍。
秒速11.2qを超えるとボールは地球から離れて宇宙空間に飛んで行ってしまう。
地上では空気が邪魔してボールの速度がすぐに下がってしまうためこの速度でボールが飛び続けるのは難しいが、上空の宇宙空間では空気がほとんどないので人工衛星は飛び続けるのだ。
落下の可能性
人工衛星は理論上速度を保っていれば地球に落下することはないが、高度の低い人工衛星の場合は上層の大気の影響による摩擦抵抗の影響を受け周回速度が低下する問題が発生する。
速度が低下すると衛星の高度は徐々に下がり最終的には地球に落下してしまう。
対策としては通常スラスターなどで推進力を加えて衛星の軌道を元の高度に戻すようにしているが、スラスターには燃料が必要なため燃料を使い切った時が人工衛星の寿命となる。
他にも、装置の故障などで制御不能となった場合に落下する可能性もある。
落下するとどうなる?
通常なら大気中で完全に燃え尽きるので部品が地表に落ちてくることはない。
ただ、場合によってはミサイルで破壊するなどの対処をすることもある。
例えば、2008年2月28日アメリカは制御不能で落下の危険性がある自国の人工衛星をイージス艦からミサイルで破壊したことがあるが同国によると衛星の姿勢制御で使用している燃料が人体に有害で、落下による被害を避ける目的があったと報じられている。
通常なら人工衛星は落下時の摩擦熱で焼却されるが、質量(重量)が大きい人工衛星の場合完全に燃え尽きず地表まで到達することがありこの衛星は、小型バス並みの大きさの軍事衛星で10トンもあり大気圏での完全焼却は不可能と判断したためミサイルによる破壊が決定したという。
地表に落ちてきて何か被害が?という問題はどうやら大丈夫そうだが、寿命を迎えてもなお軌道上を回り続ける人工衛星、いわゆるスペースデブリ(宇宙ゴミ)は宇宙に危険なゴミを放置しているという事なので、こちらの方が将来の宇宙時代への課題かと思われる。
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