2014年05月02日
グループウェアに立ちはだかる思いこみの壁―なぜ我が社は、導入やリプレースの社内提案が通りにくいのか
グループウェアは企業にとって、情報を共有していくためのインフラとなるソフトウェアだ。しかし、利用したことがない人にとってその効能は想像しにくい。グループウェアを導入したいが、部門長や経営層を説得する「決め手」に欠け、社内稟議が通らない。こうした経験を持つ担当者は少なくない。現場を知る側としては、職場を取り巻く課題を解決するのにグループウェアが有効と考えるものの、その際に会社が抱く懸念点について、明確な説明を具体的に示せなければ理解されない。とはいえ、ある程度グループウェアの知識が高くなければ難しい課題でもあり、ましてグループウェアの導入経験がなければ、そのハードルは高いかもしれない。
新規導入だけでなく、リプレースについても状況は同じだ。朝日インタラクティブが過去に行ったアンケート調査では、回答者の34.9%は「グループウェアをすでに利用しているが、どちらかというと不満。それを我慢して、日々利用を続けている」との選択肢を選んだ。一方で「不満を感じており移行を検討している」との答えは6.7%に留まった。この調査では、「未導入の理由」を聞いた場合も含め、総じて担当者が「導入時に意識される不安(壁)を乗り越えられる、具体的な説明をなかなか提示しにくいことが、現状として浮かび上がった。その結果として、約4割ものユーザーは、結局いつまでも、不満を抱えたままの職場環境で業務を強いられているのだ。国内企業の生産性向上を頭打ちにしている要因の一つが、この集計結果から見て取れるはずだ。
「壁」を整理し、思い込みを払拭する
ではまず、その壁としてよく聞かれることは何なのか?導入前の段階から整理していこう。
1.新規導入を阻む壁
「グループウェアは大企業が利用するもの」という壁
中小企業の経営者などからよく聞かれるのが、「うちのような小規模の会社では、大声を出せば社員みんなに聞こえる。わざわざITを使って、情報共有をする必要はないでしょう?」という声だ。本当に少人数でも社内情報の共有は上手く行っているのだろうか。確かに大企業であれば情報共有の必要性は理解しやすいが、このような決めつけが前提となっていれば、根拠のある説得が不可欠だろう。この壁も意外に大きいものだ。
「全て現場で決めてください」の壁
現場に全てを任せてしまうと、戸惑いが生じて導入したもののほとんど利用されないままというケースも存在する。「管理者側がきちんと管理する」ことと、「利用者の業務実態に合った、使いやすいグループウェア」という二つの課題が、うまく成り立っていないと、利用していても不満は大きいようだ。
「従業員が使いこなせる気がしない…」という壁
導入が検討課題に挙がっても、「うちの社員はITのリテラシーが特別高いわけでもなく、なけなしの投資がムダになってしまうリスクは取りがたい」と立ち消えになってしまうケースだ。たとえパートタイム社員が大半だからといって、使いこなせないと決めつけるのは早計で、せっかくの業務効率化のチャンスを見逃しているにすぎない。惜しい話だ。
コストの壁
これは実際に導入を検討し、見積をとったことがあるユーザーなら実感があるだろう。「1クライアントあたりのコストは安価です」とアピールしているグループウェアでも、オンプレミス版を導入する場合、初期費用としてサーバー導入コストがプラスされる。月額費用の前にかかる初期導入コストを見て、導入しない判断をする企業も多いようだ。社員分のクライアント数のコストプラス、サーバーコストが加わると100万円弱から100万円を超えるコストとなる場合もある。確かにこの額になってくると、気軽に導入することは難しい。中小企業では、「百万円を超える予算を用意することはできない」という場合も多い。大企業でも社内稟議が必要となるため、明確な導入メリットを示さなければならない。
なんとか導入を決めても、その先にも壁はある。ぶつかったままの状態でガマンを強いられるようなら本末転倒であり、業務の足かせともなってしまう頭の痛い問題だ。続いては、こちらを整理してみる。
2.導入後の壁
「現場の実情に合わない」壁
うまく行っていない場合に原因としてまず挙がるのは、管理者の権限が強すぎて現場の要望にマッチしてないという声だ。グループウェアは社員全員が利用するためのソフトウェアだが、管理者が一方的に「こう使う」と使い方を決めてしまうと、こうなりやすい。
「一部のひとしか使っていない」壁
また、全社での利用が徹底できていないケースも不満を与える原因の一つとなる。グループウェアは全員が利用することで、「必要な情報を共有する」といった課題が解決する。一部の人しかグループウェアを利用せず、利用しない社員のために、グループウェア導入以前から使っていた紙の資料を配付することが必要になっている場合は、グループウェア導入の意味が薄れてくる。
「クラウドは不安」の壁
現状に不満なのに使い続けている理由として、「本当はクラウドに移行したいのだが、セキュリティが不安で足踏み状態」とのケースもあるようだ。グループウェアにはその企業ならではの極秘事項が含まれるが、それがクラウドで漏洩するのではないか、との懸念が先行してしまう場合だ。
新規導入だけでなく、リプレースについても状況は同じだ。朝日インタラクティブが過去に行ったアンケート調査では、回答者の34.9%は「グループウェアをすでに利用しているが、どちらかというと不満。それを我慢して、日々利用を続けている」との選択肢を選んだ。一方で「不満を感じており移行を検討している」との答えは6.7%に留まった。この調査では、「未導入の理由」を聞いた場合も含め、総じて担当者が「導入時に意識される不安(壁)を乗り越えられる、具体的な説明をなかなか提示しにくいことが、現状として浮かび上がった。その結果として、約4割ものユーザーは、結局いつまでも、不満を抱えたままの職場環境で業務を強いられているのだ。国内企業の生産性向上を頭打ちにしている要因の一つが、この集計結果から見て取れるはずだ。
「壁」を整理し、思い込みを払拭する
ではまず、その壁としてよく聞かれることは何なのか?導入前の段階から整理していこう。
1.新規導入を阻む壁
「グループウェアは大企業が利用するもの」という壁
中小企業の経営者などからよく聞かれるのが、「うちのような小規模の会社では、大声を出せば社員みんなに聞こえる。わざわざITを使って、情報共有をする必要はないでしょう?」という声だ。本当に少人数でも社内情報の共有は上手く行っているのだろうか。確かに大企業であれば情報共有の必要性は理解しやすいが、このような決めつけが前提となっていれば、根拠のある説得が不可欠だろう。この壁も意外に大きいものだ。
「全て現場で決めてください」の壁
現場に全てを任せてしまうと、戸惑いが生じて導入したもののほとんど利用されないままというケースも存在する。「管理者側がきちんと管理する」ことと、「利用者の業務実態に合った、使いやすいグループウェア」という二つの課題が、うまく成り立っていないと、利用していても不満は大きいようだ。
「従業員が使いこなせる気がしない…」という壁
導入が検討課題に挙がっても、「うちの社員はITのリテラシーが特別高いわけでもなく、なけなしの投資がムダになってしまうリスクは取りがたい」と立ち消えになってしまうケースだ。たとえパートタイム社員が大半だからといって、使いこなせないと決めつけるのは早計で、せっかくの業務効率化のチャンスを見逃しているにすぎない。惜しい話だ。
コストの壁
これは実際に導入を検討し、見積をとったことがあるユーザーなら実感があるだろう。「1クライアントあたりのコストは安価です」とアピールしているグループウェアでも、オンプレミス版を導入する場合、初期費用としてサーバー導入コストがプラスされる。月額費用の前にかかる初期導入コストを見て、導入しない判断をする企業も多いようだ。社員分のクライアント数のコストプラス、サーバーコストが加わると100万円弱から100万円を超えるコストとなる場合もある。確かにこの額になってくると、気軽に導入することは難しい。中小企業では、「百万円を超える予算を用意することはできない」という場合も多い。大企業でも社内稟議が必要となるため、明確な導入メリットを示さなければならない。
なんとか導入を決めても、その先にも壁はある。ぶつかったままの状態でガマンを強いられるようなら本末転倒であり、業務の足かせともなってしまう頭の痛い問題だ。続いては、こちらを整理してみる。
2.導入後の壁
「現場の実情に合わない」壁
うまく行っていない場合に原因としてまず挙がるのは、管理者の権限が強すぎて現場の要望にマッチしてないという声だ。グループウェアは社員全員が利用するためのソフトウェアだが、管理者が一方的に「こう使う」と使い方を決めてしまうと、こうなりやすい。
「一部のひとしか使っていない」壁
また、全社での利用が徹底できていないケースも不満を与える原因の一つとなる。グループウェアは全員が利用することで、「必要な情報を共有する」といった課題が解決する。一部の人しかグループウェアを利用せず、利用しない社員のために、グループウェア導入以前から使っていた紙の資料を配付することが必要になっている場合は、グループウェア導入の意味が薄れてくる。
「クラウドは不安」の壁
現状に不満なのに使い続けている理由として、「本当はクラウドに移行したいのだが、セキュリティが不安で足踏み状態」とのケースもあるようだ。グループウェアにはその企業ならではの極秘事項が含まれるが、それがクラウドで漏洩するのではないか、との懸念が先行してしまう場合だ。
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