2014年04月29日
豚感染症PEDで一大産地・九州に大打撃 肉価格高騰
豚の感染症「豚流行性下痢」(PED)が、なお猛威を振るっている。昨年10月以降、全国33道県456農場に広がる中、九州7県でも鹿児島を中心に270農場で確認され、死んだ子豚は5万7千頭(4月24日現在)に達した。九州は豚飼養頭数が全国の3割を占める一大産地だけに、13年ぶりのPED蔓延の打撃は大きく、今後の出荷量減を織り込んで、すでに豚肉の卸売価格は前年比3割も上昇している。(津田大資)
PEDはウイルスが引き起こす。成獣が死ぬことは少ないが、子豚が感染すると高確率で死に至る。人に感染することはない。
昨年10月1日、沖縄県でPEDが確認されると、じわじわと拡散。同年12月11日に鹿児島県の肝付地区、同月13日に宮崎県串間市の農場でPEDが確認された。九州では13年ぶりの発生だった。
全国の豚飼養数968万頭(平成25年2月現在)のうち、九州は3割の305万頭を占める。中でも鹿児島県137万頭、宮崎県83万頭と群を抜く。PEDはこの鹿児島、宮崎両県で猛威を振るっている。今年2月、沈静に向かったが、3月に再び増え始め、これまでに両県の計225農場で感染が確認され4万5655頭が死んだ。全国でPEDによって死んだ豚8万3325頭の半分以上。被害は20億円超と推計される。
「口蹄疫の流行から4年が経ち、気の緩みから防疫の抜け穴を作ってしまったかもしれません」。鹿児島県の佐々木幸良・家畜防疫対策監は苦渋に満ちた表情で語った。鹿児島県は養豚業者が多い地域に車両消毒所を設置するなど防疫態勢を強化しているが、発生農場は増え続けている。
さらに今月8日、畜産関係者に衝撃が走った。農家に防疫対策を指導する宮崎県畜産試験場川南支場(川南町)で、PED感染が確認された。いわば防疫の本丸で、飼育する子豚37頭のうち30頭が感染していた。
宮崎県家畜防疫対策課の久保田和弘課長は「防疫態勢は県内トップレベルと自負していました。どこからウイルスが侵入したのか、まったく分からない。『どれだけ対策を講じてもムダだ』と、あきらめの気持ちが農家に広がることを心配しています」と語った。
宮崎県は宮崎大などと協力して、試験場への感染ルート解明を急いでいる。
PED流行の影響は、市場に及び始めた。農林水産省などによると、3月の豚肉卸売り平均価格(1キロあたり)は、関東で前年同月比2割高の466円、関西も同3割高の483円と値上がりしている。
子豚は誕生から半年で成育し出荷時期を迎える。農畜産業振興機構(東京)の担当者は「今夏に出荷量が減るとの懸念も、価格高騰の一因となっている可能性が大きい」と分析する。
価格上昇の要因は、国内のPEDだけではない。
2013(平成25)年4月以降、米国でPEDが大流行しているのだ。届け出が義務付けられていないため、被害の全容は分からないが、米国農務省(USDA)によると感染は29州5790カ所に及び、おびただしい数の子豚が死んでいるという。
日本が輸入する豚肉は米国が4割を占める。バーベキューシーズンの夏に米国内需要が伸びるため、日本への輸出が品薄になる可能性が大きい。
日米を含め、世界的に蔓延する今回のPEDウイルスは、中国発祥との見方が強まっている。
中国では2010年以降にPEDが大流行し、計100万頭以上の子豚が死んだ。農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)によると、中国のPEDウイルスは新型で、遺伝子型が米国や韓国、日本で確認されたものと類似しているという。国境を越えて移動する人や飼料、資材にウイルスが付き、中国から米国、韓国に拡大、日本に侵入したとみられる。
農水省動物衛生課の担当者は、危機感を募らせる。
「PEDウイルスが海を渡って国内に入ってきたとするなら、同じように口蹄疫ウイルスや、未知の恐ろしいウイルスも侵入し得るということになります。常に最大の警戒が必要です」
感染確認から半年。PED終息の見通しは立っていない。
PEDはウイルスが引き起こす。成獣が死ぬことは少ないが、子豚が感染すると高確率で死に至る。人に感染することはない。
昨年10月1日、沖縄県でPEDが確認されると、じわじわと拡散。同年12月11日に鹿児島県の肝付地区、同月13日に宮崎県串間市の農場でPEDが確認された。九州では13年ぶりの発生だった。
全国の豚飼養数968万頭(平成25年2月現在)のうち、九州は3割の305万頭を占める。中でも鹿児島県137万頭、宮崎県83万頭と群を抜く。PEDはこの鹿児島、宮崎両県で猛威を振るっている。今年2月、沈静に向かったが、3月に再び増え始め、これまでに両県の計225農場で感染が確認され4万5655頭が死んだ。全国でPEDによって死んだ豚8万3325頭の半分以上。被害は20億円超と推計される。
「口蹄疫の流行から4年が経ち、気の緩みから防疫の抜け穴を作ってしまったかもしれません」。鹿児島県の佐々木幸良・家畜防疫対策監は苦渋に満ちた表情で語った。鹿児島県は養豚業者が多い地域に車両消毒所を設置するなど防疫態勢を強化しているが、発生農場は増え続けている。
さらに今月8日、畜産関係者に衝撃が走った。農家に防疫対策を指導する宮崎県畜産試験場川南支場(川南町)で、PED感染が確認された。いわば防疫の本丸で、飼育する子豚37頭のうち30頭が感染していた。
宮崎県家畜防疫対策課の久保田和弘課長は「防疫態勢は県内トップレベルと自負していました。どこからウイルスが侵入したのか、まったく分からない。『どれだけ対策を講じてもムダだ』と、あきらめの気持ちが農家に広がることを心配しています」と語った。
宮崎県は宮崎大などと協力して、試験場への感染ルート解明を急いでいる。
PED流行の影響は、市場に及び始めた。農林水産省などによると、3月の豚肉卸売り平均価格(1キロあたり)は、関東で前年同月比2割高の466円、関西も同3割高の483円と値上がりしている。
子豚は誕生から半年で成育し出荷時期を迎える。農畜産業振興機構(東京)の担当者は「今夏に出荷量が減るとの懸念も、価格高騰の一因となっている可能性が大きい」と分析する。
価格上昇の要因は、国内のPEDだけではない。
2013(平成25)年4月以降、米国でPEDが大流行しているのだ。届け出が義務付けられていないため、被害の全容は分からないが、米国農務省(USDA)によると感染は29州5790カ所に及び、おびただしい数の子豚が死んでいるという。
日本が輸入する豚肉は米国が4割を占める。バーベキューシーズンの夏に米国内需要が伸びるため、日本への輸出が品薄になる可能性が大きい。
日米を含め、世界的に蔓延する今回のPEDウイルスは、中国発祥との見方が強まっている。
中国では2010年以降にPEDが大流行し、計100万頭以上の子豚が死んだ。農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)によると、中国のPEDウイルスは新型で、遺伝子型が米国や韓国、日本で確認されたものと類似しているという。国境を越えて移動する人や飼料、資材にウイルスが付き、中国から米国、韓国に拡大、日本に侵入したとみられる。
農水省動物衛生課の担当者は、危機感を募らせる。
「PEDウイルスが海を渡って国内に入ってきたとするなら、同じように口蹄疫ウイルスや、未知の恐ろしいウイルスも侵入し得るということになります。常に最大の警戒が必要です」
感染確認から半年。PED終息の見通しは立っていない。
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