2016年05月09日
米ソ冷戦下で絶妙の捕虜交換劇を演じたニューヨークの弁護士「ブリッジ・オブ・スパイ’15」劇場公開2016年1月
1957年、FBIはソ連のスパイ、ルドルフ・アベル(マーク・ライランズ)を逮捕した。密告を受けていたFBIの監視活動の成果だった。
スパイ行為は即死刑という時代でも、アメリカの司法制度が健全であることを内外に知らせる必要もあった。そこでアベルの弁護士としてジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)がしぶしぶ承諾した。
一旦受諾した以上ドノヴァンはアベルを一被告人として扱い人間関係を築いた。この辺は二人の俳優が持ち味を充分に出している。アベルを演じたマーク・ライランズは、アカデミー助演男優賞受賞という結果を残した。
そして禁固30年の判決を受けて死刑を免れた。これには当然、国民の強い反発が起こり、ドノヴァンの自宅にも銃弾が撃ち込まれた。
根拠はないがドノヴァンには、将来このアベルの使い道が出てくる局面を予想してのことだった。つまりアメリカ人が、ソ連側に拘束されるという事態だった。
程なくしてそれが現実となった。アメリカ空軍のU2機が撃墜されパイロットのパワーズ(オースティン・ストウェル)が拘束された。更に東西ドイツを隔てる壁の建設現場でイエール大学生プライヤー(ウィル・ロジャース)もスパイ容疑で東ドイツ警察に逮捕された。
東ドイツから1通の手紙がドノヴァンに届いた。アベルを弁護したお礼の手紙だった。その手紙をアベルに見せた。アベルはこれは偽物だという。
CIAのダレス長官と面談。「捕虜交換のサインだろう。ソ連はアベルをソ連人といわないし、東ドイツは主権国でない。1945年以降アメリカは東ドイツを認めていない」
政府間交渉が出来ない。従って一般市民のドノヴァンにまたまたお鉢が巡ってきた。この件は機密事項ということで、家族にはイギリスでサーモンの釣りに行くと言わざるを得ない。
ドノヴァンは、1対2つまりアベルとアメリカ人パワーズ、プライヤーの二人との交換に固執する。CIAは、1対1でもいいではないか。学生は勝手な行動で拘束されたから無視してもいい。
すったもんだの挙句、ようやくグリーニッケ橋でアベル対パワーズの交換、別のチェックポイントでプライヤーの開放という段取りになった。
厳寒のグリーニッケ橋での捕虜交換には目が釘付け。アベルの運命を受け入れる何事にも動じない態度には、国家に尽くしたというプライドが漂う。
橋の上でドノヴァンがいく末を聞いたとき「ハグで出迎えられるか、車のバックシートに押し込めれるかで判る」とアベル。
そして「ジム、贈り物がある。あなたを描いた絵だが」
「私は贈り物を用意していない」とドノヴァン。
「いや、これがあなたの贈り物だ」
やがて引き取られたアベルは、橋の上のドノヴァンを一瞥してバックシートに乗り込んだ。憂愁に沈み立ち尽くすドノヴァン。この場面は実際のロケーションで撮られたというから俳優も大変だ。
ジェームズ・ドノヴァンのヒューマニズムは、画面とは反対の暖かいものをくれた。批評家達は、この映画を絶賛している。
監督
スティーヴン・スピルバーグ1947年12月オハイオ州シンシナティ生まれ。
キャスト
トム・ハンクス1956年7月カリフォルニア州コンコード生まれ。
マーク・ライランス1960年1月イギリス生まれ。
オースティン・ストウェルコネチカット州生まれ。
ウィル・ロジャース出自不詳
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